官房長官の記者会見テキスト(2011年3月28日11時30分から26分間)

福島第一原発20キロ圏内の立ち入り規制の継続について

司会:お願いします。

枝野官房長官:まずわたくしから1点、ご報告というか、お願いを申し上げます。福島第一原発の20キロ圏内、避難地域におられる皆さんには、大変なご迷惑、ご不便をおかけをいたしております。昨日、こうした地域にお住まいの皆さん、避難をされている皆さんから、一時的にでも自宅に帰って荷物等を取り出したいというご要望が高いということで、それについての模索、検討を始めたということを申し上げましたが、現地から、その検討を待たずに、現実に当該地域に立ち入っておられる方が見られるという報告がございました。原子力災害の現地対策本部において、改めて、当該地域の皆様に、汚染をされている可能性が高く、立ち入りは現時点においては大きなリスクがあると考えておりますので、特に指示がない限り、当該地域には決して立ち入らないでいただきたいということを改めて徹底をするということで報告がございました。わたくしからも、メディアの皆さんを通じて、是非この点についてのご報道をよろしくお願いを申し上げます。なお、現地においては、様々なモニタリングの結果を踏まえて、できるだけ避難をされている皆さんのご希望、ご要望に応えることができないか、安全性の確保を前提としながら、そういった努力、模索は進めておりますので、是非それを待った上で、安全が確認された状況で、あるいは現に今、自衛隊、警察の皆さんには、様々な仕事でこの地域内に入っていただいておりますが、その際には、防護服の着用とかあるいはセンサーを持っていただくとか、こういった安全性に配慮した様々な手配をした上で入っていただいております。そうしたことも含めて、今、何とかご要望にお応えできないかという模索を進めておりますので、是非、現時点での立ち入りについては、安全性のため謹んでいただきますようお願いを申し上げます。わたくしからは以上です。

記者:日本テレビのヒラモトですけれども、昨日ですが福島第一原発の2号機のタービン建屋内の溜まり水の放射能物質の放射線量の計測の間違いが起きるという事態が起きましたけれども、会見でまた訂正に次ぐ訂正という事態となりましたけれど、この事態どのように枝野さん受け止められておりますか。

枝野官房長官:今朝も東京電力の方から説明に来られまして説明は伺いました。現地で作業をされている皆さんも相当疲労がたまっておられる状況かなというふうに一方では思いますが、まさにこうした放射線の測定というのは様々な安全確保のための大前提になるものでありますので、こうした間違いというのは決して許されるものではないというふうに思っております。そのことを申し伝えますとともに、要員のバックアップのことも含めてこうしたことが繰り返されないよう申し上げたところでございます。

記者:東電のどなたに今日は。

枝野官房長官:これは、副社長ですかね、今朝おいでになったのは。後で、もし必要なら事務的にお伝えします。

記者:長官、読売新聞のクリバヤシです。20キロ圏内の避難区域への立ち入りの件なんですけど、一時帰宅を模索する一方でいま入ったら危ないということでしたら、現にその放射性物質が収まるか防護をきっちり全員にできるような状況にないと不可能なように思えるのですが、現実その、具体的にその、一時帰宅っていうのは可能な見通しっていうのは立っているのでしょうか。

枝野官房長官:20キロ圏内含めてですね、様々なモニタリングをいたしております。そうしたことの中でですね、放射線量等の数値からですね一定時間であれば入っても安全であるというようなことを、かなり緻密にというか詳細に分析をすればですね、場合によっては部分的に可能ではないかいうようなことも考えられるということでございます、そうしたことが確認できてない状況ですので、リスクがあるということを申し上げておりますので、現状が安定している今のところは大気中の放射線については安定をしているという報告でございますので、そうした前提の中で、時間を区切るとかあるいは地域、風向き等による地域よって、こういったことを今かなり詳細な分析と検討をしていただいていると、いうことでそれによっては可能性があるというふうに考えております。

記者:朝日新聞のサトウです。東京電力のですね記者会見によりますと、圧力容器の損傷の可能性があるということを認めてまして、そうなりますとメルトダウンが懸念されるわけですけど容器のですね健全性は保たれているのかという点と、穴が開いているとすればですね、水の注入というのは逆効果ではないかと思うのですが、そのあたりについてご見解をお伺いします。

