このサイトについて

2011年3月11日に東日本大震災が発生し、それに伴う東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故と放射能汚染は、日本だけでなく世界の人々を震撼させました。本研究サイト「FUKUSHIMA STUDY」(※1)では、東京電力福島第一原子力発電所の事故の初期段階に注目し、日本政府や東京電力による記者会見とマスメディア報道との比較分析などを実施し、「政府とメディア」の観点から原発事故対応に関わる研究情報を発信していきます。とくに、当時、国民にとって重要な情報源であった日本政府や東京電力などの記者会見の内容をテキスト化して公開し、公共的な価値をもつ記録として広く利用していただくことを考えています。(※2)。

マスメディアとしては、日本だけでなく、海外のマスメディアを対象とし、インタビュー調査を含めて、ニュース生産過程の構造にも迫りたいと思います。また、初期段階で、マスメディアの情報とソーシャルメディアの情報がどう関係したのか、日本や海外で展開された情報流通の構造も明らかにできれば幸いです。

本研究を進めていくうえで重要な資料となるのが、日本政府と東京電力が福島第一原発事故に関連して連日開催した記者会見の内容です。その日本政府と東京電力の記者会見のデータを探すなかで、そうした重要な記者会見について記者会見の一問一答全体を記録したテキストデータが存在しないことがわかりました。具体的には、内閣官房長官の記者会見と原子力安全・保安院の記者会見、東京電力本店での記者会見です。

官房長官の記者会見は首相官邸のホームページに動画が掲載されており、冒頭の官房長官発言についてのテキストが載っていますが、その後につづく記者との質疑応答についてはテキストが掲載されていません。なお、質疑応答部分については、朝日新聞が2011年3月12日~5月30日の全文掲載をしています。ただし、一部ですが、テキストになっていない部分もあります。

原子力安全・保安院は、福島第一原発事故発生後の機構改革で廃止されました。2011年の事故当時の記者会見全体についてのテキストデータは存在しません。記者会見の動画については、一部はYouTubeなどにアップされていますが、会見全体を通しては存在しません。

東京電力本店については、2011年3月13日の清水正孝社長の記者会見と3月15日以降の記者会見はニコニコ動画で視聴できます。事故発生直後からの記者会見全体を記録したテキストは存在しません。

そこで本研究のデータとして必要な、事故発生後に開かれた官房長官の記者会見=後日掲載予定=、原子力安全・保安院の記者会見、東京電力本店の記者会見の一問一答全体を記録したテキストデータを作成することにしました。ほぼ完成した3つの記者会見のテキストデータを本サイトに掲載します。私たちの研究のためだけでなく、福島第一原発事故に関係する日本政府と東京電力の記者会見の記録を残すことは、公的な意義があると考えたからです。

記者会見のテキストデータはまだ完全ではありません。聞き取れない箇所や記録が欠損している箇所があります。文字起こしの間違い箇所もあると思われます。テキストデータの不完全な部分については今後も修正を加えていく予定です。記者会見に出席していた方から情報をお寄せいただけると助かります。(2016年3月22日)

※1:本研究サイト「FUKUSHIMA STUDY」は、日本だけでなく各国の報道を同じような手法で分析し、インタビューを含めた結果を掲載していく、国際的な研究サイトにしたいという意味を込めて、英語名にしました。

※2:本研究サイトは、科学研究費補助金基盤研究(C)「福島第一原発事故における日本政府記者会見と各国に新聞報道の分析」(2014年度~2016年度、研究代表者・瀬川至朗)のサポートにより運営しています。

 

研究担当者・研究協力者一覧

<研究担当者>
瀬川至朗   早稲田大学 政治経済学術院  教授
中村 理   早稲田大学 政治経済学術院 准教授
山田 耕   早稲田大学 政治経済学術院 准教授
桶田 敦   TBSテレビ解説委員

研究協力者
<記者会見テキスト作成>=所属は2016年3月1日現在
伊藤亜衣   早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース 修士課程在籍
大貫璃未   早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース 修士課程在籍
林美恩恵   早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース 修士課程在籍
川嶋幹鷹   早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース 修士課程在籍
安川 郁   早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース 修士課程在籍
佐賀 旭   早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース 修士課程在籍

<ウェブ製作>
角野雅美   ウェブデザイナー、イラストレーター