官房長官の記者会見テキスト(2011年3月30日9時48分から22分間)

【冒頭発言】

官房長官:本日は臨時閣議がございました。臨時閣議におきましては、一般案件1件と法律の公布・政令が決定をされました。

【質疑応答】

記者:朝日新聞のサトウです。今日の臨時閣議でですね、子ども手当法案の取り下げというのはあったんでしょうか。

官房長官:いえ、今日の臨時閣議ではございません。国対の方で、院の方で、野党とご相談を頂いておりまして、必要があれば、持ち回り閣議ということになろうかというふうに思います。

記者:この件についてですね、子ども手当法案というのは民主党政権の看板政策なわけですけれども、これを取り下げるような検討を国対がしていることについて、どのように、政府として認識されていますか。

官房長官:まずひとつには、実際に年度がまもなく替わります。現在の法律が切れます。そのことによってでですね、実際に子ども手当を現に給付を受けておられる皆さん、あるいは給付の事務を行って頂いている地方自治体の皆さんに、このままでは多大なご迷惑をおかけをするということのなかでですね、そうした皆さんにご迷惑をおかけすることなくですね、しっかりと新年度を迎えるということは大変重要なことであると。なおかつ、今の国会の状況のなかでですね、その先のことについては、しっかりとこれは様々なご意見を踏まえた議論を進めていかなきゃならないと。こういった状況を踏まえて、党の方で各党とご相談を頂いているというふうに認識しています。

記者:読売新聞のクリバヤシです。その関連なんですけれども、子ども手当を見直す場合にはですね、やり方によっては以前と比べて負担が増すっていう世帯になってくるかと。その辺の制度設計、手当っていうのは十分●●お考えでしょうか。

官房長官:まずは新年度を迎えるにあたっての混乱を最小限に収めること。そのうえでですね、今のような側面も含めですね、これは政府としては、今国会にお出しをしている案が望ましいものだという思いでお出しをしているわけでありますが、決定をされるのは国会でありますので、国会における様々な議論を踏まえて、最終的に結論が導かれるものというふうに思っています。

記者:朝日新聞のサトウです。今朝のですね、朝日新聞や読売新聞によりますと、菅内閣が原発のですね、放射能対策として布でですね、覆って飛散を防ぐとか、あるいはですね、汚染水をタンカーで回収するという案をですね、内閣が検討しているというふうに出ております。これについて事実関係を。

官房長官:原発の状況を収束に向かわせるため、あるいは原発による周辺地域への放射能汚染を最小限に食い止め、健康への被害を阻止するために、専門家の皆さんを含めてですね、様々な可能性、手法について検討を頂いております。そうした検討のなかに、報道されているようなことも含まれているのは間違いございませんが、最終的にどういう手法が可能でかつ効果的であるのかという結論が出ている段階ではございません。

記者:あともう1点ですね、昨日、原子力安全委員会の会見でですね、原子炉あるいはその燃料プールのですね、その冷却にはですね、年単位の時間がかかるだろうというような見通しがありました。これはですね、長官としては、その見通しについての妥当性というのはどのように考えているのでしょうか。

官房長官:まさに私どもは専門家の皆さんの知見に基づいて政策的、政治的な判断をしていくわけでありますが、原子炉の中にあった燃料棒、あるいは使用済み燃料棒の温度がですね、ある程度安定的に下がるまでには相当な時間がかかると。だからこそ一義的には従来の原子力発電所と同じようにですね、安定的に冷却をさせるということを模索、検討をしているということでありますが、もちろんそれ以外の場合についても、様々な検討は専門家の皆さんにして頂いているという状況です。

記者:NHKのヨシカワですが、いま出荷制限や摂取制限がかかっている農作物についてお尋ねします。一部の対象となっているものについてはですね、すでに基準値を下回るような数値が出ているものもあるようですけれども、この制限の解除についてですね、政府としていま現時点ではどのようにお考えでしょうか。

