官房長官の記者会見テキスト(2011年3月13日16時50分から21分間)

【冒頭発言】

官房長官:お待たせをしまして申し訳ありません。常に最新の情報を持って来ようと思っているのですが、まさに事態が時々刻々変わっておりますので、どこかの段階でそこまでの情報ということでこちらに参っておりますので、それは御了解をいただきたいと思います。

私から何点か御報告を申し上げることがございます。

まず、先ほど海江田経済産業大臣からも発表がございましたとおり、東北地方太平洋沖地震におきまして、東京電力及び東北電力管内における電力供給設備について、大きな被害が出ているところでございます。そこで海江田大臣より両電力会社に対し、電力供給設備の早期復旧や他社からの融通の増加等によって、最大限の供給力を確保するよう指示しているところでございますが、供給力が短期間に復旧する見込みは低く、明日以降、両電力会社管内で相当量の電力不足が生じる可能性が高くなっております。こうした事態に対応するため、政府においては電力需給緊急対策本部を設置することとし、本日17時過ぎより第1回会合を開催することといたしました。同本部において東京電力及び東北電力管内における電力需給の動向を踏まえた対応策を早急に検討、策定することとしているが、こうした異常事態にかんがみ、国民の皆様におかれても不要不急の電力機器の使用を控えていただくなど、最大限の節電に御協力をお願いしたいと思います。

 国民の皆様の御理解をいただきつつ、こうした電力供給不足への適切な対応を図っていくため、本日付で蓮舫国務大臣に節電啓発等担当大臣を命ずることといたしました。後ほどその辞令が交付される予定でございます。

 また、今後避難所で暮らす方や、自宅の復旧をされる方への支援などといった場面で、政府の役割に加え、ボランティアの皆さんの役割が大変重要になってまいります。こうしたことから、さまざまなボランティア活動と政府との間の連携を進めるため、本日付で災害ボランティア担当として、辻元清美衆議院議員に総理補佐官を命ずるところといたしました。後ほど総理から辞令交付を行う予定でございます。詳しくは両案件とも内閣官房副長官補室までお問い合わせいただきたいと思います。

 更に今回の地震により、我が国の経済活動について、広い範囲にわたって相当程度の影響が出てくると考えられます。このため、関係閣僚間で認識を共有し、必要な対応をとっていくため、第2回経済情勢に関する検討会合を本日夕方から夜にかけて開催をいたします。第1回は地震の前に行われたものでございますが、その枠組みを利用いたしまして、この地震による影響等に対する対応のために、経済情勢に関する検討会合を開催いたします。

 もう一点、本日、政令を持ち回り閣議で決定をいたしました。「平成23年東北地方太平洋沖地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」という政令を指定いたしました。具体的な内容といたしましては、行政上の権利利益の満了日の延長、期間内に履行されなかった行政上の義務の履行の免責、法人の破産手続開始の決定の特例を行うものでございます。

 更に、日本におられる外国の方、また海外で日本のことをフォローされる方々に、日本の現在の状況を正しく理解していただくよう、官邸、関係省庁、在外公館でも、英語を始めとする各国語による対外的な発信に積極的に取り組むよう、私から指示をいたしました。

【質疑応答】

記者:毎日新聞のカゲヤマです。総理補佐官辻元議員のことですが、任命の理由とですね、先ほど辻元議員が官邸に来られていたようですが、その連絡機関みたいなものを政府として設ける、ボランティアの連絡機関みたいなものを設けるような考えはありますでしょうか。

官房長官:はい、まさに阪神淡路大震災を始めとしてですね、新潟などでの地震、様々な場面で災害ボランティアの皆さんの活躍が復旧に大きな力となってきているところでございます。一方で、こうしたボランティアの皆さんしっかりと現地のニーズに合わせて対応して頂きませんと、せっかくの好意が効果をあげないどころか場合によってはマイナスの影響を与えることもあります。従いまして、しっかりと活動基盤を支援し、あるいは情報の交換、提供などの連携が必要である。こうした仕事について、これはもう皆さんご承知のとおり辻元議員は阪神淡路大震災の折にも、当時はまだ議員でいらっしゃらなかったと思いますが、そうした活動に自らも取り組まれ、議員になられて以降もいわゆるNPOなどの皆さんとの連携の先頭に立って来られた一人でございます。従いまして、こうした場面でそうした役割を担って頂くのに、適任であろうということで総理においてこうした任命をされたと聞いております。仕組みとしては私の元にですね、内閣官房副長官補室の元になると思いますが、この問題のチームを作りまして、そのチームの事実上仕切っていただいて政府としてのボランティアの皆さんの活動の基盤の支援や、情報交換提供等、できる活動を行っていきたいとこういうものでございます。

