原子力安全・保安院の記者会見テキスト(2011年3月29日00時22分から27分間)

司会:ただいまより会見の方始めさせて頂きます。

西山審議官:どうも遅くなりましてすみません。よろしくお願いします。お手元にお配りしていますように、東京電力から福島第一原発の敷地内の土壌からプルトニウムが検出されたという報告がありましたので、それについての私どもの考え方を申し上げたいと思います。まず東京電力の報告によりますと、土壌の5つの検体からそれぞれにプルトニウムが確認されております。この検出されたプルトニウムの濃度は環境中に存在するフォールアウトという大気圏内の核実験による放射性降下物、フォールアウトという大気圏内の核実験による放射性降下物の影響と思われるレベルと同じ程度であります。ただし、この観察されたプルトニウムにつきまして、検出されたプルトニウムにつきまして、濃度の比率が、フォールアウトと違う面がありまして、そういう意味で今回の福島第一原発の事故の影響も想定されるところでございます。そのため、今後とも継続的に注視していくことが重要と考えております。具体的には東京電力の発表文にあると思いますけど、プルトニウムの238が、プルトニウム239及び240に対する割合、238の239.240に対する割合が過去の大気圏内の核実験の影響として示される値よりも多いということで、238が多いということをもって、これは大気圏内核実験による影響と違うものが含まれているということでございます。ただ、今回の検出された値によりましては、環境中に存在するプルトニウムの濃度と同等でありますので、この土壌を採取した時の、近くで働いておられる従業者の方、作業者の方への健康に影響を与えるものではないというふうに考えております。ただこの点については原子力安全委員会の見解も求めたいと考えております。それから、今のは近くで作業しておられる方への影響ですけど、それに加えて周辺の環境への健康上の影響はどうかということですが、今回検出されたのは周辺の環境ではなくて、放出源の、放出源があるとすれば、その近くであるサイトであります。それから、このプルトニウムのレベルは比率は若干違うと申し上げましたけれども、元々ある大気圏内の核実験によるフォールアウトレベルと同じであるということからして、健康への影響は考えられないと思っています。今後のモニタリングの計画ですけれども、現状では今申し上げたようにフォールアウトレベルと同じ程度でありますけど、今後とも注視していくことが必要だと思っておりまして、モニタリングを継続していくことが重要だと考えております。東京電力では、保安院とも話をしながら3月21日からこのサイト内で採取した土壌の試料とか、それからダストにつきましても継続的に調査を実施することとしています。それから文部科学省では、20キロメートル圏の外において、20キロメートル圏の外において、土壌とかダストなどの試料についてプルトニウムなどの核種についても環境への放出の有無に関する分析を進めていると聞いております。こういったことによりまして、今後ともモニタリングをしっかりやって参りたいと思っております。私からの最初のコメントは以上でございます。

司会:それでは質問の方、挙手のほどお願いします。では真ん中一番後ろの男性の方どうぞ。

記者:朝日新聞のコボリです。一応念のため確認なんですが、この5個のサンプルがあって、プルトニウム238が高いのでおそらくここから出たものではないかということなんですが、どの号機から出たかということについては、わかっていないんでしょうか。

西山審議官:それはわかりません。

記者:だから一応念のためですけど、これも、プルサーマルを3号機でやってますけれども、そうでなくてもプルトニウムは出来るので、どこかわからないと。

西山審議官:そうですね。前から申し上げています通り、ウラン燃料からも核分裂をしていきますと、プルトニウムが生成して参ります。そういう意味でウラン燃料を燃やしたものについても、プルサーマルの燃料とある程度近いような組成になることがあります。それから3号機にプルサーマルがあるわけですけど、プルサーマルをやっているわけですが、2010年の10月から始めてますけれども、この中の燃料体は548本ありますが、そのうちの、MOX燃料は32本であります。ですから大半は通常のウラン燃料から入っていることからしても、この今回のプルトニウムの源がですね、プルサーマルかどうかというのはそういう意味でも何とも言えないということであります。

