官房長官の記者会見テキスト(2011年3月27日16時8分から20分間)

【質疑応答】

司会:お願いします。

官房長官:わたくしの方からの発表はございませんので皆さんの方からどうぞ。

記者:長官、朝日新聞のサトウです。今日朝のですねNHKの番組の中で、避難地区のですね、住民の一時帰宅についての言及がありました。これは対象者が8万人位いると思うんですが、実現性についてはですねいまのところどういう感じなんでしょうか。

官房長官:はい。ご要望が強いということは認識しております。ただこれは安全性を確保した上でなければできないことでありますので、本当に安全性を確保した上で、できるのかどうかという模索、検討を始めたという段階でございます。そういった意味では、是非そうしたご要望にお応えしたいと、いう思いを持っていますが、今の段階でその可能性ということをお答えできるという状況ではないと、いうことは特に関係者の皆様にはご理解頂きたいと思っております。

記者:その関連でですね、避難地域の原発周辺にですね、人命救助活動、被災によるですね、それは今のとこどういう状況なんでしょうか。

官房長官:はい。これはですね、自衛隊、警察の皆さんにはですねしっかりとした防護体制を取った中でですね、避難地域の中にもお入りを頂いて、様々な対応をして頂いている状況であります。

記者:テレビ朝日ですけれども、管総理ですけれども、昨日陸前高田市の市長と電話で話をした、されたようですが、その他の被災した市町村長と電話で話しをしているのか。また、どういう意見内容の交換があったのかをよろしくお願いいたします。

官房長官:できるだけ、現場の直接の生の状況を把握したいということは、この間一環して総理強い思いをお持ちでありまして、それぞれの地域の組長さん達に順次ご連絡を取れる方から取らせて頂いて、直接組長さん達の声、ご意見ご要望というものを聞かせて頂いているということは、総理室の方から報告を受けております。その詳細については、それぞれ相手があることでございますので、わたくしどもの方から発表するというよりは、そうした声を踏まえながら、特に避難をされている被災者の生活支援について、更に内容を充実させているということで対応をしているところでございます。

記者:読売新聞のイケグチと申します。福島第一原発の2号機から、かなりまた高濃度の放射線が検出されていますが、現時点で分かっていることを教えてください。

官房長官:はい、これについては、詳細なデータその他は東京電力や保安院の方から発表がされているというふうに認識しております。その報告は官邸のほうにも届いているところでございます。どうしてこういったところにこういった水がいっているのかという原因の究明と、それからできるだけ早くこの水をしっかりと別の所に移して、復旧に入れるようにということは、当然官邸としても指示をしているところであります。

記者:長官、保安院によりますと、その原発のですねいわゆるたまり水ですね、ここからプルトニウムが含まれているかどうかの調査はしていないというということで、これはあらゆる可能性を調査をするべきではないかなと思うんですが、ついてはどのようにお考えでしょうか。

官房長官:プルトニウムについての観測、検査もできるですね、対応で、原子力発電所内の土壌の調査を既に着手しているという報告を受けております。なかなかこれは簡単に検測ができないというふうに報告を受けておりまして、周辺の土壌に拡散をしていないという状況であれば、ある一定の安全性が確保できる。逆に周辺の土壌に出ているということであれば、それに応じた対応をしなければならないということで、先ずは土壌の調査、分析というのを急がせている状況です。

記者:産経新聞のオダですけれども、そうしますと2号機から高濃度の放射性物質が出たということですが、当面の間作業は中断されてしまうということでよろしいでしょうか。

官房長官:これについては、当然作業員の皆さんの安全を確保しつつ、それから大変高い濃度の放射性物質を含んでいるわけですから、そこらへんにばらまくわけには当然いきませんので、安全確保しながら別の場所に移すという作業を進めて頂くことになりますので、一定の時間はかかるだろう、というふうに見ています。

