官房長官の記者会見テキスト(2011年3月25日16時00分から40分間)

【冒頭発言】

官房長官:地震発生から2週間が経過をいたしました。総理からは、今日この後19時30分目途で、この2週間を迎えたタイミングで、総理から国民の皆さんへのメッセージと若干の時間、記者の皆さんからの質疑にお答えをする場をつくりたいと思っております。

【質疑応答】

記者:声届きますか。フリーランスの上杉隆と申します。この度の震災発生以降にですね、私たちフリーランス、海外メディア、ネットのインターネットなどの記者がこの会見に出席させて頂けるようにということでずっとご依頼させて頂いておりました。結果としてそれはまだ叶わない、一部叶わない状況なんですが、それと同時にですね、情報公開に関して政府がですね、これまで基本的には海外メディア、そして通信メディアに関しては情報を出してきているとはいいがたいと思います。具体的には例えば今日もこのような手紙で1カ月前にもお取り計らいしたような形で少し前にいかせて頂ければ声も届きやすいんですが、こういう運営の仕方を●●、さらにはですね、震災発生翌日からこの官邸報道室の長谷川室長ならびに西森報道官に対して海外メディアが一部入れるようにというお願いをしていました。それが10日間かかりました。なぜそうなったんでしょうか。枝野長官のところにはこの情報はきちんといっていますでしょうか。お聞かせください。

官房長官:今回の震災という大変緊急な事態に対して、国内外問わず、できるだけ多くの方にですね、正確な情報を提供していくことは大変重要なことだというふうに思っております。一方で、私含めて、この震災への対応そのものの業務もございます。そうしたなかでなるべく効率的な方法で、迅速かつ正確な方法で情報を提供をしていくと、そうした一環としては、この私の会見にも、金曜日のこのオープン会見以外の場においても、インターネットメディア、フリーランス等の代表としてインターネット放送局に参加をして頂くことをこの間決めて実施をいたしております。また私の会見は終了後速やかに、官邸ホームページに動画をアップし、国民の皆さんにご覧頂けるようにいたしております。またある段階から私の会見には同時通訳を付けまして、英語で発信をさせて頂いているところでございます。必ずしもまだまだ十分ではないというご批判はあろうかというふうに思いますが、正確な情報を関係各所からできるだけスピーディーに公開をするようにという指示はさらに徹底をして参りたいというふうには思っております。

記者:長官。

記者:日本テレビのヒラモトですけれども、昨日被曝したですね、方の被曝した状況が東電の会見などで明らかになってきました。線量計のですね、アラートが鳴っていたにもかかわらず故障と思って作業を続けていたっていう内容が出てきますけれども、これ見方によってはですね、作業の安全確認の状況が一部問題があったのかという指摘もあるようですけれども、その点どのようにご覧になってますでしょうか。

官房長官:この原子力発電所の状況を悪化させることなく、何とか収拾に向かわせるために現場の作業にあたっておられる皆さんは大変厳しい状況の中で、なおかつ非常な使命感をもって業務にあたって頂いているものと、感謝と敬意を持ってみているところでございますが、そうした中においてもしっかりと作業にあたられる皆さんのですね、安全管理ということについては一方で徹底をするなかで最大限のご努力をして頂くということが重要だと思っております。すでに原子力安全保安院から、東京電力に対しては改めて指示をしているところでございますが、引き続きですね、さらに安全の確保を一方でしっかりとする中で最大限の作業、努力を進めて頂くということを徹底して参りたいと思っております。

記者:まさに今枝野さんがおっしゃったように現場では本当にですね、各作業員の方が努力をされているのは重々承知なんですけれども、一部でこういう安全管理に問題点があると、一般国民からするとですね、全体のですね、原子炉に対する作業へのやっぱり安全が徹底されてないではないかという不信感が高まることで一方であると思います。そういった国民の不信感が高まることについてはどのように説明されますでしょうか。

