官房長官の記者会見テキスト(2011年3月22日11時10分から26分間)

【冒頭発言】

官房長官:本日は閣議がございました。その概要を申し上げますと、一般案件2件と法律の公布、政令、人事が決定をされました。

それから、本日から、被災者生活支援各府省連絡会議を開催することとなりましたので、御報告を申し上げます。被災者生活支援特別対策本部の活動を円滑かつ迅速に進めるため、被災者生活支援各府省連絡会議を開催することとなりました。政府部内の緊密な連携を図りながら、必要な情報の共有や取り組むべき課題の確認、フォローアップ等を行います。松本防災担当大臣を議長に、片山総務大臣、仙谷副長官、平野内閣府副大臣、被災者生活支援各府省特別対策本部の事務局長でございますが、この3名を副議長に、各府省の事務次官や今般の震災対策に関係する外局の長官が出席をして、当面、本日より1日おきに毎回正午から開催いたします。詳しくは、内閣府被災者生活支援特別対策本部事務局までお問い合わせください。

【質疑応答】

記者:朝日新聞社のサトウです。昨夜の文科省の発表でですね、高濃度のセシウムなどが広範囲に検出されたっていう発表がありました。これに対する政府の評価とですね、避難区域の拡大とかそういった政府の対応に変化があるかどうかお聞きしたいです。

官房長官:それはセシウム、定時降下物の情報でしょうか。これについては、最も高い数値が出てきたところについて、によってもですね、専門家の方々にその意味を分析を頂きましたが、毎日、こうした降下物のある地域に立ち続けたとして、1カ月で120マイクロシーベルトの放射線を受ける。これは航空機でニューヨークを往復した場合に浴びる放射線量の半分強、6割程度ということでございます。1年でも1.44ミリシーベルト。1年あたりの自然放射線による被曝線量の6割程度。1回のCT検査の5分の1程度という量でございまして、しっかりと注視して観測をしていかなければならないものではありますけれども、こうした地域においても、もちろんすぐに健康に影響が出るというものではありませんし、将来、健康に影響を与えるというようなことの影響を残すようなものではないということでございます。

記者:読売新聞のクリバヤシです。原発の近くの海からですね、放射性物質が検出された件ですけれども、現時点で三陸沖っていうのは●●の漁場の1つですけれども、漁業に対する影響とですね、今後どのように調査していくのかっていうことを教えてください。

官房長官:これもですね、いわゆる基準値を超えているということでの報告と発表がなされているかと思いますが、ここで定めている基準値というものは、海水は直接飲むものではありませんが、仮に直接平均的な摂取量で、その水を1年間飲用し続けたとしても影響が出ないというラインでつくられている基準値でございますので、まずはこれによって直接人体に影響を及ぼすことはないということであります。ただ、こうした状況が継続すれば何らかの影響が及ぶ可能性があるということで、これについては関連機関で海についてのモニタリングを強化するようにと指示をしたところであります。

記者:魚介物への影響はいかがでしょうか。

官房長官:現時点では、まだそれについて評価を下せる状況ではないということでありますが、今申しましたような基準の線を超えたという段階でありますので、できるだけ早くそうしたものへの調査とその分析を進めて参りたいということであります。

記者:農作物と同様の措置がとられる可能性はあるんでしょうか。

官房長官:こうした状況でありますので、あらゆる可能性は否定いたしませんが、しかし、現段階でそうしたことが必要であるというような状況ではない。ただし、より広範にですね、データを集め、あるいはそれについての専門的な分析をしっかりと進める。このことが必要である。こういう段階です。

記者:産経新聞のノダですけれども、福島第一原発の3号機で煙が出ていた件なんですが、その件についてその後どうなりましたでしょうか。

官房長官:現場においてなかなか実際に中を見ることができない部分等でありますので、原因を直接判断することはなかなか難しい状況であります。それについて鋭意調査、検討を現場の方でご努力頂くと同時に、原子炉そのものの圧力等、それから放射線量、それからプールの状況等について異常がないかということをしっかりと注視しながら原因等についての調査を進めて頂いている段階です。

記者:テレビ朝日のコバヤシですが、暫定基準値のあり方についてお聞きしたいんですが、暫定基準値は基本的にいろんなものより超えているけれども、人体には影響がないという判断が下されているんですけど、これ暫定基準値自体があまり意味があるのかないのかよくわからない。もう1つ別の指標が必要であると思っているのか。それとも暫定基準値は今のままでいいと思われているんでしょうか。

