官房長官の記者会見テキスト(2011年3月19日16時07分から46分間)

【冒頭発言】

官房長官:まずわたくしから何点かご報告をさせていただきます。まず福島第一原発事故の状況でございます。詳細はそれぞれ関係部局からご報告をさせていただいているかというふうに思いますが、引き続き菅総理のイニシアティブの下、内閣官房、経済産業省、原子力安全保安院、自衛隊、警察、消防、さらには東京電力が官民挙げて事態の悪化を阻止し、収束に向かわせるべく全力を挙げての取り組みが続いているところでございます。一歩一歩の改善が見られておりますが、なお予断を許さない状況であると認識をいたしております。1号機から3号機の原子炉については、海水注入によって一定の安定状況にありますが、引き続きこの冷却を継続するべく努めているところでございます。当面の課題は各号機の使用済み燃料プールの冷却でございますが、これについては皆さんご承知のとおり17日には自衛隊のヘリによる上空からの散水、機動隊自衛他による陸上からの注水、昨日も自衛隊、東電、そして東京消防庁、ハイパーレスキュー隊による地上からの注水を実施したところでございます。本日も東京消防庁による地上からの注水を実施することとし、更にはここまでは3号機でございますが、4号機についても自衛隊によるプールへの注水を検討準備しているところでございます。途中段階でございまして現時点で確定的なことは申し上げられませんが、3号機4号機の使用済み燃料プールには、一定の注水が成功したと、失礼、3号機の使用済み燃料プールには注水に成功したと見ており、現時点では一定の安定状況にあるのではないかと。しかしながら、予断を持つこと無く、引き続き3号機に対する注水そして4号機への注水を安定的に行うことによって、これらの状況を改善の方向に向かわせるべく努力をしてまいります。更にはより抜本的な解決に向けて外部電力の復旧に向けた作業が一歩一歩進んでおります。この外部電力の復旧によって、各原子炉の状況のモニタリングあるいは冷却についてのより安定的な状況をつくるべく努力をいただいているところであります。更には注水についてもより安定的にプールへの注水ができる手段を検討し、さまざまな装備等について準備をいたしているという報告を受けております。

もう一点、ホウレンソウ、牛乳についてのご報告でございます。福島県内で採取された牛乳、そして茨城県内で採取されたホウレンソウの検体から、食品衛生法上の暫定基準値を超える放射線量が検出をされたという報告がございました。一つは昨日の17時半ごろ、福島県の原子力センター福島支所の緊急時モニタリングにおいて、1農場から採取された原乳から食品衛生法上の暫定規制値を超える数値が検出されました。本日11時、茨城県環境放射線監視センターの検査において、ホウレンソウ6検体から食品衛生法上の暫定規制値を超える数値が検出されたとの情報がもたらされました。このため厚生労働省において本日未明福島県に対し、また本日昼茨城県に対し関係情報を調査の上食品衛生法上に基づき、当該検体の入手先同一ロットの流通先の調査、結果によっては販売の禁止等、食品衛生法に基づく必要な措置を講ずるよう依頼をしたところでございます。国としては福島第一原子力発電所災害との関連を想定しつつ、原子力災害特別措置法の枠組みの下で更なる調査を行ってまいります。その上でその調査結果の分析評価をしっかり行い、一定地域の摂取制限や出荷規制等の対応が必要であるかどうか。必要であるとすればどの範囲とするかなどについて早急に検討を出してまいりたいと考えております。なお今回検出された放射線物質濃度の牛乳を仮に日本人の平均摂取量で1年間摂取し続けた場合の被曝線量は、CTスキャン1回程度のものであります。ホウレンソウについてもやはり日本人の年平均摂取量で1年間摂取したとして、CTスキャン1回分の更に5分の1程度であるという報告を受けております。また今回つくりました暫定的な基準値というものでありますが、この暫定的基準値は国際放射線防護委員会の勧告に基づき設定したものでございますが、当該物を一生飲食し続けることを前提として健康に、人体に影響を及ぼすおそれのある数字として設定をされた数字、これに基づいて今回報告がなされより広範な調査、分析、評価を行う必要があるとしたものでございまして、直ちに皆さんの健康に影響を及ぼす数値ではないということについては、十分ご理解をいただき冷静な対応をお願いをしたいと思っております。今回こうした検体が検出されましたことから国といたしましては原子力災害対策本部の下に、まずは厚生労働省におけるデータの集約と一元化の機能を担わせ、ここに文部科学省、厚生労働省、農林水産省、現地対策本部、関係自治体、民間団体等のさまざまなデータを集約一元化し、これについて原子力災害対策本部として原子力安全委員会の助言に基づいて評価をし、そして対応が必要な場合にはそれらを指示すると、こういった枠組みを構築をしたところでございます。わたくしからの報告は以上でございます。