官房長官:本当にそういった意味では、今回の事故は大変遺憾な事故だというふうに思っておりまして、これは例えばこの放射線の管理の担当にあたる人もですね、東京電力はもとより関係電力会社にもご協力をお願いをしておりますので、人数的にも、それから被曝、放射線量との関係で、ローテーション組みながらやっていかなきゃならないという点もございます。こうした中でしっかりと安全管理の担当者が十分に配置がされるように、こうしたことも含めてですね、こうしたことのないような徹底を指示して参りたいと思っております。

記者:読売新聞のクリバヤシです。その関連なんですけれども、被曝の原因となった水がですね、あれほど高い放射濃度に汚染をうけていた理由については判明してきましたでしょうか。

官房長官:いま現場においても、そしてそこから出てくる情報に基づいて専門家の皆さんにも様々な分析をして頂いているところでございますが、現時点で何か断定的なことを申し上げられる段階ではございません。

記者:あれほど高い放射濃度が汚染されていたことの理由が分からない段階でもなお、沿岸の海水のですね、汚染状況ですとか、その辺は沿岸の漁業や人体に影響を与えないと、現在もそういう認識でしょうか。

官房長官:これはですね、沿岸の海水についてのモニタリングはこの間進めてきておりますし、さらにこれを強化をしていくことによってですね、当然そうした水のかなりの部分が海中に出ていくということが予定、予想されますので、それに対するモニタリングをしっかりと強化していく必要があると思っております。

記者:関連ですが、3号機のですね、原子炉の損傷の可能性についてはどのように認識されているんでしょうか。

官房長官:これについてはですね、この間、2週間の中でですね、様々な可能性がありうることは私の会見でも申し上げてきているところでございます。そうしたことを超えてですね、現時点でさらに新たなことがあったというよりはですね、原子炉あるいは圧力容器からですね、この間も一定の放射性物質が出ている可能性申し上げてきたところでございます。また今回の水が、原子炉に由来するものか、あるいは燃料プールに由来するものか、含めてですね、しっかりと調査と検証をしなければならない。そうしたことの中で、逆にそこからですね、原子炉やあるいは燃料プールの状況についてのさらなる推測、推定ができる可能性もあると思いますので、その原因に向けて分析、調査をしっかりと指示して参りたいと思っております。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。関連なんですけど、3号機の件なんですけれども、3号機っていうのはこれ昨年あったらプルサーマル発電による燃料運転を行ってきたことだろうと思います。プルサーマルに含まれるプルトニウムには強い発がん性があって、事故が起きた場合には、一般の原発よりも深刻な事態になるという指摘を専門家がしています。他の1,2,4との比較で現状3号機どのような●●もっているという現状認識でいらっしゃいますでしょうか。

官房長官:これについては、当然それぞれの炉がどういう性格を持っているかということ含めてですね、原子力安全委員会含めて専門家の皆さんに、様々な可能性、危険性についてご指摘を頂きながら対応をしているところでございます。いずれの炉についてもですね、これ以上の事態の悪化を防ぐということが必要であるという状況は同じであるというふうに思っております。そうした中でご指摘のあったプルトニウム等についても、しっかりとですね、線量といいますか、放射性物質の出ている状況等がないかどうかということのモニタリングは、より危険性の高いものについてよりしっかりとしたモニタリングを行うということの指示はこの間もいたしているところでございます。

記者:フリーランスの畠山理仁と申します。情報公開のことで補足で伺いたいんでございますけれども、フリーランスの記者の会見参加申し入れについてはですね、2週間以上今日に至るまで毎日官邸報道局の方に要請を行っております。インターネットメディアの該当カメラについては1週間以上、1週間ですね、会見に参加するまでにかかっております。それから西森昭夫調査官はですね、フリーランスの記者の会見参加がですね、定例会見、金曜日午後の1回に限られている理由について枝野長官のご判断でと回答されております。先ほど長官はスピーディーに指示するとおっしゃいましたけれども、これは長官の発言と矛盾するものではないんでしょうか。

