官房長官の記者会見テキスト(2011年3月14日12時40分から14分間)

【冒頭発言】

 本日11時01分に爆発が確認されました東京電力福島第一原子力発電所3号機の件について御報告を申し上げます。

 皆さん、映像等をご覧になっていらっしゃる方々、大変御心配をされているかというふうに思いますが、その後入手した、あるいは確認したデータから結論を申し上げれば、先ほど申し上げたとおり、格納容器の健全性は維持されているものと思われます。格納容器の圧力は11時13分に380kPa、11時55分に360kPaで、内部圧力が安定しております。先ほどの会見で申し上げたとおり、現地所長の報告にあった健全性がある程度裏付けられたものと思います。また、放射線量のモニタリングの結果を見ますと、発電所内サービスホールで11時37分、50μSv/h、発電所正門付近で11時44分時点で20μSv/hとなっており、特段の変化は確認をされておりません。なお、若干距離のあります、約5km離れておりますオフサイトセンターの11時36分のデータも1μSv/h、昨日とほぼ同じ数値を示しておりまして、いずれも大量の放射線量を示すものではありません。なお、いずれのポイントにおいても中性子線について問題あるデータは出ていないと報告されております。また、中央制御室も維持されていることが確認されました。3号機に対する注水活動でございますが、実施中のまま作業員が退避をいたしたというのが正確な報告でございます。ただいま注水継続を目視確認するための努力、作業をどの段階でできるか、状況を把握をしているところでございます。なお、現地からは6名の負傷者が出たとの報告がございました。一部報道がありますが、東京電力の本店と現地の所長と、両名に確認いたしましたが両者からも、どちらからも行方不明の報告はございません。なお、避難の状況でございますが、先ほど「わずかな方が」という表現で報告をいたしましたが、若干、「わずかな」というのは適切でない表現であったかもしれません。12時30分現在、500名ほどの方が避難の途上にあります、20km圏内からの退避の途上にございます。以上のデータから、繰り返しになりますが、今回の事象は1号機での過日の水素爆発と同種のものと考えられ、現時点で格納容器の健全性は維持されており、放射性物質が大量に飛び散る可能性は低いと専門家を含めて認識をいたしております。先ほどの500名ほどの20km圏外への退避をまだされていない方々については、先ほど同様、屋内で待機をされるようお願いしているところでございますが、もう少しデータ等の経緯を見た上で、退避の行動を続けていただくタイミングを判断をしたいというふうに考えているところでございます。

 失礼いたしました。先ほど、オフサイドセンターの計測時刻を「11時36分」と申しましたが、「12時36分」であります。

【質疑応答】

官房長官:どうぞ。

記者:読売新聞のクリバヤシです。怪我をされた6人の方の所属とですね、どういう作業中に怪我をされたんですか。

官房長官:今怪我をされた皆さんの怪我の程度と正確などちらの関係者の方であるかということの確認作業を進めております。

記者:NHKの記者です。今回の3号機の爆発で周辺の他の原発への影響、1号機、2号機、4号機への影響などはいかがでしょうか。

官房長官:現時点では影響は確認をされておりませんが、爆発によって上に上がった天井等の落下物の危険がないことを確認した上で最終的な状況の確認に入ると、今このタイミングを探っているという報告を受けております。

記者:朝日新聞のサトウです。爆発は何回あったんでしょうか。

官房長官:これは普通に考えて1回であると。1つが建屋の中にあったものが何らかの形で爆発をしたものというふうに考えられています。

記者:テレビ朝日のコバヤシですが、この建屋の上層部に水素が溜まっている、いわゆるその原子炉の数、第一、第二を含めて他に何基あるんでしょうか。

官房長官:現時点では第1が先日水素爆発を起こしました。今回その可能性があるということで中止をしていた第3が爆発を致しました。他のところにはこうしたリスクは現時点では生じてないと、そうした事象が生じないようコントロールに努力しているということです。

