官房長官の記者会見テキスト(2011年3月20日16時31分から43分間)

【冒頭発言】

官房長官:まず、人事案件でありますが、今般の震災等に対する今後の対応及び被災者支援等について、総理に対して情報提供や助言等を行なっていただくため、本日付けで北陸先端科学技術大学院大学理事・副学長の日比野靖さん、及び、防衛大学校安全保障・危機管理教育センター長の山口昇さん、両名を内閣官房参与に任命することとして、先ほど総理より辞令を交付いたしました。

 日比野さんは、情報通信や情報処理等の分野において優れた見識を有し、科学技術行政全般に関し、また山口さんは自衛隊等における勤務を通じて、危機管理等の分野において優れた見識を有しておられることから、現在の状況に対する対応等に関して、それぞれ助言を行なっていただくことといたしております。

 原子力発電所の状況については、東京電力等から、それぞれ適宜、具体的情報・数値等は御報告させていただいているところかと思います。

 現在、3号炉そして更には4号炉に対しても注水を行なって、プールの温度を冷却していく、そして電源を復旧をさせていくという両面について、現場において大変な御苦労をいただきながら、全力を上げて取り組んでいただいているところでございます。

 なお、3号機について、本日、圧力抑制室の圧力の数値が上昇していることから、万全を期すため、圧力を降下させる措置を行う検討準備を進めてきましたが、現時点では、直ちに放出を必要とする状況ではないため、この数値のモニタリングを注視しながら、必要な場合に備えた準備を進めていただいているという状況でございます。

 それから、食品中の放射性物質の検査でございますが、本日、関係各機関で行なっていただいているモニタリングについては、本日中に厚生労働省からまとめて御報告をいただくことといたしておりますが、現時点で官邸の方にも届いております情報として、茨城県内で行なわれた検査において、ホウレンソウ1件から暫定規制値を超える数値が検出をされました。

 また、福島県において、4か所の原乳から暫定規制値を超える数値が検出をされました。これらの検体については、食品衛生法に基づく必要な措置を講ずるよう、厚生労働省から関係自治体に対し依頼がなされております。

 なお、国としては、昨日も申し上げましたが、福島第1原子力発電所事故との関連を想定しつつ、引き続き調査を行なって、広範な調査結果の分析評価に基づいて、一定地域における摂取制限や出荷規制等の対応が必要か否か、明日中には結論を出していきたいと考えております。

 なお、昨日も申し上げましたが、今回検出された放射性物質濃度のホウレンソウを摂取し続けたからといって、直ちに健康に影響を及ぼすものとは考えられないということでございます。

 また、福島県内の原乳、今回暫定規制値を超える数値が検出された地域、あるいはその周辺部の原乳の流通への出荷等は、行なわれていないという報告も受けております。

被災者生活支援特別対策本部事務局について

 それから、被災者生活支援特別対策本部の事務局が立ち上がりまして、動き出しているところでございます。

 現在、まさに多種多様な案件をこちらで対応を進めているところでございます。

 特に、県外等への広域的かつ集団で避難をしていただく件については、受け入れ自治体の皆さんの負担を小さくし、なおかつ移動についてサポートするための具体的な調整作業を進めているところでございます。

【質疑応答】

記者:長官、朝日新聞の●●です。内閣官房参与の件なんですが、本当に必要な人事なのかというのはちょっと。例えば日比野さんというのは総理の長年の友人だと思うんですけど、まぁそうであれば友人ならですね、無償でアドバイスしてもいいように思うんですが、これは本当に必要な人事なのかどうか。総理の独断なのかどうかお聞きしたい。

官房長官:むしろご承知だと思いますけれども、こうした皆さんには一定の時間給的なものが支払われる仕組みにはなっておりますが、いずれもそうした観点で参与をお願いしたというよりも、様々なご助言をいただき、そうしたことについて行政関係各所から当然のことながら公文書的なものについての情報をしっかりとそういった皆さんに上げて頂く、いれて頂くと。そういったことにあたっては内閣官房参与という公的な立場の有無がですね、これはやはり公務でございますので、あった方が便利であるというようなケースがあるということで、今回参与という公的立場を持っていただいた。こういうふうに理解を致しております。