官房長官:これは今回、事故が生じてですね、それに対しての対応ということが求められているわけでありますが、こうした原子力を扱うことについてはですね、こうした事故の現象等に気づかないなかで放射線等が外に出ているということがあってはならない。そうしたことが万一ないようにということで、一定の数値を超えたらきちっと調査を行うというような考え方がベースになっている。そういう意味では、今回どこが原因であるかという蓋然性がかなりはっきりしている状況でありますから、そこでの状況を見ながらですね、人体への影響等についてもしっかりと監視、調査ができる状況ですが、逆にですね、そうしたことがない状況の時でも放射線の量が大丈夫かということをしっかりとモニタリングをするということが従来からこの原子力政策においては必要であったと。その場合には何か起こっている可能性があるというようなことの数値を基準にしてですね、そうした基準値を超えたらしっかりと調査を行うという線を引いておくということはこれは重要なことだろうというふうに思っています。ただし、それはまさに調査を行わなければならないということについての基準値を設けたわけであって、そうしたものを超えていますから、それについて鋭意調査をすると同時にですね、念のため、例えばホウレンソウ等についての出荷を規制する等のですね、万全の策をとっているということでございます。そうした意味ではこの基準値を超えているということで国民の皆さんには不安があろうかというふうに思いますが、繰り返しになりますが、何もない状況のところでも、こうした数字が出たら念のためちゃんと広範な調査、分析をしなければならない。そのための基準として一般的にはですね、全部について網羅的に私把握しているわけではありませんが、いまいくつか出てきているものについては、そうしたことで考えられている非常に保守的な数字であるということはご理解頂きたいというふうに思ってます。

記者:時事通信のコウケツです。各府省の連絡会議の設置についてなんですけれども、これ改めてこの設置の狙いとですね、なぜ各府省の事務次官なのかという点についてまずお伺いします。

官房長官:被災者生活支援の具体的な実務、各省調整、各省に対する指示は被災者生活支援特別対策本部のもとで日々、時々刻々行って参ります。そのことについて各省でしっかりと徹底して実施が行われているのか。あるいは各省からしっかりとこの特別対策本部に情報提供がなされているのか。まさに被災者の皆さんにとっては、各省のなかで様々な情報や指示の目詰まりがあっては許されない状況であります。そうしたことから、各省の事務方のトップのところでですね、に対してですね、しっかりと指示が下りているか、情報が集約されているかということを確認、連絡をとってですね、生活支援特別対策本部における調整と指示が万全の効果を生じさせるように、こういう趣旨が一番大きいというふうに認識しています。

記者:これまでのですね、初動からこれまでの連絡態勢にですね、大変問題性があった、それを補完する上でやっぱりこうした連絡会議を立ち上げなければならなかったという背景があるんでしょうか。

官房長官:これはいろんな地震の発生以来、段階、状況があります。まさに危機管理センターで、各省これ局長級が集まって頂いている緊急召集チーム。さらには閣僚、私も含めてですね、その現場にもかなりの時間おりました。そこでまさにただちに様々なことを指示し、行っていくというフェーズの段階から、生活支援のためにこれは各省間でしっかりと調整をして行っていくという段階へと変わってきているわけでありまして、これについては、まさに指示を出す量とか調整をすべき市町村の数等もですね、いわゆる初動段階のものとは大幅にレベルが違っておりますので、そうしたことについてはその指示等の徹底について強化をする必要がある。こういう認識であります。

記者:一方で民主党政権は事務次官会議をこれまで廃止してきましたけれども、今回こうした非常時に再度事務次官の会議を立ち上げたことについて、いままでの対応、民主党の対応っていうのは十分だったというふうにお考えになるでしょうか。

官房長官:従来の、かつての事務次官会議とはまったく性質の異なるものであります。従来の事務次官会議はむしろ閣議でものを決める前の段階で各省調整をする場としての事務次官会議としての意味づけであったということであります。今回は全く逆でありまして、松本大臣、平野副大臣を軸にですね、生活者支援特別対策本部においてしっかりと各省調整を行う、そこで指示を出すということを集権的に行って、ただ、そのことが各省徹底できているかどうかという一種事後的な徹底やフォローについて、各省の事務方をグリップしている事務次官に徹底を求めると、こういうことですので、位置づけられる場所が前というと180度逆になっている。こういうことです。

記者:NHKのシタラです。IAEAの放射線測定チームがですね、福島第一原発から20キロ付近にある福島県浪江町でですね、毎時161マイクロシーベルトの放射線量を測定したと発表しました。これに対してですね、日本政府はどのように評価しているのでしょうか。

官房長官:具体的なそれぞれの地点ごとのマイクロシーベルトの数値については、そうした国際機関において調査、モニタリングして頂いたものを含めてですね、国際機関と日本の原子力安全保安院、原子力安全委員会含めて情報を共有したなかで分析をしているということだと認識しています。

記者:日本政府がですね、この付近で測定している値よりも高い数値になっているかと思うんですけれども、日本政府のモニタリングの数値の信用性についてはどういうふうにお考えでしょうか。

