官房長官の記者会見テキスト(2011年3月23日午後5時07分から41分間)

【冒頭発言】

官房長官:私の方から、今朝ほどの会見でも御質問にございました「SPEEDI」と称するシステムを用いた、被曝に関する試算のことについて御報告を申し上げます。本日昼ごろ、原子力安全委員会から、このSPEEDIシステムを用いた被曝に関する試算の結果について報告を受けました。詳細はこの後、原子力安全委員会から公表をさせる予定でございますので、詳細についてはそちらにお問い合わせいただきたいと思います。これは、大気中の放射性核種の測定値とこれまでの気象状況を踏まえて、放射性ヨウ素による甲状腺被曝線量を予測したものでございます。これまで、いわゆる放射線量の測定モニターはさまざまな数値、マイクロシーベルトの単位で、原子力発電所の内部を含めて皆さんにも御報告をしてまいりましたし、たくさんのデータが取れておりますが、空気中、大気中の、いわゆる放射性物質の量をはかって、そこから、原子炉からどの程度の放射性物質が出ているのかを推測し、その推測された数値に基づいて、それがどういったところに拡散をし、そして人体に影響を与え得るような数値になっているか、いないかということを、更に気象条件等を含めて計算したシミュレーションでございます。この間、今朝ほど申し上げましたとおり、このシステムをしっかりと利用して試算等を行うようにという指示を申し上げてきたことは御報告をいたしたところだと思いますが、そのときも申し上げましたが、原子炉から出ている放射性物質の量は、残念ながら今の原子力発電所の状況では測定ができないということの中で、それを言わば逆算する形で、あるデータから、原子炉から放出されている放射性物質の量を逆算、推定できないかということを指示していたことを申し上げたかと思います。これをするためには、大気中の放射性物質の量、正確には放射性核種の測定値が、なおかつ風下の陸上地域で必要でございまして、その数値が昨日モニタリングができて、それに基づいてシミュレーションを行ったものの報告がなされたものでございます。そして、それによってシミュレーションされた結果は、福島原子力発電所の事故発生後、毎日一日中屋外で過ごすことを仮定した場合に、甲状腺の被曝線量が100ミリシーベルト以上となる地域を試算したものでございます。これによると、福島原発から30km圏外の一部においても、100ミリシーベルト以上の被曝線量となり得るケースも見られますが、現時点で直ちに避難や屋内退避をしなければならない状況だとは分析をいたしておりません。今後、実際の放射線の量のモニタリング、あるいは更に精度の高いシミュレーション等を専門家の皆さんに行っていただきながら、人体に影響が出る可能性の生ずる、この100ミリシーベルトの被曝線量に達することの出ないように、今後の対応をしっかりと注視をしてまいりたいと考えております。なお、この被曝線量は、風向きによって大きく影響を受ける。その風向きなどに基づいて、このSPEEDIというシステムでシミュレーションを行っているもので、そのため、風下地域での放射性物質の数を測定しないとシミュレーションができないというものでございます。したがいまして、念のため、現在所在する場所が風向きから見て発電所の風下に当たるような場合には、できるだけ窓を閉め、密閉した屋内にとどまっていただくことをお勧めしたいと思っております。

【質疑応答】

記者:日本テレビのヒラモトですけれども、今日、東京のですね、水道水から乳児向けの飲用基準を上回る放射性物質が検出されましたけれども、まず福島原発から少し離れた東京でこういう事象がですね、出たことについてどう受け止められてますでしょうか。