【質疑応答】

記者:読売新聞のクリバヤシです。ホウレンソウと牛乳に関してなんですけど、実際に詳しい調査をしてですね●●や摂取制限の措置の範囲を決めるまでの、どれぐらいの時間で決定しようとしておられるのか。

官房長官:まさにこれからもいろいろなとこでデータを取っていただいています。だからこそそのデータの中でこうした数値のものがあるということが判明いたしました。さらにこのデータのまさに観測そのものもさらに数を増やしていただき、集約もスピードアップをさせていくということの中で、どういうデータが出て来るかということによって判断は変わってくるわけでございまして、たまたま特異な事情で今回の数字で出てきているのか、或いは広範な地域に同様の数字が出てきているのか、現時点ではそういった報告ありませんが、まさにこういったデータを収拾するなかで、専門家の皆さんの助言を踏まえて対応が必要かどうかを決めて行くということでありますので、当分の間はそうした体制で必要性についてきちっと検証していくこういう状態なのだと思っております。

記者:実際にその地域が特定されるまでの間、もし今回のサンプリング調査の数値が出た地域公表されないのであれば、福島県ないし茨城県全体に風評被害というのが起きると思うのですけど。

官房長官:この詳細な地区と数字等については厚生労働省の方から発表するようにというふうに指示をいたします。

記者:長官、朝日新聞社のサトウです。そもそもですね、これあの暫定というぐらいですから基準自体にですね問題がないのか、そもそも食品安全法のなかにはもともと基準なかったわけで、そもそもこれまでですね基準をつくってこなかったことも含めて、長官はどのように基準について考えていらっしゃるかお願いします。

官房長官:従来からですね、原子力安全委員会のほうではこうしたことについての指標はまとめて出していただいていた。それは先ほどご報告をさせていただいたかと思いますが、国際的な基準に基づいてそうした指針をお示しをしていた、それを今回はこうした事故を踏まえてまさに規制につながるようなかたちで利用をするということで、尚且つ暫定的な指針として発表したということに基づいております。もちろん通常からいろいろなかたちの数値をですね確定的な基準として設定をしておくべきあったと、いうご批判はわたくしは一定程度そうした側面があるというふうに率直に思っておりますが、まさに国際的な基準に基づいて一定の数値が出たらしっかりとモニタリングを強化して対応策に向けた作業を進めると、いうことで今回も行っているわけでありますので、そのことによって国民の皆さんの健康被害を防ぐいうことについての影響は無いというふうに思っております。

記者:朝日新聞のヤマモトです。今の仕組みはですね自治体が実施主体で、やるかどうか或いは実施の範囲、規模そうしたもの自治体に厚労省委ねているかたちになっています。そうして実際に数字が出てきて果たして今のやり方がいいのかどうか第1点。もう一つはもし出荷停止ということになれば、被害をですねどういうふうに責任を取るのか、●●的には東京電力とですね原子力行政を担ってきた国の責任が当然問われることになろうかと思いますが、そういった出荷停止とか周辺に及ぶであろう風評被害の補償について現時点でのお考えをお願いします。