枝野官房長官:今恐らく同じ時刻に原子力安全委員会がこの件についての見解を取りまとめる委員会開いていただいているというふうに聞いております。そこで取りまとめようとしている案は予め報告を受けておりますが、第2号機の地下、タービン建屋の地下に溜まっていた水の放射線濃度、それが大変高いこと等を踏まえると、2号機については一時溶融した燃料と接触した格納容器内の水が何らかの経路で直接流出したものと推定されるという分析を受けております。なお他の号機の水は格納容器から蒸気として出たものが凝縮したものか、放水により希釈されたものと推定するというふうな報告を受けております。現在では、現時点では空間線量が高いのは建屋内だけに留まり、屋外では異常な数値は計測されていない、まずこの状況をしっかり維持しなくてはいけない、同時に2号機の炉心への注水は屋外から実施しておりますので直接ポンプに切り替えるので今後もより安定的なかたちで継続できると。したがって水の漏えいが継続するとしても炉心に注水して冷却するという冷却方法は継続可能であろうと、いう分析をしていただいております。ただしこの地下の空間線量が高いことを踏まえると、この水の処理を速やかに実施をすることが必要であろうと、そしてもう一つはこの水が地下や海中へ漏えいさせないように万全を期すること、そしてそうしたことが漏えいしていないという安全の確認のためにもサンプリングの実施、あるいは海水については一部高いものも出ておりますが、これは少し遠いところでもリスクがないかどうかというサンプリング安全確認のために強化をする。こういうことが今原子力安全委員会で原案として取りまとめを行っているいうことを報告を受けております。そうした意味では今回溶融した燃料と接触した水が直接出ているということは大変残念な事態でございますが、これによる健康被害等の拡大を防ぐ、なおかつそうした中で全体を収束させるための努力をさらに進めているとこういう状態だと思っております。

記者:関連ですが、NHKの●●です。燃料の溶融というのは一時的なもので止まってる認識なのでしょうか。まだ続いているという認識でしょうか。

枝野官房長官:これは原子力安全委員会、見解がまとまりましたらおそらく記者発表等されると思いますので、専門的にお尋ねをいただければと思いますが、わたくしのところに報告されている原案では、一時溶融した燃料と接触した水がということで来ておりますので、継続的に溶融しているということではないのだろうと、こういうふうにこの文書から認識しておりますが、これ専門家の皆さんに直接お尋ねをいただければと。

記者:日本テレビのヒラモトですけれども、一部報道で菅総理がですね福島第一原発を視察した前後、あ、視察した際にその視察がですね第一原発の格納容器の空気を外に出す作業に支障をきたして、全体的なオペレーションが遅れたという指摘があるようですけれども、事実関係等わかることがあれば教えていただけないでしょうか。

枝野官房長官:当該報道はわたくしも承知をいたしておりますが、部分的な評価の点については前提となる事実ちょっと違うのではないかなあと、認識をいたしております。当該報道にもあります通り地震の発生した3月11日の22時に原子力安全保安院のプラント班でですね、2号機について今後炉心が露出をして燃料が溶ける、したがってベントの必要がある。こういう予測を作られてこれは22時44分官邸の危機管理センターにおいて共有をされております。これについては危機管理センターの作成資料にて従来から公表をしているところでございます。これは2号機についての保安院としての見通しを示したものでございますが、その後最初に問題になったのは1号機の問題でございまして、2号機については翌12日の午前3時過ぎにですね東京電力から2号機の冷却装置が動いているということが確認されたと、いう報告がございました。そして結果的に14日、翌々日の13時25分、東京電力からこの冷却機能が喪失したと報告がありまして、それを受けて15日の0時に、午前0時にベント、空気を抜く作業が行われたと。2号機はこういう流れになっておりまして、先に実はベントがなされたのは報道されている保安院の報告のあった2号機ではなくて1号機の方でございます。まずそこのところがまず大前提としてございます。そしてこの1号機、2号機を通じてですね原子力発電所が停止をして、冷却の機能がなかなか上手くいっていないということの中から、地震発生の翌日の未明1時30分には東京電力と安全委員会の班目委員長からの説明に基づいて総理と海江田経済産業大臣の了解の下に、ベントをむしろ急ぐようにいうことの指示を出しているところでございます。そして午前0時、午前0時、3時5分には経済産業省において海江田大臣と東京電力の小森常務がベントを行うと、これについてはその直前に2号機の情報が入っておりましたので、1号機を優先してベントを行うと、わたくしの方からも同時に午前3時12分、わたくしの会見でベントを行うということについてお話しを申し上げました。そしてこの間、現場においては特に1号機を優先してベントの作業を進めるようにというこれは海江田大臣からの強い指示でですね、わたくしもその場におりましたが、東京電力の方の官邸に来ていた連絡員を通じて現地に対してもですね繰り返し早くベントを行うようにと、いうことの指示を繰り返していたところでございまして、結果的にこれは事後的な将来検証が必要かなと思っておりますが、結果的に現場の方での作業が最終的に9時4分になるまで始まらなかったと。この間わたくしもよく記憶をしておりますが、3時にベントをすることを発表した時点では同時ぐらいにベントが始まるものと想定をしておりましたが、総理が出発をする朝6時代になっても始まっていないということで、繰り返し早くやらないといけないじゃないかと、どうして進んでいないのかということ、この間繰り返し東京電力に対して求めてきていたという経緯でございますので、そういった意味では報道の趣旨は部分的にちょっと違っているのかというふうに受け止めております。