記者:ニコニコ動画のナナオです。よろしくお願いします。20キロ30キロの屋内待機についてですが、物流が滞り実質的には生活が困難になっているといわれております。そうした中、住民にしてみれば自主避難と言われましてもどこに避難していいかわからず、加えてその理由が原発の影響なのかと更に不安が高まるばかりでございます。一方で放射線の影響による避難区域の拡大ではないかといった風評被害の懸念もあることを考えるのですね。例えば地域の実情をそのまま反映しまして、例えば超法規的に20キロ30キロ圏を物流の停滞等に起因した生活困難による避難指示区域とする考えもあるのではないでしょうか。

官房長官:この当該地域に今いらっしゃる皆さん、それからそうした地域を抱えていらっしゃる市町村の皆さんには大変ご不便とご苦労をお掛けしていること、大変申し訳なく思っております。このそれぞれの地域の自治体の皆さんとしっかりと今連絡を取れる状況にあります。それぞれの地域の状況実情、特に外部からの物流の状況や、それから当該地域にいらっしゃる皆さんの、これは人によってご心境は違うのですけれど全体の状況等をですね、しっかりと対策本部の方で連携連絡を取らせて頂いて、特に当該地域の皆さんにしっかりとした情報を提供をすること、それからそれぞれの地域の事情に、実態に応じた対応を進めていくということ、もし実質的な避難をご要望される方には、まさに国の方でしっかりとそこについて責任、対応しますという姿勢も示させていただいておりますが、そういうきめの細かい対応でですね、実態現実の現場にいらっしゃる皆さんの生活をしっかり支えていきたいという対応をさ一昨日ですか私が申し上げたのはそのことの準備、対応を含めて進めているということでございます。その上でですね、今ご指摘のような選択、あらゆる選択肢は今の時点で当然否定はいたしませんが、そうした状況の中でさらにこれこの2週間程の間でも当該地域の実態実情というのはいろいろ変化してきておりますので、きめ細かく自治体の組長さんなどと連絡をとりながら、あらゆる選択肢は否定しないなかで対応していきたいと思っています。

記者:産経新聞のオダですけれども、放医研の発表によればですね、被曝したその三人で放医研に二人入院していたと思うのですが、その二人が明日の午後にも退院するというふうに伺っているのですが、それについて政府の受け止めをお聞かせください。

官房長官:入院の期間が短く済むということは歓迎すべきことだというふうに思っておりますが、当然今後影響が出ないのかどうかということは、放医研においてもしっかりと観察をし続けていただけるだろうというふうに思っておりますし、またそれを期待をしております。そのうえでこうした事故を起すことなくですね原子力発電所の状況を改善をしていくというのは、なかなか現場においては両立させることはなかなか困難になるだろうと思いますが、しかしその努力をさらにしっかり進めてもらえるように、繰り返しこれは求めてまいりたいと思ってます。

記者:ジャパンタイムズのヨコオです。今日初めてイスラエルから海外の医療チームが到着される予定なんですけどそれの受け止めとですね、だいぶその当該チーム、医療チームを受け入れが可能になるには時間が遅すぎたと思うのですけど、なぜこんなに●●

官房長官:海外の医療チームが初めて、この間、震災では海外の医療チームの皆さんに加わってきていただいていると思いますし、それから原子力関連ではアメリカ政府、米軍の医療関係の皆さんとも様々コミュニケーションを取らせていただいているのですが、どういう意味で初めてという意味なのでしょうか。

記者:医療チームとして・・・

官房長官:もちろんそれが初めてということ含めて、確認をさせていただきたいと思います。

記者:すみません、共同通信の●●といいますが、共同通信の世論調査で内閣の支持率が28%にちょっとだけ上がったのですけど、それはともかく、政府の被災者支援について5割以上が評価している一方で、原発対応については5割以上が評価をしていない。こういった世論調査ですけど、どのように受け止めていらっしゃるか。