記者:ありがとうございました。

司会:それでは次ご質問の方。前列3番目の男性の方。

記者:読売新聞社のタカダです。確認ですけれども、238が見つかったのは1番と5番、この二つ、二か所。

西山審議官:はい、そうです。

記者:ですね。他からは見つかってない。

西山審議官:わからない。

記者:わかんないっていうことですね。

西山審議官:検出限界以下ということでした。

記者:1と5っていうと、この図でいうところの、左側二点なんですね。

西山審議官:はい、おっしゃるとおりです。

記者:起点となっているこの1ユースタックっていうのは何ですか。

西山審議官:1号機の排気口、排気筒っていうのかな。排気筒だそうです。

記者:1号機の排気筒。

西山審議官:はい。

記者:そこから北へ500メートルの地点と西北西500メートルの地点ですね。

西山審議官:はい。

記者:あと追加調査のポイントは、これなんか選定の理由みたいなのはあるんでしょうか。ここでやる理由っていうのかしら。

西山審議官:まずは今回検出されたところをフォローするということがありますね。すみません。失礼しました。ちょっと整理しますと、グラウンド付近のところはすでに一回記録されたところを一か所と。それからあとはこれまでの、これからの作業の邪魔にならないところで一定の方角をおさえたところをやるということです。

記者:復旧作業の邪魔にならないという意味合いですか。

西山審議官:そうです。

記者:それと、聞き洩らしてたらあれなんですけど、文科省が20キロ外でやられるということで。

西山審議官:はい、そうです。

記者:その前段でおっしゃったのが、20キロ内をなされているっていう意味合いでおっしゃってるんですか。

西山審議官:そうですね。

放射線班:サイト内で継続をいたします。あと20キロ圏外においては文科省の方が調査をするということになっております。

記者:つまり避難してしまった地域ではやんないってことですか。

放射線班:結果としてそうなりますね。

記者:つまり作業員のいるサイト内と。

放射線班:あとは20キロ圏外。

記者:圏外ということですか。

放射線班:はい。

記者:了解しました。ありがとうございます。

司会:ではそちらの女性の方。

記者:毎日新聞のアダチです。21、22に採取してこれは結局分析したのはいつから取り掛かったんでしょうか。それでプルトニウムについてはやる必要が、何というかあまりないとかあるとか話があったと思うんですが、そこら辺の時系列というか、経緯について分析に至った経緯について教えてください。

西山審議官:はい。まず一番最初はやはり放出量が大きくて、それから拡散しやすいヨウ素131とかセシウム137というものからモニタリングを開始いたしました。それからプルトニウムについては、そうはいってもやはり皆様のご心配もあった、あるということよくわかりますので、3月21日から実施をいたしました。これはなかなか条件を整えて測りませんとプルトニウムは元々重くて、かつ融点という個体から溶けていく状況になるのに、温度も高いということもあって、なかなか測ることが、簡単には出て来ないものなので、測るときに、しかも他の環境をよく整えて測らないと、しっかり測れないという性格があるんですね。そういう意味で3月21日に採取してから、分析にですね、若干時間がかかりまして、これ原子力研究開発機構にやって頂いているわけです。東海村にある原子力研究開発機構でやって頂いたわけですけれども。ちょっと細かいことでいいますと、運搬するのに一日かかり、乾燥し測定するのに一日。ガンマ線かな、これ。ガンマ線の測定をするのに一日。アルファ線か、アルファ線です。失礼しました。乾燥させてアルファ線の測定するのに一日。プルトニウムの前処理をするのに二日。ちょっと説明してもらえますか。

保安院:すみません。今アルファ線と申し上げましたのは、まずガンマ線を測定して、その後プルトニウムの前処理をさらに行いまして、次にプルアルファ測定を行い、その後ちょっと相当精度のいる測定でございますので、データの整理をきちっとしてから報告があったというところでございます。

司会:では次ご質問の方。一番前男性の方どうぞ。

記者:共同通信の●●と申します。先ほどのモニタリングの確認なんですけれども、文科省が20キロ圏外でというのと、あとサイト内で継続というの、これ今回のプルトニウムの検出を受けてということなんですか。

西山審議官:今回はたまたま検出されましたけど、いずれにしてもプルトニウムのことは調べないといけないと思いましたので、そういう意味で今回にあったかどうかに限らずやろうと思っていたことで、文科省についても同じだと理解しています。