記者:産経新聞のノダですけれども、その電力不足の話なんですけれども、その政府としてはですね、国民にどれぐらいの節電を求めると、呼びかけるということでよろしくお願いします。

官房長官:まず具体的なことは、これは資源エネルギー庁、経済産業省とそれから東京電力、東北電力との間でどう電力の供給力がどうなるのかというのは、これはいろいろと従来からこの間整理してきていただいております。こうした状況でございますので、まずは国民の皆さんにはできる範囲内での最大の節電の努力をしていただきたいというのは基本的な状況であるというふうに思っております。東京電力等の対応の見通し等含めてですね、状況を把握し、あるいはそれに応じてですね、関係各部局の対応等が必要あるのか、それについての想定準備ができているか等をこの後の第1回対策本部できちんと整理をした上で国民の皆さんに対しては新たに担当大臣、節電啓発の担当を兼務して頂くことになった蓮舫大臣の元で整理をして、改めて国民の皆さんにお呼びかけをさせていただくことになろうかと思います。

記者:読売新聞のクリバヤシです。その節電啓発担当の大臣にですね、エネルギー担当お大臣でなくて蓮舫大臣を任命した理由とですね、当面、どういったことがその理由になるんでしょうか。

官房長官:ご承知のとおり、経済産業省は、一方では原子力発電所の問題、これに対する対応、そして経済全体の問題についての対応、そしてこの停電関連の対応と、非常に重要な役割をいくつも行っていただいております。勿論電力事業者との関係でその問題そのものの本体は経済産業省の所管でございますが、こうした状況を踏まえてですね、国民の皆さんにご協力をいただかないといけない状況の中で、そうしたことをきちんとわかりやすくしかも具体的にどうお伝えしお願いしていくかということが主たる役割になろうかというふうに思っておりますが、こうした点で蓮舫大臣、国民の皆さんに幅広く、特に必要なところに十分な手段を使って情報をお伝えしお願いしていくというこうした観点は誰よりも適任だろうと、こういうご判断だったと伺っております。

記者:●●です。宮城県警の本部長が死亡者の数が万単位にのぼるという見通しを示していますが、政府としての被害状況の把握はいかがでしょうか。

官房長官:具体的な数字については、これは警察、消防で把握して頂いたものは政府の対策本部の方にもお届けをいただいております。これを整理したものは対策本部の方から適宜皆さんにお伝えをさせて頂いているものと思っておりますが、見通しについてはそれぞれの立場がございます。相当な数の方が亡くなられたと残念ながら見込まれる状況であるという認識の元にこの間対応を進めておりますが、その具体的な数の見通しということについては申し上げるべきではないのではないかと、私の立場からは申し上げるべきではないのではないかと思っております。

記者:毎日新聞のカゲヤマですが、自衛隊を10万人態勢にすることを総理が北沢防衛大臣に指示したということなんですが。24万人いるうちの10万人を出動させることが可能なのかということと、陸海空様々ありますが、どういった支援が中心になるのか、ヘリによる救援や生活物資の運搬などが想定されると思いますが、どういった支援が中心になろうか、お願いします。

官房長官:具体的なところは防衛大臣の元で防災担当大臣とご連携頂きましてですね、進めて頂いております。まさにその時点その時点で最も必要になる能力、機能というものは時系列によって変わってくるのかというふうに思っておりますが、ここまでの間は特に空からの被害状況の把握と空からの救援、あるいは海からの救援といったことが中心になっておりますが、すでに陸の部隊の皆さんがまさに自己完結している形で被災地に入って、そこではもうまさにあらゆる支援をさせていただいております。この被害状況がさらに明らかになってくるにつれてこうした必要性、ニーズがさらに高まると残念ながら想定されておりますので、総理においてはそうしたところにしっかりと部隊送ってですね、最大限の支援をできるようにということでそうした指示を出され、それを踏まえて具体的なところは防災大臣と防衛大臣の間で今調整頂いて、できるところから進めていっていると聞いております。

記者:●●のタナカです。原発の関係なんですけれども、これまで被曝された方、もしくは被曝した可能性のある方はどの程度いらっしゃるのでしょうか。

官房長官:被曝された方の情報については私がご報告した9名の方を含めてですね、幾つかの情報がございます。今福島県のところですね、整理していると同時にですね、そうした皆さんを始め、さらに状況として被曝されている可能性のある方に対する対応について、これは今朝ほど申し上げたかというふうに思いますが、すでに福島県と連携をししましてですね、これは広域的かつ国からも含めたですね、チェック、対応の態勢を今組んでいるところであります。

記者:NHK●●です。先ほど政令を徹底されて、権利を延長して義務を免責●●する話がありましたけれども、具体的にこれは被災者にとってはどういうメリットがあるんでしょうか。