官房長官:当然ですね、安全なものについては出荷制限等をかけずにですね、逆に言えば、出荷制限等がかかっていないものについては安全でありますので、ぜひ流通関係の皆さん、あるいは消費者の皆さんもですね、そこのところはしっかりと受け止めて頂いて、風評被害等で農業者の皆さんはじめ、影響の出ないようにご協力頂きたいというふうに思っております。そのうえで、一度基準値を上回った等によってでですね、出荷制限等の指示が出されているものについてはですね、しっかりとしたモニタリングに基づいて安全性が継続的に確保されるというようなことが確認されれば、その時点でできるだけ速やかに出荷制限等の指示を解くということになりますが、これは何度か申し上げております通り、気候、天候等によってですね、影響を受けうるものであると。そのなかで、そうした状況も含めてですね、いったん基準値を下がったものについて、どの段階で判断するかということについてはこれは専門的なモニタリングや分析も踏まえて常に検討をしているという状況であります。

記者:先日、首都圏の知事がですね、そういった解除の仕組みをですね、明確に示すようにというような申し入れもあったかと思うんですけれども、そういった仕組みを示すことというのは可能なんでしょうか。

官房長官:それはこういう仕組みで解除しますということはできるだけ整理された形で、特に関係者の皆さんにとっては大変強いご関心だと思いますので、できるだけ早く整理をして、なおかつ分かりやすい形でお示しをしたいと思います。

記者:時事通信のコウケツです。先ほどの見通しのなかで、相当の時間がかかるということだったんですけれども、現行の避難指示あるいは退避、自主避難の勧告というのを長期化のなかで改めて見直される考えは今どのように検討されてらっしゃるのでしょうか。

官房長官:これについては、その時点その時点で当面考え得る状況を踏まえてですね、国民の皆さんの健康を守るという観点から、避難等の指示を出させて頂いております。当然のことながら、例えば長期化という状況も、ある時間の経過とともにですね、それに基づいて安全性の観点等を踏まえた対応が必要になることは当然可能性としてはあるわけでありまして、逆にですね、これは数日前から申し上げております通り、放射線量の状況が安定しているということがあれば、ご要望の多い一時帰宅等ができないかどうかという方向の検討もしております。そういった意味では、客観的な放射線量、あるいは大気中の放射性物質の量等のモニタリングに基づいて安全性を確保するという観点から、様々な選択肢を常に検討しているという状況です。

記者:それとですね、原発周辺の汚染濃度がなかなか下がらないという中で、改めて2号機、3号機のですね、圧力装置の損傷についてどのように見てらっしゃるのでしょうか。

官房長官:これについては従来から申し上げております通りですね、何らかのルートで原子炉の方からですね、放射性物質が出ているということについては、従来から申し上げてきているところでございまして、残念ながら特に水のところに高い放射線濃度の水が、これ2号機だったでしょうか、出ているというようなことを含めてですね、どの部分からどういう形で出ているのかということを確定できないかという努力は現場において進めて頂く一方で、専門家の皆さんの様々な分析で確定はできませんが、様々な可能性、特に健康被害という観点では、できるだけ悪い方の可能性に基づいてこの間対応してきているところでございますし、今後とも特定に向けた努力と常に周辺のモニタリングの数値に基づいてですね、特に周辺の皆さんに影響を与える可能性が高まるのであれば、それについて遅れることのないようにという緊張感を持った対応を進めて参りたいと思っています。

記者:その可能性の中にですね、圧力装置の破損を示すような今データっていうのは報告はあがってるんでしょうか。

官房長官:これは保安院等に改めてお尋ねを頂ければというふうに思いますが、その圧力容器とそれから格納容器の圧力の関係であるとか、それから等で専門的な分析はそれぞれ保安院や東京電力からされているかというふうに思っております。それからもう1つは、燃料のところからですね、に由来すると思われる放射性物質が外に出ておりますので、少なくともどこかの炉なりプールなりの所からですね、もしそれが炉だとすれば圧力容器の中に燃料があるわけでありますから、そこから何らかの形で放射性物質が外に出る状況があったのか、いまもあるのか。そういう状況であるということは認識をしております。

記者:産経新聞のノダですけれども、原発の絡みなんですけれども、第一原発じゃなくてですね、第二原発なんですが、第二原発も地震発生したときにはですね、緊急事態宣言が出たと思うんですが、これについては今どのような状況なんでしょうか。