記者:もう一点あの、今朝のですね、日経新聞によりますと、政府が被災地の金融機関に公的資金を入れて支援するというような交渉を固めたとありましたが事実関係を教えてください。

官房長官:具体的な段取り等については関係省庁の方で整理をして必要があれば発表させて頂くことになろうかというふうに思いますが、当然のことながらこれ被災地域の金融機関がしっかりと被災者の皆さんの生活を支える一つの大きなインフラとしてしっかりと機能して頂くということはこれ政府として重要なことだと考えておりますので、関係機関においてそれをしっかり確保するための方策は指示を致しているところであります、

記者:TBSのイワタと申します。原発による風評被害なんですけれども、今日の各党政府震災対策合同会議の実務者会議で、長官の昨日の発表では福島茨城全体がダメかのような風評被害を招くという懸念の声が各党から出たということなんですが、これについてはどのようにお考えになりますでしょうか。

官房長官:まずですね、是非とも多くの国民の皆さんにご理解を頂きたいのは、今観測をされている、測定をされている原乳にしてもホウレンソウにしても、この暫定基準値を上回っているという数字は、例えば1回2回、あるいは、数日間こうしたものが食用に供されたとしてもすぐに影響が出ないだけではなくて、将来にわたって影響が出る恐れのないものとして国際的にも位置付けられている数字を大きく下回っている数字であるということでございますので、そうした意味では是非、まずは国民の皆さん、ご心配なく対応をして頂きたいというふうに思っております。その上で例えば都道府県の中の地域地名等も詳細に、これはあのー厚生労働省からの発表においては具体的に報告をさせて頂いておりますし、また今、様々な数値を集約した中で、実際に規制をきちっとかけるかどうかという判断を明日までにしたいと思っておりますが、そうした折にはどういう単位で規制をしていくのかということについてはしっかりとモニタリングの結果に基づいて進めていきたいと思っております。

記者:長官、日本テレビのヒラモトですけれども、福島第一原発の3号機についてお伺いします。昨日まで放水などがですね、うまくいき、一定の前進をしたという認識を示されていたと思うんですけれども、今日にきて格納容器の圧力がまた上がっております。全体として、今3号機の状況は一歩でもよくなっている状況なのか、それとも一進一退なのか、また少しですね、状況が悪くなってきているのか、評価は今、官房長官としてどのようにお考えでしょうか。

官房長官:もちろん個々の現象については専門家のみなさんの専門的なご説明を東電や保安院等にお尋ねをいただきたいというふうに思っておりますが、昨日も含めてですね、全体としてこれ以上の悪化を食い止めるべくぎりぎりの努力が一定の効果を上げている。ただ、まさにこの間もそうでありましたけれども、予断を許す状況ではないということでございまして、これで、何て言うんでしょう、一気にですね、事態が一直線に改善をしていくというような楽観的な想定の元には立っておりません。現状を維持してこれをより良い方向に改善をしていく、このプロセスの中には、様々なうまくいったとしても紆余曲折がある。それに対して常に緊張感をもってしっかりと対応をしていくということが求められている。そういう意識を全体としては持っております。そうしたことの中では、昨日の時点でですね、放水等が一定の成果を上げているという状況と、今日のわたくしのところに報告が上がっている状況とでは大きく変わってはいない、あえて言えば若干、電力の外部から取り込むという作業はこの間も進めてきておりますので、悪くなる兆候についてはしっかりと早めに把握をして手を打っていく。そして全体を改善させていく努力をこの間進めていく、悪化を防ぐための放水等については適切に繰り返していく。こういうことの状況がもうしばらくの間は続くというふうに思っています。

記者:あとすいません、水道水の状況をお伺いしたいんですけれども、首都圏を中心に微量の放射性物質が水道水から検出されました。栃木では77ベクトルで、今日は16ベクトルと下がっているようなんですけれども、あのこの首都圏を特に中心とした、水道水から検出される放射線物質は今後どういった影響が考えられるのでしょうか。●●側からして。

