官房長官の記者会見テキスト(2011年3月13日8時10分から21分間)

【冒頭発言】

官房長官:保安院などから既に個別の事実関係等についてはご報告もなされているかと思いますが、改めまして現時点での、特に原子力関連の状況についてまとめて改めてご報告をいたします。まず昨日来特に問題になっております東京電力福島第一発電所1号機の件でございますが、昨日ご報告申しましたとおり、海水を炉に、圧力容器の中に注入する作業が進んでおります。なおこれは地震の影響等によって水位計の数値が必ずしも信頼できるものではないものの、海水の供給がポンプの能力どおりに実施されていることが確認をされております。現時点では、いわゆる圧力容器の内側、いわゆる炉の部分のところについては海水で満たされて、少なくとも燃料の部分のところは水で覆われている状態になっていると合理的に判断される状況になっているところでございます。今後も海水が継続的に供給されることが重要であると思っておりますので、これを確認する体制を強化することといたしております。現在、経済産業大臣の指示により現地に派遣されている原子力安全保安院の保安官による立ち入り、立ち会い確認を強化をすることといたしているところでございます。なお現時点において周辺の放射線モニタリングの数値にも変化は見られておりません。

 それからもう一点、第一原子力発電所の3号炉の件でございますが、これは従来からその可能性が想定されていたものでございますが、こちらの給水機能が停止をいたしましたので、現在、いわゆる「ベント」と称しておりますが、圧力容器等から圧力を減らすために気体を抜くための作業、そして更に給水をポンプ等によって行なうため作業を行っているところでございます。この空気を抜くという作業と、そしてポンプによって給水をするということが行なわれれば、安定した状態、管理された状態で、これは従来から申し上げておりますとおり、気体の中には身体に影響を及ぼさない程度の放射性物質が含まれますけれども、原子炉の安全性というのを確保した状態で管理できるということになっております。現在、二つの点、気体を抜くための「ベント」という作業、そして給水機能をポンプによって代替するための作業、この両者を行なっているところでございます。

双葉町住民の被ばくの可能性について

 それから、もう一つ、バスにより避難をした双葉町の住民の皆さんのうち、9名が測定の結果、被ばくの可能性があるという状況になっておられます。9名のうち4名の方が少ない方で1800cpm、多い方で40000cpmの数値が出ておりますが、こうした皆さんについては、表面が汚染をされていると。衣類や被服等に、皮膚等に、表面が汚染をされているということで、この汚染を除去するとともに、その健康、内部被ばくのないこと等を、有無について確認をする健康チェックを進めていただくことということになっております。なお、専門家のご判断によると、こうしたものが表面に付いているという状況に留まるならば、健康に大きな被害はないという報告もいただいております。

次に、避難状況でございますが、第一原発からの避難でございますが、10km圏内からの避難は、ご病気の方を中心として114名が今残っております。医師等の付添いを始めとして、本来おもちになっている病気との健康管理の手当をしっかりしつつ早期に退避をしていただく段取りを付けております。10kmから20kmの県内におられる17万人余り、18万人弱の皆さんについては、本日早朝から避難を開始をいたしております。福島第二原子力発電所については、3km以内の退避は完了しております。10km圏内からの退避については、3万人余りの皆さんの避難を、本日早朝から開始をいたしているところでございます。

【質疑応答】

記者:日本テレビのヒラモトですけれども、その第一号機の、いや、3号機ですね、新たに給水機能が停止したということですけれども、これに伴う住民のですね、避難勧告等、今後予定されているものっていうのはあるのでしょうか。

官房長官:これについては同じ第一原発、隣接しているところにございます。そして現在のところ想定をされているのはベントの作業によって圧力を減ずるために管理されたもとで空気を出すということの中に、微量の健康に害を及ぼさない程度の放射能が含まれるということの範囲でございますので、新たな避難ということは必要ないと考えております。現在行っておりますこのベントの作業とそれから給水用ポンプで代替をするという作業が、しっかりと行われれば、新たな退避は必要ないというふうに思います。

