官房長官の記者会見テキスト(2011年3月24日午前11時03分から20分間)

【質疑応答】

記者:日本テレビのヒラモトですけれども、改めてなんですけれども、昨日東京都の方で乳児向けの水に対して放射性物質が出て、水の今日から配布が始まっております。まずその水の配布の供給量についてやはり都のが少ないということで、国に対してですね、メーカーに増産をお願いするようなことを検討しているようなんですけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。

官房長官:今回の水の、乳児向けにはできるだけお使い頂かないようにという対応を含めてですね、できるだけ長期にわたってそうした数値のものを摂取しても健康に影響の出ることのない、非常にレベルの低い段階での数値に基づいてですね、様々な措置をお願いをしております。従いまして、今回、東京都の場合ですと、乳児については、そうしたことを考慮して、非常に念には念を入れた安全基準に基づいて、乳児が摂取することをお控え頂きたいということをお願いしたわけでありますので、それ以外の皆さんについては、まったくといっていいほど影響を及ぼす可能性はないという状況であります。ですのでぜひ、乳児を抱えてらっしゃる皆さん以外にはですね、冷静な対応をお願いをしたいというふうに思いますが、同時に現実的に乳児を抱えてらっしゃる皆さんに影響を及ぼすことのないようにですね、東京都においても万全の措置を取って頂いておりますが、国としてもいわゆるペット飲料についての増産とそれについての適切な供給を関連部局に指示をしたいと思っております。

記者:一方で、メーカーに対してですね、そういう対策をとるということですけれども、メーカーの需要としては震災以後ですね、供給を非常に増やす努力はしていて、現状で供給を増やすことはメーカーの需要としては非常に難しいという声も聞こえてきます。そう言った中でどう対応をとっていくのかということと、あと国外にですね、そういう水の供給などを求めるということは検討今しているんでしょうか。

官房長官:可能性としてはあらゆる可能性を踏まえてですね、検討を進めて頂いているところであります。ただぜひ、繰り返し申し上げますが、本当に今回、これは水に限らずですけれども、様々な基準値というのは長期にわたって摂取をし続けた場合に備えてですね、様々な基準値を設け、それに基づいて対応をお願いをしているということでありますので、水について言えば、東京都でいま出ている数値は、乳児以外はそうした数値も下回っているという状況でございますので、ぜひ冷静な対応をお願いしたいというふうに思っておりますし、こうしたどういう数値に基づいているのかということについては、引き続き繰り返しですね、丁寧な説明に心がけて参りたいというふうに思っています。

記者:朝日新聞のサトウです。NHKのですね、映像を見ますと、あちこちの原子炉から煙が出ているように見えるんですが、これの事実関係とですね、昨日の班目委員長がですね、1号機についてかなり溶融が進んでいて、最も危険な状況であるというコメントをしているんですが、この辺りの日本政府の認識を。

官房長官:まず煙が出ているということについては、特にプール、燃料プールが水が入って、そこが冷却をされているという中で、一定の水蒸気が外に出ているということについては、これは当然あることということであります。同時にもちろん、あらゆる可能性について、考慮しながらですね、慎重に見極め、分析を現場においてして頂いているという状況でございます。それから、斑目委員長の昨日のご発言についてでございますが、ここは報道等では大変楽観的な報道もなされているようでありますが、これは私繰り返し申し上げております通り、今の時点でこれ以上の悪化を食い止めるという状況を数日間続け、なおかつその間に改善に向けた、例えば電気系統の整備等の努力をして頂いておりますが、決して予断を許す状況ではない、緊張感をもってそれぞれについて対応をしている状況でございます。そうした中で、昨日、1号機の炉の温度が上昇するという事象がありました。それは冷却をさらに強力に進めることによって、温度は低下しておりますが、その分、圧力が高まっている。ただちに何かが起こるという状況ではなくて、この冷却をしっかりと進めながら、圧力をいかに減らしていくかということで対応して頂いております。そうした意味では、これはまさに専門家でいらっしゃいますので、そういった意味で相対的には1号機について、さらに努力と注視が必要であるという状況であるというご認識なんだろうというふうに報告を受けています。

記者:読売新聞のクリバヤシです。1号機についてですね、そうすると炉心の損傷の程度とですね、損傷によって圧力容器そのものがすでに損傷している、あるいはこれから損傷する危険性については今どのように認識していらっしゃいますか。

官房長官:現時点で圧力容器に損傷が出ているということではないというふうに報告を受けております。ただまさに、この原子炉の状況は冷却とそれからそれによって温度を下げることと圧力と、これは順次、例えば温度についてのモニターがいろんなやり方である程度できつつあるという状況の中で、そうした数値を専門家の皆さんに、これは1号炉に限らずですね、注視をし続けて、慎重に対応しなきゃならないということでは、従来から変わっていない。そうした状況を引き続き、緊張感をもって進めているという状況です。

記者:時事通信のコウケツです。先ほど、総理のところにですね、斑目原子力安全委員長と、それから海江田大臣、枝野さんが入られていたと思うんですけれども、総理から班目さんにどういったお話があったのでしょうか。