官房長官:あのこれもですね、非常に保守的なレベルの数値での暫定基準に基づいて対応していくという方向性は明確になってきております。こういった状況ですからモニタリングも回数等もできるだけ多くしてですね、万が一そうした数字が著しい状況を示して対応が必要な場合にはそれが取れるべく調査、モニタリングの態勢は作っておりますし、それについてしっかりと厚生労働省で把握をして必要があれば対応できるような措置は指示を致しております。現時点では、そうした特別な措置を取る必要があるというような情報は私のところに入ってきておりませんが、今後しっかりと注視をして参りたいと思っています。

記者:最後に一つあのー、これからですね、福島含めて首都圏でも雨が今夜降るということが予想されておりますけれども、雨による影響をですね、非常に危惧する声が上がっているんですけれども、放射性物質が雨の降ることによって出る影響というのはどういったものがあるのか、くるのかお考えでしょうか。

官房長官:雨が降りますと、空中に、大気にありますものが雨と一緒に地面に落ちてくるというのはある、ということであります。しかしながら、現在、大気中の放射線量をしっかりとモニタリングをしているという状況の中では、退避地域の中であるとか、原子力発電所の敷地の周辺であるとかというところは別と致しましてですね、そうしたことがあって一時的にはその結果モニタリングの数字は数字上、上がることは可能性ありますけれども、健康に影響を与えるようなことは想定できないというふうに専門家の皆さんが仰っております。ただまあ、あのー水に濡れて体に付着をしているという状況はそれは望ましいことじゃありませんので、もし気になるようであればビニール製のカッパ等をしっかりと着て外出をする場合はですね、できるだけ水滴に体触れないようにするというようなご配慮をされた方がベターではありますが、そうしたことがなくても今の大気中の濃度のモニタリングの結果からは雨で若干濃度が高まってあるいは水滴を通じて若干体に触れることがあったとしても健康に大きな影響を及ぼすことはない。しっかりと帰宅のときに手など外に出てる部分、洗っていただくなどということは念のための措置として、それはされた方がいい、こういうふうに聞いてます。

記者:長官、朝日新聞のヤマモトです。食品の調査についてお伺いします。今あのー長官の方から非常に保守的な基準だという見解がありましたけれども、国際機関の統一見解の基準値と比べると、そちら●●の総務省の暫定基準値の方が緩い部分もあります。これについてどういうご見解をお持ちなのかということが一点と、もう一つはですね、現時点の食品衛生法に基づく調査をですね、調査を実施するかも含めて自治体にゆだねる形になっていて、我々の取材ではですね、宮城県や仙台市が調査をする予定はないというふうに言っております。という形で数字が出てきている以上、どこで実施するのか、どういった形で実施するのかどういった基準で安全だというのかどうかという統一的なですね、仕組みが必要ではないかと思いますがいかがでしょうか。

官房長官:あのまず前者については、あのー個々のところでは色んな違いは色んな機関によってあろうかと思いますが、いずれにしても全体としての我が国の基準は国際基準に適い、なおかつそれは非常に健康被害の可能性という観点からは保守的な数値でなされているということは、これは専門家の皆さんほぼ一致して仰っていることだというふうに認識をしています。ただ2点目についてはこれはあのー自治体に限らずですね、国の直接の機関含めてですね、広範なモニタリングについて行って、それを厚生労働省で集約するよう指示を致しておりますし、さらに自治体等のご協力を得られない場合には、必要があればそれに対する強い原子力災害対策基本法に基づいて、場合によっては自治体に対して調査を指示することも当然想定の中に入っておりますが、それぞれ必要に応じて対応して頂けると思っております。なお、特に地震の被災地におかれましてはですね、現状で農業の集荷あるいは農作物を取り入れること自体が事実上できていない地域と、それからまさに農業を営んで出荷できる地域とでは運用においてはそこはあの当然考慮配慮があることは私は当然ではないかと思っております。そうした点についても厚生労働省においてしっかりと把握をして農業を営んで出荷をされる可能性のある地域についてはしっかりと自治体においてもご協力を頂く必要があると思っています。

記者:あのー被災地の協力の必要を考慮しなきゃいけないのは当然だと思うんですが、実際仙台も宮城も大変だと思います。であったらばですね、国が責任をもって●●べきなんじゃないですか。