記者:12日の3時に冷却装置が動いていると報告を受けたと。その時点でその、いく前にベントをやる可能性がある中で行ったのか、それとももうベントをやる可能性が無いから行ったのか

枝野官房長官:ベントをやる前提でございます。場合によってはいく前にはベントがもう進んでいることがむしろ総理が福島第一原発に行くことを決めたのは午前2時半頃でありますけど、ベントをすべきではないかということを総理や海江田大臣はおっしゃっておりまして、東京電力に対してもその必要性はないのか、やるなら急ぐべきではないかというような話をしていた段階でありますので、ベントがあるということを前提として行われております。

記者:そこはあったとしても安全性は問題ないという判断で行くという判断をされたと。

枝野官房長官:当然です。実際に東京電力の職員の皆さんは周辺におられてベントを行うわけでありますし、場合によってはこれ色んなやり方でベントをすることがあったようでございますが、作業員の皆さんに近づいていただいて、作業しなければいけないと、いう可能性もあると、いう報告を受けておりましたが、それについてもしっかりとした安全確保措置を取りながらだけれどもそういった努力も必要ではないかとそのまま圧力が上がり続けることは大変大きな危険に繋がると、そういう認識を持ってそのことを東京電力に対して強くこの間求め続けていたという状況です。

記者:長官、午前3時からですね9時までの間にベントが行われなかったのはどういう理由ですか。

枝野官房長官:これはその時点でもですね、繰り返しなぜ行われないんだということを繰り返し説明を求めて、早くやるべきではないかということを求め続けてまいりましたが、少なくともその時点では十分な説明は得られませんでした。ただしこれは結果的に急いでベントをすることが重要でありましたので、そのことを繰り返し求めていたというのがわたくしの立場で認識をしていたことです。

記者:ニコニコ動画のナガオです。よろしくお願いします。東電がですね、セシウムをヨウ素と誤認した件なんですけども、根本となる基データの計測に人為的ミスがありますと、これは言うまでもなく最終的な政府の判断にまで影響を及ぼす大きな問題だとこれは思うのですね。今回の件を教訓に、データ計測から対応に至るリソースの要所要所で公的機関からのチェック人員を配置するなどのお考えはございませんでしょうか。

枝野官房長官:制度的にはですね、どういう体制でどうこうした測定を行うということは、抜本的に考えなければならない状況であろうと、いうふうには思っております。ただ今現在進行形の問題については、実際の計測をする能力、あるいはそこに配置できる人員、これ能力がある人を配置をしなければ意味が無いわけでありますので、そういったことも含めて検討しなければならない。一義的にはしっかりとですねそれぞれ今回の場合は東京電力が自ら計測をするものでありましたけれども、他にも様々なモニタリングを行っておりますので、それぞれの機関がですね緊張感を持って進めていただくと、いうことをまずは徹底することかなと思っております。

記者:共同通信の●●といいます。いわゆる屋内退避指示の対象の20キロから30キロの圏内の件で、位置付けについて改めてお聞きしますが、いわゆるこの地域での自主避難を促進する一方でですね、安全性を確保しながらそういった支援を進める姿勢も同時に示してますけども、そのことで例えばそのバスの運行が●●、国交省がバスの運行を業界に求め自治体がそれに期待して、ただ一方で事業者としては運転手さんの安全確保の観点から難しいと、いうことでトラブルも現場で起きているようですけど、政府のその、中途半端な姿勢がですね、こういったトラブルの原因にもなってるかと思いますが、そういった点どう考えておりますか。

枝野官房長官:20キロから30キロの地域についてはですね様々に、特に現場の皆様にですねご苦労おかけしている状況はだということは大変申し訳なく思っているところでございます。ただ現実の問題として、一つは屋内退避でつまり一日中外で長時間活動するということでなければですね、健康に問題が無いそういう状況である。まずこれは科学的に専門家のご意見を踏まえた前提がある。ただできるだけ屋内にいただけた方が健康のためにはリスクが小さいと、いうことの中でこういった安全性の観点から指示をしているところでございます。その一方でそうした状況であることを前提にですね、現実に当該地域では外に自主的に既に沢山出ておられる方もいらっしゃったし、それから特に病院の患者さん等については今後の状況の変化に備えて、早い段階から外に出ていただくこれは政府もバックアップして進めてまいりました。そうした中で地域の皆さんの声、状況、事情をですね屋内退避で外に避難をするまでの状況でないならば、できるだけ自分の家で生活をしたいというご要望、これは当然できるだけ受け止めたい、一方ではどこかへ急いで逃げなきゃならないということだったら、早めに逃げておきたいこれもご要望にできるだけ応えたい、できるだけ両方の現場の皆さんのニーズに応えらえる対応を取りたいということの中でこうした対応をしてきているところでございます。そうした中で現実に出てきている様々なトラブルについては今経済産業省、保安院が所轄担当でございますので、その体制を強化してですね地域起こっている様々な問題に国としてより迅速に対応できるよう、体制強化するように、この間それを進めて来ているところであります。

