官房長官の記者会見テキスト(2011年3月12日3時25分から20分間)

【冒頭発言】

官房長官:大変遅い時間にお集まりをいただきまして大変恐縮でございますが、それぞれの現地では警察、消防、自衛隊を始めとして関係者の皆さん、夜を徹して救援活動に当たっております。また、こちらの対策本部の方でも、松本防災担当大臣を先頭に、全体の情報の集約と整理に当たっているところでございます。そうした中で、私(官房長官)から三点ご報告をさせていただきます。

 まず一点は、当事者である東京電力及び経済産業大臣からも発表をいたしておりますが、福島第一原子力発電所について、原子炉格納容器の圧力が高まっている恐れがあることから、原子炉格納容器の健全性を確保するため、 内部の圧力を放出する措置を講ずる必要があるとの判断に至ったとの報告を東京電力より受けました。経済産業大臣ともご相談をいたしましたが、安全を確保する上で止むを得ない措置であると考えるものであります。この作業に伴い、原子炉格納容器内の放射能物質が大気に放出される可能性がありますが、事前の評価では、その量は微量と見られており、海側に吹いている風向きも考慮すると、現在とられている、発電所から3km以内の避難、10km以内での屋内待機の措置により、住民の皆様の安全は十分に確保されており、落ち着いて対処いただきたいと思います。既に21時23分に、菅総理が発した避難指示に沿って、半径3kmの地区の避難は完了をいたしました。この避難指示の内容に変更はありません。この避難指示の内容に変更はありません。したがって現地の住民の方々は自衛隊、警察、自治体などの指示に冷静に従っていただきたいと思います。モニタリングカーの測定によると、現時点で、放射性物質の施設外への漏えいは確認をされておりません。先ほどの措置のとられた後も、しっかりと放射性物質の測定を定期的に行い、その情報については、ほぼ直ちにと言っていいようなタイミングで経産省及び官邸に届けていただくよう指示をいたしております。なお、現地は24時ちょうど前後に、池田経済産業副大臣が現地に到着をいたしております。現在、支援体制を池田副大臣の陣頭指揮の下、全力で整えております。不確実な情報に惑わされることなく、確実な情報に従って行動するようお願いをいたします。

 二つ目に、今回の災害の状況、実態をいち早く把握をするため、特に只今の原子力発電所の事態についてしっかりと把握することも含めて、本日の早朝、総理自ら現地を訪れることとしたい。日が上がりましたら、総理自らヘリコプターにて現地を訪ねるということで、今最終的な調整をいたしております。6時に官邸のヘリポートを出まして、福島の只今の原子力発電所、ここは現地に降りれるという方向でございます。そして、更に上空から海岸部の被災状況を直接把握をした上で、10時50分に官邸に戻ると、こういう予定で朝一番、総理自らヘリコプターに乗って被災状況を直接把握をするという行動をとるという最終調整をいたしております。確定し、詳細が決まりましたら、貼り出し等という形でお伝えをすることになるかと思います。

 三つ目でございます。夜間も救難活動は全力で行っておりますが、本日の夜が明けまして、救難状況、そして被災状況の整理をした上で、明朝は朝8時30分に、総理は現地の視察をしていただいておりますが、緊急災害対策本部並びに原子力災害対策本部を明日の朝8時30分、招集をいたしました。

 私からは以上でございます。

【質疑応答】

記者:共同通信の●●といいますが、総理が原発を視察される時というのは、もう常にその原発での体系の作業はやっているんですか。

官房長官:はい。

記者:その体系という作業は何時ごろにやるんでしょうか。

官房長官:これは東京電力が技術的な点を含めて最終的な調整をする話でありますが、これを行う前にしっかりと国民の皆さんに予めご報告しなければならないということを東京電力の方に要請というよりも指示を致しまして、それでこの時間に経済産業省及び官邸でご報告しましたので、そんなに遠くない時間になると思います。

記者:毎日新聞のオオヤマです。総理の上空からの視察というのは、この福島よりも以北にも行かれるのでしょうか。

官房長官:今ぎりぎりの日程の組をやっているところでおりますが、できるだけ北の方まで上がりたいと。仙台沖ぐらいまでは行けるのではないかという状況ですが、正確にまだ確定しておりません。