官房長官:まさにだからこそ先ほど申しました通り、原子力災害対策本部において厚生労働省によるデータ集約及び一元化を事実上指示して、そして厚生労働省において関係機関と連携のうえしっかりとしたサンプリングの実施そのもの、そしてそのデータの集約そのものについて、システマティックに進めていくということを構築をしたところでございます。これによってどういったサンプリングについてモニタリングを行って、それをどういう手順で集約するのかということを厚生労働省において構築をしていただくということになります。これによってもし出荷制限等の事態に陥りました場合においては、まずは国民の皆さんの健康を守るということがこの時点において、特にこの原子力発電所の事故の絡みにおいても国として最優先で取り組まなければならない課題であるというふうに思っておりますので、その結果として様々な影響を受ける皆さんのその影響については、当然事業主体である東京電力はもとより、国においてもしっかりとした対応を行っていくということが前提になるかというふうに思っておりますが、まずは現時点においては健康被害をもたらさない、そのことをしっかりと抑え込むということについて、一切の予断を持たず全力を挙げるというのが政府としての立場だと思っています。

記者:確認しますけど、全国でやってくださいということなのか、あくまで自治体の判断に委ねるのかということは確認したいのと、もう一つは今のお話しというのは補償は東電と国で責任を持つと捉えていいのかどうか2点確認をお願いします。

官房長官:まず1番目については今申しました通り、厚生労働省において必要な情報収集のための集約を厚生労働省において行うようにいうことにいたしましたので、具体的に全国でやる必要があるのか、どの地域でどういう品目を行うのかこれは専門的な知識に基づいて必要な範囲で厚生労働省において各機関に要請をするということになってまいります、必要があれば原子力安全、原子力の今の体制のもとでありますから、必要があれば厚生労働省の申し出に基づき総理から指示をすることも可能であるという体制ですが、こうした事情ですから各機関においても厚生労働省の求めに応じてシステマティックに情報収集していただけるものというふうに思っております。後者については、そうした将来的な問題があることは当然認識をいたしておりますが、そういうことがあろうがなかろうが今は全力を挙げてまずは健康被害を防ぐという言うことに全力を挙げておりまして、それ以外の要素について考慮の中に入れる入れないという段階ではないと、まずはいかに健康被害を防ぐかということについて総力を挙げてまいります。当然のことながら、そのことによって生じたことについて将来的に国としてしかるべき対応をとる、これもまた当然のことだということであります。

記者:テレビ朝日のコバヤシですが、先ほどオオツカ副大臣によると、ホウレンソウということは知っておられたのですが、牛乳は初めてだと思います。3、4品目あるという言い方をしていたのですが、ホウレンソウと牛乳だけ?

官房長官:現時点で具体的に基準値を超えたということで、ご報告を受けておりますのは牛乳とホウレンソウであります。その他の品目についても検査、モニタリングはしていただいてますし、そうした情報は厚生省に入っているものと思いますが、基準値を超えたものとして、ロットの廃棄等の厚生労働省から自治体に指示する、指示したもの等はその二つだと報告であります。ただしもちろん他の品目もしっかりとモニタリングを行わなければならない、いうことであるのはそれは一緒だと思っています。

記者:長官、すみません牛乳とホウレンソウなんですけれども、福島原発からどのくらい離れた地点?

官房長官:具体的な詳細については厚生労働省からきちっとした報告をさせていただきたいと思っておりますが、ホウレンソウについては茨城県であります。それから牛乳についてはこれは30キロ強離れている地点だというふうに聞いております。

記者:茨城も広いので大体のキロ数。

官房長官:これは詳細は正確でないと、またあの変な間違えた数字を申し上げてはいけないと思いますので、厚生労働省には引き続いてできるだけ早く具体的なデータについてご説明をする場を設けるようにという指示をしておりますので、そちらで正確な数字と場所について公表できるというふうに思っております。

記者:農協新聞のフジイと申します。いま対応策と補償の問題の話もあったのですが、農家の方はですねもう●●よってはこれからどんどん種まき、田植え等ですねされなくてはいけなくて、早急に対応を示さないと農業系自体が成り立たないということになると思うのですがそのへんもう一度改めてどのように対応されるかということをはっきり。