官房長官:今朝までの様々な状況の報告と確認ということがなされました。その上でですね、原子力安全委員会がですね、政府に対して、様々な安全性について助言し、場合によっては勧告をするという意味でですね、大変大きな役割を担って頂いているわけでありまして、1つには原子力発電所についての安全性、あるいはそのリスク管理についての勧告、助言、この間も斑目委員長中心に進めてきて頂いているわけですが、さらに水道の水とか、それから野菜等への放射線による影響が広がっているという状況の中で、原子力安全委員会においてですね、それは委員の皆さんもとより、事務局含めてですね、より万全の態勢でこうしたことについての対応ができるように、官邸としても様々なバックアップと言いますかですね、をするので、さらに強力に進めてほしいと、こういった趣旨の指示が原子力安全委員会に対してなされております。

記者:その中でですね、総理は保安院の方に適切な助言するようにというふうに斑目さんに指示されたというお話なんですけれども、この指示の意図というのはどういうことだったんでしょうか。

官房長官:この間もですね、原子炉そのものの保安を担当している経済産業省の原子力保安院と、それから安全について政府に助言、勧告する安全委員会というところ両方の専門的な知見に基づいて、原子力発電所の方の対応、それからそこから出ている放射能による社会的な影響について対応してきているところでございますが、残念ながらいま、水でありますとか、それから野菜をはじめとしてですね、その影響が広がりを見せているなかで、そうしたことに対しても、しっかりと安全委員会、さらにしっかりと役割を果たしてほしいと。同時に原子力発電所そのもの、その周辺の安全確保ということについても、しっかりとやってほしい。そういったことのなかで、さらに安全委員会と保安院との連携を強化して欲しいと。そういう趣旨でのご発言はございました。

記者:この間のですね、保安院と安全委員会の連携、役割分担は十分であったとお考えになるでしょうか。

官房長官:それについては、全力をあげて取り組んできているつもりでおりますが、これは様々なご意見があるんだろうというふうに思います。しかしながら、今後特に安全委員会が様々な周辺への影響についての役割、業務が大きくなっているという状況を踏まえて、そうしたなかでも保安院との連携をしっかりやってほしいと、こういう趣旨でおっしゃったと認識しています。

記者:産経新聞のノダと申しますけれども、今日ですね、12都道府県知事選が告示されて、統一地方選が始まったと思うんですけれども、争点は何だとお考えですか。

官房長官:それは、それぞれのみなさんがお考えになるんだろうというふうに思っております。いま私の立場はですね、もちろん国会議員のひとりとしてまったく無関係ではありませんけれども、統一選挙についてはそれぞれ党の側なり、あるいはそれぞれの地域において行って頂くと。官房長官という立場ではですね、この災害対応とそれから原子力対応のことに全力を挙げておりますので、まさにそれぞれの担当の皆さんのところでいろいろお考えになっているんだと思います。

記者:その関係なんですけれども、日本の首都である東京都知事選で民主党は候補者を擁立できなかったということなんですが、それについてはどうお考えでしょうか。

官房長官:党の方にお尋ね頂ければと思います。

記者:テレビ朝日のコバヤシですが、原発の話に戻るんですが、現状の排水のモニタリングのですね、また新たに異常が出たか、出てないか。それから今後のモニタリングの進め方について何かあれば確認させて頂きたいと思います。

官房長官:少なくとも、この会見の始まる前の段階で私のところに新たな報告はございません。それぞれ調査をしている機関から、事実関係のデータは発表できるタイミングでは、できるだけ早く発表するようにという指示をいたしておりますし、様々な影響を及ぼす可能性を考慮しながら万全のモニタリング態勢をとってほしいという指示はおろしております。

記者:共同通信のテヅカですが、昨日原子力安全委員会はSPEEDIに関する調査して、やっぱり現場の方ではですね、30キロ圏外のところでもちょっと強い数値が出てるということで不安も広がっていると思うんですが、今後改めて退避地域を拡大するとか、そういうお考えはないのかっていうのと、ないのであれば、なんで安全なんだっていうことを改めて。

官房長官:SPEEDIによる推測も考慮にいれてですね、さらに様々なモニタリングをあのデータも推測も考慮にいれて、かなり強化するよう指示をいたしております。そうしたあれは予測でありますので、様々な実測数値に基づいてですね、必要に応じて対応をこの間も進めてきたところでございますし、今後については、もちろん様々な数値が下がっていくことが望ましいわけでありますけれども、客観的なデータに基づいて必要な対応をするということについては、あらゆる可能性は否定しておりません。

記者:読売新聞のクリバヤシです。昨日の原子力安全委員会の委員長の記者会見というのは事故が起きて初めて行われたわけですけれども、原子力政策について情報公開等も安全委員会の●●の1つだと思うんですけれども、この間、記者会見が行われなかった理由とですね、それは政府として妥当と考えているのかっていうことをお願いします。