官房長官:残念ながら、福島原発から放射性物質が大気中にこの間出ていることは間違いないことでございまして、それがある程度の地域に広がって、特にこの間、雨などもございましたので、いろいろなルートでですね、いろいろなところに影響を与えるということは残念ながらありうることであるというふうに思っております。だからこそ、関係機関、できるだけ総力あげてですね、様々な放射線の測定を、モニタリングを精力的に行うようお願いしているところでございます。そうしたなかで本日、東京の上水場の一部から、一般的には基準値を達しておりませんが、乳児の摂取ということを考慮した場合には摂取を控えることが望ましいという基準値を超えた、具体的に言うと、210ベクレルパーキログラム。乳児の水道水摂取の基準は100ベクレルパーキログラムでございますので、これを超える数値がモニタリングされたというものでございます。繰り返し申し上げている通り、この基準値は、長期にわたり摂取した場合であっても健康影響が生じないよう設定されたものでございますので、たまたま数回、あるいは数日こうした数値を超えているものを摂取したとしても、直ちにはもとよりですが、将来にわたっても健康への影響が出る可能性はないと、そういった非常に安全性の高い水準を設定をしているものでございます。そうしたなかでありますけれども、こうした状況、残念ながら一定期間続くことが想定されているなかにありましては、特に乳児の健康に万が一にも影響を与えることがないようにという万全の措置として、粉ミルクをつくる際、調整する際などに水道水を使わないことが望ましいということをお願いをしたものでございます。念のため、大人や普通の子どもが飲用する分には全く基準値以下で問題ございませんし、生活用水としての利用もこれまで通りで問題はございません。なお、この乳児を抱えていらっしゃるご家庭の皆さんが困らないよう、現在国と東京都水道局との間で対応策について協議をしているところでございます。

記者:今後この数値っていうのはですね、少しまた東京で上がっていくようなことっていうのは予想されるんでしょうか。あと東京で出たということは福島からですね、近い近県、また首都圏でもですね、今後こういったものが出てくることっていうのは予想されてくるんでしょうか。

官房長官:今まさに、原子力発電所の状況がご承知の通りでございますから、健康に影響を与えるような事態になっていないように、それをしっかりと把握するように各方面、様々な分野でモニタリングを精力的に進めて頂いているところであります。これは様々な要因が合わさって実際に例えば基準値を超える数字が出る、出てこない等がございますので、一概に距離だけで判定できるものではございません。従って、いま水道の水について出ておりますのは、昨日もご報告をした福島県の一部と、それから東京の今回の上水場でございますが、それ以外のところもしっかりとモニタリングをしてですね、万が一にも予測しないような数値の上昇ということがあれば、しっかりと把握をして対応できるように備えているところでございます。

記者:朝日新聞のサトウです。直ちに健康に影響を与えないということはよくわかったんですが、具体的にですね、どのくらい飲んだらですね、場合は、影響があるんでしょうか。

官房長官:また具体的な詳細は、専門家の皆さんの詳細で科学的な説明を、これは厚生労働省になろうかと思いますが、ご報告をさせて頂いたり、お尋ねを頂ければというふうに思っておりますが、基本的にこの基準値は、この数値、基準値の放射能を持ったものをですね、1年間、通常の使用で飲料に使った場合であっても人体に影響を与えないという線で、非常に安全を考慮した数値でつくっておりますので、そういったレベルに達するまでは、少なくとも問題はないということであります。今の件で、絡みでいいですか、まずは。原子力関連の。どうぞ。

記者:読売新聞のクリバヤシです。確認ですけれども、今回東京都がそのように自粛を、自制を呼びかけているということは、国が東京都に対してですね、何らか措置をするということは特にないんでしょうか。

官房長官:様々な現在各地で行っているモニターであるとか、それから放医研など始めとしてですね、専門家についてもですね、当然東京都も直接専門家の皆さんとご相談されているかと思いますが、放医研や原子力安全委員会等、国の関係の専門家の皆さんの知見とかさまざまな点で協力すべきところは協力をしてですね、都の水道局において万全の措置をとって頂けるような態勢はつくって参りたいと思っています。

記者:TBSの●●です。先ほど、乳児を抱えている家庭の皆さんが困らないようにと枝野さんおっしゃいましたが、具体的にどういった対策を考えているかということとですね、実際すでに乳児がいない家庭も水の買いだめというか、買い占めというか、こういうことがすでに都内のスーパーなどで起こっているようなんですが、その辺りはどのように対応されますか。