官房長官:ですから国の機関においては最大限の能力でフルにその能力を駆使して調査、モニタリングはもうすでに始めております。

記者:すいません、共同通信のテシマですが。原発関連の判断でその屋内退避されてる20キロから30キロ圏内の方々がもうそこから出て福島県内の避難所が満杯だということで、福島県知事が総理に県外受け入れの支援を要請してると思うんですけれども、その後の政府としての対応はどうなっているのかと。あんまり現場の話では一向に進…なかなか進まない状況みたいなんですがその辺どうでしょうか。

官房長官:あのー20キロから30キロの屋内退避地域の皆さんについてはですね、特にまずは医療、それから介護を要する皆さんはじめとしてなかなか物資等が外から運びにくいという状況の中でですね、必要に応じて外の地域に出て頂くということに国としてもサポートするということは進めてきております。そうした中で、当然のことながら受け入れ先の自治体等が見つかりませんとこれはなかなか進まないと。これについては国としてもですね、受け入れ自治体のお願い、あるいは仲介斡旋、そしてそこに移動するための手段、こうしたことについては国として、えー最優先事項の一つとして対応させて頂いております。

記者:すいません、それはあの今度立ち上げた被災者支援の事務局でやるということですか。

官房長官:いや、直接にはそこのあのー対応というよりは、全体としての危機管理センターの下において調整を致しております。ま、実際に動く部隊は重なる部分がありますけれども、調整の主体は危機管理センターということだと思っています。

記者:時事通信のコウケツです。原子炉3号機の件なんですけれども、東電と保安院でですね、圧力に関する見解が分かれているようにも思われるんですが、政府としてですね、3号炉にそもそも海水はきちんと注水されているというふうに認識されていらっしゃるんでしょうか。

官房長官:おそらくですね、その違いは時系列的な違いではないかと思いますが。わたくしのところへの報告も、最初の段階ではですね、圧力が上昇して、したがって圧力を下げるための措置が必要ではないかと思われていると。その後、モニタリングの結果として圧力が少しずつ下がってきているということなので、もうちょっと様子をみると。こういう報告が上がってきておりますので、それぞれが同じタイミングで同じ情報で発表しているわけではありません。それぞれの発表の直前の段階の情報に基づいて発表をしておりますので、それは認識の違いというよりも時系列的な違いではないかと想像いたしますが、そこについては両者の認識がずれていないかどうかはきちっと確認をしなきゃいけないだろうと思っております。ただ、原子炉の中にですね、注水がされていることについては、ここまでの様々なデータや状況から考えて、一定の注水がなされているということについては、これは中を見れるわけではありませんが、様々な要因から考えてほぼ間違いないだろうと。このことについては、関係当局それぞれ考え方は一致しているというふうに認識しております。

記者:現状は圧力が下がっているので開放を一旦保留したという理解でよろしいんでしょうか。

官房長官:正確にはまた保安院なり東京電力から専門家含めた発表等があろうかというふうに思いますが、今の時点の圧力の水準と、それから若干下がっているということと、これは両方を見ながら、状況として当面注視をしていくと、こういうことだと思います。

記者:それとですね、あのー水道水の関係で一点お伺いしたいんですが、福島県内でですね、水道水から放射性物資が検出された件なんですけれども、検出された時点から、政府が発表するまでにですね、2日間時間が置いて、経っているんですけれども、そもそも検出されたことを発表しなかった理由は何なんでしょうか。

官房長官:あのーすみません、その間の事実関係、わたくし把握をしておりませんが、官邸に報告があった様々な、特に必ずしも望ましくない事実関係についての報告は直ちにするようにということは各省に指示をいたしております。したがいまして、どこのタイミングでどこにどう報告があったのかということをしっかりと検証しなきゃいけないというふうに思いますが、いい方向の報告は遅れてもいいけれども、悪い方向の報告は、直ちに、できるだけ時間をおかずということで指示を致しておりますし、それについては更に徹底をしたいと思っています。

記者:テレビ朝日のコバヤシです。関連するんですけども、今モニタリングをしている中で、例えば河川であるとか、土壌であるとか、あと海の中での汚染状況はモニタリングされてるんでしょうか。

