官房長官の記者会見テキスト(2011年3月14日11時00分から19分間)

【冒頭発言】

司会:お願いします。

:官房長官:今日はこの後、危機管理センターを主に中心となって指揮していただいてきております、松本防災担当大臣からも記者会見がございます。わたくしの方からは包括的な部分の若干と原子力発電所の件、そして、計画停電の件を中心にご報告をさせていただきます。まず冒頭、関係機関の情報提供の中には必ずしも適切ではない部分が見受けられます。そのために、必要以上のご不安を国民の皆様にお与えをしているのではないかと危惧をいたしております。政府の立場から、より適切にこうした点は注意するべきであると考えておりまして、こうした状況を皆様にお詫びを申し上げます。迅速に、しかし、正確な情報のみをしっかりとご報告をするようにということを、関係機関にしっかりと更に徹底して指示をしてまいりたいと思っております。東京電力福島第一原子力発電所について、保安院からのご報告と重複する部分が多いかと思いますが、わたくしからも改めてご報告を申し上げます。第一原子力発電所については、本日午前1時10分に排水ピットの水量が減少したため、これを補強、補給するための措置として、1号機及び3号機の原子炉への給水を一旦停止をいたしました。その後、補給ができたことから3時20分に3号機への給水を再開いたしております。その後、本日午前6時50分、3号機の原子炉格納容器の圧力が上昇したため、東京電力は屋外作業員に対して一時退避命令をかけました。しかし、その後、格納容器の圧力が下がり、現在は屋外作業を再開をしております。この間も給水を継続いたしております。なお1号機については格納容器圧力が安定をしており本日1時10分の停止後、現在は状況を見ておりましてこの状況を判断しながら必要に応じて給水を再開する予定であります。計画停電に関連してご報告を申し上げます。本日から東京電力管内において、計画停電が実施されております。実際の電力供給のストップはありませんが、計画停電のプロセスの中に入っております。計画停電の実施は、多くの国民の皆さんに大変なご不便をかけるものであり、ご不便を最小限に止めるよう、全力で取り組んでいるところでございます。この計画停電の実施に当たりましては、各方面から周知のためにできるだけ長い時間がほしいという声を多くいただいてまいりました。これを踏まえ、東京電力に対しましては電力供給予測の再精査、そして、大口需要家の皆さんに対する需要削減の更なる努力の要請を求めてきたところでございます。また私からも本日午前5時過ぎ、改めて国民の皆さんへの節電のご協力のお願いをさせていただきました。多くの皆さんの節電へのご協力の結果、現時点では電力の需要の状況から実際の送電の停止は行われておりません。しかしながら、そう遠くない時期に実際の電力供給のストップを実行せざるを得ないと認識いたしております。なお、計画停電に備えて鉄道の運休等がなされているのに、実際の停電が行われていないのでは混乱をさせただけではないかというご批判があろうかと思っております。多くの国民の皆さんにご不便をおかけする計画停電でございまして、その点についてはお詫びを申し上げ、ご理解をお願いするしかないと思っておりますが、今回の事態は鉄道事業者の皆様のご理解による運休の結果として電力使用量が抑えられ、停電の実行を猶予できているという、こういう状態であると認識いたしております。逆に計画停電がなされていない、あるいは運休等が無ければ、より早く電力不足の状況に陥り、何らかの形での停電に至る可能性が高まっていた、言わば裏表の関係にあるということをご理解をいただければと思っております。重ねて、計画停電については国民生活に多大なご負担をおかけいたしております。しかしながら、現実の電力供給量に限界がある中で、不測の停電という最悪の事態を防ぎ、なおかつ、可能な限りのそれに対する事前の周知、準備をお整えいただく中で、最小限にご不便を止めるための全力を尽くしておりますので、是非とも節電へのご協力を始めご理解をお願い申し上げます。わたくしからは以上です。