記者:またそれでもう一点、原発の話なんですけれども、大気放出しなくてはいけなくなったというのは、バッテリーが間に合わなかったということなのか、間に合わなかったとしたら、その原因はどうしてなんでしょうか。

官房長官:詳細は技術的なこともございますので、経済産業省において、東京電力並びに原子力安全保安院とともに報告をさせていただいているところでございます。

記者:テレビ朝日のコバヤシですが、その風向きによって海側に行けば問題ないということなんですが、仮に風向きが変わってその住民がいる方に行った場合、その健康への被害はどの程度のものですか。

官房長官:現時点では当面西または、北西の風でかなり安定した状況だろうということは気象庁からも報告を受けています。

記者:その場合、風向きが住民の方に向かった場合のもその健康被害がないということですか。

官房長官:基本的にはそもそも放射性物質の量が微量と見られるということがその評価の基本であります。それに加えて風向きということがあるということが、そういった意味ではプラス面のもう一つの要素であるということでございます。総理自ら発電所そのもののすぐ傍まで明日視察していくという調整しているという状況で、その点についてはご認識していただけるのではないかと思っております。

記者:読売新聞のヒカワです。総理が原発に到着する時間帯はいつ頃でしょうか。

官房長官:一時間半強ぐらいかかるぐらいのではないか。一時間半+αぐらいかかるのではないかと思っておりますが。まさに今フライト計画等詳細に詰めている状況でございます。

記者:現地ではどのような視察されているんでしょうか。

官房長官:まさに総理はこうした技術も含めて専門的な素養をお持ちでございいます。この間も具体的にいろんな報告を受けながらやっております。現地では炉の状況、その他ですね、具体的な説明を現地の当事者、専門家から受けるものと思っております。

記者:テレビ東京のシノハラです。多くの国民は、この会見を明日の朝見ると思うんですけれども、二日目を迎えた国民に対するメッセジをお願いします。

官房長官:本当に明治以来以降では最大の規模の日本に襲った地震ということであります。大きな被害が出て、残念ながら多くの方々が亡くなられているという状況であります。亡くなられている方のご冥福をお祈りし、被災された方にお見舞いを申し上げるとともに、政府の持てる力、総力をすでに発揮して救済、救援活動に取り組んでおります。大変厳しい状況の中で、二日目の朝を迎えられてる方が多々おられると思いますが、全力をあげて政府として救援に取り組んでおりますので、是非冷静な対応の元で自らの安全を確保する努力、そして地域の皆さん、ご近所の皆さん、ご家族の皆さんとの連携、協力の助け合いの中でこうした状況を乗り切る努力をお願い申し上げるとともにかされて政府としては用いる能力の最大限の力を発揮するそういった状況ですでに対応を致しております。

記者:すみません、原発の話にちょっと戻るんですが、先ほど1時40分に出された発表の資料で、予測の時間帯が書かれていまして、27時20分に原子炉格納容器設計最高圧に到達するがと。原子炉格納容器ベントにより放射性物質が放出されるという。ここでは何時というふうにかかれてないんですけれども、これは3時20分を指すと思うんですが、この辺の説明をちょっとしていただいてもよろしいでしょうか

官房長官:それは多分原子力安全保安院が可能性を示したものだろうというふうに思っておりますが、そうした可能性の前提も含めて実際にベントを開けるという段階より前にきちんとご説明を申し上げなければいけないということで、3時で経産省と私のほうで発表することでございますので、具体的な詳細な時間はまさに現場の作業の手順、段取り等によりますので、若干のズレがあると思いますが、そう遠くない時間に圧力を下げる措置に着手するものと思っております。

記者:ということは現時点で同時並行で進んでいるということではないということですか。

官房長官:少なくとも発表してからしてくれということは要請というのは、かなり指示に近い形で東京電力の方に申し伝えております。経産省、そして私のほうで発表致しましたので、作業の手順に必要ならば入っていてもおかしくないと思います。

記者:TBSのコバヤシですが、原発の件なんですが、現在のその復旧に向けた作業状況、例えば電源車が何台到着したとか、復旧するんであれば、めどがあれば、そのめど、時間。

官房長官:電源車はそうした電源を使うことでですね、対応するための、一部が作業に入っているという報告を受けております。詳細は経済産業省、保安院の方にお尋ね頂ければと思います。