官房長官:今、厚生労働省で集約を指示致しておりますのは、いわゆる農産物等についてと、それからこれはもういずれにしろ元々水道法に基づいて厚生労働省、水道に関してやっております。この点に関してはしっかりと調査をして集約をしてそれに基づいて対策本部として必要なら対応を取るということで対策本部としての指示を致しております。それ以外については関係各機関が様々なこうした状況ですから、国の直接の機関、あるいは関連機関、様々なそれぞれの持ってる能力に応じてやっていただいていると思っておりますし、それから政府として対応が必要な情報があれば直ちに報告をするようにと。こういうことで更に徹底してまいりたいと思っております。

記者:すると福島●●非常に海に近いと思うんですけれども、海産物への影響って魚介類とかそういうのあると思うんですがそこはチェックされてないんですか。

官房長官:あのー現時点ではそうしたことについての具体的な報告はありません。さらに必要性に応じてですね、モニタリングを含めてやる必要はあるだろうと思っておりますが、現時点で特段の報告は受けておりませんので、さらにそうした情報の集約については徹底をして参りたいと思っています。

記者:河北新報の●●です。昨日ですね郡山市の原市長の、福島第一原発の事故を受けまして政府が原発の廃炉を検討するのではなくて廃炉を前提に●●と記者会見で言ってまして、同様のことをですね海江田大臣も昨日あのー電話でですね要望したというような報道が●●。●●は●●の関係でもですね●●さんの話を受けまして原発行政の●●の見通しに対して慎重な見通しを述べられておりますが、この原市長の言葉を受けてどのように●●頂きたい。

官房長官:あのー原子力行政全体の話とそれから今特にご指摘のあった第一原発をどうするのかという話、今あの二つの話が含まれているかというふうに思っておりますが、第一原発についてはですね、政府の立場では様々な権限を持っております立場ですので、手続きを踏まずに断定的なことを申し上げるのはなかなか難しいんですが、まず客観的な状況として、福島第一原子力発電所が再び稼働できるような状況であるのかないのかということはある意味ではっきりしていることだとわたくしは思っております。政府としては権限があるだけに、手続きを踏まずに決定に類することを今の時点で申し上げるわけにいきませんし、今はその手順を踏むよりも、今の事態を収束させることに全力を上げておりますので、そこは今のわたくしの発言から大体ご理解をいただければと思います。

記者:それは廃炉を前提ということでよろしいんでしょうか。

官房長官:ですから、わたくし権限を持っている政府の立場として、一定の手続きが必要だろうと思いますので、そのことに直接お答えをすることは、手続き全く踏んでない状況でできませんけれども、そしてまさにその手続きを踏むよりも、今は原子炉の状態を収束させることに全力を上げるべきタイミングだと思いますが、客観的な状況として、再び第一原発を稼働させることが可能である状況なのかどうかということは、これははっきりしているという客観認識を申し上げさせていただいて、その意味するところはみなさんお受け止めいただけるのではないかと思います。

記者:長官あの関連で、災害対策基本法に基づいて政府が原発を収用すると、これは検討されてるんでしょうか。

官房長官:少なくとも具体的な話としてわたくしのところにそういった方向でという報告はございません。今の時点ではあらゆるその当該原発の危険をできるだけ小さくして安定化させていくということに全力を上げております。その中ではあらゆる選択肢はもちろんあるわけでありますけれども、今の時点で具体的にわたくしのところに報告が上がるレベルでの俎上には載っておりません。

記者:産経新聞のノダですけれども、ちょっと話が変わるんですけれども、被災者支援なんですけれども、被災者の受け入れを行っている自治体が結構多いと思うんですけれども、この被災者の受け入れに関して政府の方で国で財政負担していくお考えがあるかどうか教えて下さい。

