官房長官の記者会見テキスト(2011年3月12日9時51分から23分間)

【冒頭発言】

官房長官:皆さんご承知のとおり昨日発生しました地震については、一夜明けまして、甚大な被害の状況が具体的に明らかになってきております。と同時に、余震、そして津波については、現在も発生中、災害が起きている状況であります。是非、繰り返し申し上げてきておりますが、津波の3波、4波、あるいは余震の恐れはありますので、海岸近くに行かれる等、あるいは河口近くに行かれる等のことについては、十分なご注意をいただきたいというふうに思いますし、まずは、安全なところにしっかりと身をおろしていただくということをお願いを申し上げます。この夜通し、自衛隊、消防、警察、海上保安庁をはじめといたしまして、政府機能の全力を挙げて被災者の支援にあたってきているところでございますが、先程、第4回の緊急災害対策本部を開催いたしまして、各省庁で把握されている、被害状況や、各省庁の対応状況について確認をしたところでございます。警察、消防、自衛隊、海保などの一丸となった救出、救援活動の中で、先程の本部の挨拶でも申し上げましたが、孤立をして危機的な状況にある方々が、次々と救出をされております。また、昨夜からも既に現地に向かっておりました食糧、水等も順次ではございますが、避難所などに届き始めているところでございます。関係地方公共団体からの要請に基づいて、しっかりと連携をとって、迅速かつ全面的に支援をしてまいります。また、大学、高校の受験生の皆さんに不利益が出ないよう、受験の延期などの措置もお願いをしているところでございます。また、被災地においては、通帳などが、無くなった状態の被災者の方もおられるということで、金融担当と日本銀行の方で既に、緊急的に口座の預金の引き出しが可能なように、というお願いも金融機関に出しているところでございます。さらに、外国からの支援についても50の国と地域から、救援の申し込みがあり、既に在日米軍の救援については、昨日申し上げたとおりでございます。また、そう時間を置かずに韓国からの救援チームが到着をするという報告も受けております。繰り返しますが、余震によって、場所によっては強い揺れとなるある恐れがあります。揺れが大きかった地域では土砂崩れや家屋の倒壊などの危険性が通常よりも高くなっております。また、山間部などでは、雪崩の危険性も高まっております。是非、十分な警戒をお願いを申し上げます。今後とも具体的被害状況等は警察、消防等から、全体の状況については、私(官房長官)の方などから適切に情報提供することとしておりますので、国民の皆さんにおかれましては、テレビ、ラジオ、自治体の広報等に留意をして、関係機関の指示に従い落ち着いて行動をいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。なお、現地には昨日派遣をいたしました東内閣府防災担当副大臣、宮城県庁に現地の国の対策本部を設置をいたしました。そして、本日、福島県には吉田泉財務大臣政務官を団長とする、25人規模の派遣チームを既に派遣をしたところでござまいます。また、岩手県については、平野達男内閣府副大臣を団長とする派遣チーム、23名を岩手県にもう向けて出発をしたところでございます。こうした体制でまさに国力を挙げて、全力で救難、救援にあたっておりますので、それぞれ、皆様方厳しい状況かというふうに思いますが、安全を確保される中、落ち着いた行動をとっていただけますよう重ねてお願いを申し上げます。

