官房長官の記者会見テキスト(2011年3月26日16時18分から23分間)

【冒頭発言】

官房長官:私(官房長官)からは、内閣総理大臣補佐官の人事について申し上げます。本日付で、馬淵澄夫衆議院議員を東北地方太平洋沖地震による災害及び原子力発電所事故の対応を担当させる内閣総理大臣補佐官に任命をし、寺田内閣総理大臣補佐官を願いに依り免ずることといたしました。先ほど総理から辞令を交付したところでございます。

【質疑応答】

記者:読売新聞のクリバヤシです。人事なんですけれども、馬淵さんを起用した狙いとどういうところが原発あるいは●●対応ですね、地震対応に適任だと判断されたのでしょうか。

官房長官:はい、特に原子力発電所の対応を細野補佐官が東京電力との統合本部に入りましてですね、総理の意志意向を含めてですね、しっかりと連携を取っていただいております。ただこの部分についてのですね、業務といいますか、対応すべき範囲というものが非常に大きくなってきておりまして、細野補佐官からもですね、よりこの態勢を強化してほしいという要請、要望がございました。そうした中で馬淵議員は様々なですね、これまでの経験等からもですね、細野補佐官と共にこの原子力発電所事故対応について総理の直轄でですね、様々な対応をするのに適任であろうと。更にはですね、こうした状況でこうした仕事をお願いするに当たってはですね、国土交通大臣の経験もございますので、中期的には震災対策についてもですね、電子力発電所の状況次第でありますけれども、大きな役割を果たして頂けるのではないかと。こうしたことの中で馬淵補佐官を指名した、任命したと、こういうふうに聞いております。

記者:当面は馬淵さんが原発の方に集中する、という・・・

官房長官:はい、まずはそう考えております。

記者:朝日新聞の●●です。仙石さんに続いて馬淵さん、これあのー問責大臣をですね、あのー戻してるだけじゃないかという批判に対してはどのようにお考えでしょうか。

官房長官:もちろんそういった色々なご意見はあろうかというふうに思いますが、今の震災対応、そして原発対応にあたってはですね、最も適任で最も力のあるメンバーにですね、加わっていただくことでこの対応力を強化する、ということがあらゆることに優先する、ということの中でこういったことになったというふうに思っています。

記者:時事通信のコウケツです。先ほどの内閣改造では、その最強の人事ということで任命されたわけですけれども、結局それはこうした事態に適応できているんでしょうか。

官房長官:一度その種のお尋ね以前にもあったかというふうに思いますが、本当に過去にあまり例のない大きな災害、そして原発事故という内閣改造の時点では想定していなかったというか、その時点で生じていなかった新しい事象に対応するためにはこうした大きな災害や事故等が起こってない時点おいて望ましい体勢とこういった事故や災害が生じたことに対応する上でふさわしい対応、体勢というのは、それは違いがあって当然ではないかというふうに思います。

記者:長官、朝日新聞のサトウです。原発のですね、被ばく事故をめぐりまして、東電側に作業前にですね、高い放射線量を確認していたというような発表がありました。これはですね、政府側もそういったことは事前に知っていたんでしょうか。

官房長官:少なくとも、私などですね官邸にそういった報告等はありませんでした。

記者:サンケイの村上ですけども、そのような報告をしなかった東京電力の体質については、長官はどのようにお考えでしょうか。

官房長官:とにかくここは現場で大変危険な中で作業していただく皆さんの、この皆さんの安全の確保。そしてこの事故による被害影響を最小化させていくという役割。この両面においてもですね、必要なというか、あらゆる情報は正確にかつスピーディに原子力安全保安院等のですね当局に対して報告をしていただきませんと、政府としても適切な指示が出せませんし、また作業にあたる作業員の皆さん、ひいては国民の皆さんが不信の念を抱かれるということになると思いますので、政府としてもさらに厳しくですね、情報を公表する。あるいは、政府に対して報告をするといった事を東京電力に求めているということであります。

記者:サ●●ですが、その今回の東電のありようっていうのは、これは隠ぺい対査というようにお考えになりますか。

官房長官:まああのー、そのことをどう評価するというのが、政府の役割ではないと思っています。政府としては、政府としてこの事故に対して対応するためにも、えーそして、国民の皆さんに対して不安不信を東京電力が招かないためにもですね、しっかりと情報を出させるという事が何よりもの役割だと、そういうふうに思っておりまして、これについてはですね、更に厳しく指導していかなければならない、こういう認識を持っております。