官房長官:直接的にいつ、どう会見を開くかというのは一種独立性の高い委員会でもありますので、原子力安全委員会のご判断ではございますが、この間ですね、特に事故の発生以来ですね、原子力安全委員会にはですね、最大限の力を出して頂いて、様々な対応についての安全委員会としての知見をですね、例えば退避についてであり、あるいはそれから原子力発電所そのものに対する対応も、これは一義的には東京電力であり、二義的には保安院でありますけれども、原子力安全委員会もこの炉の安全性とかについての専門的な知見をもっていますので、第三者機関としてのご助言を頂いてきておりまして、かなりそこにエネルギーを集中的に注いできて頂いたことは間違いない。また、そこで頂いたご助言等を踏まえてですね、具体的な対応を進めてきているなかで、その対応については私なり、あるいは保安院なり、東京電力なりからこれは全面的な情報公開を進めてきているということが、この間であったかなと思っております。そうしたことの中から、ただ、独立してですね、しっかりと情報公開をし、あるいは記者の皆さんの質問にお答えするということは、そうした本来の役割をしっかり果たしていくなかで最大限やって頂くことは望ましいというふうに思っておりますし、そうした状況になってきたという頃かなと思っています。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。その関連なんですけれども、事故に対する東電の対応なんですけれども、この間、清水社長、勝俣会長が事故の陣頭指揮に立っているような姿があまり見えないというふうに思うんですが、例えば福島県を最初に幹部として訪問したのは確か小森常務だったと思いますし、その間会見を行っているのも副社長だと思うんです。こうした東電の姿勢についてどのようにお考えになってますか。

官房長官:しっかりとですね、事故がこれ以上悪化しないようにということで、現場の第一原子力発電所の現場の関係者の皆さん、本当にこれは頭の下がる思いでございます。本当に頑張って頂いているというふうに思っております。それを本社なりの方からどういった形でバックアップして指示を出しているのかということについてはですね、これは様々なご意見等があろうかというふうに思っております。ただ、政府の立場からはですね、しっかりと東京電力として総力を挙げて事故のこれ以上の悪化を防ぎ、収拾に向けて努力をさせると。この1点でこの間、対応、あるいは指示等してきておりますので、何か第三者的にそれについてコメントする立場ではないと思っています。

記者:ニコニコ動画のナナオです。1つ前の質問と関連してなんですが、現在の政府からの原発に関わる発表に加えまして、来日中のIAEAやNRCなどの国際調査機関の会見、例えば会見などをですね、直接国民が見ることができれば、国民はより冷静に現状を把握できると思います。こうした第三者の評価が広く国民に伝わるための方策について何かお考えはございますでしょうか。

官房長官:それぞれ、特に海外の機関について日本政府からできることは、お願いベースということになろうかというふうに思っています。この間、どうしてもタイムラグは生じてしまいますけれども、IAEAやそれから米国などですね、専門的な分析や意見を出して頂きうるところに対してはですね、国民の皆さんに報告をさせているようにですね、様々なデータや状況、報告をし、ご説明をしてですね、そうした知見も政府としてもご意見を頂いたりもしてきているところでございますが、そうした政府以外のところの専門的な評価というものはきちっとした同じ客観的なデータに基づいている限りはですね、当然、国民の皆さんも知りたい情報だろうというふうに思っておりますので、さらに関係機関、特に基本的には米国とIAEAかと思いますが、何ができるかは検討してみたいと思います。

記者:フジテレビのフクダです。先ほど埼玉県の川口市がですね、川口市内の上水道から採取した水道水から、乳児の暫定基準値を超える放射性ヨウ素が検出されたと発表したんですけれども、東京に限らず首都圏でもそういった事象が起きていることで、東京以外でも乳児の摂取を控えるように指示するとか、それを指示するような考えはありますでしょうか。

官房長官:これは基準値があってですね、それぞれにできるだけ広範かつ規模の大きなモニタリングをして頂きたいということは政府としても指示をしているところでございます。そうした中ではですね、原子力発電所から放射性物質が残念ながらこの間出た、あるいは場合によっては出ているという状況の中ではですね、一定の範囲においてこうした数字が出てくるということはあり得ることだというふうに思っております。だからこそ、モニタリングをしっかり強化してですね、数値が出たからといって健康に影響が出るわけではありませんが、国民の皆さんにできるだけしっかりと客観的な情報をお知らせをして、そして万全の措置を取っているということをご理解頂くために、出たらしっかりとそれに基づく対応をするということを各関係機関において、市町村も含めてですね、やってきて頂いているところでございます。今後もですね、モニタリングをしっかりとすれば様々な数字が出るということはあり得ますが、その数字の意味については、できるだけ私も繰り返しこの場でご報告申し上げてきているところでございますが、これは原子力安全委員会であるとか放医研であるとか、専門的な皆さんにもできるだけ分かりやすく詳細なその数値のもつ意味ですね、健康、人体に影響がないということについての説明を、国民の皆さん向けに専門家のレベルでもやって頂くようにという指示は出しているところでございます。