官房長官:具体策については、これは、具体的なところも実は東京都の水道局とご相談させて頂いておりますが、主体的には東京都の方で最終的にご判断をされるということでございますので、最終的に都の方が決定をされましたら、都の方からご報告して頂くのが筋かなというふうに思っております。水等の買いだめでございますが、ぜひですね、被災地、宮城であるとか岩手の皆さん始めですね、いま飲料水を災害の結果としてですね、確保して送っているのに、いろいろな皆さんにお力添え頂いて、ご尽力頂いているという状況でございますので、ぜひ必要な分を超えてですね、お買い求めになるということについては、ぜひそうした皆さんのためにもですね、自粛をして頂ければありがたいというふうに思っております。原子力関係よろしければ、他の件。原子力関係、はい。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。先ほど一定期間続くことが想定されるとおっしゃっていましたが、原発がこういう現状にある限りはこういう、東京都内でもこういう数値が検出されるのは当分続くというふうに見込んでいらっしゃるということでしょうか。

官房長官:これ可能性の問題でございますし、何度も申し上げております通り、気象条件などに1つ大きく影響されるものだということであります。それから原子力発電所の状況、状態についてもですね、今後できるだけ冷却を安定させ、これを安定的に冷却をし続けるということで事態の収束を図るべく今努力をしているところでございますが、それにあわせて原子力発電所から外に出る放射性物質の量をいかにモニタリングし、なおかつそれを抑えていくのかということも、冷却が安定的に進んでいくということの中では、やっていかなければならない。ただこれについては、いつごろどうなっていくのかということを、今あまり予断をもって申し上げられる状況ではありませんので、できるだけそれを急いでですね、原子力発電所から放射性物質が外に出るという状況をできるだけ少なくして押さえ込んでいくということに、少なくとも一定の期間はかかるということが、私から申し上げられる今の段階でのことだと思っています。

記者:朝日新聞のクラシキですが、原子力発電所の関係で、3号炉から黒煙が確認されてますけれども、ほかの例えば1から2、4、5、6と比べてですね、3号炉の状態というのを政府はどの程度深刻であると認識しているかっていうことをお願いいたします。

官房長官:これについては、何がどう深刻であるのかということは、あまり一義的に申し上げられる状況ではないかなというふうに私たちはみております。ご承知の通りですね、3号炉、3号機については、一方では中央制御室の照明等を復旧すると、こういった作業は前に進んでおります。それから本日のですね、3号機については、使用済み燃料プールの冷却浄化系統から使用済み燃料プールへの海水の注入、つまり外からの消防車等による注水ではなくて、原子力発電所内部の系統からですね、プールに水を注ぎこむということも実施ができているという意味では、冷却を安定的に行うためのプロセスは、一方で3号機については他の機よりも進んでいる部分があります。一方で、鋭意、原因等についての検討調査を行って頂いておりますけれども、煙が出るという状況が何度か繰り返されておりますので、その状況についてはしっかりと注視をしていきませんといけないということでございまして、一概にどこがというよりも少なくとも1~4についてはですね、それぞれについて注視をしながら安定化を進めていると、こういう状況の認識であります。

記者:すみません。関連なんですが、3号炉の構造上の問題でですね、例えば大量の高濃度の放射能が流出しやすい状況にあるとか、そういった認識っていうのはあるんでしょうか。

官房長官:必ずしも3号炉について、特別なことがあるという認識はしておりません。

記者:関連で、テレビ朝日の●●と申しますが、3号炉なんですけれども、今●●についての●●だったんですけれども、専門家の中にはですね、すでに燃料プール自体が著しく損傷していてプールが崩落をしているのではないかという●●もあるんですけれども、政府としては●●ということはもう確認されていらっしゃるんですか。

官房長官:少なくともですね、燃料プールにおいてですね、一定の水があるということについては、様々な状況から間違いないだろうという認識をもって作業を進めているところであります。