官房長官:今日の会見の最初で申し上げましたように、原子力発電所の状況は一歩一歩事態の収拾に向けて動き始めていると思っておりますが、今なお予断を許さない状況でございます。まずこの原子力発電所の事故をどうやって収拾に向かわせるのか、そのことがあらゆることの前提になっております。どの程度の期間、どの程度の量の放射性物質が外に出るのかそのことによって全てが変わってまいりますので、このことがまず大前提でございます。これについて現時点では悪化は今のところで防げているというふうに見ておりますが、まさに予断を許さずにしっかりと収束の方向に向かわせる今大きな一つのポイントを迎えているというふうに思っております。さらにこの結果、影響としてどの程度例えば農産品等に影響が及んでいるのか、ということも或いは今後及んでいく可能性があるのかということも、これまた無責任な立場からいろいろな評価できますが、しっかりとモニタリングに基づいて責任ある判断をしていかなければならないというふうに思っておりますので、農家の関係者の皆さんの方には大変ご迷惑をおかけをいたしますが、現時点でどうなりそうだとかどういう時期にどういう見通しが出せるということを軽々に申し上げるべきでない、申し上げないことの方がむしろ誠実な対応ではないかとわたくしは思っております。

記者:日本テレビのアクイです。原発への対応の方なんですけれども、放水について計画的に何かできるようになったということですが、具体的にどのようなものなのかということが一つと、電源の回復についてなんですけれども、着々と進めているということですが、目途というのを教えていただけますでしょうか。

官房長官:まずプールへの注水の作業でありますが、計画的にできるようになったというところまで申し上げなかったと思います。そうした段階を迎えつつあるということであります。実際にいろいろな、この間も消防庁、警察、自衛隊、それから米軍の車も使わせていただきました。様々な機器を使って注水を努力してきたわけでありますが、これについてより安定的に注水ができる、そうしたことの機材等についても今手配の作業進めております。こうしたものがうまくいけば、かなり安定的に注水ができるようになる。そうしたことの可能性、見通しが立ってきたという状況でして、できるだけ早い段階にこの安定的に計画的に注水ができるという状態を作りたい。そしてそこに向けた具体的な作業が進んでいる。今はこういう状況でございます。それから外部電力をしっかりとひいてくるということについては、かなりのところまで電力はきているという報告を受けておりますが、まさに個々のなんて言いますか機材にどうつないでそれが実際に直ちに動くのかどうかというのを、かなり慎重に一個一個の物についてやっていかなければならないという状況であります。しかもこれ報道等もなされておりますが、全体としては放射性濃度の高い地域の中で、なおかつ現に電力がほとんど使用できない暗いところの中で、これは東京電力の現場の作業員のみなさんが努力していただいている状況ですので、軽々にいつごろまでに、ということを申し上げるべきでない。ただ相当な努力の中で、これは間違いなく一歩ずつ電力の復旧には向かっている、ということには留めておきたいと思っております。

記者:●●です。電源が回復した場合すぐにそれがプールの温度の冷却につながるというふうにみてらっしゃいますか。

官房長官:いえ、これはまさにですね、電力が復旧すること、その上で様々な、これはただ一つの系統だけではなくて、様々な手法で冷却を安定化させる手法があるとは聞いております。しかし、そのどれが電力の供給で使えるのか、使えないのか、それは一個一個丁寧に安全も確保しながら進めていくということでありますので、電力がつながるということは大きな前進でありますが、そのことで直ちに全体状況が改善するとは思っていません。大きな一歩でありますが、しかし一歩ずつ改善をしていくということ中の一歩だと思っております。

記者:ニコニコ動画のナナオです。ホウレンソウと牛乳に関連してなんですけど、風評被害の防止の観点において、IAEA以外の国際調査機関などから仮にモニタリングの調査の申し出があれば早期に受け入れるお考えがあるかどうかお聞かせいただければ思います。

官房長官:この間様々なデータはそもそもデータそのものが十分ではないというご批判はわたくしはある意味当然だというふうに思っておりますが、国民の皆さんにも国際機関にも隠すことなく公表するという姿勢で政府はやってまいりました。さらにIAEAは直接モニタリングを行うということの作業の手順に入られたと、いうふうに聞いております。これはどういったところがどういうふうにできるのかというのをしっかりと把握をしながら、関係部局と特に国際機関とご相談をしなければならないじゃないかと思いますが、基本的にはいろいろな方にいろいろとモニタリングをしていただいて、それは国際社会の見方としてもあるいはわたくしども国民の立場からもさまざまなたくさんのデータがあることは望ましいことだというふうに思ってます。