記者:ブルーバーズのヒロカワと申します。昨日民主党の岡田幹事長がですね今回の大震災の復興財源に充てるためにですね、法人税の減税をですね圧縮、●●言及されたのですけど、政府としてですね今後の●●次第でこういった今回の●●目玉である法人税減税についても見直しもやむをえないという認識をお持ちでしょうか。

枝野官房長官:これは二つの側面あると思っておりまして、一つには今間もなく年度末を迎えるということの中で、国会のなかにおける野党の皆さんとのいろいろなご相談、ご理解を得るべくの努力いうことについては、これは事柄の性質上も含めてですね、党の方に、岡田幹事長や安住国対委員長のところで、他の野党の皆さんとのお話は進めていただいているところでございます。したがってこれについて政府の立場から直接コメントするべきではないかなと、政党間の話を踏まえて何かご提言なりがあれば、その段階で政府として対応決めていくことだと思っております。それから中長期的な財源確保の問題についてはこの復興財源しっかりと確保をしてしっかりした復興を進めていくという大きな方向性ははっきりいたしておりますが、昨日申し上げましたが、まずはどういった復興を目指していくのかという被災者の皆さんに希望を持っていただけるようなビジョン、方向性をまずはつくりあげることが先行しなければならないというふうに思っておりますので、現時点で個別具体的な財源の問題についてコメントするのは時期尚早だと思っております。

記者:日本テレビのヒラモトです。お忙しくて見れなかったかもしれないのですけど、今日午前中に仙台の東北高校が甲子園に出まして、東北高校の選手は被災、震災後ですね避難所で活動するなど十分な練習ができないままでの戦いになりましたけど、まあ7対0で敗れましたけど、東北高校の選手の活躍ぶりをどうご覧になられましたか。

枝野官房長官:私自身東北大学の出身で別に系列校ではないのですが、仙台にも長く住んでましたので東北高校昔から高校野球シーズンには応援をしておりましたので、大変気にはなりまして、長官室のテレビは一応つけてはいたのですが、ほとんどついてるだけの状態でありました。ただ一瞬二瞬、人の入れ替わり、部屋の入れ替わりのときなどに見させていただいて、大変厳しい状況のなかで元気にプレーをしておられる瞬間を若干見ることができました。特にちょっと一瞬だけたまたまショートの選手が三遊間の難しい当たりをファインプレーで一塁アウトにした瞬間のところとか見ることができましてですね、ほんとにこうした被災地の皆さんからなかで、こうしたかたちで全国にそして被災地に頑張ってる姿を発信することをしていただいたということは、被災地の皆さんにとってはもとよりだと思いますけど、わたし個人としても大変勇気付けられた思いで大変感謝をしています。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。話変わりますが、東京電力の清水社長が事故発生後の今月16日から約一週間、体調不良で職務を離れていたとの一部報道があります。最終の意思決定は担当の副社長が代行をする状態が続けていたと報道もありますが、これ事実関係政府としてどのように把握されてましたでしょうか。

枝野官房長官:この間統合本部ができましてからは、統合本部に政府の意思、総理の意思等、それから東電の方の状況は細野補佐官中心にしっかり意思疎通をしてできるようになってきたのではないかというふうに思っています。それ以外の件についてもですね、担当の副社長であったり、担当の皆さんとそれぞれのレベルでしっかりとコミュニケーション取りながら進めてきておりますし、また経営陣ということでは勝俣会長ともですね総理も何度かお電話で話しをしたりもされているというふうにも聞いておりますので、東京電力と政府との関係コミュニケーションということについては、特段この間、違和感無く進めて来ているというふうに思っております。

記者:社長がそういうふうに体調不良であったとしても、あった場合東電の最終の意思確認は誰を相手にされていらっしゃったでしょうか。

枝野官房長官:それぞれ案件ごとに最終の意思確認は異なるのは当然でありまして、大きな案件か小さな案件かによってそれぞれ異なってきておりまして、担当したレベルのところで事実関係とか政府として把握をしたり、それに対して政府の考えをサジェスチョンしたりとありますし、一般的には担当の副社長などとの間で大きな話についてはコミュニケーションするということであります。特に社長と直接コミュニケーションしなければならないところで社長と連絡が取れないことについては、最初東京におられなかった地震発生当日とは別として、その後そういう方向は特に受けておりません。

司会:よろしいですか。

枝野官房長官:ありがとうございました。