官房長官:これもあのー最終的な決定の前の段階でどこまで申し上げていいのかというのは難しいところではあるんですが、当然のことながらこれ国を挙げての大変な危機の中で全国の自治体の皆さん含めてですね、最大限のご協力をお願いをしていきませんと、被災者の皆さんの当面の生活、安定させることはできないという状況の中にあります。それを進めていくにあたっては国としてしっかりと説明を果たしていくと、受け入れた自治体の皆さんに多大な、もちろんお受けを頂くだけでも様々なエネルギーを要することだというふうに思っていますので、そのことについて国として最大限のバックアップをするということは間違いないというふうに思っています。

記者:それはまあ一定の負担はまあ考えるということでよろしいですか。

官房長官:逆でして、あの当然受け入れて頂く自治体の皆さんには、例えば自治体の職員の皆さんにはあのーそうした皆さんを受け入れなければやらなくて済んだ仕事、たくさん生じて汗をかいて頂くことになります。そうしたこと含めて、いずれにしても自治体の皆さんには受け入れをして頂くということによって様々なエネルギーを要するわけでありますから、それを国の側で補える部分については最大限努力をしなければならないというふうに思っているということです。

記者:新聞の●●です。明日にもですね、総理が被災地を視察するというふうに予定はされていましたが、現時点でとうなってますでしょうか。

官房長官:あの被災地をお訪ねをするという方向での調整はさせて頂いております。ただこれあのー政府内部においても率直に申し上げて、両論あります。今特に被災地のみなさん大変厳しい状況の中で、しかしながら一生懸命努力をされて頑張って厳しい状況に耐えて頂いております。そこに対して国としては全力の支援をさせて頂いておりますが、全力を挙げて支援をしているということを被災者の皆さんにしっかりとお伝えをするということ自体が被災者の皆さんに対して大変重要なことだというふうに思っておりまして、そのためにはまさに最高責任者である総理がですね、被災地の状況を自ら見、あるいは被災者の皆さんの声を直接伺い、ということの意義は大変大きいというふうに思っております。また、原子力発電所についても大変危険な、のある状況の中で、自衛隊、消防、警察、東京電力の現場の職員の皆さん、たくさんの皆さんがそうした中で非常に努力をして頂いている、危険を顧みず頑張って頂いている。その指示を最終的に責任をもって出している内閣総理大臣自らが、できるだけ、そのー現場の近いところ、つまり危険のリスクの高いところに自ら行ってそうした皆さんの努力に対してですね、敬意と感謝を表するということ。これまた大変大きな意味があることだというふうに思っております。一方で、そのことが結果的に現地の皆さんに大きな負担をおかけをすることで、全体としてマイナスになるということがあってはいけないということで、大変正直言って苦慮を致しております。今のところ受け入れ側の皆さんに一般的な状況で平時において総理大臣が地方を視察するのとは全く意味が違うのであって、したがって受け入れについてエネルギーを割くことなく、まさにありのままの状況、姿を見させて聞かせて頂きたいということをお願いをしながら、最終的な判断をしたいというふうに思っています。

記者:それは、先ほども言われましたけど、原発についてはまだ予断を許さない状況にあるということもありますし、現地に負担をかけるということもありますけど、それでも敢えてなお行きたいというのは総理の強い要望なんでしょうか。先ほど言われました…

官房長官:あのー総理のご意向もありますし、今申し上げたように政府の見解としてもですね、あのー受け入れにですね、ほんとにあのー例えば各省の大臣、防災担当大臣はじめですね、現地伺っております。それから、副大臣等は現地対策本部に震災当日から飛んでですね、政治家が現地の情報を掴んでそのことで一定の役割を果たしてきております。そうしたことからは、できうるならば総理大臣自らができるだけ現地の状況や声を聞かせて頂き、現地の皆さんに対してですね、しっかりと対応をしていくということを直接呼びかけていくということはこれはできうるならば望ましいことだというふうに政府としては考えております。ただ、そのことによる受け入れの負担、ゼロということはなるとは思いませんができるだけ小さくして頂くためのお願いと調整をさせて頂いている中で最終的な判断をあのーしたいと思います。

記者:ニコニコ動画の七尾です。戦後最大の危機と言われている中で安全安心に繋がる情報の周知徹底は言うまでもないと思います。これを受けまして復興支援、食品や放射能に関わる国内外に向けた風評被害の防止、買いだめ防止等の観点から、テレビや新聞ラジオ、ネットを活用した国民への適性な情報周知の充実について何かご検討されておりますでしょうか。