記者:読売新聞のクリバヤシです。冒頭おっしゃっていた拡散予測のシミュレーションの件なんですけれども、午前中の記者会見では発生源である原発からどの程度の放射線が出ていて、種類がわからないのでなかなか今回の事象に使いにくいとおっしゃっていたと思うんですが、今回の発表される結果っていうのはそういう意味では、誤差がかなりあるというふうに受け止めしたらいいんでしょうか、それともそういう問題はある程度解決されたのでしょうか。

官房長官:これについてはまさに出てきたものについて、実際にこのシミュレーションを行った原子力安全委員会にとどまらずですね、専門家の皆さんに分析をして頂いております。ただ、そういった専門的なことの以前の問題としても、先ほども申しました通り、ある地点、風下のある地点で大気中の放射性物質の量を測定をして、そこで得られた時間帯によって変わっていきますから、一番高い数値をコンピューターに入力をして、そこから普通でやる場合と逆算をして、原子炉から放出されている放射性物質の量を試算をする。その試算に基づいていろいろなものがどこにどう広がっているかというシミュレーションをするというプロセスを踏んでおりますので、当然原子炉からですね、どの程度の量が出ているのかということについて、一定の所与の数字をもとにですね、シミュレーションした場合とは精度が異なるだろうというのは、専門家の分析を待たず一般的に言えることだというふうに思っていますし、ただそうした上でですね、さらに専門家の皆さんにこのシミュレーションをどう分析し、どう扱うのかということについて検討頂いているところです。

記者:関連で、そうするとですね、そのSPEEDIの問題については、朝日新聞の取材に対して原子力安全委員会は非公表だったわけですけれども、今回公表に至った理由ですね、長官からの強い指示があったのかどうか。その辺りをお伺いします。

官房長官:少なくともですね、こうしたシミュレーションをするコンピューターのシステムがある。従ってこれについては様々な使い方はもちろん専門家の皆さんにお任せをするけれども、最大限使うようにということの指示はかなり早い段階、先週の半ばくらいの段階で私の方から出しておりました。なおかつ様々なデータや、あるいは分析の結果については、これは必ず隠すことなく国民の皆さんに公表をするんだということを、この間原子力安全委員会にとどまらずですね、関係機関については繰り返し申し上げてきております。従いましてシミュレーションができた以上は公表するのは当然であるということで、私のところにも報告があったんだというふうに思っています。

記者:関連ですけれども、冒頭のご説明の中で30キロ圏内より外でですね、一部100ミリシーベルトに達するところがあるというお話があったと思うんですが、精度についてはまだ誤差があるという部分があるにしてもですね、そういう数値が実際に出てきて、それを公表されているということで不安に思う方もいらっしゃると思うんですけれども、退避の圏域自体をですね、そのことによって広げたりということについてはお考えにはなってらっしゃらないでしょうか。

官房長官:退避の範囲についてはこれは常に様々なモニタリングの数値に基づいて、そしてその専門家の皆さんの分析に基づいて常に最適なものを指示をするという姿勢できております。今回のシミュレーションもその参考資料の1つにはなるだろうというふうに思っております。ただ様々な、例えば放射線量のモニタリングの数字であるとか、そうしたことを踏まえて、それからシミュレーションの結果もですね、屋内で24時間活動している場合ということを前提としたシミュレーションであるということなどを踏まえるとですね、現時点で直ちにこれを変更するということにはならない。従って専門家の皆さんにこのシミュレーションも含めてですね、さらに検討頂き、さらにこの間、そうした地域については様々なモニタリングも、さらに精度といいますかですね、頻度を高めることで、万全を期して参りたいというふうに思っておりますので、いま直ちに何かしないといけないということではないということは、十分ご理解頂ければと思っています。

記者:時事通信のコウケツです。3号炉の話なんですが、先日灰色の煙が出ていたという現象もありましたけれども、今回との因果関係について現状でどうみていらっしゃるのかっていうことをいかがでしょうか。