官房長官:情報公開については、関係各部局から、特にデータについては、特に悪いデータについて、できるだけ迅速に、ただし正確なものをしっかりと公開をするようにということで原子力安全保安院、それから文部科学省、厚生労働省はじめですね、様々なデータはどなたでもご覧頂けるように、情報公開についてはこれはこの間徹底して指示をしてきているところでございます。会見のあり方については、これはこうした地震の起きる前の時点からですね、様々な関係者の皆さんで、様々なご意見がある中で、私の責任と判断で官房長官会見、週に1回フリーの皆さんにもオープン化をするというところのスタートをしたところでこの震災が起こりました。当然この問題についても様々な検討が必要だと思っておりますが、率直に申し上げて今の震災対策とそれから原子力対策の状況の中でですね、この問題について抜本的なですね、議論と検討をする状況ではないと思っておりまして、そうしたことの中でできるだけ直接国民の皆さんに、あるいはフリーの記者の皆さんにも私の会見の内容がただちに伝わるように努力をしてきているところでございます。

記者:●●のジンボウです。核施設とかですね、放射能の問題に関しては非常に個人や環境への影響が大きいということもあり、予防原則的な立場に立つということが基本だと思います。その大前提として最悪の事態を想定するということが必要であろうと、最悪の場合を考えて行動するのが予防原則だとするとですね、今政府としては最悪の事態というものをきちんと想定されてるものがあるのかないのか。あるとすれば、それはどのような事態を想定されているのか、お話し頂ければお願いします。

官房長官:これについてはこの間も、何度かお尋ねを頂いておりますが、最悪の事態ということを何を前提に申し上げるかによってまったく意味が違ってきていると思います。原子力発電所、世界中でたくさんの原子炉がいま動いておりますので、そうしたものが最悪の事態で何が起こるのかと、すべての原子力発電所について、同じ条件だと私は思います。そうしたことの中で福島の第一発電所については、津波を起因としてですね、普通の原子力発電所とは違う状態になっている。そうしたことの中で今、これを収束させるために現場の皆さんにはご努力を頂いているという状況の中にあります。いま把握をしている福島第一原子力発電所の状況の中において、そしてここから起こりうる状況については、いい方向についても悪い方向についても予断なくあらゆる可能性を想定した中で、いま、退避の指示等について行っていると、こういうことでございます。

記者:NHKのヨシカワです。原発から20キロ~30キロのですね、自主避難の件ですけれども、ここに該当する市町村ではですね、正式な避難指示がなければですね、改めて自主的な避難のお呼びかけは行わないとしているんですけれども、こうした自治体の動きについてどのようにお考えか。また国とですね、自治体の連携がうまくいっていないようにも思えるんですけれども、その辺りはどのように。

官房長官:これは確か9市町村が20キロ~30キロの範囲に対象がかかっているかというふうに思っておりますが、いま原子力災害対策本部とですね、各市町村との間でですね、それぞれの地域の事情がございます。この間、屋内退避ということで、外から物資が入りにくくて、大変生活に困難を極めている、そうした状況がいまなお続いている地域もありますし、これについて一定の改善がされているという地域もあるようでございます。それからそれぞれの地域に抱えている人口とかですね、地域の事情等にも色々ございます。そうしたことの中でありますので、今日午前中の会見で申し上げた通りですね、市町村に指示をした上でですね、国や県との連携の上で適切な対応、自主避難も含めた適切な対応をということで申し上げたところでございまして、今かなり市町村とそれから原子力対策本部との間のコミュニケーション、連携を密にしてですね、それぞれの地域に、現に室内退避をしてらっしゃる皆さんの生活が成り立ち、一方ではいろいろな事態に備えて、退避等が求められる場合には、それに対する対応も準備をするというようなことをそれぞれの地域の事情にあわせて連携をしているところでございます。

記者:関連なんですけれども、基本的なことであれなんですが、その指示はですね、昨晩の何時頃に出されて、そもそもこれ総理の指示なんでしょうか。

官房長官:これは原子力災害対策法に基づく指示ではなくてですね、各市町村に対してですね、原子力安全対策本部、あるいは原子力保安院の立場からですね、こうしたことでご検討くださいと、あるいは必要があれば住民にお呼びかけくださいということを要請をしたと、こういう性質のものです。