官房長官:例えばですね、様々な行政上の期限がもう数日後に迫っているという方で今現に避難所におられる方については、手続きを取りたくても必要書類等、そもそもが揃えるところが時間的にも精神的にもそんな余裕は到底あられないというふうに思います。こうした方々にですね、期限が切れたから、その手続は施行の効力がありませんよとか、期限に遅れたからペナルティ課せられると、こういったことはできないということで、これをを決めるにあたっては政令が必要だということで、政令を今日持ち回りで決めたということです。

記者:これは免許証の更新とか、そういうことですかね。

官房長官:はい、免許証の更新が典型例だというふうに思います。

記者:TBSのアクイです。先ほど電力需給の逼迫のお話がありましたが、明日から平日を迎えるわけですけれど、いわゆる輪番停電というのは避けられないという見通しなんでしょうか。

官房長官:今東京電力等、電力会社と、資源エネルギー庁、経済産業省との間でいろいろご相談をして頂いているというふうに報告を受けております。できるならば、避けられるならば避けたほうがいいというふうに思っておりますが、そうしたことに対する情報、情勢を整理していただいて、緊急対策本部を開催することになろうかと思っております。

記者:もし輪番停電を行うとなるとですね、早めにアナウンスをしたほうがいいのではないかと思うんですが、いつ頃までにそれは決定するべきと考えているのでしょうか。

官房長官:まさにやらざるを得ないということであれば、できるだけ早くと。一方で、やらないで済むならやらないで済ましたいということの中で、ぎりぎりの検討と調整を電力会社と経産省の間でしていただいていると聞いております。

記者:●●すでに数か国から数チームが入っていると思うんですけれども、現在の活動状況とまた改めて海外から多くの支援の申し出があることに対しての長官がどう考えられますか。

官房長官:海外からの支援の詳細については、外務省が整理、まとめておりますので、外務省にお尋ね頂ければというふうに思っております。そしてこうした日本にとってまさに国難といえる状況に対して、大変多くの国々からご支援のお申し出を頂いていることは、本当にありがたいことだというふうに思っております。こうした皆さんの思い、ご好意というものをですね、できるだけ活かしていけるように外務省、そして防災担当の方でしっかりと情報整理をしてお願いできることから、順次お願いしていっているところでございます。

記者:時事通信のコウケツです。原発の関連の報道対応の話なんですが、その保安院と東電と政府の会見が相前後するタイミングで行われる一方で、その回答についてはそれぞれ内容が違うという例が散見されるんですけれども、こうした報道対応のあり方について見なおすべきだという声も上がっていますけれども、長官はどのようにお考えなんでしょうか。

官房長官:はい、それぞれの立場、当事者たる東京電力、それからそれを技術的に、専門的にチェック、監視をする保安院、そして私の方からはまさに国民の皆さんに政府を代表として大きな方向、大きな状況をしっかりとお伝えをするという立場、それぞれの立場役割の違いがありますので、それぞれの立場でのいろいろなマスコミの皆さんを通じての国民の皆さんへの発表をしてきているところでございますが、まさに時々刻々と変わることの中で場合によっては、状況によってはお伝え頂くメディアの皆さんにとってもご不便な点もあろうかということは理解いたしております。整理しようとするとどうしてもお伝えするのが整理の間遅くなる。一方でできるだけ早くお伝えしたほうがいいということの兼ね合いの中ですね。問題意識を持って検討させていただきたいと思います。

記者:共同通信カワイですが。先ほど●●災害の停電の件は、過去の例ですと●●。

官房長官:恐れいります、過去の例までちょっと持ってきておりません。

記者:産経新聞のノダですけれども、その福島原発の件で新しい情報はありますでしょうか。

官房長官:この会見の前の段階では改めて情報を取ってきておりません。大きな必要なことがあれば、当然入ってきているというふうに思いますが。私はここに参る前の段階では特にこちらから求めませんでしたので、新しい大きな、私が知るべき情報はその時点でなかったと思っております。

記者:NHKヤマグチです。先ほどの党首会談で菅総理の方から谷垣総裁に対して、改めて協力の要請がありましたが、これは政府としては年度内の予算案と関連法案の成立ということが念頭にあるという理解でよろしいのでしょうか。

官房長官:総理が具体的な党首会談の中で私同席しておりませんでしたので、どういう言葉でどういう思いでお願いされたかということを直接承知は致しておりませんが、野党の皆さん、谷垣総裁を始めですね、こうした状況であるので、まさに超党派でご協力を頂けると申し出をいただいておりますので、一般的に言えば包括的にお願いをさせていただいたんだというふうに思っております。具体的な詳細等についてはおそらく、幹事長間とかですね、そういったことでご相談をされるのではないかと思います。