官房長官の記者会見テキスト(2011年3月13日11時00分ごろから18分間)

【冒頭発言】

官房長官:それでは、今朝ほどの会見でも申し上げました、東京電力福島第一原子力発電所3号機に関する事象について、ご報告を申し上げます。今朝ほど、福島第1原子力発電所3号機について、注水機能、水を注ぎこむ機能が停止をしたということのご報告を申し上げたかと思います。その結果、圧力容器内、いわゆる燃料棒とかが浸っている水の水位が低下をし、燃料棒上部が水面上に露出をしたものと想定をされます。このため、圧力容器、原子炉の本体の一番内側の容器でございますが、9時05分、圧力容器の安全弁を開き、原子炉内の圧力は低下をいたしました。9時08分には、水の注入を開始をいたしました。これは海水ではなくて、真水でございます。9時08分には、真水の注入を開始をいたしまして、9時25分には、ホウ酸を混入することにより、一層の安全性を高める手段を採りました。同時に、9時20分、格納容器、一番内側の炉の入っている圧力容器の安全弁が開いたのは、9時05分。そのことで、炉の圧力が低下し、続いて、9時20分に、格納容器の方の、いわゆるベントを開始をいたしまして、この結果として、原子炉格納容器の冷却が開始をされていると思われます。このベントを開始した9時20分以降、昨日に続き、微量の放射性物質が排気塔より放出をされたものと思われています。この前後の現地の放射線のモニタリングの調査でありますが、昨日、1015の数値を出しましたNP4と言われます地点についてでございますが、今朝の午前0時30分には44.6、今朝の6時には36.7でございましたものが、9時20分前後にベントを開始をしておりますが、その9時20分に76.9、そして9時30分には70.3を観測をいたしました。引き続き観測を続けておりますが、ベントにより想定される範囲内で、管理された形で、微量の放射性物質を含む気体が放出をされているという状況でございますが、まさにこうした事態に対応するための手順に基づきましてなされているものでございますので、人体に影響を与える放射線が放出をされているものではございませんので、ご安心をいただければというふうに思います。

 なお、避難をされた方々等の被ばくに対する不安が高いものと思われております。このため、福島県の意向も確認しながら、次のような対応を検討しております。福島県において避難者のリストを作成をしております。国の責任で、福島県と連携して各避難所に専門家からなる救護所を設け、全ての避難者と、そして心配な人に対し、被ばくに関するスクリーニングとその後の評価、医療対応へのつなぎを行う専門チームを複数設けたいと思っております。その際、関係道府県の協力も求めたいと思っておりまして、そのための調整に入られていただいているところでございます。

 少し追加して情報を提供させていただきます。先ほどのNP4のデータでございますが、8時33分、直接のベントの影響ではなくてではございますが、1204.2という数字が観測、計測をされております。こうした数字の全体像をご覧いただきますと、放射線の変動は大きいんですけれども、ベント等によって大きな上昇というのものは見られていないということでございます。

【質疑応答】

記者:読売新聞のクリバヤシです。燃料棒の露出があったということですけれども、現時点でどれぐらい露出しているかとか、炉心の溶融が起きている可能性はどれぐらいあるのか。

官房長官:現時点では注水を行いまして、露出は別に埋まっているというふうに、注入した水の量から覆われております。

記者:確認ですが、1号機においては、政府として炉心の溶融が起きていたという認識でしょうか。

官房長官:これは十分可能性があるということで。当然炉の中でありますので、確定はできていませんが、その想定の元に対応しておりますし、今回の場合も3号機についても可能性があるという前提で対応しています。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。先ほどおしゃっていたその被曝対策の専門チームですけど、複数設けるという話でしたが、どのぐらいの人員の規模でその関係道府県の協力も求めるということですが、いつぐらいまでに準備するというお考えでしょうか。

官房長官:福島県の意向も確認をした上で調整しなければならないと思いますが、最大限の可能性を前提に福島県の意向とあるいは受け入れの体制と合わせながら最終的に体制を確定したいと思っています。

記者:時事通信のコウケツです。先ほどおっしゃった8時33分の1204という数字ですが、昨日1000いくつという数字が出た時は、ベント後だったのでという説明だったと思うんですけれども。今回ベントの前にこうした数字が出ているというのは、原因は何なんでしょうか。

官房長官:おそらくですね、1号機のベントは継続をしています。それと風向き等によって影響されますので、そうしたものの結果であるというふうに分析しています。この数字自体、昨日の数字同様ですね、そのことが一時的にこうした数字が出ても人体に影響を及ぼす数字ではないということの中でございます。今後も風向き等によっては一時的に変動することは当然ありうるということの想定の中でやっております。こうした数字がどんどん上がっていったりとか、非常に高い数字がこの時点で限らず継続したりということであれば、問題であろうというふうに思いますが、まさにそこはしっかりと計測を継続的に進めていっておりますし、この8時33分以降はむしろ急速に減って、さらに減る傾向でございますので、人体に与える影響については想定の範囲内であると。直接の影響は現れないというふうに思っております。

記者:ただ昨日の1号機の周辺に出た数字と今日出た数字の間に、時間の開きがかなりあると思うんですけれども、なぜこんなふうな形で数字が、1号機ベントの影響はですね、こんなふうな形で出てくるんでしょうか。