官房長官:これは前回もそうでしたが、その原因について確定的なことを申し上げられる状況ではありません。ただあの時も申し上げましたが、原子炉内の圧力であるとか、周辺の放射線量の数値であるとか、こうしたところの数字をですね、しっかりと注視をしながら進めていって頂いておりますので、原子炉の建物の中の状況ですので、直接見に行くことはなかなか難しいんだろうというふうに思いますが、安全性をしっかり確保しながら冷却機能を回復させるということ、そうした現象をみながら進めていって頂いていると、こういう状況です。

記者:前回のときに、長官は建物内の残骸が燃えている可能性があるというふうにおっしゃったと思うんですけれども、今回の煙の原因についてどのように現状で分析されていらっしゃるのでしょうか。

官房長官:まさに、私が専門家ではございませんので、私が申し上げられるのはまあ、若干可能性的なところでございます。原因についてしっかりと判断するためには、原子力発電所の内部の構造、状態について十分承知をしている東京電力をはじめ、それから様々な科学的な知見に基づいて、その原因については専門的に分析をして頂いている。ただ残念ながら、得られている情報量の中からは何らかの確定的なことをお示しすることはできていない。こういう状況の中で様々な把握できるモニタリングの数字に基づいて、安全について最大限の配慮をしながら作業を進めている。こういう状況です。

記者:TBSの●●です。先ほども30キロ圏外の一部で100ミリシーベルトという話がありました。枝野さん、ただちに健康被害が起きるようなレベルではないと説明をされてるんですが、この間枝野さんこの説明よくされてるんですが、国としてですね、原子力安全委員会なのか、あるいは枝野さんご自身なのか、国が安全であるというふうに判断する際はどこでどのような根拠をもって判断をされているんでしょうか。

官房長官:原子力安全委員会、あるいはそれから独立行政法人としての放医研、放射線医学研究所と正確に申しましたでしょうか。それから原子力安全保安院、それから様々な専門の学者の皆さん、様々な皆さんのご意見を踏まえた上で、なおかつこれは国際的な機関、あるいは従来この事象が起きる、事件事故が起こる前のから原子力安全委員会などでですね、何度か私がここでもお話をしております通り、この基準値は、例えば1年間、標準的な摂取量をとり続けたとしても、人体に影響を与えるものではないなどという様々な基準の数値があるわけで、あるいはその基準の数値の意味があるわけでありまして、そうしたものを専門家の皆さんに分析を頂いて、それに基づいていまの時点で若干の量、それが例えば摂取されたり、そうした地域におられたりしても、まさにそういった基準値の意味から考えて影響が出るものではないという、間違いのない部分について申し上げている。こういうことです。

記者:日経のヤマザキですが、原発の周辺に住む方の賠償の話なんですけれども、民主党内や閣僚の中から現行法で定められた最高1200億円という国の負担の上限額について引き上げが必要なんじゃないかという声が出てますが、長官これをどうみてらっしゃるのかというのと、住民の賠償問題について東京電力の責任についてはどうみてらっしゃるんでしょうか。

官房長官:まず1点目については、当然あらゆることを考えていかなければいけないというふうに思っておりますが、まずは周辺住民の皆さんの健康への被害を防いで、そしてこの原子力発電所の事態をこれ以上悪化させずに収束させるということに、原子力関連の担当の皆さん、今、総力を挙げている状況でございますので、それについては事故の状況が収束の方向にきちっと進んでいって、住民の皆さんへの健康被害についての状況が悪化をしないということになった時に初めて担当の部局含めてですね、しっかりと対応をしなければならないという風に思っております。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。関連なんですけど、賠償責任の、責任の発生するかどうかっていうことでちょっと伺いたいんですけれども、原子力損害の賠償に関する法律の中の第3条に一部免責規定としてその損害が異常に巨大な天災地変または社会的動乱によって生じたものであるときには、その限りでないという免責条件が設けられています。今回の地震これ東電にはこれ当てはまると思いますか。当てはまらないとお考えですか。

官房長官:まさに先程来申し上げている通り、周辺住民の皆さんの健康被害を防ぐ。そして、この原子力発電所の今の事故の状況を収束に向かわせる。このことをしっかりと行った上で、この間のプロセスの検証も含めてですね、今の点については判断すべきだと思っています。