官房長官:この震災対応にしても原子力発電所に対する対応にしても、政府としては全力を挙げて取り組んでいるつもりでございますけれども、現実の被災者の皆さん、或いは原子力発電所周辺の皆さんには、大変なご苦労とご不便をおかけをしていることは間違いないというふうに思っております。したがいまして様々な今後そういった数字が出て来るのかもしれませんが、こうしたご不便、ご迷惑をおかけをしている皆さんに対するですね、謙虚な姿勢で取り組んでいくと、いうことで一貫してまいりたいと思ってます。

記者:すみませんそれに関連してなんですけど、いわゆる復興に向けてですね、復興財源として増税してもいいという人が7割近く67%いるのですけど、それの受け止めと復興財源についてどう考えるかということ。

官房長官:震災の被害に遭われた皆さん、大変厳しい中での避難生活を過ごされていらっしゃるということでありますけど、そうした皆さんに明日への希望を持っていただくためにも、復興に向けた方向性とか考え方というものは、徐々に固めて示していかなければならない段階に入っている、いうふうに認識をいたしております。ただまず大事なことはどういった復興を目指していくのか、というこうしたビジョンをしっかりと示していくことだというふうに思っておりまして、当然それには財源が必要なのは間違いありませんけれども、この大震災からしっかりと東北地方を中心にですね、立ち上がっていく、そこに向けたビジョンをしっかり示す、そのうえでその財源についてしっかりと検討していく、こういう物事の順番だと思ってます。

記者:そのビジョンを示していかなければいけないということなんですけど、そのビジョンをいわゆる検討するのはどういったかたちで検討するのかと、政府が中心となって検討するのかということと、民主党与党が中心となって検討するのか、また野党の声、野党の意見をどのように取り入れたり、野党も一緒になって検討していくのか、このへんはどのようにお考えでしょうか。

官房長官:これについてはもちろん大きな意味では国会周辺にとどまらずですね、被災者の皆さん、或いは様々な知見を持った日本の国内の様々な皆さん、本当に全国家的に知恵を集めて考えていくべきテーマだというふうに思っています。それをどういった場で集約をしていくのかということについては、阪神淡路大震災の経験なども参考にしながら今そのことも含めて検討に入っているところです。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。朝のNHKの番組の発言なんですけど、福島県が春先に種まきを控えるように要請していることに関連して、こういうふうに農作物の影響していることについて枝野さん補償について前向きな発言をされていたと思うのですが、それについて伺えますか。

官房長官:原子力発電所の事故によって被害を受けていらっしゃる方の、被害の補償についてはですね、政府の指示等に基づいて出荷規制をしているところなどは政府が規制をしているわけですから、補償するのは当然だということ申し上げてまいりました。それ以外部分のところについて、今個別にですね、具体的にどれがどうと、いうことをしっかりとした検証無しに申し上げられる段階ではございますが、その原子力発電所の事故の影響のせいで被っている損害について、それについてはしっかりと対応をしていくということはある意味当然のことではないかということを申し上げたつもりでございます。できるだけ早くそうしたことについての具体的な検討をするチーム、これも審議題だったと思うのですけど、原子力災害については必要な法体系になっていたはずですので、そうしたことを立ち上げていく、いうようなことも進めてまいりたい。当面は特に農業畜産関係については、農業畜産関係の金融機関もございますので事実上仮払い的なかたちでですね、そうしたとこから当面の生活あるいは経営についてのご不便が無いようにこれは最善を尽くしていく、今はこういう状況であります。

記者:テレビ東京のシノハラですが、2号機のたまり水から一千万倍の濃度が出たというところだけ見ればですね、一般国民として事態が悲観的ことに向かっているのではないかと受け取れてしまうのですが、政府として原発の全体の推移というのはどのように認識されてますか。