記者:いつ頃からとかっていうのは決まってるんでしょうか。

西山審議官:やる、始めるのがということですか。

記者:はい。

西山審議官:もうすでに測定は始めておりますので、今申し上げたような一定のプロセスの時間がかかりますので、それが終わり次第公表することになると思います。

記者:もしわかれば、いつからやっていたのかということと、その箇所数とかですね、わかれば教えてください。

西山審議官:今わかりませんので後ほど確認いたします。

司会:壁際女性の方どうぞ。

記者:日経新聞ヨシノと申します。すみません。基礎的なことですけれども、人体に影響の出るレベルっていうのはどのくらいっていうふうに言われているんでしょうか。それとあと、質量数の違いと毒性の強さとかっていうのは関係ないって言っちゃって間違いないんでしょうか。何かあるんでしょうか。

放射線班:すみません。そのどのくらいのレベルでですね、被害があるのかっていうのはですね、今ちょっと直ちに言えませんので、確認をいたします。ただ重量比とですね、この毒性というのは、あまり関連がないというふうに考えております。それでですね、一応原子力安全委員会の指標というのがありまして、接触物のその接種制限としてプルトニウムについてはですね、飲料水については牛乳、乳製品の場合、1ベクレルパーキログラムですね。野菜、肉、魚については10ベクレルパーキログラムというような指標になっております。

記者:ありがとうございます。

司会:そのほかご質問の方。壁際男性の方どうぞ。

記者:読売新聞のコヒナタです。今回原発由来のプルトニウムが検出されたことについて、保安院としてどういう見解をお持ちなのか。健康被害があまりないということなんですけど、それ以外に予想された通りとか、あるいは出たことで驚いているとか、なんかありますでしょうか。

西山審議官:あれですね、やはりその燃料の損傷の度合いなどによって、どの程度になるかということがありますでしょうけれど、そういう意味では、ある程度のやはり損傷があったんだなということですかね。そういうふうには言えると思いますね。

記者:もう一つ。先ほどプルトニウムは重いっていうことなんですけど、あまりじゃあ、これ予想になっちゃうんですけど、遠くには飛散しないだろうっていう、要するに遠くではあんまり検出されないだろうということで、よろしいんでしょうかね。

保安院:定性的にはそういうことだと思いますけれども、原爆などのフォールアウトでこちらの方まで来ているということもありますので、全く飛ばないというわけではないと思っております。ですから、モニタリング等で結果を見てみないと正確なことは言えないと思ってございますが、定性的にはそういうことだと思ってます。

司会:それではそろそろ残り3名。

記者:中日新聞のウメダです。ごめんなさい。素人の質問で申し訳ないんですけど、フォールアウトと同様のレベルというのは、これは健康に影響がないと言っていいレベルなのか、いまいち同様だから安全だというふうなおっしゃり方ですけど、これについてちょっとご説明頂けますか。

西山審議官:もちろんその大気圏内の核実験なんかない方がいいに決まってるし、全く影響がないかどうかわかりませんけれども、ただ我々そういうどうしても環境で過ごさざるを得ない立場にあるわけですね。ただそれによっては有意な影響はないというのは我々実感しているところですね。日々暮らしてても何か大気圏の核実験があったことによって我々が健康上の被害が受けているというふうには誰もあんまり感じてませんですね。ない方がいいというのはわかるんですけれども、実際に核実験があるので、誰かが病気になっているというふうにみんな感じてないと思うんですね。それと同じよう、同じくらいのレベルしか今回は検出されていないということです。

記者:おそらくそれにはだいぶ核実験の話だと距離的なものが関係すると思うんですけれども、つまり、例えば近くで核実験があったとして、そこにフォールアウトっていう現象はですね、すみません。距離感がちょっとわからないんですけれども。

西山審議官:今現状我々が住んでいるこの状態のことを言ってるんですけど。

記者:わかりました。あとですね、ごめんなさい。サンプリングでは所謂体に影響はあまりないだろうということですけれども、測る場所によってはもしかしたら非常に高濃度の部分っていうのも出てくる可能性もあるんでしょうか。