記者:河北新報のヤマザキです。統一地方選のことなんですけれども、昨日ですね、総務省が宮城県内の1市6町について延期を認めて、延期を認めるですね、●●から外したというか、1市6町はこのままいくと統一地方選の日程で行われる、行われることになりそうなんですけれども、宮城県の村井知事がですね、今被災地なので全県的に外してほしいというふうな要望を国に対してしているようなんですが、政府の受け止めは。

官房長官:私が片山総務大臣から報告を受けておりますのは、昨日の時点で延期を決めたのは4月10日投票、前半戦の特に知事選挙がまもなく告示をされると言うことの中で、同じ投票日の同じ県の県会議員選挙と、そこまでの所についてまず第一次的な判断をしたというものであって、例えば当該地域の市町村長選挙、市町村議会選挙、あるいは知事選挙の行われない都道府県議会議員選挙については告示日まで若干の余裕がありますので、まずは告示日まで日数の余裕のない知事選挙と、それとセットで行われる県会議員選挙についてまずは判断をしたというものであって、それ以外の所については現時点で判断をしていない、決定をしていないと、こういう意味であって、決して延期をしないという意味ではないというふうに聞いております。

記者:すみません。ちょっと原発関連に戻りますけれども、韓国政府がですね、日本産の食品について深刻な放射能汚染が憂慮される場合には輸入を暫定的に保留するという●●をしたそうです。これについての受け止めとですね、また例外を設けているということで日本政府が放射能汚染のない地域で生産、製造、加工されたことを示す証明書などを出した場合には、輸入を認めるという言い方をしているようなんですが、こういうことを対外的に求められた場合ですね、それに対してどういう形で応じる、ということが考えられるのかということをお伺いしたいんですが。

官房長官:まず具体的な話というより、一般的に申し上げましてですね、今回出荷規制の指示等を適宜出させて頂いていておりまして、放射線量が一定程度以上のものについては、あるいはそうなる可能性のあるものについては流通させないという措置をとっているものでございます。したがいまして、逆に言うと、そうした指示の対象になっていない、流通している食べ物については安全性が確保されているということであります。そのことが必ずしも諸外国、周知がまだ出来ていないというふうに思いますので、我が国の取っております措置について各国に対してしっかりとご説明を申し上げて、その理解を得ていく、まずはそのことをして参りたいと思っています。

記者:テレビ朝日のイケダと申しますが、暫定規制値を超える放射性物質検出されている野菜についてなんですけれども、今日長官会見でですね、最大値を示す野菜を10日間食べたとしても1年間の自然放射能のほぼ2分の1にとどまるので、直ちに健康被害がないとおっしゃっておりますけれども、文科省の資料ですと1年間の自然放射能2400マイクロシーベルトになっているんですけれども、その半分だと1200マイクロシーベルトなんですよね。そうすると、一般公衆の線量限度1000マイクロシーベルトなんですけれども、それを超えているんですが、線量限度を超えていても健康に影響を受けないということなんでしょうか。

官房長官:例えばその一般の限度というのよりも、たぶん例えばCTスキャンなどの数値のほうが大きいんじゃないかというふうに思います。そうした意味では一般的な状態で、一般的に普通にいるなかで1年間に受けるということについての基準値と、それから様々な例えば、医療的な措置に伴ってですね、放射線を浴びることがあるとか、そういうことによって健康に与える影響等を考慮して、これもものすごく保守的な数字で設定されていますが、というものとでは違いがあるということの中で、今日、今朝のようなご説明を申し上げたということです。

記者:すみません。時事通信のコウケツですが、ちょっと原発の話から変わるんですけれども、今日、最高裁が2009年の衆院選について「違憲状態である」という判断を下したんですが、まず政府としての受け止めをお願いします。

官房長官:判決は承知をいたしておりますが、議会政治の根幹にもかかわる問題でございます。当然各党においてもですね、この最高裁判決をふまえて、各党間の検討を進めて頂けるというふうに思っておりますので、それをしっかりと注視して参りたいというふうに思っています。