記者:TBSのアクイです。今この再度の爆発の危険というのはないと見ていらっしゃるんでしょうか。

官房長官:この3号炉についてございますね。基本的にはそうした可能性は低いだろうというふうに専門家の皆さんが分析をされています。

記者:時事通信のコウケツです。先ほど爆発の時に、その圧力が若干低下したというふうにおっしゃいましたけれども、これは結果その爆発とは関係ないということなんでしょうか。

官房長官:直接の詳細のところはさらに分析をしなければならないというふうに聞いておりますが、現時点では圧力が一定程度維持されているということで、所長からご報告のあった健全性を裏付けるデータが出ていると、こういうのが現時点の状況であります。

記者:先ほどの380から360の圧力の低下というのは、これまでもあったような変動の範囲内でという理解でよろしいのでしょうか。

官房長官:この圧力については若干の変動があるということで、私もこの間いろいろな報告を受けていますし、その範囲であると思っております。

記者:産経新聞のノダですけれども、いずれにしても退避とされている範囲は20キロということで変わらないということでよろしいんでしょうか。

官房長官:はい、こうした水素が出ているその爆発の可能性があるということは以前の会見でもご報告を申し上げたと思います。その時点で想定されていた事態でございまして、こうした事態に備えて20キロ圏外へということを退避の指示を致しました。若干の皆さんが、500名程の皆さんが残念ながら途中、あるいはこれから退避ということでございましたので、こうした皆さんも屋内で待機をして頂ければ大きな健康への被害はない可能性が高いというふうに認識をしております。これは更にモニター、放射線量のモニターをしっかり行ってまいるということであります。

記者:今その20キロ圏内で500人の方は屋内で待機して、そのいずれの段階で20キロ以外に出てくるということですか、話をされるということですか。

官房長官:基本的には退避を続けて頂く、その条件が整うのがどのタイミングであるかということを専門家の皆さんの評価をとるか、これは危機管理の専門とそれから放射線、原子力の専門家と、両面の専門の皆さんのご意見を踏まえて、そのタイミングを判断するということでやります。

記者:屋内にたまった水素を出す現在、有効な手段はまだできていないんですか。

官房長官:いろいろな検討はこの間もしているという報告は伺いましたが、逆にそこに色々手を加えると、そのことが爆発の誘引になる可能性もあるということで。そして第1でも一応起きているその分析、あるいはそもそも建物の構造等の分析から炉に大きな影響を与える爆発の可能性は低いという判断の中で、この間、状況の監視を中心にということであります。

記者:共同通信の●●といいます。元々今回の3号炉に関しては、爆発の可能性が長官も会見で言ったように可能性があったわけですけど、そうした中で怪我のデータはわからないですが、怪我人が出たということについては…

官房長官:可能性のある中でありますが、一方でより大きな原子炉の状態の悪化ということを防いで、原子力被害を防ぐためには水を注入して冷却していくということが欠かせないと。こうしたことの中で爆発のリスクとそれによる一方での注水をしないというリスクを判断の中で、厳しい条件の中で作業に当たって頂いたと大変敬意を表する次第であります。

記者:毎日新聞のコヤマです。中性子線の量にも言及されましたけれども、中性子線の量に言及されたというのは、これは再臨界の可能性などを恐れているから言及されたんでしょうか。

官房長官:いいえ、これは炉の構造で、これ専門家の保安院のところでお尋ね頂ければというふうに思いますが、念のためこちらも計ってその数値には問題無いという報告を受けているものであります。

記者:読売のクリバヤシです。1号機と3号機両方についてですね、現時点でその放射線量や圧力など観測されない程度の亀裂などが生じていて、それが今後広がる可能性について現時点でどの程度危険性があると認識していらっしゃるんですか。

官房長官:実際にモニターされている周辺の放射線の量が、これは気象条件等で測定数値が変わってきますが、そうした変動はありますけれども、安定した数値でこの間ずっと推移をしてきています。さらには今回の爆発の後の数値についても、そうした範囲内で推移を致しておりますので、いずれにしてもこの原子炉を安全な状況に持っていくためには、原子炉内のガスを抜きながら水を入れていく作業が不可欠でありまして、それをできるだけ人体に影響を与えない範囲内で進めていくというその範囲の中で今進んでいる、こういうふうに認識しています。