 原発関係について申し上げます。福島第一原子力発電所に関しましては、1号機の原子炉格納容器の圧力が高まっているおそれもあることから、本日、5時44分に総理から新たに、半径10km圏内の住民に、10km圏外に避難するよう指示がありました。これまで3km圏内の皆さんに圏外への避難を指示をしておりましたが、本日、午前5時44分、10km圏内の住民に避難の指示をいたしました。容器内の圧力が上昇していることから、経済産業大臣の指示により、安全に万全を期すため、先程、1号機の原子炉格納容器内の圧力を降下させる措置を行いました。このため、放射性物質を含む空気の一部外部への放出が行われますが、管理された中での放出でございます。また、こうした放出に備えて3km圏内からの退出をお願いをいたしておりまして、この管理された状況での放出をということについては、10km圏外に出ていただいているというのは、まさに万全を期すためでございますので、その点にご留意をいただき、落ち着いて退避をしていただければというふうに思っております。福島第二原子力発電所については、本日午前5時22分に1号機、5時32分に2号機、6時07分に4号機がそれぞれ、圧力抑制機能を喪失し、原子力災害対策特別措置法第15条の事象に至りました。これを受けて総理から、新たに原子力緊急事態宣言を行い、閣議決定を経て、既に設置中の福島第一原子力発電所事故にかかる原子力災害対策本部の名称を「福島第一原子力発電所事故及び、福島第二原子力発電所事故にかかる原子力災害対策本部」に改称し、併せて緊急事態、応急対策を実施すべく、区域の公示、自治体の長への指示を行いました。そして、この第2原発について半径3km圏内の住民に避難を、そして半径3kmから10km圏内の住民に屋内退避の指示を行なったところでございます。こちら第二についても現時点で、放射性物質を含む外部への流出は確認をされておりません。万全の措置を取るべく、3km圏内の住民に退避の指示をしたところでございますので、当該、住民の皆さんも落ちついて、指示に従って退避をしていただければというふうに思っているところでございます。ご承知のとおり菅総理大臣におかれましては、今朝ほど、官邸をヘリコプターで出まして、福島第一原子力発電所の現場を自らの目で見て、現場での状況対応の報告を受け、更に相馬地域等の上空からの被害状況の把握を努めているところでございます。このあと、現時点でも各省庁、状況の把握と対応に努めておりますが、総理が帰京されまして、その調査の結果等も踏まえて、次回の地震対策本部を開催する予定でございます。

【質疑応答】

記者:読売新聞のクリバヤシです。2箇所の原発双方ともですね、水蒸気漏れ以外のですね、その水蒸気漏れ以外の放射能漏れは現在のところ無いんですか。

官房長官:ありません。

記者:原子炉本体の損傷も、まだ可能性も無いんでしょうか。

官房長官:そういった意味では停止をして、そして冷却をしてきているんですが、その冷却が上手く行ってない部分で、そうすると圧力が高まりますので、その圧力を弱めないと危険だということで圧力を弱めるということで第一の第1について、圧力を弱めるための措置をとったというところでございます。それ以外の問題が生じているわけではありません。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。先ほど対策本会合で枝野さんが挨拶を述べられていましたが、今現在最新の人的被害の状況をお願いします。

官房長官:正確な数字は率直に言って、今誰も把握できていない状況だというふうに思っております。亡くなられた数として各機関から報告されている数に基づきますと、200人を超えていることは間違いないという状況でございますが、それぞれの現地の状況と今警察、自衛隊等からの、例えばヘリコプターからの映像等も直接見ながら情勢把握の指揮をしているところでございまして、残念ながら、これを大きく、相当大きく上回る被害者の方がおられるということを覚悟せざるを得ないというふうに思っておりますが。同時に相当多くの方が例えば、座礁している船で救出を待っている、あるいは孤立したビル等の中であれば、屋上で救出を待っている。相当の数の方がいらっしゃるとこうした状況で把握しています。順次こうした皆さんの救出にあたっているところでございます。

記者:産経新聞のノダですけれども、福島原発の関係なんですけれども、その避難の指示が最初は半径2キロ以内で、途中から3キロ以内で。それで今は10キロ内で、その都度拡大しているんですね。周辺住民の皆さんが相当心配されているんと思うんですけれども、危険性の予知は正確に行なわれているとお考えでしょうか。