記者:この間、長官は各高裁などの判決の時にですね、注視したいという。結果を注視したいというふうにおっしゃってきましたけれども、次期衆院選はですね、どういう形で行われるべきだというふうにお考えになりますか。

官房長官:本当これ繰り返しになりますが、選挙制度については議院内閣制でありますが、議院内閣制においても行政府が主導するべきものではなくて、立法府が主導して行うべきものだというふうに私は思っておりますし、一般的にもそう受け止められているのではないかというふうに思っております。そうしたなかで、今回の最高裁判決、これは最高裁判決ですから大変重い、このことは間違いなく言えるわけございまして、その最高裁判決をふまえてですね、各党間で協議がなされてしかるべき対応をして頂けるものと思っています。

記者:それに関連して、最高裁が違憲状態の中でいわゆる総理の解散権っていうのは縛られるとか。

官房長官:これは憲法学的にはいろいろな議論があるのかもしれませんけれども、従来の日本国憲法の運用から考えたときに、こうしたことが内閣総理大臣の専権事項である憲法に基づいた解散権を制約する要因にはならないと私は思っています。ただ様々な状況で、今そういったことが出来る状況かというそういう問題とは別問題。純粋な法律論の問題です。

記者:裁判の関係でもう1つお伺いします。今日東京地方裁判所でですね、イレッサ訴訟についてですね、国の責任を認めて賠償を命じる判決が出ました。この受け止めと政府の対応についてお願いいたします。

官房長官:この問題についてはですね、従来から申し上げてきております通り、すべてのがん患者の方々のために最もいい対応策はどういうことであるのか。これは今回の原告のみなさま方からもですね、様々な制度改革についての非常に建設的な提言も頂いております。それについては裁判とは別にしっかりと進めていかなければならないというふうに思っております。この裁判のことにつきましては、大阪と東京で違う結論も出ておりますので、この判決文をしっかりと精査、検討してですね、こうした一方でがん患者全体のための制度論としてのあり方ということをしっかりと進める一方で、判決に対する対応は、判決の文をしっかりと精査をして、今後検討して参りたいと思っています。

記者:すみません。ちょっと復興関連に戻るんですが、今日午後から民主党でもいわゆる復興委員会というものも始まりまして、昨日枝野さんもいわゆる復興庁について前向きともとれる意見をおっしゃっていたと思うんですけれども、復興に向けて今後政府、民主党としてどのように取り組んでいくかという具体的にもうすでに上がっている項目みたいなものがあれば教えてください。

官房長官:私が昨日申し上げたこともですね、あらゆる可能性を排除せずにですね、考えていかないといけないという趣旨で申し上げたつもりです。そして、まさに今日の時点でもその認識は全く変わるものではございません。正直申し上げて、被害の実態、全貌というものもですね、まだ、救命、救難、あるいは孤立している被災地をどうやって支援をしていくかといったことが、かなり多くの被災地で今最大限なされなければならないという状況でございますので、被害の全体像をしっかりと把握をして、それに対して今後どういう施策をしていくべきなのかということの全体像を今すぐにどうこう出来るという状況ではないというふうに思っています。一方で今回の被災から立ち上がっていくということも大変重要でありますので、様々な予断を持たずにあらゆる可能性を排除せず、様々なすでにご意見も出ておりますので、そうしたことをふまえながらですね、ある段階では、復興に向けたしっかりとした態勢というものをつくって参る。今の段階ではここまでだと思っています。

記者:最近総理がですね、国民の前に姿をあまり現せられない状態が続いているんですが、実際にどのようなことをされているのか教えて頂けますでしょうか。

官房長官:すべての時間を私総理と一緒にいるわけではございませんが、総理の執務室においてですね、関係機関からの報告をこれは様々なものがあります。原子力発電所の状況もあります。それから今日の場合であると、例えばこの水道の水についての話、野菜についての話。様々状況の報告をしっかりと受けております。それから被災者生活支援の方についても様々な課題が生活支援の本部で動いている話もありますし、総理のところに様々なルートでこういうところにもっと力を注ぐべきだなどという情報も様々なルートで入っているようでございまして、そうしたことを総理自らですね、関係のところに指示をしっかりとおろしてですね、そのことについて必要があれば私などにこういう指示をおろしたからしっかりと徹底されているかどうかフォローするようになどという指示を私が受けたりと、こういったことで慌ただしく、当然のことですが、過ごしておられます。