官房長官:その点なども含めてですね、これは近い地点でも天候やあるいは地形等によって違いがある場合もある。もちろん、それ以外の要因の場合もある。そういうことを含めてですね、まさに専門家のレベルでですね、きちっと情報をすり合わせをして、そして認識、ギャップのないように。この態勢はかなりきちっとできているというふうに思っておりますので、ここは専門家のレベルのところで協議、ご相談、調整、つまりどういった認識をとるのが合理的な判断なのかということはして頂いていると思っています。

記者:現時点ではそうしますと退避範囲を拡大したりというようなことは現時点でただちにはお考えではないんでしょうか。

官房長官:現時点ではそういうことが必要なモニタリングの分析になっているという報告は受けておりません。

記者:河北新報の●●ですが、政府がですね、指示している30キロの外側のですね、周辺部の自治体、具体的にはいわき市の中心部とか、周辺部なんですけれども、こういったところで医療関係者がですね、退避してしまったり、あと商店が閉まったりですね、被災者の生活者支援というのももちろん大事なんですが、それとともに風評被害もあると思うんですが、そういったところでインフラとかですね、住民が必要としている、例えばガソリンスタンドも閉まってたりとかですね、そういったところで物資が枯渇しているという情報が入っています。そういったところで政府の支援、考えとかですね、対策をする考えはございますでしょうか。

官房長官:30キロ圏から少し出ている地域についてはですね、ひとつには、ぜひそういった地域にですね、今の時点でとどまって活動して頂くことが人体に影響を与えるということがない状況であるということでありますので、ぜひ関係者の皆さんにはその点冷静に対応して頂きたいというのが1つであります。と同時にですね、これは20キロ~30キロの屋内退避地域も含めてですね、現実的にものが入らなくなってきているということについてはですね、これは20キロ、30キロの屋内退避を決めた半日後ぐらいからですね、そうしたことに対する政府としての支援といいますか、対応というのは順次進めてきております。ただ、もちろん津波等の被災地に対する支援と両面になっておりますので、当該地域の皆さんには大変ご不便をおかけをしているかというふうに思っておりますが、現に20キロ、30キロ地域などにですね、ガソリンを届ける等のオペレーションを実施をしたりですね、医療関係のところについてはしっかりと把握をしてですね、特にご病気の方等については、放射線の問題とは別にできるだけしっかりとした医療の受けられるところに移って頂く等のこうしたバックアップも進めてきているところであります。こうしたことによってですね、外からきちんと、特にものが一般の皆さんに入るような努力はさらに進めて参りたいと思っています。

記者:今おっしゃったのは、20キロ、30キロの屋内退避エリアの●●というふうなことだと思うんですが、現実にはですね、いわき市にもございまして、いわき市全体●●、南の茨城県、さらに下の●●市長の訴えなどもあるんですけれども、例えば60キロとか70キロくらいまでですね、ものがもうなくなりつつあるんですが、その辺のご認識というのは。

官房長官:それについて、今具体的な話たまたま20から30のところを申し上げましたが、いわき市をはじめとしてですね、その外の地域についてもですね、今のような問題意識を持って、この間努力はしてきております。ただ現実に、まだ津波への対応と両面のなかでですね、十分な物資の輸送等が出来ていないことは大変申し訳なく思っておりますが、これは政府としても、それから民間の皆さんにですね、個別にもしっかりと危険のないことについての状況を丁寧に各府省から関係業界にご連絡をして、ご説明してですね、民間も含めてしっかりと物資が届いていくようにという努力はこの間も進めてきているところであります。

記者:ブルームバーグの●●ですけれども、アメリカのCNNテレビがですね、米の国防総省がですね、横須賀にいる海軍の部隊について放射線●●を早くするために退避させることを検討しているという報道出てるんですけれども、日本政府としてですね、何か●●から説明、報告受けておりますでしょうか。

官房長官:今のところ、そういったご報告は受けておりません。

記者:津波の被害に遭った自動車、車についてなんですけれども、市町村が一定期間保管した後に処分をする方針ということなんですけれども、これについて具体的に決まったことがあったら教えてください。

官房長官:詳細は関連省庁間で調整をして、そして地元自治体からのニーズ、要望に応じて対応するということで、ただ、政府の大きな方針としてですね、様々なフェーズにおけるですね、特に所有権についての法律はありますけれども、現実問題として、津波でいわばがれきが散乱している状況になっているところ、少しでもそれはまだ頑張ってそのがれきの下で救助を待ってる人がおられる可能性も含めて、あるいはそうした地域を復旧していくことに向けて、いずれにしてもできるだけ早い段階でそうしたものに対応していかなきゃならないということの中では、現行法で許される最大の柔軟な措置ということを各自治体の要望に踏まえて対応するようにという指示を下ろしているところでございますし、万が一、現行法では対応できないことがあれば、緊急的な立法も含めて考えるので、その場合にはきちんと官邸に報告をあげるようにというこういう指示のもとで関係省庁で自治体との調整のなかで、今のような方向が出てきているというふうに認識しています。