官房長官:それぞれの状況に応じてですね、必要な範囲の指示をしてきております。圧力の上昇で先ほど、第一の1号機について圧力を降下させる措置を実施できたということを申し上げましたが、そのことを実施する前提で3キロ圏内からの退避をお願いしていたところですが、同時にこの圧力を降下させる措置の実施と圧力の上昇のスピードを見ながら、万一に備えて10キロから範囲の人も退避して頂くと、こういう指示だというふうに経済産業省、あるいは保安院等から聞いております。そうした意味では状況に応じて必要な範囲で退避の指示を出しておりますので、万全を期しての措置であるというふうにご理解頂ければというふうに思っております。

記者:第一の第二号機と第三号機の冷却機能が●●、第二の1,2,4号機についても将来的には蒸気を排出する可能性も念頭に置いていらっしゃるんでしょうか。

官房長官:今のところ、第一の残りのところについては冷却の機能が一定程度働いているという状況でございます。それから第二の方についてはですね、その部分が上手く行っていないということでございますので、従ってそれが回復できなければ今回の第一の1のような措置も想定されうるということになりましたので、3キロ圏内からの退避をお願いしていると。その結果、それまでの間に回復できる可能性もありますし、回復できなかった場合に備えて3キロ退避をお願いしたという状況です。

記者:判断の内容についてはどうなのですか。現場の議論?

官房長官:まさに現場のデータと専門家の皆さん、特に原子力安全委員会の専門家の皆さんとご相談しながら、その圧力降下措置については、これ一時的には東京電力、事業者の方が申し出ることになってはおるんですけれども、当然連絡、連携しながら、特に中立的な安全委員会の専門家の意見を踏まえて対応しているところでございます。今後もそう致してまいります。

記者:朝日新聞ですが、今の原発に関連してなんですけれども、これなかなか予測が難しいと思うんですが、一連の作業が終わりめどは立っているんでしょうか。

官房長官:まずは安全な状況に各原子力発電所をしっかりとコントロールするという作業に全力をあげておりますので、いつまで、中長期的な見通しというよりも、まずしっかりと安全なコントロール下におくということに万全を期しているという今の時点でございます。

記者:すみません、共同通信のトヨシマですが、次回の災害対策本部は総理が帰ってきてからと仰っていましたが、大体時間は何時ごろですか。

官房長官:総理がお帰りになってから最終的なご相談をして決めようと思っておりまして、お帰りになってから今も当然上空からでも連絡をとっておりますが、お帰りになってから具体的な指示とか、具体的になってから上空からの結果等、こちらで集まっている情報を集めての指示とかになるのか、それともできるだけ早く本部ということになるのかは、総理がお戻りになったところで最終的な判断したいと思っております。

記者:すると、未だにその東北地方で連絡が取れない自治体は存在するんですか。

官房長官:はい、昨日の夜の段階では、なかなか自治体と連絡が取れていないということが多々ございましたが、現地点では岩手県の住田町と大槌町以外は連絡がとれる状況になっております。この住田町と大槌町については、町の方と連絡が取れないということで、岩手県庁にですね、それに代わる役割を果して頂くことを含めてですね、それから消防本部、あるいは警察等とは、その地域と関する連絡も可能であります、あるいは近接地域とも可能でございますので、現地の情勢把握に全力で努めております。この二町以外は連絡を取れる状況になっております。

記者:それと、別件なんですが、未明、早朝にですね、長野県の方で大きい地震が繰り返しあったんと思うんですけど、それに関する被害っていうのはどういう…

官房長官:このことについては若干の被害はございましたが、いわゆる深刻な人命に関わるような被害等の報告は受けておりません。

記者:読売新聞の●●です。被害は甚大ですけれども、現時点で新たな補正予算の関係のことを検討しているのでしょうか。

官房長官:それはちょっと時期尚早の話だと思います。野党の皆さんからもそうしたお申し出を頂いておりまして、これ大変ありがたいお話だというふうに思っておりますが。まずはとにかくやることは全てやる。率直に申し上げて、財源の問題を考慮する時点ではなくてですね、今やれる緊急的な支援、救難、救援活動を全力で行うと、そのことに全力を尽くしている段階だと思っております。