記者:昨晩の何時ぐらいに。

官房長官:これは直接には今日、私が会見で申し上げるちょっと前ぐらいだったと思います。ただ実務的には、この間も例えば病院の皆さんについては20、30の距離の方について、まさに自主的にといいますか、物資がなかなか送りにくいだろうということは、これは早い段階から出て頂くことを国としてもサポートしたりしてきている。いろんな経緯の延長線上で改めて整理をして、そう申し上げた、こういう理解をして頂ければと思います。

記者:日本インターネット新聞社の田中龍作と申します。自主避難の、20、30キロ圏の自主避難の件についてお伺いいたします。さっき官房長官は放射性物質が出ている可能性があると今おっしゃいまして、午前の記者会見でも放射線量が増大し、避難指示を出す可能性も否定できないとしながらも自治体に任せる、連携、国との連携とは言いながら自治体に任せると、避難の促進を任せるというような、これはちょっと楽観的すぎはしないでしょうか。

官房長官:逆に言うとですね、様々な可能性を想定する中で、将来的にですね、現在のような状況が長期間継続したり、あるいは状況が悪くなった場合には、そうした可能性は否定しない。ただ、現状においてはですね、屋内退避で健康へのリスクについては十分防ぎ得ると、こういう状況であると。ただ今日の午前中、私申し上げましたのは、物資が届きにくい等々の事情等もありますので、それは地域の事情を踏まえてですね、こちらから生活物資を送り届ける努力はさらに強化をいたしますが、地域の事情を踏まえて、荷物が、物資が届かないという状況の中では、粛々とですね、逆にしっかりとした受け入れ先に退避をして頂くことも十分な選択肢ですということを申し上げましたので、安全性の観点からは、現時点では今日、原子力安全委員会の方もコメントが出されているようでありますけれども、20、30の範囲内についての屋内退避と、が必要な状況であることは、現状はいま変わっているわけではないという認識です。

記者:保安院でさえ、燃料棒が棄損して高濃度の放射性が外部に出ているという危険性を認めているんです。これ逃げ遅れっていうことにはなりませんか。早く避難させた方がよかったということにはなりませんでしょうか。初動の遅さが今こういった自体を招いているわけですね。発生の翌日、総理が行って、現地に行って、大丈夫だというコメントを総理は国民にアナウンスしたわけです。その初動の遅さが、今のパニックに近いような状態になっているわけです。

官房長官:保安院等のですね、そうした原子炉の状況についての様々な分析、あるいは様々な周辺の放射線量、その他のモニター、そうしたことを踏まえて、それを前提に専門家の皆さんにご意見を頂いて、安全性という観点では、今の屋内退避の範囲については適切であると、現状では適切であるというご意見を頂いていると。それに基づいて指示をしている。ただ、物資が届かない等で、生活困窮の状況にあるということを踏まえた柔軟な対応については、国としても積極的に支援をすると。こういうことを申し上げているので、当然安全性については、状況の変化を踏まえてですね、必要があれば、様々な対応を、この間も状況の変化に合わせてとってきているつもりでございますし、それについてはかなりのゆとりを持った、安全性を優先させた形でですね、ぎりぎりの線の退避をして頂くというよりも、一定のゆとりを持った形での退避等の指示を決めてきている。専門家の皆さんの意見に基づいて決めてきているということでございますので、もちろん今後も状況の変化によってはあらゆる可能性は否定をしませんが、まさに炉の状況や様々なモニタリングの数字に基づいて、専門的な分析に基づいて、必要があればそうした措置を取っていくということであります。

記者:●●ですけれども、その自主退避の関係なんですけれども、昨日ですね、政府と与野党各党の震災に関する合同会議で、野党の方が一致して退避する範囲を拡大してほしいということで一致したと思うですが、それと今回の指示というかですね、促すことについては影響があったのでしょうか。関係はあったのでしょうか。

官房長官:必ずしも直接の影響ではございませんが、各党の皆さんがそうしたご認識をされたのと、ほぼ同じ情報というかですね、同種の情報は政府としても認識をしておりましたので、似たような認識、判断になるということは当然あるだろうというふうに思っております。ただ一方でですね、それぞれの自治体ごとにですね、ニーズといいますか、それぞれの自治体のご希望とか、置かれている状況には違いがありますので、一律に決めるのではなくて、いま地元の皆さんとのご相談、ご連絡をしながら、物資が届いていない等の状況で、退避がやむを得ないと思われる地域については、それについて国として最大限バックアップする。一方で、一定の市民生活が十分可能な状況にあるということであるならば、さらに物資をしっかり届けることについて強化をする。こうした柔軟な対応をとっている、こういうことであります。