官房長官:第二原発についてもですね、この間、連日というか、時々刻々状況についてはしっかりと報告をさせているところでございます。現状では第二原発については、それぞれ冷却がしっかりとできるという状況になっているということでございます。それは原子炉もそうであるし、燃料プールについてもでありますが、基本的には運転している状況のときと同じように、しっかりとした冷却ができているという状況でございます。そうしたなかで、運転は停止をしている。ただ、通常の原子力発電所ではですね、冷却等のシステムについてはバックアップがいくつもの系統にあって、1つが不具合が生じた時でもすぐ別のものに切り替えられるという複線的な対応をとっているわけでありますが、その部分には損傷がありますので、いま、燃料棒等の状態については問題ない状況でありますが、そうしたバックアップ、二次的、三次的なシステムについての復旧を急がせていると、こういう状況です。

記者:すみません。ちょっと別件なのですけれども、先ほど出たですね、野菜の出荷制限の関係なんですけれども、先日関東とかですね、東北の方の知事から出荷制限の区域をですね、細分化してほしいというような要望も出ていたと思うんですが、県全体ではなくてどこどこの地域のっていうふうな感じでですね、細分化する検討っていうのはあるのでしょうか。

官房長官:できるだけ細分化できた方が望ましいというふうに思っておりますが、一方で安全性ということもしっかりと確保しなきゃならないということのなかで、どの程度きめ細かくですね、モニタリングができるか、調査、データを収集できるかということとの相関関係のなかで、安全性に問題を生じない範囲内で、できるだけ細分化できないかという検討と努力は進めて頂いています。

記者:ブルームバーグのヒロカワですけれども、ロシアの戦闘機がですね、29日に日本の防空識別圏に侵入してですね、放射性物質の採取を行っていたのではないかという報道があるんですけれども、政府として把握している事実関係を教えて頂きたいのですが。

官房長官:具体的な話については外務省、防衛省にお尋ねを頂ければというふうに思います。

記者:テレビ朝日の●●です。先ほど話が出ました原発を覆う布とタンカーの件ですが、長官検討されているとお話がありましたが、その実現性と、それから例えば検討しているが、まだ実現できていないことに関わるリスク、どういうふうに検討されているのでしょうか。

官房長官:その2つのことが報道されておりますが、あらゆる可能性、あらゆる選択肢について専門家を含めて検討して頂いているということであって、そのなかに報道されているものも検討の選択肢の中に含まれているということでございますので、まさにあらゆる選択肢の中で原子力発電所の状況を収束させる、あるいは周辺への影響を防いでいくということについて、いまはあらゆる選択肢を検討して頂いて、その実現可能性や効果の点を含めてですね、ある段階では判断を、政治的な判断を求められるんだろうというふうに思っています。いまは実務的な検討をしている状況です。

記者:TBSの●●です。原子力の作業についてなんですが、一部報道では、3つの班に分かれて今動いていると。遮蔽、リモートコントロール、燃料取り出しの3つの班に分かれているということですが、事実関係とその意図っていうのを教えて頂いてもよろしいでしょうか。

官房長官:具体的に班という形なのかどうかまでは私の立場では承知をいたしておりませんが、様々な手段、様々な手法、それから様々な部分についての検討、それぞれについてその専門的な担当者、あるいは場合によっては外部の有識者を含めてですね、様々な検討をしているという報告は受けております。当然、それはあらゆる可能性とあらゆる対応策について、それぞれ専門的に検討頂くのは当然のことだと思っています。

記者:東京新聞のジョウジマですけれども、中国の程永華駐日大使が昨日の会見で、東日本大震災に関する日本政府の支援物資受け入れについてもう少しスムーズに行ってほしいという苦言を呈したんですけれども、長官の受け止めをお願いします。