記者:●●で対応できるような範囲を超えているというふうにお考えですか。

官房長官:いや、まだそういう想定もしておりませんが、基本的にはやれることは全部今やっているという状況でございます。

記者:すみません、朝日新聞ですが。先ほどの一連の原発に関してなんですが、中長期的な見通しがまだ立っていない、逆に言うと予測不可能の事態も起こりうるということで…

官房長官:いや、そういうことではなくて、当初から原子力発電所が緊急停止した場合にはですね、冷却をしっかりやらなきゃならないし、冷却がある段階で機能がしない場合には圧力が上がっていくと、それに対してどう対応するかということについては、当初からある意味で想定されている。その中で動いているわけではありますが、例えば、先ほどご報告を申し上げた第一原発の1号機の圧力降下措置というのもですね、なかなか現場でどのタイミングでどうできるのかということについて、確定的なことはまさに現場の作業でありますので。こうしたことに今全力をあげているので、その全体の収束がいつになるかというようなことをまず考えるのがここをしっかりと収束させてから、結果的に収束していくということで、目の前のことに全力をあげて、こういう意味であります。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。韓国からの救援チームですが、到着するということですけれども、どのぐらいの規模でどういう支援の中身で、どの辺の地域に入ってもらう予定なんでしょうか。

官房長官:警察犬を含めたレスキューのチームと聞いておりますが、詳細は外務省の方にお問い合わせ頂ければと思います。

記者:読売新聞です。片山総務大臣なんですが、統一地方選の延期を考えているとおっしゃっていたんですけれども、現時点で政府として検討状況ともし決まっていなければいつごろまでに判断するんですか。

官房長官:まず一義的にはですね、与野党間でご相談を頂く話というふうに思っております。与野党間のご相談、お話の結果によってそれに対応する準備は総務省としてしっかりしておく。こういうことで一義的にはそちらでご相談頂くのが筋だと。政府、与党だけでできる話だとは思っておりません。

記者:政府として準備を含めてどれぐらいまでに判断するべきだと。

官房長官:いや、まだそういう段階ではないと思っています。そのことを判断する段階ではないと思います。総務省において内内の検討はしていると思いますが、まずは与野党間でご相談いただくことだと思います。

記者:時事通信の●●です。原子炉の件なんですけれども、なかなか専門的な部分もあって我々も理解できない部分もあるんですけれども、率直に言って、今炉の破損やその放射性物質が外部に漏れるということの切迫感というのは、政府としてどの程度のご認識をお持ちなんでしょうか。

官房長官:原子力の安全確保ということについてはですね、平時においてもつねにある意味では緊張感、危機感を持って当たらなければならない問題だというふうに思っております。そうした中でですね、地震による炉の停止ということは、こうした場合に予定されている事象、そこから生じてきていることでありますが、まさに平時においてもそうした問題でありますから、非常に強い緊張感を持ってやってはおりますが、現時点で具体的に住民の皆さんに健康被害を及ぼすような事態を具体的に想定するというような状況ではありません。そうならないように万全を期している状態です。

記者:読売新聞のカマタです。首相が現地に視察されました。それで、首相が出発前に場合によっては現地で●●の判断をするかもしれないということをおっしゃったが、何か判断されたんでしょうか。指示等はされたんですか。

官房長官:原子力発電所について現地もご覧になりましたので、しっかりとこれについてはまさに万全を期してやるようにということは総理の方から私、指示を受けております。

記者:その“万全を期してやるように”という言葉があったと。

官房長官:はい。

記者:その他に何かお言葉ありますか。

官房長官:具体的ないわゆる指示としては私にはそういうことであります。もしかすると経産大臣等に、原子力安全は●●大臣、経産大臣で官邸におりましたので、あるかもしれませんが、私には直接伺ったのはその指示です。