官房長官:これについてはこの間ですね、悪い方向に進むことを食い止めることができている状況である。いうふうに申し上げてきております。ただ今悪い方向に進むのを食い止めている状況のなかで、これを改善するためのさまざまな努力が進められているということで申し上げてきました。その大きな構造自体は全く変わっていないと、例えば冷却ができないというような状況ですと、事態が悪化をしてまいりますが、冷却についてしっかりできている状況のなかにあります。ただ何度か申し上げましたが、だからといってすぐに一直線に改善の方向に向かうわけではない、いうこともわたくしこの場で何度か申し上げてきましたが、そうした中で様々な予期できない困難にぶつかるだろうということを考えてまいりました。今回のこの高い濃度の水が溜まっているという事態はですねその一つだと思っております。こうしたことをしっかりと冷却を進めながら解決をし、そしてそのなかから事態の収束に向けた方向性を作り上げていきたい。こういうふうに思っております。

記者:時事通信のコウケツです。2号機の関連なんですが、現にいま燃料が溶けだしている可能性についてはどのようにお考えになっているのでしょうか。

官房長官:これについては現状では冷却がしっかりとできている状況にありますので、冷却が十分にできていない時点というのは、それぞれの原子炉について一時期ありました。

そうした時期にですねどの程度燃料が破損をされているのかということが問題で、それによって様々なものが流出をしたりしている可能性があるということだと思ってます。だからこそ冷却をしっかりと行ってこれを継続をすると、いうことが事態の悪化のために必要であると、そういうふうに認識しています。

記者:それとですね、今日のNHKの番組で、長官あの、情報伝達にですね、地元への情報伝達に不備があったとして陳謝されたのですけど、具体的にですね、所存の体制あるいはこれまでの体制の中で官邸の体制のどういった点で、何が問題だったのかという点についてどのようにお考えでしょうか。

官房長官:原因がということよりも現実にですね、原子力発電所周辺の特に自治体の皆さんのところにですね、適切なタイミングで適切な情報が行っていなかったと、そういう事実は本当に大変申し訳ないというふうに思っておりますし、今それを改善するための努力をしている。こういうことです。

記者:改善は現時点では進んでいるというご認識でしょうか。

官房長官:例えば具体的にはですね、安全保安院の方にですね各自治体との連絡、ご相談の窓口、の担当者をしっかりと置いてですね、自治体にもしっかりとほぼ同じタイミングで、尚且つしっかりと専門的なデータについての説明解説ができるような方が連絡を取るように、こういう体制は作り上げました。

記者:今後もそうしたことの検証を進めるお考えは、一定時期経ったのですけど、現時点でおありでしょうか。

官房長官:早くそういった検証ができるような状況にしたいというふうに思ってます。

記者:産経新聞のオダですけれども、先ほどもちょっと絡みで出たのですけど、震災の復興資金についてなんですけど、その国民からですね幅広く復興の財源を集めるためにですね、無利子国債の発行について踏み切る考えはありますでしょうか。

官房長官:財源の問題については、どういったビジョンで、どういった方向でこの震災から復興していくのかという方向性というものをしっかりと、まずは固めてそれを特に被災者の皆さんと共有をすることが先行すべきであって、財源の問題当然後ろにくっついてくる問題でありますけど、現時点でそのことについて何か言及するタイミングではないと思っています。

記者:長官、関連ですが今日総務大臣がですね、復旧の費用について自治体の負担は限りなくゼロに近いということをおっしゃってました。これは日本政府としての方針ということでよろしいのでしょうか。

官房長官:もちろん総務大臣も限りなくということおっしゃったと思うのですけど、いろいろな制度、枠組みの中で100%ということができるかどうかは別問題として、ただもうまさに地震と津波によってマイナスベースになっているところ、とにかくゼロベースのところまでということについてですね、できれば国としては全面的にですね、自治体の負担無くやりたいと、そういう思いは共有しています。

司会:よろしいですか。

官房長官:はいありがとうございました。