官房長官:中国を含めてですね、多くの国々から今回の大震災、そして原発事故に対してご協力、ご支援を頂いております。そのことについては大変感謝しているところでございます。中国に限らずですね、各国からのお申し出については現場の状況やニーズを踏まえて、そして一番効果的なやり方で支援をして頂けるというやり方を、それぞれ実務ベースでご相談をしながら進めてきているところでございまして、そうしたことのなかでですね、お申し出とそれから現地の状況が、なかなかマッチしないというケースも、中国との関係に限らずこの間、あるところでございます。そうしたことについては実務ベースではしっかりと意思疎通して、こういう事情なので違うご支援を頂けませんかというような形のことはやって頂いているというふうに思っておりますが、必要に応じて、実務ベースに限らず、そうした事情は各国ともですね、さらに丁寧にお話をしていきたいと思っています。

記者:産経新聞のノダですけれども、一部報道によりますと、今日の朝刊で政府の方で全閣僚による復興本部をつくるという検討を始めたみたいな報道がありますけれども、復興本部というのは何かつくるご予定というのはあるのでしょうか。

官房長官:復興に向けては、特に被災地の皆さんの明日への希望を持って頂くということも含めてですね、しっかりとした方向性を出していかなければならないというふうに思っています。そしてこれについてはですね、閣内に限らずですね、様々な皆さんが様々な有意なご提案というか、アイデアを提起をして頂いているところでございます。そうした様々なアイデアというか、意見というものを、今いろいろと集めて、ながらですね、じゃあ政府としてどういった形で提案をしていこうかということの作業に入っている段階でございますので、現時点でどこか方向性が確定的に決まっているというわけではありません。ただ様々なご提案、ご意見というものを集めて整理をしているということです。

記者:●●の●●と申します。プルトニウムなんですけれども、東電の敷地内で出たということなんですが、もうちょっと広い範囲で、例えば30キロ圏内、●●ということなんですけれども、もうちょっと広い範囲で計測するように政府の指示とかってありますでしょうか。

官房長官:これは昨日だったですか、一昨日の夜だったでしょうか、周辺で原子力発電所の敷地内で検出をされて、そのプルトニウムが原子力発電所由来の可能性が高いという報告を受けましたので、それに基づいて原子力発電所内におけるモニタリングをしっかりと定期的に行っていくことの指示を出しました。同時にそれ以外のより広い地域における検討が必要なのかどうかは、これは専門家の皆さんの今ご意見を頂いているところでございます。一般的には大変重い物質だということなので、周辺地域のモニタリングがしっかりできていれば、それより遠いところについてのリスクは小さいと、一般的にはご報告受けておりますが、しかし、国民の皆さんのご心配も大きい点だと思いますので、念を入れて関係専門家の皆さんにご意見を頂いているところであります。

記者:朝日新聞の●●ですが、先ほど枝野長官、ある時期で政治的な判断が必要だということを、汚染された水の廃棄方法についてなんですけれども、ある時期に政治的な判断をしなければいけないと先ほど申し上げましたが、国民からするとですね、原子炉の今の状態というのはいつ収束するのかという見通しが全く立っていないという非常に不満の声が高まっているなかで、政治的な判断の目途というのをできるだけ早くっていうのは当然なのですが、いつ頃までにっていう見通しをもってらっしゃるか、改めてお願いします。

官房長官:原子力発電所の事故については周辺の退避、避難をされている方はもちろんでありますが、出荷規制等がかかっている農業関係の皆さん含めて、大変多くの皆さんにご不便ご迷惑をおかけをしておりまして、政府としても大変申し訳なく思っております。当然のことながら、できるだけ早く収束をさせたいということで全力を挙げているところでございますし、いつ頃収束できるのかという見通しについても、できるだけ早く申し上げたいというふうに思っております。ただしかし、客観的な状況といたしましてはですね、まさに様々な事象に対して様々な対応策を検討はしておりますが、今の段階でですね、関係者の皆さんに対して責任を持って、この時期には収束できますという見通しを申し上げられる状況ではないというのが率直なところでございまして、できるだけ早く時期の見通しが得られるように、そして収束の時期自体もできるだけ早くできるようにということで、先ほど来、出ている様々な、覆うとかですね、いろんなこと含めて様々な検討を、様々な専門家の皆さんに同時並行で進めて頂いているというのが今の状況であります。