官房長官:ベントというのは継続的に行われているわけです。1号機は現に注水を続けておりますが、海水の注水を続けておりますが、1号機からも継続してベントによる気体の放出が行われておりまして、その中には微量の放射線物質が継続して出されているわけです。今回はそれに加えて3号炉からも同じような手当をとったということでありますので、1号炉だけでもその影響が風向き等によって数字が大きく上下動するということは当然ありうるということで。昨日のご説明でもそうした趣旨のことを申しあげているというふうに思っております。今後も変動はいろいろとありうるというふうに思っております。繰り返しますと、そうした数字がですね、継続して急激な上昇をしているとかですね、あるいは継続して高い数値を継続していると、あるいは複数の視点で非常に高い数値が見られるということがあれば、問題でありますが。1箇所についての変動が多々あるということは今後もありうることだということはご理解頂ければと思います。

記者:東京新聞の●●ですが、条件は違うと思うんですけれども、1号機がこういうような作業をやった後に水素爆発が出たと。今回そういう可能性、勿論条件が違うと思うんですが、どういうふうに見ていらっしゃいますか。

官房長官:今回はそういう可能性の起こる前に注水がしっかりと確保できたと。そしてベントの段取りが上手く取れたというふうに思っております。

記者:産経新聞のノダですけれども、その1204マイクロシーベルトというですね、8時33分ですか、それの数値というは結局1号機の関係なんですか、3号機の関係によって起こったと見られるんですか。

官房長官:基本的には1号機の影響であろうというふうに追跡、分析しています。

記者:すみません、共同通信の●●です。先ほどの会見でですね、相当数の追加的な避難のになるとありましたけれども、オペレーションを含めてですね、スムーズに出来るのかどうか、その解決も含めてご説明ください。

官房長官:ここについては現時点では特別に混乱を生じていると。勿論個々の当事者の皆さんにとってはまさに生活の拠点と離れて移動していただくわけですので、大変なご苦労をおかけしているかというふうに思いますが、大きな混乱等の報告は受けておりません。

記者:すみません、共同通信ですが、先ほどテレビ番組で枝野さんが、連絡が取れない自治体に対して、法律的には県が●●が、国の支援についても順次始めているとおっしゃていましたが、具体的にどういう支援を考えているのか、その何らかの立法的な措置も含めてどんな措置をするお考えなのですか。

官房長官:いや、立法措置というよりも現実対応の問題でございまして、当該市町村に普通の状況であれば、県から職員等が出向かれて、フォロー対応されるということになろうかと思いますが、これに国から直接職員等が出向いて頂いてサポートするということ。あるいは当該自治体からの要請を待たずに、県、国からですね、直接現地に場合によっては乗り込んで対応をお手伝いしていく、こういうことです。

記者:フジテレビのタカダですが、確認ですが、避難指示が出ている福島の第一と第二の原発以外に、例えば女川ですとか、被災地の近く、他の原発で異常の兆候は今のところ何もないと理解してもよろしいのでしょうか。

官房長官:はい、ございません。

記者:時事通信のコウケツですが、そうするとその3号機はベント以外で放射性物質が漏えいしていることはないということですか。

官房長官:現時点でそうした兆候、可能性のあるデータ等はありません。それから段取りから考えても3号炉から放出されてるとすればベントによって管理された形で出ているものというふうに思っております。

記者:自治体の支援の関係なんですけれども、例えば大槌町等ですね、災害対策基本法によると避難指示等ですね、県が代行できる規定があると思うんですけれども、県知事による避難指示命令その他の災害対応の職務の代行もすでに行われているんでしょうか。

官房長官:総務省の情報が全てこちらに、すぐに私の手元にくるものではございませんので、一義的にはその情報があれば総務省に入っているかというふうに思いますが、こちらまではまだ入っておりません。そうした情報はありません。

記者:すみません、先ほどの避難のことなんですけれども、どういった体制でというのは、数字が手元には入っているのか、バスが何台があるか、例えばですね。

官房長官:ちょっとその手元の数字はございません。国土交通省が運送手段の手配等にご協力するか、対応して頂いておりまして、避難そのものは自治体の所管で行われるものでございますので、それを国土交通省中心に、勿論警察、消防、お手伝いしておりますが、対応しているということでございます。

記者:それからですね、今回一連の原発対応、避難も含めてなんですけれども、関係者がその後手に回っているという指摘も出てますけれども、政府としてはそういった印象はおありでしょうか。

官房長官:特に避難をされている当事者の皆さんにとりましてはですね、大変不安の大きい中で対応を頂いております。また3キロ圏内の皆さんにとっては2段階でのある意味では指示ということになりました。ということについてはそれが初めてからそういう気持ちがあるとは私はある意味では当然のことだろうというふうに思っております。一方でまさに事案のことから性質から考えて常に万が一の事態に備えて万全の策を取っていくということが必要だというふうに思っておりまして、そういった意味ではこの間その時点で想定される万全の策を取りながら、きちんと住民の皆さんに直接の健康の被害が生じない範囲内でそのリスクの拡大を止めるという対応をしてきております。今後ともですね、できるだけ早い段階でリスクの拡大の兆候、あるいは変化が出た時には直ちに対応ができるようにという体制を整えてまいりたいと思っております。

記者:すみません、1号機の関係なんですが、今安定的に海水を注入できている状態が続いているということですけれども、あらゆるその事態を想定した場合というのは、これがもし万が一できなくなった場合も想定して今準備をされていると理解してよろしいですか。

官房長官:はい、これは福島第一原子力発電所、第二原子力発電所、いずれも緊急停止の状況からですね、冷却等についての問題を抱えている状況でございますので、1号に関わらずですね、全て現状での機能がどうなったら、どうするかということについての準備を事前に進めてきております。その結果として1号機の昨日の爆発の対応に対しても、ぎりぎりのところ、落下かもしれませんけれども、きちんと大きな被害を拡大する以前の段階で海水等の注入をすることができたと思っておりますので、今後とも1号炉に限らずですね、そういった準備を常に前倒しで進めてまいりたいと思っております。