記者:読売新聞のクリバヤシです。文科省の担当の方でですね、モニタリング調査を行っていると思うのですけども、そのときは北西30キロぐらいの一か所のみで高い数値が出ていたかと思うのですが、それと今回の牛乳の整合性ともよるんですけど、●●で、さらにホウレンソウについては検査していた範囲外で高い数値が出たということになるかと思うんですが,文科省のモニタリングのやり方、幅を広げるとか詳細に試験を増やすとかそういうのは必要であるとお考えでしょうか。

官房長官:文科省が取りまとめをしている、いわゆる大気の放射性量の調査とそれからこうした農作物等については厚生労働省が集約するといたしましたが、両者は適切に連携、連動させなければいけない、という問題意識は持っております。そしてこれは繰り返しに何度か申し上げてきているかと思っておりますが、放出された放射性物質は気候、特に風向きや降雨降雪の有無、それから地形によってですね、どういった地域に影響を及ぼすかといったことが大きく変わってまいります。したがいましてそうしたことも踏まえながらより広範な地域でしっかりとモニタリングを両者両面において行っていくし、その両者両面においてしっかりと連携、連動させていく、分析にあたってもそれが必要だろういうふうに聞いております。現時点では牛乳のサンプルについて基準値超えたものが出たところと、それから大気についてですね放射線量の測定で高い数値が出ている地域については、関連性がありそう、相関関係がありそうだというふうに聞いておりますので、特にそうした地域のモニタリングについてはさらに充実させるべく努力をしなければならないと思っています。

記者:ブルーバーズのクロカワと申します。ウォールストリートジャーナルの方にですね、今回の原発の事故は東電が、政府から指示されるまで海水の注入をしなかったからこんなにひどくなったんだと、東電が●●から、海水の注入を決断してれば問題はそれほど広がらなかったという記事がのっているんですけれども、こういった見方について長官としてはどう思ってらっしゃるのか。

官房長官:ここまでのプロセスについてはもちろん全力を挙げてやってきたというつもりでおりますが、様々な立場から様々なご意見、ご批判があることは、わたくしはある意味当然だろうというふうに思っておりますが、まだこれまでの事象の検証をわたくしども自身がする状況ではない、まさに今の事態のこれ以上の悪化を防ぐ、現時点の現象に対して最善を尽くすということこそが、いま私たちに課せられてる役割だというふうに思っておりますので、これまでの間の様々な事象について、様々なご意見等があることはこれは率直に受け止め、その中で現時点の事象に対応する、あるいはこれからの事象に対応するための参考になるべきものは、当然しっかりと参考にして参らなければならないと思っておりますが、今の時点では、まずは現時点の状況に全力で総力で対応していくという状況だと思っています。

記者:産経新聞のナカネと言いますけれども、福島第一原発4号機の使用済み燃料貯蔵庫についてお聞きしますけれども、日本側はプールに水は残っているということで現在作業が進んでいるわけですが、アメリカ側はプールが破損してですね、水を貯めることは困難だというふうにでているわけですが、長官ご自身の見解としてはどういうふうにみてらっしゃるんでしょうか。

官房長官:わたくしは専門家ではございませんので、わたくし自身の見解はここでは意味がないことだというふうに思っています。その上で我が国の専門家のみなさんが分析をした認識と、それからアメリカの専門家のみなさんが分析している認識と、につきましては、これ日々ディスカッションをしてすり合わせをしてきているところでございます。今、仰られた米側の認識というのは、ある一定時間前の認識としてそうしたご認識があったということは聞いておりますが、時々刻々様々な状況についての情報が入ってきている中で、4号炉ですか、について一定の水が入っていて、それによって冷却に一定の効果がなされているということについてはよりその可能性が高いというような報告をこの間受けております。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。一部報道でですね、菅総理が自民党の谷垣総裁に連立を打診して谷垣氏については副総理兼復興担当相での入閣を求めた、との報道がありますが事実関係をお願いします。