記者:現時点で9名の方の被曝を確認したということですけれども、放射能汚染を確認したということですけれども、今後それが広がる可能性というのはあるんでしょうか。

官房長官:あのこれは、今になると一昨日の夜ぐらいからでしょうか。昨日の未明ぐらいからですね、ベントの作業で健康に害を及ぼさない微量の放射性物質が圧力を減ずるために、むしろに安全のために放出されるという作業を進めてきております。その間に、東京電力福島第一の第一号炉についてのおそらく水素によるものと思われる爆発もございましたので、そうして出ていたものが一時的に徐々に広がったという可能性がありますので、そうした意味では被服等についてる可能性が否定できませんので、そうしたもののチェックを今行っておりますが、ここまでの経緯と掌握している事実関係からすれば、いわゆる健康に害を及ぼすような被曝が生じている可能性は低いと思っております。ただ、念のため、まさに衣服等が汚染している可能性等、しっかりとチェックを測定を致しまして、そして衣服等についていらっしゃる方には内部被曝がないかどうか、しっかりとチェックをするべく態勢を整えつつあるところです。

記者:あとすみません、1号機に移るんですけれども、海水の冷却が終了したということですけれども、効果が出ているかどうかは現地で確認できているところはあるんでしょうか。

官房長官:あの基本的には、圧力それから放射線のモニタリングということのところで事態が悪化をしていないと、そして水が着実に供給されているという状況でございますので、今後温度等がこれは時間かかってですけれども、下がっていけばまさに収束に向かって行くということになるということだと聞いておりますが。現時点では水が着実に供給されていることと、放射線のモニタリング数値に変化が見られないということでございますので、あの常に緊張感を持って看守して(監修)致しています。

記者:変化がないのは最終的には今数値がいくになっているんでしょうか。

官房長官:これは測定場所によってでございますが、昨日のところでいくつかの場所の数値を申し上げましたが、その時点から安定しているということです。これは多分保安院の方から適宜に通知等は公表していると思います。

記者:読売新聞のフナツキと申しますけれども、1号機に関しては最終的に海水注入ということになったと思いますが、3号機についてはそのような必要はないという判断でよろしいのでしょうか。

官房長官:現時点ではいわゆる普通の水を供給するということを軸に対応して頂いておりますが、念のため海水による供給という可能性も想定に入れた準備というか、を進めていただいています。

記者:1号機の海水注入なんですけれども、これいつごろ終わるというようなめどはありますか。

官房長官:これは昨日申し上げましたが、圧力容器、炉の部分のところの注入が終わりましても、その外側のこれは格納容器の中まで海水を満たすということにしたいというふうに思っておりますので、これは圧力容器の中に水を供給し続ければ、もしそこが溢れているようなら、そこから外に出るということになりますので、継続的に海水を供給し続けるということになります。

記者:毎日新聞のオオヤマです。9人の方の被曝の話なんですけれども、事実関係は承りましたけれども、その率直な長官の受け止めをお願いしたいです。

官房長官:現時点では衣服等の外部的な汚染、被曝にとどまっておりますが、万が一にも身体に若干でも影響の及んでいることがないか、しっかりと確認をしていただきたいというふうに現場の方には昨日から指示をおろしているところでございます。また、こうした衣服等の汚染等の可能性のある方については、できるだけ早期にその有無について確認をしてまいりたいというふうに思っております。

記者:朝日新聞のカネコです。今の双葉町の被曝の関係なんですけれども、政府の追加の支援策といったものは、どういうふうなことをお考えでしょうか。また周辺のですね、放射線の測定モニタリングというのを増やすというようなお考えはありますか。

官房長官:現時点では一つはすでに万が一の場合のヨウ素の手配あるいは医療関係に対する準備等についての指示をこの間、一方で現場そのもののリスク管理と並行して準備をしてきているところでございますが、こうした態勢をさらに実際に強化しなければならないのかどうかというのはさらに、常に注視をしてまいりたいというふうに思っているところであります。またさらに、沢山の皆さんの移動、避難と合わせてやらなければならないものですから、周辺の自治体等のご協力を頂いたり、全体としての避難が整然と行われるような態勢がしっかり確保されることが、今申し上げたようなチェックのためにも前提になりますので、そうした点については、自衛隊、警察等のご協力をさらにお願いをしてまいりたいと思っています。

記者:テレビ東京のトヨシマともうしますが、原発の作業にあたっている東電の社員やスタッフの皆さんの健康状況についてはどのようになりますか。

官房長官:これあの大変リスクの高い中で作業をして頂いているということは間違いないというふうに思っておりますので、少なくとも現場で作業をしていらっしゃる皆さんには大変ご苦労をかけていると思っておりますが。それぞれ専門家で防護のための防護服をはじめとする様々な装備等は、従来から準備をされている中で作業をしておられますので、健康に対する大きな害がないように安全性を確保しつつ、しかしながら重大な事故に住民の皆さんに大きな健康被害を与えるような事態に悪化をしないように最善を尽くしながら進めているということでございます。

記者:朝日新聞のヤマダですが、9人の被曝された方の性別と子どもが何人いるのかとか…?