【質疑応答】

記者:読売新聞クリバヤシです。冒頭のですね情報提供が不適切な関係機関とは、具体的にどの機関のどの情報が間違っていたのか。

:官房長官:それぞれの機関がぎりぎりの状況の中で最善を尽くすよう、努力をいただいていると思っております。そうした中で結果的に国民の皆さんに適切な情報提供ができていないということについては、ある意味で国民の皆さん始め十分認識をされていると思いますので、個別のことについては申し上げませんが、厳しく繰り返し適切に、迅速かつ正確な情報を提供するよう、指示をしてまいりたいと思っております。

記者:国民から具体的にどの情報が適切でなかったと明らかして頂かないと、ますます混乱かと思うのですが、これ東京電力の停電に関する情報ということでよろしいでしょうか。

:官房長官:具体的に国民の皆さんに出された情報が、事実関係の変化がないにも関わらず、変化をしたということ、これは国民の皆さんに混乱をお与えしたのではないかというふうに認識をいたしております。迅速なことは重要です。同時に正確であるということも重要だと思っております。その両面を両立させること大変困難であるのも間違いありませんが、しかしこの両者をしっかり両立させて正確な情報提供にわたくし自身も努めてまいりたいと改めて自らに課していきたいと思っておりますが、関係機関にもそのことを強く求めてまいりたいと思っております。

記者:長官それは東電のことを言っているんですか。

:官房長官:具体的にこの間、公表の仕方、計画停電の場所等についての情報、官邸に届いた情報についても必ずしも当初正確でないものが届いていたのは間違いございません。

記者:東京電力以外に不適切な情報を出していた関係機関があるのかないのかってことが分からないと、混乱は収まらないと思います。

:官房長官:基本的には適切に正確な情報をお出しをしてきていただいてると思っておりますが、若干曖昧ではないかと思われてたり、あるいは提示をするタイミング等について適切では無かったのではないかというような部分があったのではないかと思っております。こうした点については出来るだけ迅速かつ正確にということを徹底をしてまいりたいというふうに思っております。

記者:産経新聞のオガワですけど、計画停電の関係なんですけれども、結局詰まるところはですね東電側が電力の需要と供給のギャップについて見通しが甘かった、というか見通しが上手くできてなかったと思われるんですけど、この点についてどう思われるかということと、それについて東京電力側から事前に政府は説明を受けていたと思うんですけど、適確な指示というか、そういうものは出来なかったのでしょうか。

:官房長官:地震以降の状況あるいは政府として国民の皆さんに節電を強くお願いをしている、状況等をしっかり踏まえて需給予測を行うということと共に、直接お呼びかけが可能な大口需要者の皆さんに対しては、是非直接節電をお呼びかけをして欲しい、ということについてはわたくしの方から昨夜東京電力に改めて指示を致しました。その結果として、できるだけ万全を期すためには実際の電力供給のストップのタイミングが遅い方が、これは万全という観点から望ましいということで、そのことが今、どの程度になるか最終的には確定がしておりませんが出来ている。こういう状況だと思っております。

記者:日本テレビのヒラモトですけど、原発についてお伺いしたいのですけど、福島の方の3号機についてですけれども、避難をする状況に陥ったと今報告がありましたけれども、具体的にですねどれ程の圧力の高まりがあって避難の状況に陥ったのか、あと引き続きですね爆発の可能性というのは現時点でまだあるという危険な状態なのかをお願いできますでしょうか。

:官房長官:まさに数字の問題でございますので、その時点での数字等については、保安院からのご説明、あるいは保安院の会見の折にお尋ねをいただければというふうに思いますが、こうしたものについては一定の圧力がかかりましたら退避をするというマニュアルが定められており、それに則っとって一旦退避をしたと、いう報告を受けてそれについては了解をいたしております。現在の3号炉の状態でございますが、これまでの間、これは前回、原子力発電所については前回になるかとおもいますが、今日の未明に水素が出ている可能性がある、ということでは1号炉と同じような可能性は否定できないと、そのことを申し上げた状況は変わっておりません。