官房長官:わたくしはそういう報告は総理から聞いてはおりません。

記者:朝日新聞のサトウです。先ほど言った原発のですね、安定的にこれからですね注水できそうな機材というのは、今この時点で公表できるようなものはあるんでしょうか。

官房長官:いろんな可能性、あらゆる可能性を使って、あらゆるもの、可能性のあるものについて手配、準備を同時並行で進めています。まさにこうした状況ですから、一つに決め打ちをして上手くいかないということは許されない状況であります。したがいまして、様々なプロセスの中で、こういったやり方でということがある意味確定的になったり、という段階でご説明すべきであって、そうでないといろんなものを同時並行的に可能性を模索している或いは準備をしているという状況であります。

記者:長官もう1点、福島からですね避難者の中で、県外に来ている人が宿泊を拒否されるようなホテルがちらほらと出てきているようなんですけれども、それについて政府として認識されているかどうかと。

官房長官:まさにそうした事象が一部聞こえてきているのは間違いはございません。ただ是非これは多くのみなさんにご認識をいただきたいというふうに思いますが、わたくしたちは、こうした事象、原子力発電所の事故等がなくても、これは何度も申し上げておりますとおり,自然界の中にあっても放射線を一定程度受けております。あるいはCTスキャンを受けたり,X線写真を受けたり、こうしたときにそうしたものとはケタがちょっと大きな放射線量を受けております。あるいは、それぞれの人間の体内にも日常的に普段の状況でも放射性物質があるというか、放射線を出しているというか、こうしたことも専門家のみなさんから説明をいただいております。したがいまして、今回の事象によって全然放射性物質のないところに何か放射性物質が出ているということでは全くない。そのことをまず大前提として知っていただきたいと思いますし、また、そうした中で、原子力発電所の周辺でまさに作業していただいている自衛隊のみなさん、消防のみなさん、こうしたみなさんはある程度の高いレベルのところで作業していただいております。でもこうしたみなさんについてはしっかりと個別に数値等を把握をし、なおかつ防護服等で防護をいただき、そうした作業に携わった者についてはいわゆる除染といわれる作業、放射性物質を洗い流す等の作業をしっかりとしていただいております。そうした中にありますので、周辺地域にお住いのみなさんについて、受け入れられることについては基本的には全くリスクのない、と思っていただいていい状況でありますので、ぜひそうした風評に惑わされることなく、大変お困りになった状況の中でご苦労されているみなさんについての受け入れについては、ぜひ安心してお受入れをお願いをしたいというふうに思っています。

記者:3月16日にササモリ特別顧問が記者団にたいして、菅総理が東日本はつぶれるかもしれないと言っていた件についてお伺いしたいのですけど、直後の会見では承っていないというふうに長官がおっしゃっていたのですが、事実関係と東日本がつぶれるというのは具体的には何を意味するのか是非国民としては知りたいと。

官房長官:そうしたことをおっしゃったわけではないと、いうようにわたくしは理解をいたしております。まさに今、現時点でもですね、いまおっしゃられたような風評等によってですね、福島の皆さん大変ご苦労をされている方も一部いらっしゃるという状況の中にあります。原子力発電所のこの事態がさらに悪化するということになればですね、今大変苦労をしてそして大変ご不便をおかけするなかで、燃料であるとか、食料品であるとか、医薬品であるとか、というのを津波の被災地に対して届けるという状況は何もなくても大変困難な状況のなかやっておりますし、原子力発電所の事態への対応のなかでいわば両面作戦を取らなければならないということのなかで、両方に万全を期すべく最大限の努力をしておりますが、今そうした状況の中にあると、さらに悪化をするということになれば、それに対する対応にさらにエネルギーを注いでいかなければならないということ、これ一種当然のことでございます。したがいまして東日本の大変広範な皆さんにさらに大変なご不便をおかけするということになる、このことは間違いないことであって、そうした事態を避けるためにも何とかこの事態の悪化をこれ以上防ぐということに全力を挙げて、そして少しでもこれを安定的に改善の方向に向かうという状況をつくっていくことが、当該原子力発電所周辺にとどまらず、今回の地震、津波、被害を受けている東日本の広範な地域にとって必要なこと、重要なことであると、いうふうに認識しております。わたくしはそうした認識のご発言だったというふうに直接ではございませんが承っております。

