官房長官の記者会見テキスト(2011年3月11日午後3=11分間)

【冒頭発言】

・原子力緊急事態宣言について

・緊急災害対策本部について

司会:お願いします。

官房長官:まずわたくしからご報告をいたします。まず発表に先立ちまして、これから申し上げることは予防的措置でございますので、くれぐれも落ち着いて対応していただきたいというふうに思います。先ほど原子力安全対策本部を開催をいたしまして、本日16時36分、東京電力福島第一原子力発電所において原子力災害対策特別措置法第15条1項、2号の規定に該当する事象が発生し、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要があると認められたため、同条の規定に基づき、原子力緊急事態宣言が発せられました。現在のところ放射性物質による施設の外部への影響は確認されておりません。したがって対象区域内の居住者、滞在者は現時点では直ちに特別な行動を起す必要はありません。慌てて避難を始めることなくそれぞれの自宅や現在の居場所で待機し、防災行政無線、テレビラジオ等で最新の情報を得るようにしてください。繰り返しますが、放射能が現に施設の外に漏れている状態ではありません。落ち着いて情報を得るようにお願いをいたします。ただいまの発表については紙を配らせていただきますが、若干技術的な事、専門的な事はこのあと保安院になるかと、あるいは経済産業省の方から記者の皆さんにブリーフを経産省の方でしていただこうと思っておりますが、原子炉そのものに今問題があるわけではございません。原子炉はしっかりと停止をいたしました。ただ停止をした原子炉は冷やさなければいけません。この冷やすための電力、冷やすための電力についてですね対応が必要であると、いう状況になっております。まさに万が一の場合の影響が激しいものですから、万全を期すということで緊急事態宣言を発令をいたしまして、そのうえで対策本部も設置をし、原子力災害対策特別措置法に基づく最大限の万全の対応を取ろうということでございます。繰り返しますが、放射能が現に漏れているとか現に漏れるような状況になっているということではございません。しっかりと対応をすることによって、何とかそうした事態に至らないようにという万全の措置を今対応をしているところでございます。ただ同時にそうした最悪の事態に備えた場合も万全を期そうということで、緊急事態宣言を発して対策本部を設置をしたということでございますので、くれぐれも落ち着いて特に当該地域の皆さんには対応をしていただきますようよろしくお願いを申し上げます。この原子力緊急事態宣言とその原子力の対策本部に引き続きまして、緊急災害対策本部の第三回会合を開催をいたしました。ここまでのそれぞれの被害の状況、あるいは政府各省の対応については、その都度30分おきだと思いますが、皆さんの方にはペーパーでもご報告をさせていただいておりますので、またそこから時間も経っておりますので、本部の時点から詳細はわたくしから申し上げるべきだとは思いませんが、いくつかの点をこの場を借りてわたくしから皆さんにお願いを申し上げたいというふうに思っております。一つは政府は万全の最大限の対応を既に取り始めております。自衛隊の皆さん、警察の皆さん、消防の皆さん、厚生労働省の医療関係の緊急対応チームの皆さん、あらゆる国家機関全てこの地震対応のために持てる最大限の機能を発揮して、現場等に向かうなどの既に対応を着手をいたしております。日本国として持ちうる最大の今機能を発揮していただいて、対応しておりますことをまずは皆さんにお伝えをさせていただきたいというふうに思います。さらには米軍からもですね、米軍の能力、ご協力をしたいというお申し出もいただいておりまして、こちらについても今具体的なご協力のお願い調整をさせていただいております。繰り返しますが、今持てる力全て出し切る形で既に緊急対応、現場に向かい或いは現場に到着し対応を始めておりますので、そのことを是非ご理解をいただきたいとそのうえで落ち着いて対応をしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。なお電話が繋がらないということで、不安をお持ちの方がたくさんおられるのではないかというふうに思っておりますが、現在電話が大変込み合っているために繋がらない状態がたくさん出ているという報告を総務大臣を通じて受けております。繰り返します。電話が繋がらないということで不安な方がたくさんいらっしゃるというふうに思いますが、これは皆さんが安否確認等のため多数電話をお使いになって、大変込み合っているために繋がらないという状況になっておりますので、まずできるだけ電話、最低限のところでしていただきできるだけ必要なところにもちろん緊急用回線は確保しておりますが、そうしたところで対応がいただけるようにしていただきたいと思いますし、電話が繋がらないということで相手先が被害を受けているというわけでは必ずしもありません。基本的には要は込み合って繋がらないという状況であるということをご理解をいただければと、いうふうに思っているところでございます。わたくしの方からは現時点で以上でございます。