記者:前回の会見のときにですね、弁の調子が悪くて今調整中というか不備があるという会見の趣旨で、その後その周囲の状況というのは変わっていない状況ですか。

:官房長官:圧力が一旦上昇し更に低下をしたとこの間の状況お伝えをしましたが、まさに弁は圧力を弱める為になっておりまして、現時点ではこの圧力が下がっているという状況のためにですね、新たに無理をして弁を開ける作業等にチャレンジをするよりも、この圧力が下がっている状況のもとで注水を続けてですね、冷却を進めるということの方が望ましいと、いう報告を受けて了解をいたしております。

記者:日本テレビのアオヤマですけれども、福島第1原発の3号機で爆発が今あったという情報が入りましたけれども、事前に何かそういう報告があったのか、それと現在の情報はどのように入っているのか、教えてください。

:官房長官:わたくしがこの会見場に来る直前の段階で3号機の状況について改めて報告を求めて、その情報を持ってまいりました。それに基づいて、先ほどご報告をいたしました。ただいまご覧の通りメモが入りましたが、11時5分現在、3号機から煙が出ているという可能性があって、爆発の起こった、あるいは爆発の恐れがあるのではないかということで、事実関係を確認中でございます。

記者:朝日新聞のサトウです。1号炉についてはですね炉心溶融が進んでいるふうに考えてよろしいのでしょうか。状況がですね昨日に比べて悪化しているのか良くなっているのかというのは、どうでしょうか。

:官房長官:現時点では圧力が大きくなっていないと、いうことは水にしっかりと浸されていて、炉心溶融等が進んでいないという状況でありますので、これで圧力が高まるような状況ですと、その可能性が出てきますので、その時点で水を入れていこうと、こういう判断だと聞いております。

司会:すみません恐縮です、今の案件に対する対応等ございますので、進行是非ご協力ください、すみません。

記者:読売新聞キムラです。ここに配布されている災害対策本部の資料ですと、1号機の水位っていうのはマイナスをずっと示しているのですが、故障しているということでよろしいでしょうか。

:官房長官:1号機についてはその他の様々な状況から、この水位計は実際の水位を示すものではないということ、これかなり早い段階から同じ数値を示してきているなかでそういう判断をいたしております。

記者:時事通信のコウケツです。東電との連絡体制の件で、原発の件で東電との連絡体制っていうのに、問題があったというふうにお考えになっているのでしょうか。

:官房長官:当初の段階、特に早い段階で、現場の方も、現場のまさに対応そのものに全力を上げているということもあったかと思いますが、より早く、より正確な情報を官邸、危機管理センターに伝えるようにと、いうことは何度か指示をいたしました。

司会:進行のご協力をお願いします。

記者:朝日新聞のサトウですが、女川原発で放射線が検出されたってことは、広域汚染の可能性があるのではないかとは思うのですけど、順にですね、もっとこう知らせるべきではないでしょうか。可能性があるということは。

:官房長官:現在の状況の中からは、今避難をいただいているところに居ていただければ、健康に害を及ぼすような放射性物質の恐れはないということで申し上げております。自然状況等によってですね、遠い部分のところに空気中に出たものが飛んでいく可能性はこれはある。そのことはその通りであります。ただ専門家のご意見を踏まえて、今の退避の距離のところに退避をしていただければ、それは健康に害を及ぼすものではないという、こういう判断をいたしております。できれば今の情報の確認あるいは分析にあたって陣頭指揮を執りたいと思いますのでお許しをいただければと、思いますがよろしいでしょうか。

司会:手短に最後、すみません。

記者:産経新聞のオダですけど、その関係なんですけど、今20キロ圏内で退避させてると思うのですけど、退避している人の20キロ離れているところで、どういう放射能かどうか、それを調査する意思あるのか、現在調査しているデータとかあれば教えてください。

:官房長官:これについてもできるだけ調査をできるようにということは、手配は既に指示しております。

司会:よろしいですか。

:官房長官:ありがとうございました。