官房長官:あのーこの間もですね、私をはじめてとして政府からの様々な発表をメディアの皆さん通じて、国民の皆さんへの周知、それあのー既存の新聞、テレビ、ラジオ等のメディアも、それからネットなどのメディアの皆さんも様々な手段を通じて国民への周知ということについてはご協力頂いていることに大変感謝を致しております。さらにですね、政府としてより主体的に周知をしていくということについてはですね、一つにはこの間もインターネットのホームページ等を通じて情報をしっかりと政府として出させて頂くということをしてきておりますが、これを更に充実させて、例えば、あのーこれからいよいよ、いわゆるボランティアの皆さんに現地で支援を頂くということを本格化させていく、こういうタイミングに入ってきているかと、現地の状況も大分、多くの部分では落ち着いてきております。ここにボランティアの皆さんのご協力があれば復旧がかなりスピードアップできるんではないか。例えばこうした情報などについて、あるいは生活支援の様々な物資等についての情報等もですね、できるだけきめ細かくそうした媒体を通じてですね、政府として主体的にお伝えをしていくと。こうしたことも必要ではないだろうかと。さらにはですね、テレビ、ラジオ、新聞等の媒体のいわゆる広告の枠の中でやれること、それがどの程度費用対効果で意味があるのか、ということ含めてですね、それはあのーあらゆる手段は検討を致しているところであります。

記者:TBSのアクイです。福島原発の話に戻るんですが、4号機の保管プールの外にですね強い発熱体が発見されたというような情報もあるようなんですが、これについて政府としては確認しているんでしょうか。

官房長官:様々な温度等について、あるいは上空からの写真等については自衛隊あるいはある段階では米軍含めてですね、ご協力もいただいて把握をしているところでありますが、それについての分析は専門家のみなさんを含めてですね、専門家の皆さんを中心にですね、分析をしながら進めているところであります。

35:26

記者:すみません、その4号機の外というと、他に発熱するものがないはずのセクションなんですけれども、使用済み核燃料の一部である可能性というのはあるんでしょうか。

35:35

官房長官:ですからそういった、まずそもそもの、データそのものをどう読むべきかということについて専門家のみなさんに分析をしていただいているという状況です。

記者:フジテレビの●●です。退避指示の関連なんですけれども、今朝の番組で民主党の渡辺周さんが医療の関連で、重篤な患者が取り残されて医者が逃げ出していると、けしからん話●●とこういった発言をされたんですけれども、これについての受け止めと、渡辺周さんは医者の方に治療にあたって頂くための前提としてアメリカが言っている80キロ圏外への退避というようなことを明確に日本政府が否定して、安全だということをしっかり言っていって欲しいというような趣旨のことを発言しているんですけれども、民主党の方からも同じ意見が出ているんですが、改めて政府としてどういった対応を●●。

官房長官:あのー民主党の議員ではありますが、政府の立場のご発言でありませんので直接にコメントする立場ではないというふうに思っておりますが、一つにはこうした状況の中、これあの原発関係に止まらずですね、地震、津波被災地においてもですね、医療関係の皆さんは自らの生活、自らも被災者である方が多いわけですが、そうしたことをおいてですね、医療やあるいは介護やそうしたことにほとんどの多くの皆さんが大変な努力、ご尽力を頂いている。さらには厚生省からこうした場合の対応のチームを送ってですね、こうした皆さんにも大変な厳しい状況の中で医療や介護にあたって頂いている。そのことに私は心から敬意と感謝を申し上げたい、というふうに思っております。ご指摘されました福島県での双葉町での事象については報告は受けておりますが、これについては福島県においてしっかりと事実関係等の検証をしっかりとして頂きたいということの指示を致しているところでございまして、これあのー今の状況、現状ではですね、様々な事態動いておりますので、落ち着いたところで福島県において様々な検証をして頂けるもの、というふうに思っております。それから、退避の距離でありますが、これはあのー繰り返し申し上げておりますが、各国様々なご判断で様々な反応をしておられるというふうに思いますが、日本国政府の責任としてわたくしどもが把握をしている、そしてこれはあのー国民の皆さんにしっかりと公開をしている、そうした情報に基づいて、えー今の時点で、えーここまで退避をして頂けば国民の皆さんの健康に害を及ぼす恐れはないということで避難指示の距離等を指示させて頂いております。もちろん、これは状況が良くなれば小さくなるし、何か新しい事象が想定されて広げる必要があればその時点でそのことを指示致しますし、現時点で、その都度その都度、持っている情報に基づいて国民の健康に万全を期すという観点から適切な措置を取らせて頂いておりますので、是非それに基づいてですね、あのー対応して頂ければというふうにお願い申し上げます。