官房長官:詳細は保安院の方でお尋ね頂ければと思います。

記者:東京新聞の●●と申します。聞き逃していたら申し訳ありませんが、。最初被曝された方がどの位置で被曝した可能性があるのかということがわかっているかということと、今の質問にもあったんですが、スタッフの今の段階での健康状況についてどうなっているのでしょうか。

官房長官:はい、3キロ圏内からの避難のプロセスにおいては、当然避難するのに屋外等に出てバスに乗り込んだりということがあります。そうしたプロセスの中で被曝というか、汚染をし、それが外部的な被曝につながっている可能性、あるいはそうやって、衣類等が汚染したものが移動の手段は同じ移動の手段を普通の方が使っていらっしゃると思うので、そこで触れて汚染をした可能性等がございますが、こうしたことの確認も含めて、できるだけ可能性のある人についての汚染の有無について把握をする努力をしているということでございます。それから、東電のはじめとする発電所側の状況については、具体的に大きな健康被害というようなことについては、勿論一定のぎりぎりのところでやって頂いておりますので、安全の基準のぎりぎりのところまでの放射線、炉の近くまで近づいて頂いておりますので、ということはこの間やってきていただいているからこそ、この状態にリスクを抑えられているわけでありますので。そうした多量の炉の近くまでいってらっしゃる方についての被曝量の把握と、そうした方々に対する健康チェックというものは現場でしっかりやっていただくようにという指示は出しております。

よろしいでしょうか。

記者:朝日のカネコです。各国の救援隊がですね、本日続々と入るようなんですけれども、その関係で把握されている状況があれば、教えてください。あと在日米軍の展開、活動状況について、もしお分かりになれば。

官房長官:はい、各国からの受け入れについては、外務省とそれから実際に受け入れをする自治体、警察、消防等との間で連携をとっていただいて、当然松本大臣の元、防災担当がその間コーディネートをして、ご到着された方ができるだけスムーズに現場に行っていただけるような調整をして頂いてるというふうに聞いております。いつの時点で、どこの国から何人来るかというのは、これは外務省と防災担当の方にお尋ね頂ければというふうに思っております。米軍とはすでに昨日の段階で防衛省がお●●を頂いて、特に海上からの捜索に関連する、海上上空からの捜索に関して力を発揮して頂くと段取りが進んでいると聞いております。

記者:現時点でも、連絡の取れない市町村は●●

官房長官:連絡が取れていないということもですね、いろんなレベルがあるんですけれども、今日にはですね、あ、昨日の段階で役場の機能を、まず一義的には市町村が機能を十分に発揮できない場合には、都道府県が対応すると。そして、それを国がバックアップするというシステムでございますが、県庁の方も大変な状況の中で仕事をして頂いておりますので、総務大臣とそれから被害状況を把握している防衛、警察等との間で連携をして、そうしたところについて国から直接的に、法律の問題もあると直接的にと申し上げますが、支援に対する態勢は昨日の時点で整備をしております。あとは現地に入れる入れないとか、そういう状況の中で連絡がというか、役場の機能が十分に果たせていない所についての対応を進めています。

記者:被曝の件に戻るんですけれども、この被曝や一連の対応、経緯を見ていると、事業者の対応というか見通しの甘さがあったのではないかという指摘もあると思うんですが、その辺の受け止めと今後事業者に求めたいこと何かあれば伺えますか。

官房長官:はい、まずこれは、原子力保安院や原子力安全委員会そして勿論私どももですね、適宜適切に判断、指示を出していく。そして、住民の皆さんを中心に、国民の皆さんの安全というかに関する意思から考えてもですね、スピーディーにかつ正確に情報を提供して頂くことがこうした対応の大前提というふうに思っております。これはこの間、原子力発電所の問題が発生してから、もう一日半ぐらいになるんでしょうか。この間繰り返し、保安院あるいは経産大臣、さらには総理も含めて東京電力に対しては適宜適切にスピーディーにかつ正確な情報を提供し、なおかつ、公表するようにということは繰り返し求めております。昨夜午前2時過ぎには、私から直接清水社長に対してその点について強く指示を致したところであります。

よろしいですね。

はい、ありがとうございました。