記者:テレビ朝日のコバヤシですが、先ほど公明党の斉藤議員らがですね、福山副長官に水道水などについて提案を行ったようなんですが、その際にですね、雨が降った場合に、浄水場の方で水を取り入れる作業、取水に制限をつけるべきじゃないかという提案をされたそうなんですが、取水の制限について政府としては今後どういうふうな考えでいらっしゃいますか。

官房長官:1つのご意見として十分承らなければいけないというふうに思っておりますが、これ厚生労働省中心にしてですね、専門的な分析も踏まえてですね、具体的な対応については判断していきたいというふうに思っています。

記者:ブルームバーグのヒロカワですけれども、今日の朝日新聞の報道でですね、今回の事故に関して、評価尺度はレベル6だと、レベル6に相当するという報道があったんですけれども、政府のこれまでの評価ではレベル5だったかと思うんですけれども、今回この●●を踏まえてですね、長官、引き上げる段階になるとお考えになっておりますでしょうか。

官房長官:それについては、まさに専門の機関が専門的にご判断を頂ければというふうに思っております。政府としては、原子力発電所の状況をこれ以上悪化させずに、事態を収束させる。なおかつ、これによる国民への健康被害、様々な影響をいかに抑えるかということ、こうしたことに全力をあげておりますので、第三者機関的なところでですね、様々な立場から客観的にご判断を頂くべき性質だと思っています。

記者:日本テレビのヒラモトですけれども、先ほどの福山さんと公明党の議員との会談の関連なんですけれども、その中で風評被害が出た農家に対してつなぎ融資の検討に関して、福山さんが前向きな発言をされたということだったんですけれども、検討状況は今どういった状況ですか。

官房長官:これについてはですね、政府からの出荷制限によって、直接出荷ができないことによって被害を受けていらっしゃる皆さん、ここについては当然のことながら、政府として、あるいはまずは一義的には東京電力として補償をするということになっておりますし、直接そうした対象ではなくてもですね、現に出荷が事実上できないということで影響を受けてらっしゃる農家、畜産家の皆さん少なからずいらっしゃるという状況の中にあります。最終的にですね、どれぐらい、いくらぐらい、どう補償するのかとかいう枠組みは、一定の時間がかかることだというふうに思いますが、何らかの形で補償がなされるという見通しがあるものについてはですね、逆に関係機関、農畜産関係の金融機関もございますので、そうした間のつなぎについてしっかりと行っていきませんと、現に現金収入が途絶えてしまっている方少なからずいらっしゃいます。そして農業や畜産業の実態、実情を踏まえた、とくにはですね、そうした対応が可能である余地があるということでございますので、農林水産省等にですね、そうした検討は指示しています。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。午前中の会見でも質問あったかと思うんですが、情報収集衛星で収集したその情報の運用、利用についてなんですけれども、収集したデータと画像によって、そもそも福島第一原発の1号機から4号機の原発の施設の機器がどれだけ損傷しているかということについて政府としては把握されているんでしょうか。

官房長官:情報収集衛星の能力等については、これは原子力の直接の様々なデータと異なって国家機密に類するところだという認識でございます。ただそうした中で、利用できるものがあれば最大限利用をしているということだけは申し上げたいというふうに思っています。

記者:すみません。関連なんですけれども、どれだけ損傷しているかを把握することによって、それに対して対策、冷却の方の対策を講じられると思うんですけれども、十分その損傷具合を把握した上で今の現在のその対策っていうのはされているというふうにお考えですか。

官房長官:原子力発電所の状況については、これは自衛隊、あるいは米軍にもご協力を頂き、様々な手段で原子力発電所の状況、原子炉の状況について把握をする最大限の努力をして、それらによって得られたあらゆる情報に基づいて、専門家の皆さんに分析をして頂いています。