記者:それは風評ではなくて、ちゃんと特別顧問という肩書がある方が、カメラの前で実際に総理が言ったこととして仰ったんですから,中身を説明するか訂正するかどっちかしないとそれこそ政府が風評被害をまき散らしているという批判がくるかと思うんですがいかがでしょうか。

官房長官:総理は今のような思い、趣旨でおっしゃられたのだということだとわたくしは聞いておりますので、そのお受け止めが違ったお受け止めがあるとすれば、今わたくしが申し上げたような意味で、東日本確かに現状でも東日本大変なことになっているわけであって、これ以上悪化させたらそれこそ大変なことになる。そうした思い、趣旨でご発言をされたとそう受け止めていただいて結構です。

記者:そしたらササモリさんが訂正すべきですよね、国民はその言葉で非常に緊張感を持ったことは事実ですから。

官房長官:わたくし自身ササモリ参与のご発言の前後の全体状況、或いはササモリ参与がどういう趣旨でおっしゃられたか、ということについては、直接は把握をしておりませんが、総理がそうおっしゃられたことについてそういったかたちでお伝えになったのだと、若干そのことで必要以上のご心配をおかけをした側面があるかもしれませんが、政府或いは総理としてはわたくしが申し上げた趣旨で、このことは一貫して緊張感を持って、尚且つだからこそ全力を挙げて原発の事象について総力を挙げてやっている、全力を挙げてやっているこういうことの認識でありますし、総理もこうした趣旨を繰り返しいろんな場でおっしゃっていて、ササモリ参与にもそうした趣旨のことをおっしゃられたというふうに聞いております。

記者:関連でもう一つなんですけど、蓮舫大臣とか枝野さんもそうなんですけど、東日本とか関東の人間が水を買占めたりする行為は良くないと、できるだけ控えてほしいと発信をされているんだけど、少なくとも総理ないし総理の特別顧問が東日本がつぶれるかもしれないと言っておいて、それで水を買うなというのはね、それは国民としては納得いかないと思うのですけど、どうやって説明するのですか。

官房長官:この間、政府としての特に原子力発電所に対する見解、認識については総理が国民の皆さんへのメッセージを発信をされる。そしてわたくしが官房長官という立場で国民の皆さんに知り得る範囲のできるだけ正確にご説明をさせてきていただいております。そして必ずしも十分ではないかもしれませんが、それぞれの直接のデータを把握をしているところから、適切にそして必要なものは全部隠すことなく公表するようにということで、政府として国民の皆さんにお伝えをすべきことはしっかりとお伝えをさせてきていただいているつもりであります。そしてそうしたことの中では、もちろん今後の状況はしっかりと緊張感を持って周知をしなければいけないという状況ではありますが、例えば東京の皆さんが何か買いだめをしなければならないような状況ではないということは、繰り返し丁寧にご説明をさせてきていただいているつもりでございます。そうした状況でございますので政府としての公式の発表、わたくしを軸にですね、関係省庁がしっかりと今後も行ってまいりますので、それに基づいて対応していただきたいというふうに思っておりますし、そうしたことの中で多々ご心配はあろうかというふうに思いますが、必要以上のストックをお買いになるということの結果として、東北の被災地で困っておられる皆さんの支援に大きな影響を及ぼすことになりますので、是非多くの国民の皆さんのご理解をお願いしたいと思っております。

記者:枝野さんは買い置きしてますか?