記者:●●のクリバヤシです。あのー名古屋でですね、既に一部の段階で流出している茨城県産のですね、規制値を超える放射線が検出されたりですね、品目もちょっと増えているようなんですけども、こうしたちょっと広がりっていうことに対して、政府として今後更に対応を強化していく必要があるのかっていうことと、国民に対してどういう点に気を付けて、どう報道をしてどのように政府として呼びかけていくつもりでしょうか。

官房長官:はい。残念ながら、食べ物に関して色々な所で放射線の基準値が超えている、といった報告がいくつも挙がっているということで、大変残念に思っております。えーこれに対してはですね、今、政府として定めている基準値というのは、それは大変安全性に配慮した数値でありまして、この基準値を超えているものを飲食したとしてもですね、そのことで健康被害が将来に渡っても生じる事がない、大変幅を持ったというか余裕をもった数値で設定を致しております。まあただ、そうした数値を超えたものがあった場合にはですね、この間もそうでありますけれども、そうしたものが長期にわたって飲食されることに備えて、そうした事が起こらないように、非常に早い段階で出荷規制等の措置をとっているところでございます。まあ従いまして、現に流通をしているものの中に、もし基準値を超えるものが含まれていたとしても、そのことで国民の皆さんの健康被害を与えるものではない、ということを十分にご理解頂きたいという上で、これに関しては長期に渡って摂取されることがないための、非常に安全性を重視した出荷規制措置等を行っているんだという点を十分ご理解いただけたらと思います。

記者:朝日新聞のクラシロですが、新たに馬淵さんの原発の対応のことなんですけども、2週間たって、今の原発の事故の終息に向けての相場といいますか、予定よりも長期化を見込んでいるのでしょうか。

官房長官:はい。あのー、あまりですね確定的な見通しが立たない中で予断を与えるようなことを申し上げるべきではない、というふうに思っております。今の状況自体もですね、悪化を防いでいる、ということは言えるというふうに思いますが、まあそしてその間にですね電元が復旧をしたり、水を注水することができるようになったりということで、抜本的な改善に向けた歩は、進めているというふうに認識は致しておりますが、油断をできる状況にはないというふうに思っておりますので、見通しを現段階で具体的に相場観を含めて申し挙げる段階にはない、というふうに思っております。まあただ、この原子力発電所を安全な状態にして、なおかつ長期間キープをしていく、ということの為には相当な手順または段取りが必要であることは間違いないという中で、細野補佐官に加えて馬淵補佐官も含めてですね、こうした、ここから終息できるとすれば、復旧に向けた必要な膨大な作業をしっかりと政府として対応していこうという体制を整えたところです。

記者:第一原発の関連なんですが、南排水溝の海水においてですね、濃度限度の1250倍の放射線要素が検出されたということなんですが、改めて第一原発の現状がどうなっているのかということと、それからあのー、魚介類への影響についてはどのように見ていらっしゃるのでしょうか。

官房長官:まああの第一原発の状況というのは、先ほど申し上げた通りですね、悪化は防げているというのは間違いない、これは放水等厳しい条件の中で、消防、自衛隊含めた中でですね、頑張って頂いた一つの成果であると思っております。ただ、例えば様々な電源は入っておりますけれども、様々な現状を把握するためのですね計器その他がですね、復旧しているわけでもありません。周辺の様々なモニタリングに基づいてですね、状況を判断しながら一歩ずつ改善をさせいくという厳しい状況の中で対応している、というのが現状であるというふうに思っております。そうした中で、排水から高い濃度の放射性物質が観測されたということについてはですね、特にあのー1日で同じ地点の放射線量が大きく伸びている、という報告を受けていますので、その原因といいますか要因についてしっかりと検討分析をですね、東京電力に対しても保安院に対しても、お願いをしているところであります。これによる海産物等への影響については、これは保安院等からも報告を受けているかと思いますし、まあ今日このあと原子力安全委員会の方からも、お尋ねがあれば報告があるかというふうに思いますが、当然これからより広範な地域でですね、海水のモニタリングがより強化しなければならない、というような状況であることは間違いありませんが、これまでの所ですね、海洋生物に影響を及ぼすような状況が特に避難地域である20キロを超える所で観測されているということはございませんし、専門家の皆さんによれば、そうした可能性は低いだろう、ただし、予断を許さずにモニタリングを行使しているところでございます。