記者:すみません。最大限ということは、完全には把握されていないということですか。

官房長官:もちろん原子炉の状況を把握をするというのがどういうことかと言えば、例えば、現に健全に稼働している原子力発電所と比べればですね、当然のことながら様々な観測計器が働いていない状況、いま電力が繋がれたというような状況でありますので、今できる範囲内の最大限の把握に努めているということです。

記者:正常に作動する時に比べて、現在稼働している機器が何割程度あるとかそのくらいの割合は今把握されていますか。

官房長官:それはむしろ原子力安全保安院等にお尋ねを頂ければ。まさに専門的、技術的な分野だというふうに思っております。

記者:フリーランスのシマダと申します。退避圏内に関してなんですけれども、●●の30キロの南相馬市とかでも1.437ミリシーベルトの放射線量が出ております。これは文科省の発表で今日出てきたのがあるんですけれども、この年間被曝の1ミリシーベルトを1日で超えた計算になります。そういう意味で、ものすごい不安が被災地にあると思うんですけれども、科学的に大丈夫だと思っていたとしてもですね、妊婦に関しては被災地のストレス、また放射線のストレスによって流産、もしくはあまり成長度の低い子どもが産まれてしまうっていう可能性もあります。ストレスを発散させる、回避させるためにも、さらに50キロ、100キロと、妊婦とか乳幼児にかけては避難させるというお考えはありますでしょうか。

官房長官:まさにですね、それぞれ特に20キロ~30キロの地域におられる皆さんを中心としてですね、様々に抱えている事情、高齢者を抱えてらっしゃる方、乳児を抱えてらっしゃる方、妊娠中の方、あるいは例えば病気で寝たきりの方、様々な事情、状況におかれている方がいらっしゃいます。ですから政府としてもですね、いわゆる退避勧告であるとか、屋内退避の勧告であるとか、こうしたことに加えてですね、この間も、20キロ~30キロの地域、屋内退避地域については、いわゆる寝たきりに近いような病気、入院されている方については、早い段階から、圏外の遠い地域の病院等に順次移送をするという、こうした対応をしてきているところでございますので、それぞれきめの細かい対応を自治体とも連携をしながらしていかなければいけないということで、その努力はさらに強化をして参りたいと思っております。

記者:自治体に丸投げという感じで、責任が、官邸、政府●●自治体が自由にやってくれという。

官房長官:それぞれの自治体と連携をしながらやって参ってきておりますし、この連携を強化しなければいけないと思っておりますが、それぞれの地域の事情に応じて対応していきませんと、いわゆる一般的な安全性の問題については、当然一律に判断をしなければならない問題でございますけれども、その他のいろいろな社会的要因による問題については、それぞれの地域の事情に応じた柔軟な対応が必要だというふうに思っています。

記者:読売新聞のクリバヤシです。20キロ~30キロの自主避難の件なんですけれども、午前中の会見でですね、放射線を理由とするんじゃなくて社会生活が困難であることを理由とする避難指示を法的に可能かどうか検討しているということだったんですけれども、原災法などの法的、指示を出す法的根拠が整理がつきさえすれば、避難指示を出したいということなのか。それとも整理がついてもまだなお検討の余地があるということなのでしょうか。

官房長官:まさにそれぞれの、20キ、30キロ圏内の地域の事情について、なかなか地域の地元の自治体等の皆さんにはですね、政府との連携がうまくいかなくてご迷惑をかけてきているんですけれども、できるだけ密接なコミュニケーションをとってですね、現地の事情、状況を踏まえながらやっていこうということで、そうした改善は進んでいるプロセスにあると思っております。そうしたなかにありますので、もちろん安全性の観点からは一律に対応する必要があると思っていますが、社会的要因については、地元の自治体等の皆さんと相談、連携をしながらやっていくということのなかであらゆる可能性については、法的な検討はしている、こういう状況です。

