官房長官の記者会見テキスト(2011年3月13日20時00分から15分間)

【冒頭発言】

 私からは若干実務的になるかもしれませんが、3点について御報告を申し上げます。先ほどの会見の折に、電力需給に対する対策本部の開催を行うということで御報告を申し上げましたが、その際の御質問でもあったかと思いますが、もし先ほど総理より御説明申し上げたような対応になるのであれば、早い方がいいというような御質問もあったかというふうに思っております。この間、実務的な様々な調整を行った上で、先ほどの総理のような御報告になりましたので、まずは国民の皆さんにしっかりとお伝えをし、お願いをすることが重要であるということで、この発表を先行させていただきました。これに伴いまして、この会見の後、時間を整理いたしまして、全体としての災害対策本部、原子力対策本部、そして先ほど申し上げました、この停電等を伴う電力需給に対する対策本部、そして経済関係の会議というものを続けて執り行うということで、今その調整に入っているところでございます。

 2点目について。2点目は食料等の搬送についてでございます。総理からお話いただきましたように、これについて全力を挙げているところでございますが、特に海岸部の地域に対する伝達が必ずしも十分にできていないという状況になっているという報告をいただいております。これについては新たな様々な手法を駆使して、海岸部の皆さんに一刻も早く必要な食料品等が届くような手配を改めて取っておりますことを御報告を申し上げます。どこかの時点で、改めてこの状況については御報告ができるのではないかというふうに思っております。

 3点目は、福島第一原子力発電所3号機の状況でございます。先ほど海水を圧力容器内に注入を始めて水位が上昇し始めたという御報告をしたかと思っております。これについては、その後一定の上昇をいたしましたが、その後、圧力容器内の水位計が上昇の数値を示しておりません。しかし、水は供給をし続けているという状況でございます。この状況をどう判断をするか。昨日の1号炉の爆発以降、こうした状況下の時点がございました。今回はこの3号炉の弁の不具合が生じている可能性が高いということで、この弁の不具合を解消して、内部の空気圧をしっかりと下げるための努力を進めていただいているところでございます。なお、現実点で発電所周辺の放射線モニターに特段の変化は起きておりません。直近の状況について、3号機について御報告を申し上げたところでございます。

私の方からは以上でございます。

【質疑応答】

記者:すみません、共同通信の●●ですが、まず一点、総理がメッセージを発られましたけれど、総理が質疑応答に応じない理由はなんでなのか。というのは、谷垣自民党総裁とやりました際は、枝野官房長官は同席されていないと思うんですけれども、そういうのも含めて、総理がメッセージだけで●●はどういっていたのですか。

官房長官: 皆さんからの質疑しっかりとお答えしてですね、国民の皆さんにある意味しっかりとそうした形のメッセージを伝えることは大変重要かというふうに思っております。一方、これはすでに皆さん十分ご承知のとおり、今あらゆる分野で全力でこの災害対応にあたっております。具体的な中身についてきちんとご説明を申し上げるために、今回発表の中心になりました電力量、供給の問題について、この後担当する大臣からご報告を申し上げ、質疑をさせて頂くことに致しております。それからそれぞれの担当部局、あるいは対策本部としての細かい数字等のデータ等の発表は適宜させていただいていることかというふうに思っております。こうした状況の中で今の時点では総理からは国民の皆さんに、大変生活に大きな影響を与える重要なメッセージでありましたので、敢えて総理ご自身が国民の皆さんにお願いをしたいということでそうした発表をさせて頂きましたが、質疑という段階の詳細については担当大臣からさせて頂くということにしました。そのことについてはご理解を頂きたいとお願いを申し上げます。

記者:日本テレビのヒラモトですけれども。福島第1原発の3号機についてですね、先ほど、水を入れているけれども水位計が上昇を示していないということでしたけれども、この原因についてですね、単に水位計が壊れているだけなのか、それとも水漏れをしているとか他の憂慮する事態が起きているのか、いま一体どういった状態なんでしょうか。

官房長官:まず客観的な問題として、昨日の1号炉についてはある段階でこの水位計が機能しなくなっておりました。その後、しっかりと水を入れて、水位計に関係なくですね、しっかりと水で浸すという状況を今作り上げているところでございます。その他の状況については、今専門家の皆さんで鋭意分析をしていただいているところであります。と同時に、その原因の一つの可能性として、考えられる圧力を抜く弁の不具合についての解消に向けては、これは具体的に動いているところでございます。

記者:この第1号機と同様に、爆発の可能性があるという指摘を枝野長官が示したんですが、その可能性は今残っているんでしょうか。

官房長官:さきほど申し上げたような意味ではその可能性は残っておりますが、それは先ほど申しましたとおりですね、この点については昨日の状況よりは良い状況ではないか、というのはある時期まで外に抜けている状況がございますので。ただこれについての詳細も今専門家の皆さんに分析を頂いています。ただこれについてはもしそれが発生しても、昨日と同じように一番外側の部分が崩れる、壊れることによってですね、その威力を弱めて原子炉本体のところに影響が及ばない、この点の分析については専門家の皆さんに頂いている。これは変わりありません。

記者:産経新聞のノダですけれども、その3号機の話なんですが、水位が上がらないということなんですけれども、その燃料棒のですね、露出については大丈夫なんでしょうか。

官房長官:当然露出をしている可能性についても想定しながら対応、分析と、それからできるだけ早くその弁の不具合についての対応をとるべく全力をあげているところでございます。