記者:産経新聞のノダですけれども、今日のですね、一部朝刊報道で、計画停電をですね、東電側が今年の冬も続けなければならないと、そんな報道が出ているんですが、政府の方に東電からそのような報告はありますでしょうか。

官房長官:今の電力の供給状況、そして今後火力発電所が復旧、復活を急いで頂いているという状況のなかにおいてもですね、震災前の従来の電力消費量と比べるとですね、供給が必ずしも十分でないという状況が当面続くということは政府においても認識をいたしております。これに対しては、今はこの計画停電の運用をできるだけ改善することによって、国民の皆さんの不便というものをできるだけ小さくする努力を、東京電力に対して、経済産業省資源エネルギー庁、そして電力需給の対策本部の方でですね、求めて対応をして頂いているところでございますが、こうした状況が、中長期に続くということが望ましいことではないということのなかでですね、どういったやり方でこの需要に対してですね、供給量が足りないということをのりきっていくのかということは、特定の手段に限られることなくですね、幅広く今検討を東京電力にもさせておりますし、あるいは政府としてもしているところでございます。

記者:関連です。毎日新聞のクリヤマです。その計画停電の件ですが、民主党の岡田幹事長がですね、総量規制の導入の検討についても言及していますが、こういう総量規制を含め現状の●●を変更するという可能性があるということでしょうか。

官房長官:当面の緊急措置としての計画停電、大変ご不便をおかけしておりますが、やむをえない点があったと思っておりますが、より違った方法でより生活に与える不便を小さくするやり方については予断をもたずに、あらゆることの検討を今いたさせております。

記者:産経新聞のノダですけれども、計画停電の絡みなんですけれども、スポーツなんですけど、プロ野球の方でセリーグとパリーグが分離開催するという話が今出ていると思うんですけれども、それについて政府としてはどう見てますでしょうか。文科省の方で指示も出したりしているようなんですけれども。

官房長官:関係省庁に対してですね、電力供給量が需要に対して足りない状況の中で、計画停電等による、地域を区切るにしても広範な停電という今の状況、できるだけ避けたいということの中でそれぞれの関係業界に対してはいわゆる節電へのご協力をこれは政府として一体となってお願いをしている状況でございます。当然事業会社としての東京電力もそれを個別にもお願いをして、そうしたなかで鉄道事業者の皆さんのご理解はじめとしてですね、様々なところにご協力を頂いているということでございます。そうした個別のご協力のお願いということの中で、ある特定の業界といいますかですね、部分のことについて、直接政府としてコメントするのは避けるべきではないか。それぞれにご協力をお願いをしているというのが政府全体としての立場です。

記者:読売新聞のクリバヤシです。石原都知事の発言の中にあった、昨日消防庁に対して経産大臣が処分云々といった発言の経緯はわかりましたかということとですね、その前提として現在の国と東京都との関係なんですけれども、副総理や経産大臣から東京都に対して、あるいは消防庁に対してですね、原災法に基づく何らか消火に関する消火、放水に関する指示、勧告が行われている状況なのか。あるいは事実上の要請っていう関係になるのか。その前提をちょっと教えて頂けますか。

官房長官:原災法では、対策法ではですね、内閣総理大臣は知事等に対する指示をすることが法律上認められております。出荷制限についてはですね、それぞれの県においての自粛の対応をして頂いていましたが、その上にこの対策法に基づいて昨日、総理からの各都道府県知事への指示を出したところでございます。そうした法律的な背景はございますけれども、今回の東京消防庁をはじめとしてですね、自治体消防の皆さん、あるいは広い意味での警察のそれぞれの警視庁等についてはですね、こうした法律に基づく指示ではなくてですね、それぞれ状況をご理解を頂いて、そうしたなかで持っている能力を広く国民のために生かして頂いた。危険の中で大変ご無理をお願いしてそうした対応をとって頂いたということで、政府は、そうした対応をとって頂いた現場でご苦労頂いた皆さん、危険の中でがんばって頂いた皆さん、そしてそうしたことについてですね、それぞれの隊の中でご理解を頂いた、例えば東京都知事はじめとしてですね、関係者の皆さんには大変感謝をいたしております。

記者:そうすると、原発への消火ないし放水の協力について、最近具体的に原災法に基づく指示を出したということですか。

官房長官:原災法に基づく指示があれば、それはきちんと発表をいたしておりますので、そういった指示ではなくてですね、各自治体に対してご協力をお願いをしたということであります。