司会:緊急対応業務ございますので、進行ご協力ください。

記者:フリーランスの上杉隆です。情報の出方についてですが、枝野長官2週間前からですね、基本的に原発は大事に至らない。それから放射能が飛んでくることはない。爆発しても、3号機ですが、問題ないということを、大丈夫大丈夫と、安心ですということを訴え続けてきました。結果としてそういうふうになっているとはとても思えません。違うというんだったら、一旦そこは違うという形できちんと訂正されたらどうでしょうか。●●も申し上げました。そういうふうにしないと、確認した情報だけ出すと、確認した情報だけおっしゃると言ったことと矛盾すると思います。いかがでしょうか。

官房長官:私のこの2週間の発言、記者会見の内容はすべてホームページで現時点でも公開をされております。私は、今申し上げたようなことは、申し上げたことはないと思っております。その都度、あらゆる可能性があること、現状その都度その都度の時点において今何をしなければならないかということについて、その時点における状況を踏まえながらそれぞれの時点における政府の判断を申し上げてきておりますが、今、ご指摘頂いたような内容の発言は、私はしていないと思っています。

記者:人体に影響が出ることはないとおっしゃいましたが、それはどうでしょうか。

官房長官:その時点で、様々な出ている状況からは、現時点で出ることではないと。ただし、今後の見通しについて、私は断定的なことをこの間申し上げてきておりませんし、現時点においても今後の状況については、あらゆる可能性を想定して、今よりも当然原発の状況がよくなることを期待をして、その最大限の努力を政府としてもしおりますが、状況が悪化をして、必要があればそのことについて、情報、データは常に公開し続けますけれども、必要があればその指示を今後とも政府としてしっかりやっていく、こういうことであります。

記者:放射能の数値は発生4日目が一番大きかったというポストのですね、モニタリングポストの数値が出ていますが、少なくとも枝野さんの発言は残念ながら違ったんじゃないでしょうか、結果として。そういうふうに思いますが、その辺りは訂正っていうのをされないということでよろしいでしょうか。

官房長官:具体的にですね、それぞれの時点の様々な発表と、それから客観的なその時点での事実関係との違いについて、改めてご指摘を頂ければ、それについてはしっかりと専門家の認識含めてご回答申し上げますので、できれば文書で具体的にご質問頂ければというふうに思います。

司会:ほかございますか。

記者:午前中も聞いたんですけど、総理の視察の状況の進境何かございますか。調整状況ですとか。

官房長官:これは、いつも申し上げております通り、できるだけ現場に足を運んで、特に被災者のみなさんの声を聞きたいと。このことは大きな意義のあることだという思いがある一方で、実際に避難所等もですね、様々な作業に忙殺をされている状況だということのなかで、非常に苦慮しながら、迷いながら今その可能性を探っていると、こういう状態です。

記者:フリーランスの畠山理仁と申します。今回の福島第一、第二原発事故について、政府も原子力安全保安院も東京電力も未曽有の事態、想定外と言っているかと思いますけれども、原子力損害の賠償に関する法律の第3条では、賠償についてですね、異常に巨大な天災事変または社会的動乱によって生じたものであるときはこの限りでないと定められています。しかしですね、2005年7月、2006年3月の国会質問で、京都大学工学部原子核工学科卒の吉井英勝衆議院議員が地震で電源が破壊され冷却システムが機能停止する危険を指摘しています。つまり今回の事故は予見できた危険を放置したことによるものではないかと考えられるんですが、東京電力は免責されて、その補償はですね、税金で行われるのかどうか、この点についてご見解を伺えればと思います。

官房長官:現時点では、被害の拡大を防ぐために最大限の努力をしている状況でございます。従って今の段階で確定的なことを申し上げる、そのことについて検討している余裕のある状況ではないというふうに思っております。ただ、安易に免責等の措置がとられることは、この経緯と社会状況からあり得ないと私の個人的な見解として思っています。

司会:質問手短にお願いします。

記者:日本インターネット新聞社の田中龍作と申します。情報開示のことについてお伺いいたします。私、毎日東京電力の記者会見に出ているのですが、1つずつ例はあげませんが、情報隠しには目に余るものがありまして、これは2002年の、2002年に発覚した東電の事故隠しの教訓が生かされてないんですね。それが今回の大事故と結び付いたわけでして、今回またこうやって隠し続けてたら、またもう1回事故が、大きな事故が起きる。今の事故だってさらに拡大する恐れがあります。政府として東電にしっかり情報開示せよという指導はなされないんでしょうか。