記者:産経新聞のスギモトと申します。原発に行くということなんですけれども、これはそもそも総理の判断なのか、それともどういった経緯で現地に行かれたのでしょうか。

官房長官:総理ご自身もまさか安全確保のためのやむを得ない措置であることの中ではありますが、まさに自らその安全性も含めてですね、しっかりと把握しなければならないと。それから現地の状況も、いろいろな状況は入ってきております。ヘリコプター、自衛隊や警察、消防等の状況も入ってきておりますが、是非直接把握した上で対応の陣頭指揮に立たなければならないという強い思いが総理の方にはあるということであります。

記者:現地では東電の職員も含め、警察、消防等ですね、緊迫した状況にあると思うんですけれども、総理が行くことによって、そうした対応に支障をきたすという懸念というのは。

官房長官:従って、福島原発以外のところは上空からの視察という計画を立てております。

記者:福島の原発は総理が行っても、いろんな人員がさかれると思うんですけれども、それは特に問題ないんでしょうか。

官房長官:基本的には、これは具体的な警護の関係の話になってしまいますので、あまり詳細な話はできませんが、基本的にお会いになれるのは現に原子力発電所の保安をしている担当の方しかいないところでありますので、警備にしても対応にしても逆に言うとそういったところになるので、きちんと状況の把握のために必要な対応で足りるということで、実際に経産大臣、保安院、東京電力等とご相談をして、逆にそういうところに行ってご迷惑がないという判断を致しました。

記者:朝日新聞のムラマツと申します。まず一点は今回の総理の視察ですね、視察にかかられる時間が約2時間ということですが、その間また余震が起きた場合の対応について、総理が具体的に対応することのリスクをどのように考えているのか。という一点と、まずその一点だけお願いします。

官房長官:当然のことながら、私が官房長官として明日の8時半の緊急災害対策本部については、私の元で開かせていただきます。ちなみに原子力災害対策本部の方は本部長は海江田経産大臣になりますので、海江田経産大臣が責任者ということで開きます。そうしたことで情報の収集、整理、それによる各長官の調整は私や海江田大臣の元でしっかりと行います。また勿論、様々なリスクが常にあるわけではありますが、今この甚大な被害の状況ということがわかっている状況で、その甚大な被害の状況のそのものをですね、できるだけ直接認識して、特に海岸部の情報が必ずしもメディアの皆さんもそうだと思いますが、十分に把握できない状況の中にありますので、総理自らそういった状況をできるだけ早く直接に把握することで、その後の対応に大きな力になるのではないかと、こういう判断であります。

記者:福島県ですね、南相馬市の防衛省の報告になるとみられるんですけれども、1800世帯が壊滅状態であると。防衛省からすでに官房長官にご報告があったということと、1800世帯が壊滅状態ということはかなり相当な人的被害が想定されるんですが、それについて官房長官の元の所見?●●はありますでしょうか。

官房長官:具体的な報告は当該地域についても、報道より前に頂いております。そうした点も含めてですね、大変大きな被害が発生しているということの中で、少しでも今救難、救援を待っていらっしゃる皆さん、あるいは避難所等で寒い、不安な夜を過ごしている皆さんに対して、一刻も早く最大限の支援をしてまいりたいというふうに思っております。

記者:日経新聞のイマイですが、原子炉の圧力を下げるということでですね、炉内の蒸気を直接大気に放出するという意味でしょうか。

官房長官:技術的なところは経済産業省の方で保安院や東京電力を含めてご説明を申し上げていると思います。

記者:時事通信社のムラヤマですが。総理の視察ではこちらからどういった職員が同行し、何人ぐらいの規模を想定しているのでしょうか。

官房長官:大きな航空機、ヘリコプターは物資の予想、それから救援活動の方に使いますので、そんなに多くない人数になるというふうに思っております。

記者:読売新聞の●●です。警察庁も発表されていると思うんですが、現時点の死者、行方不明者の数を把握されているんでしょうか。

官房長官:それは警察庁と消防庁にお尋ねください。

記者:中国新聞のタダです。先ほど基本的には放射性物質は微量であるという判断ということですけれど、例えば人によって放射性の感受性が違うと言われてるんですが、一定程度科学的根拠に基づいてこういう措置をとられる、あるいは総理が行かれる…

官房長官:原子力安全委員会の委員長、第三者的な立場の方にも官邸に入って頂いて、直接状況を共有していただいて、その上でご意見をいただいています。