司会:すいません業務ございます。進行ご協力下さい。

記者:すいません、時事通信のコウケツです。あのー食品の話に戻るんですけれども、先ほどその放射線が検出された食品を、ホウレンソウと挙げられましたけれども、それぞれ第一原発からどれぐらい離れているかについて距離を教えてください。

官房長官:あのーそれは厚生労働省の方で集約をして数値も含めて正確に発表させて頂きます。

記者:河北新報の●●です。被災地でですね、●●むくみとかですね、●●パーソンというのが増えているようで、特に、●●が機能不全というか流されてしまったりですね、あのー●●治療ができないということで宮城県内の例でいうと、警視庁と宮城県警からの●●と百四十数名の活動隊がですね、往々にして●●してはいるんですけれども、ちょっと海岸地域もそうですし、実際の治安も悪くなっているというふうなことがあります。これについてですね、更なる増員とかですね派遣を検討する考えというのはございますか。

官房長官:はい、あのーこうした状況の中で特に被災地においてですね、犯罪がいくつか指摘をされているという状況はほんとに残念なことだと思っております。被災地の皆さんは元よりのこと、日本全国のほとんどの皆さんがこうした未曾有の大震災に対してですね、それぞれ自分でできることはないかということで様々な形で様々な立場で被災者の皆さんの支援に今動いて頂いている、動けない方でもそうした強い思いを持って頂いている。これはほんとにこの国の底力であると私は思っています。そうした中に残念ながら、全く逆方向の行動がいくつか見られるということはほんとに残念なことだというふうに思っております。是非まさにこうしたときこそ国民、互いに助け合ってこの国難を乗り切るという思いでそうした皆さん方にも呼びかけたいと思っております。そうした中でできるだけ、そうした犯罪をしっかりと警察力によって抑え込むということは大変重要なことだと思っておりますが、一方で今も被災者の救出、それから避難所の方に物資を届ける、それから東京電力管内では計画停電の中で事故等を防ぐと、様々な常時とは違う最大限の役割を警察の現場の皆さんには果たして頂いております。そうした中でも優先順位しっかりと見極めながらですね、今の時点でも全国の皆さんの総力を出してやって頂くよう国家公安委員長を通じて警察庁にはお願いをしておりますが、そうした残念な事態がいくつか生じていることを踏まえながら、さらに全国各地の警察の力をそうしたことに振り向けられるかどうか、さらにぎりぎりの努力を警察庁に指示して参りたいと思っています。

記者:毎日新聞のコヤマといいます。あのー今後被災者支援が本格化していくと思うんですけれども、仮設住宅の建設なども始まっているようです。この仮設住宅などの建設にあたっては現行法では災害救助法だとか被災者支援再建支援法などがあるわけですけれども、現行法だけでは足りないのではないかという指摘もあるわけですが、この現行法の拡大とか改正も含めてお考えというのはあるんでしょうか。

官房長官:まさにこの間もそうでしたしこれからもそうでありますけれども、今回未曾有の大震災であります。これに対する対応は、既存の法律、制度にとらわれることなく、まさに必要なことを必要なだけやっていくという姿勢でやってきたつもりであります。この間も現行法で許される範囲のことについては従来の慣習慣行や従来の解釈を場合によっては乗り越えて、でもやれる、最大限のことはやって参りましたし、今後も必要があればそうした措置を取って参りますし、また、国会等でご協力を頂ければそれを更に立法措置によってやれることを広げるということは当然の前提としてこの間も進めてきております。