官房長官:まずこの間はですね、政府から東京電力に対しては、政府に対する報告も事実をできるだけ速やかに、スピーディーにということについては、特に事故発生の早い段階からかなり繰り返し強く求めてきたところでございます。これについては、常に繰り返し、あらゆる情報、データについては、政府、具体的には保安院であるかと思いますが、を通じてですね、関係含めてしっかりとそのデータ、情報は届けるように。そしてそれについて政府としては把握をした情報については、政府としてしっかりと情報公開をすると、こういう姿勢でやってきているところでございます。東京電力においてですね、政府に対してもあるいは国民の皆さんに対しても、公開していない情報があれば、それは許されないことだと思っておりますので、政府としてあらゆる情報、データについては、確実な情報をできるだけ速やかに公開をするということについては、繰り返し求めて参りたいと思っています。

記者:震災から2週間経ちました。フリーのシマダと申します。遺体の埋葬というのは今どういうオペレーションでやっているんでしょうか。

官房長官:これについてはですね、今回の震災の1つの特徴でございますけれども、被害の状況、あるいはその被害に対してですね、被災者の皆さんの置かれている状況がかなり地域によって大きな差が出ております。亡くなられた方のご遺体についてもですね、大変たくさんの方が亡くなられて、たくさんのご遺体が発見をされてですね、そうした皆さんにしっかりとしたご供養をしてお送りをするということがなかなか困難な地域が少なからずあるということは、この間政府としても認識をいたしまして、それぞれの事情に応じたですね、柔軟な対応ができるようにと、この措置については最大限の柔軟な対応が可能な措置を関係機関に指示をいたしております。ただ、これはご理解頂けるかと思いますが、本当に地域によってですね、場所場所によって事情が異なりますので、一律にこういうことをしろとかですね、こういうことしちゃいけないとかということをできる状況ではありませんので、できるだけ関係機関、現場に近いとこまでですね、現地の状況に応じて、あるいはそして現地の皆さんの心情に応じた柔軟な対応をとれるように、さらに徹底をして参りたいと思っています。

記者:埋葬とかはされているケースもあるんでしょうか。

官房長官:はい?

記者:埋葬とかはされているケースというのは、事実としてあるんでしょうか。

官房長官:それぞれの現場現場においてですね、具体的な様々な柔軟な対応、最近は私は自分の子どもの頃、うちの祖父は土葬で見送った記憶残っておりますが、一般的には火葬が一般になっておりますが、こうした事態でありますので、土葬でお送りをするというようなことについても柔軟な対応を、これは現に現場の状況に応じて対応してきて頂いているというふうな報告も受けております。それぞれの地域の事情に応じて、そして当事者住民の皆さんの心情も踏まえて、現実的かつ柔軟な対応ができるような指示はかなり徹底できているんじゃないかと思っています。

司会:すみません。時間押しておりますので、最後でお願いします。

記者:話題は変わるんですけれども、税と社会保障とTPPに関してなんですが、閣僚の中からはですね、6月を目途にやっぱりやるべきだという声もあるんですけれども、菅政権はこれまで一体改革とTPPを重要課題として来ましたけれども、それと今大震災が起きているという現状についてですね、その関連をどのように改めてお考えになるでしょうか。

官房長官:これは今日の昼の会見でも申しました通りですね、少子高齢化等のですね、日本の社会保障をとりまく環境の変化は震災によっても待ってくれるものではありません。あるいは国際社会の自由な貿易の拡大という大きな流れ自体も日本の状況は待ってはくれません。従ってそれについて、震災対応等に影響の出ない範囲では粛々と事務作業等は進めて頂いていっております。しかし、政治課題としてはですね、それらの課題も大変重要な大きな課題でありますが、それ以上に今は、この震災からの被災者の支援、そして復旧、復興、そして原子力発電所の事故に対する対応と、より大きな課題に直面をしている以上は、優先順位は当然のことながら変わってきているというふうに思っています。