官房長官:わたくし自身自宅に帰っておりません。

司会:すいません他の業務ございますので、進行ご協力ください。

記者:毎日新聞カゲヤマです。今のその総理の発信ということで関連の質問なんですけど、今日総理民主党代表経験者と会談されてました。まあ鳩山さんはともかくとして小沢さんと前原さんに関しては野党時代の党首であって、国家のマネジメントを担当した人物ではありません。野党党首経験者と会談するよりむしろ自民党の総理経験者や阪神大震災時の総理だった村山富市さんとかと会談するならまだ意味があると思うのですが、単なるセレモニー、パフォーマンスと取られるという側面もあると思うのですが、いかがかご覧になりますか。

官房長官:まさに様々な経験、知見をお持ちの方のご意見、ご助言というのはこの間もなかなか時間取れませんので直接ではない場面も含めてですね、わたくしのとこにも多々いただいておりますし、総理のとこにも当然いっているというふうに思っております。そうしたことの重要性と、というかもう一つここは政治がですね与野党で或いは党内でまさに国会を挙げて或いは政治を挙げてですね、この事態に取り組まなければならないということの中で、野党の皆さんともそれからもちろん党内のしかるべき経験を積んでこられた方ともしっかりと直接コミュニケーションを取って、そして意思一致をしながら前に進んでいくということは重要であるというふうにわたくしは思っております。そうしたまさに一致してこの事態に当たるのだということを確認をしながら、尚且つそうした皆さんの知見についてもお聞かせいただくということの重要性と、過去に行政経験、トップリーダーの経験があられる、そうした皆さんの経験をいうことはどちらも重要なことではないかというふうに思っております。

記者:すみません、今後その総理経験者と会談する予定というのは入っているのでしょうか。

官房長官:現時点で具体的なものがあるわけではありません。しかしながら全てのものが同時並行でできるわけではありません。まさに原子力発電所の状況は時々刻々変化しているわけでありますし、それから被災者支援についても時々刻々状況は悪くなる。それを食い止めるために日々時々刻々対応しなければならない状況の中にある。そうした中でできるとこから様々な皆さんとお会いをするというようなことを、総理が、まさに今総理自身がリーダーシップをとって直接やらなければならない大きな二つの課題の指揮に支障を及ぼさない範囲でできることからやっている、こういうことだとご理解ください。

司会:手短にお願いします。

記者:共同通信のムカイといいます。今野党と与党との連携についてお話しあったと思うのですが、先ほど質問にあった谷垣総裁への入閣の打診について、総理から聞かれていないということでしたけれども、震災に国を挙げて取り組むという観点からですね、経験の幅を広げるという意味で例えば自民党でなくても他の野党との連立について必要性の観点からお考えをお願いします。

官房長官:わたくしはまさにそうした人事とかそういったことに絡むことについては、まさに総理の専権事項でありますし、総理のご判断にゆだねている立場で、わたくし自身は総理の下で具体的に各省庁のみなさん、それから政務三役、そして事務方含めてですね、そうしたみなさんの仕事を全体調整してしっかりと現場の事態に対応すると、いうことについて官房長官として総理の下でお支えしている立場ですので、そこにいま全力100%力を注いでおります。今のようなことは当然総理が内閣総理大臣としてご検討されるべきことだと思いますが、それについては総理にお任せをしているというか、そこについてわたくし自身は直接関与をせずに全面的に現場対応の官房長官としての役割にいま徹しているところでございます。

記者:テレビ朝日のコバヤシです。食品のその、ホウレンソウと牛乳の関連になるんですけど、水の方の汚染状況とか、そういった調査状況とかデータで特異なものがあるのであれば教えていただきたい。

官房長官:これについては厚生労働省の方で完結する法体系になっているという報告を聞いております。厚生労働省で必要なモニターをされて必要な対応が必要であれば、対応されるというふうに思っているが、そうしたことがあった場合には報告はしてほしいということは厚生労働省の方に言ってあります。

司会:すみません最後でお願いします。

記者:TBSのオガワです。避難所についてなんですが、上下水道とか暖房が不十分な中で、ノロウィルスとか感染症が拡大する可能性が考えられ、専門家も指摘してますが、それに関して政府の認識と、もしそういうことが起きたときに例えばヘリでの隔離などとかそういう方法など考えているのか。

官房長官:まさに今の避難所の皆さんにおかけをしているご苦労の状況等を考えたときにはですね、様々なご病気等についての可能性については当然考慮の中に入っております。そうしたことも考慮をしながら一昨日ですか、立ち上げました被災者生活支援のですね、、特別本部の方で具体的に可能な最善の対応策を取るべく作業を進めていただいている状況です。

司会:よろしいですか。

官房長官:はいありがとうございました。