記者:国民の目には総理のリーダーシップというのがなかなか窺い知れないんですけれども、その点はどうなんでしょうか。

官房長官:私はこれ、いろんな評価、見方があろうかというふうに思いますが、いま一番やらなければならないのは実際に生活支援の現場をしっかりと動かすということ。あるいは原子力発電所の事態、現場でさまざまな対応をして頂いておりますので、それをしっかりと動かしていくということ。あるいは原子力発電所の影響で出ている様々な影響をですね、実際の現場で少しでも健康被害が及ばない方向に、あるいは風評被害が広がらないようにというそうした現場の努力の積み重ねというのがいま政府として求められていることであるというふうに思っています。そうしたことについて、内閣総理大臣という立場は、その全体がしっかりと回っているのかどうかを把握をし、そしてそれが不十分なところがあれば総理大臣としてしっかりと指示をして、現場が動くようにしていくということが、私はいまリーダーに求められている一番の役割であるというふうに思っております。そうしたことの中では部分的にはですね、総理が表に見える形で動くことがそうしたリーダーシップとしての現場を動かすという意味で効果的かつ重要な場合もありますが、私は多くの場合はですね、必ずしもそれは目に見えるものではない。ある意味当然ではないかなというふうに思っています。

司会:進行ご協力お願いします。

記者:読売新聞のクリバヤシです。北沢防衛大臣がですね、省内の対策本部の会議で被災地の遺体搬送についてですね、自治体から依頼されて自衛隊が運ばざるをえないという状態が続いている。かなりの勢力を割かれていると。今後どうしていくかについて官房長官と厚労大臣と協議したいというふうにおっしゃっているんですが、協議されたのかということとですね、今後も政府としては遺体の搬送、あるいは処理をどうするかも含めてですね、自衛隊で担っていくという考えなのか。あるいは別の方法を考えるのか。その辺どう考えなのでしょうか。

官房長官:この後、実は防衛大臣と多分電話なのかと思いますが、ご相談をすることになっております。防衛大臣の方から現場の状況、自衛隊通じて一番把握をされておりますので、そうしたことを踏まえて対応を考えていかなければいけないと思っています。

司会:よろしいですか。じゃあ最後すみません。

記者:また野菜の話に戻ってしまうんですけれども、これまで長官会見でですね、野菜などから検出された放射線物質をですね、CTスキャンとか●●と比較されておりますけれども、放射線が照射される場合と放射能が体内に入った場合というのは事情が全く違うと思うんですが、そもそもその2つを比べるということについて妥当なんでしょうか。

官房長官:もちろん、当然、放射線を外から受ける場合と、それを体内に摂取をする場合とでは意味が違うということは当然のことでありますが、そうしたことの違いも含めてですね、専門家の皆さんにご助言を頂く中で、1つの分かりやすい指標としてお話をさせて頂いている。そもそもその安全基準というのは、体内に取り込む場合と外で受ける場合とでは、もちろん当然違っております。当然そのことは認識をいたしておりますが、1つの分かりやすい比較として申し上げているというものであります。

記者:放射線の核種は何を。

官房長官:はい?

記者:放射線の核種っていうのは、ヨウ素なのか、セシウムなのか。

官房長官:基本的にはそれぞれ例えば今回この間出てきているのはヨウ素が非常に多くてセシウムが小さいというようなケースがいくつかあったと思いますが、その場合には特に基準値を超えて問題になっているヨウ素について、を前提にして専門家の皆さんともお話をさせて頂いてますし、ここでも申し上げているということであります。