【質疑応答】

記者:産経新聞のオダですけれども、原子力災害対策特措法のですね規定に該当する事象というのは、具体的にはどのようなことなのでしょうか。放射能の漏れは無いということなんですが。

官房長官:先ほど申しました通りですね、原子炉は冷却をするために給水をしなければなりません。この給水機能が現時点で注水が出来なくなっているという状況でございます。これの注水をするための電源を確保するべく、総力を挙げて対応しているところでございます。

記者:毎日新聞です。カゲヤマです。そうすると原子炉を緊急停止したところまでは安全を確認されているけどその後冷却するところのプロセスが上手くいっていない。だから今対応しているという理解でよろしいですね。

官房長官:16時36分に注水が上手くいかなくなったと、いうことで報告を受けております。今この注水、電力を確保するということでございまして、今あらゆる機能を使ってその電源のバックアップの体制を今やっているところであります。

記者:長官、読売新聞のクリバヤシです。最悪の事態の場合に備えてということでしたけど放射能漏れが起きる可能性というのは今の時点で問題点は注水の電力の一点に限られる、基本的には限られているということでよろしいでしょうか。

官房長官:そういうことで尚且つこれのバックアップも万全を期しております。なお、引き続き保安院の方からブリ、引き続きでよろしいのですね、ここでいいんですね。

司会:はい

官房長官:引き続き保安院の方からブリーフをいたしますので、詳細はそちらの方にお尋ねいただければというふうに思います。

記者:産経新聞のオダですけれども、その周辺の住民は安全でちょっと安心で、まあ不安にならないでくださいということなんですけど、職員の方で何か被害に遭った方っていうのはいらっしゃるのですか。

官房長官:もうとにかくそういう事態ではございません。今冷却水のための電力が上手くいっていないという状況であると、いうことでございますが、これが一定期間内にしっかりと対応できればその時点で、今の不安は問題点は解消できる、現時点で被害が出るような状況にあるわけではないということです。

記者:テレビ朝日のコバヤシです。このバックアップの問題なんですけど、だいたいどれぐらいの時間がかかるものなのか目途は立っているのでしょうか。

官房長官:今最大限、短縮をすることで努力をしております。

記者:これ長ければどれぐらい。

官房長官:まさにそういったことは保安院の方からブリーフがあると思います。

記者:読売新聞のクリバヤシです。米軍からの救援の調整についてですが、これは基本的に救援をお願いをする依頼をするという方向で検討ということでよろしいでしょうか。

官房長官:具体的に米軍にお願いをしなければならないような種類のことがあるかどうかということと、それに米軍が対応できるかどうか、いうことで調整をしていることです。

記者:毎日新聞です。具体的にどの部分でお願いをすると具体的に考えていらっしゃいますか。

官房長官:やっぱり輸送運搬のところでたぶん自衛隊よりも大きなというか、機能の大きなですね、例えば空輸のためのものが米軍の方にあればそうした機能についてはご協力いただけるならご協力いただきたい、いうことをはじめとしてそれぞれ我が国内では持っていないような機能を米軍が持っている部分があれば、あらゆる可能性は想定しています。

記者:自衛隊が出動することはこれまで災害であったと思いますが、米軍に協力を要請すること、これ初めてなのでしょうか。

官房長官:いや、阪神淡路もそうですね、阪神淡路のときもご協力いただいたと思います。

記者:読売新聞のクリバヤシです。現時点でですね、災害特措法の105条のですね災害緊急事態の布告、総理大臣のですね、そのようなことも検討されていたりしますか。

官房長官:今まず最大限の即応の対応をしてきているところでございます。さらにこれを先ほどの対策本部でさらに進めるということで、今現に徐々に現場に対応部隊が到着しているところでございますので、この状況をまずはさらに進めてできるだけ早い段階で対応するチームを現実に現場に送っていくまずはこのことに全力を挙げています。

記者:産経新聞のオダですけど、米軍の協力なんですが、具体的にどこの基地からというようなそういう細かい話はあるのでしょうか。

官房長官:そういった詳細についてはもし具体的に決まれば、自衛隊なり外務省なり等から発表があると思います。

司会:よろしいですか。

官房長官:ありがとうございました。