記者:読売新聞のクリバヤシです。計画的な停の件なんですけれども、現時点でどれぐらいの範囲でどれぐらいの期間で措置が必要とみられるのか…。

官房長官:その点、その手のことについてはこの後、海江田大臣、蓮舫大臣からご説明を申し上げ、質疑にも対応させていただきますので、そちらに聞いていただればと思います。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。先ほど総理のメッセージの中にあったその追加的法律の処置も考えていると、これはその今回の地震を受けて特別立法のようなものも考えるという趣旨でよろしいんでしょうか。総理がおられましたら、総理に伺いたいんですが。お願いします。

官房長官:はい、今の時点で具体的にどういったものをということが上がっているわけではありません。しかしまさに、この間、野党の皆さんにも最大限のご協力をするということで申し出ていただいておりますことを踏まえて、必要があれば特別な立法措置も含めて、対応について検討しているとその趣旨を仰られてたものと私も承っております。

記者:それにも関連するんですけれど、自民党の谷垣総裁が党首会談の後に増税の可能性を提案しているんですね、総理に。

官房長官:何のですか。

記者:増税。それで総理もそれに参与を示すような発言をしたとされてるんですが、その事実関係はいかがですか。

官房長官:現時点ではあらゆる可能性を否定出来ない、まさにわが国にとってこれまで直面していない事態でございますので、今の時点であらゆる可能性を否定しないということが政府としての基本的な考え方でございます。ただ具体的にそのことについて今検討とか、必要性についての分析をしているという段階ではございません。

記者:そうすると、政府として増税の可能性を検討しているという理解でよろしいですか。

官房長官:いいえ、その検討に入る、まだ前の段階でございます。ただあらゆる可能性を今否定することはできないという状態だとも思っております。

記者:時事通信のコウケツです。水位計の上昇を示していないということと、弁の不具体が生じていることの因果関係というのは、どういうことなんでしょうか。

官房長官:そのことについても専門家の皆さんに分析を致してお願いしていますが、弁に不具合が生じているということについてはほぼ間違いないという分析の結果を頂いておりますので、因果関係の有無に関わらずベンの開ける、あるいはそれに代わる措置ということを今最大限実現をすべく、これは現に動いていただいています。

記者:弁に不具合が生じると、水位計が上昇を示さないというのはなぜなんでしょうか。

官房長官:そういった専門的なことについてはむしろ保安院等の会見の折にお尋ねをいただければというふうに思っております。

記者:読売のクリバヤシです。弁の不具合が生じていることで建屋の圧力が高まっているということは確実なんですか。

官房長官:今これはデータとして徐々にでありますが、圧力が高まっていると、このことは報告を受けております。まただからこそいずれにしても弁の不具合を解消するための努力を致しております。

記者:圧力が高まっていることによって建屋の、あ、爆発ですとか、他の事態に発展する可能性は今のところはどの程度切迫しているのでしょうか。

官房長官:現時点では大きな切迫という状況ではありません。ただこの状態を長い時間放置をするとこはできないというふうに思っております。

記者:産経新聞のノダですけれども、宮城県三陸町で1万人が行方不明になっているというお話はその後どうなりましたでしょうか。

官房長官:まさに文字どおり行方不明になっておられるという状況で、主に空から当該地域の周辺については、捜索、情勢把握の努力を努めているところでございます。

記者:朝日新聞のサトウですが、昨日の夜の話ですが、自衛隊機がですね放射性物質がついたという情報があるんですけれども、真偽はどうでしょうか。

官房長官:少なくとも私のところにそういった報告はきておりません。

記者:野党ですね、その緊急対策本部に入れたらどうかというお話もあるんですが、それについてはどうお考えでしょうか。

官房長官:野党の皆さんを含めてですね、これはまさに国家の総力をあげて超党派で取り組まなければならないということについては、総理もおっしゃっておりますとおりこれは内閣をあげての認識でございます。具体的にどういった枠組み、どういった形でご協力を頂いて進めていくのかということについては検討させていただきたいと思っております。

記者:毎日新聞の●●です。被災地各地で医療機関等で薬が足りなくなっていることが予想されます。先ほど総理のお話の中に医療、医薬品についての話がなかったですけれども、政府はどのように考えているんですか。

官房長官:医薬品についてもですね、食糧や水等と同じように緊急に必要な物資として、これは厚生労働省が全力をあげて取り組んでおります。一定程度被災地に向けて送っているという状況にはなっているかと思っておりますが、これが特に被害の大きい海岸部、交通の状況も大変よくない状況がございますし、また被害が大きいだけに県庁所在地等に取りに来てくださいというのも難しい状況の中で、実際に一番現場のところにどう届けるのかについては食糧を含めてですね、今さらに手段を検討、工夫をしているところでございます。

記者:読売新聞のクリバヤシです。先ほど総理が東京電力の社長とお会いになったかと思うんですけれども、その際には、総理から具体的にどのような要請、要望を指示されたんでしょうか。

官房長官:これは直接にはお伺いしておりませんが、私も今日昼過ぎぐらいに社長とお会いをいたしましたが、その折私からはこの間原子力発電所の状況について、より迅速により正確に状況、情報を対策本部に報告してほしいと強く要請を致しました。さらに停電の起こる、総理が発表させて頂いたような状況が起こる可能性についてはすでに想定を致しておりましたので、そうしたことにならないような努力と。もしそうなる場合には万全な措置を取るよう、私からも社長に申しあげております。総理からも同様な趣旨があったものと推測しております。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。先ほど食糧搬送で新たな、様々な手法を駆使すると仰ってましたが。その海岸部の地域に船などを使って、海洋から何か供給できないかということをお考えだということでしょうか。

官房長官:可能性はあらゆることを検討致しておりますが、具体的にこういう方向ということが決まった段階でご報告させて頂くべきだろうというふうに思っております。