保安院:完全に否定は出来ないと思いますけれども、今現状でですね、20キロ圏内は避難しているというようなことを考えると問題ないだろうなとは考えてございます。ただおっしゃいましたように、風とか地形とかっていうことがございまして、濃くなるところはあり得るというところだとは思いますけれども、比較的近くに落ちるだろうと、先ほどの想定からいくとそんなに、これ近いところでやっていますので、極端にこれ以上高いところは今の状態で出てくるかどうかっていうのはあまりないんじゃないかなと。全くないとは言えませんけれども、そんな感じで受け止めてございます。

司会:では次。前列に番目の男性の方どうぞ。

記者:すみません。プルトニウム出たことについての受け止めっていうのはあったんですけど、これだけプールの水とか色々相次いでいる中での保安院のその危機感っていうのは今どういう受け止めをしているのかっていうのは、いまいち見えてこないんですが。要するに範囲の中だから安全というふうに済ませているのか。それともやっぱり注意してみなきゃいけないっていうのは当然なんですけど、いまいちその危機感の部分がわからないので、その辺の認識をちょっと教えて頂けますか。

西山審議官:まず我々がこのモニタリングなどの数値を発表するときに、それはやっぱり聞かれた方が、これは自分たちの身にどういう影響が及ぶかっていうことを心配されるでしょうから、そういう意味で安全かどうかということは申し上げなきゃいけないと思って、言ってるわけですね。しかし安全だと言ったからそれは楽観視しているということでは決してありませんで、当然のことながら、この事故が起こらなければ、起こらない方がよかったし、しかし起こってしまったからにはそれを最小限の被害で食い止めるようにやらなきゃいけないということは我々の非常に重い使命であるわけですでの、そういう意味で今色んな組織と、あるいは、そうですね、色んな組織とも関係、協力し、かつ統合本部でまとまる形でこれがベストと思われる、非常に厳しい中ですけれども、これがベストと思われる手を打ってるということであります。

記者:プルトニウムが出たっていうことは、相当深刻なんですか。ちょっと素人みたいでわかってなくてすみません。

西山審議官:それは一定の燃料についてですね、一定の損傷があるということを示しているでしょうし、それが外界に出てくるようになってしまったということは、本来あるべき閉じ込め機能、五重の壁といって、かなり相当強い壁だと思っていたものが破れてしまっているということを示すわけなので、そういう意味では、非常に、なんて言うか、憂うべき事態だと思います。

司会:では次、前列女性の方。

記者:すみません。NHKのスガヤと申しますが、サイト内の土壌の件を調べるということと、20キロの圏外でも調べるということは、お話があったんですけれども、例えばそのほか海水ですとか、あるいは今建屋内でタービンなんかで確認されているその水溜りですとか、あるいは各自治体でやってらっしゃる水道水とか、農産物に関しても同じくプルトニウムに関して調べるというのはあるんでしょうか。

西山審議官:やはりまず前提条件としてですね、水でたとえ調べてみてもなかなかその検知しにくいっていう実態はあるんですね。ですから、水やってみてもあまり成果あがらないという可能性は高いというふうに思います。ですから今まずは割と検知しやすい土壌とか塵とかそういうもので、まずやっていくということを考えています。ただ今後の事態によってはそういうことは一切考えないということでもありませんので、よく科学的に意味のある状況があるのであれば、考えたいと思いますが。

司会:それではこれで会見の方終了させて頂き。

記者:すみません。私4番目の。

司会:ごめんなさい。

記者:5か所中2か所で今回の事故が由来ということなんですけれども、そこでその、共同通信のタキオカです。238の比率が高いということがどういう繋がりがあるのかということと、あと239、240がこれ一緒になっているのは、これ足し算、足し合わせた量で、239と240は区別が出来ないということなんでしょうか。

保安院:239と240の場合は測定方法で、アルファ線のエネルギーが確か近かったと思いまして、分別がしにくいということで、一緒にカウントしているということだったと記憶してございます。また、238の比率でございますけれども、核実験で、からフォールアウト出落ちてきたものに関しましては、大体同じような比率を持っております。幅はありますけど。それと、それからはちょっと、その幅からも外れているんじゃないかなということでございます。

司会:ではこれで会見の方終了させて頂きます。どうもありがとうございました。