官房長官の記者会見テキスト(2011年3月28日15時58分から17分間)

冒頭発言無し

司会:お願いします。

枝野官房長官:わたくしの方からは特段発表事項はありませんので、皆さんの方であればどうぞ

記者:長官、朝日新聞のサトウです。先ほどの原子力安全委員会でですね、長官のさっきの発表と同じように水漏れの原因について格納容器から●●おっしゃってましたが、一方でですね東京電力は圧力容器の損傷についても言及した、これは似たようなあれですけども、意味合いは全然違ってくるのでこの辺事実関係はどうなんでしょうか。

枝野官房長官:わたくしのところに報告が来ておりますのは、格納容器から水が漏れるような状況になっていると、いう報告をいただいております。当然、燃料棒に由来するような物質が出ているわけですから、何らかの形でそこに危機があると誰でもわかることですが、圧力容器そのものがどうなっているかということについて具体的な報告は現時点でいただいておりませんので、原子力安全委員会、保安院等のところで、改めて問い合わせていただければ分かっていることがあれば報告できると思います。

記者:時事通信のコウケツです。そうしますと2号炉は圧力容器も破損している可能性があって、なおかつ格納容器も壊れている、そういう状況であるということでよろしいでしょうか。

枝野官房長官:わたくしが申し上げているのは、格納容器については原子力安全委員会の報告受けておりますので申し上げられますが、格納容器はですね。圧力容器については特別の、何らかの具体的な報告を受けておりませんので、保安院だと思いますけれどもそうしたところへお尋ねをいただければ、わかることがあれば報告できると思います。

記者:読売新聞のクリバヤシです。先ほどですね、野菜の関係なんですけども、北関東3県や東京都の知事がですね蓮舫大臣のところに野菜の出荷停止などについて、県の単位で大まかに括るのではなく、もっときめ細かくきちんと限定して出すという要望を出されたのようなんですけど、現時点でモニタリングの関係からですねそういう細かい●●が可能なのか、どのような方針なのかお話しいただけますか。

枝野官房長官:これはむしろ専門的にご評価をいただかなければいけない、部分だというふうに思いますが、その安全性の観点、それからモニタリングの精度をどれぐらいきめ細かく行われるかという現実の問題等との考量のなかで、専門家の皆さんのご意見を踏まえたうえでいけないと思っております。もちろん可能であればできるだけ地域を区切る方が、望ましいと思っていますが、安全性や実現可能性の点をしっかり考慮しなければいけないそういう問題だと思っております。

記者:NHKのシマです。放射性物質の野菜など農作物の暫定基準の件で、お尋ねします。この暫定基準の基となった指標を作ったですね、原子力安全委員会の元委員の一人がですね、次第に放射性物質が減少していくことを前提に指標を作っていてですね、基準の上限の値を長期間摂り続けるとですね想定している被曝量を超える恐れがあると指摘しているのですけど、これまで政府の方は一生食べ続けても健康に影響が生じないぐらいの数字だと説明されてきましたけれども、この説明とは矛盾は無いでしょうか。

枝野官房長官:その方がどういう趣旨でおっしゃられたのか直接把握ができておりませんし、具体的にはですね原子力安全委員会の専門的なご説明をお聞きをいただくべき性質のものかなと、いうふうに思っておりますが、そもそもその基になっている国際放射線防護委員会の作っている基準というものについて、ご説明を受けまして、それに基づいて我が国における暫定基準値が作られたと、そういうふうに報告を受けております。その詳細ついては安全委員会にお問い合わせいただきたいと

記者:その上限値を食べ続けても大丈夫ということでしょうか。

枝野官房長官:わたくしがこの基準値を作るのに対して報告を受けておりますのは、一年間の摂取量、それぞれのものによっての摂取量を一年間食べ続ける、いうようなことがあっても、それが健康に被害を及ぼすということにはならないと、いう非常に安全性の面でゆとりを持った数値でICRP国際放射線防護委員会は基準を設定しており、それを踏まえたものであるという報告を受けているものです。

記者:時事通信のコウケツですが、先ほどの質問に戻るのですけれども、溶けた燃料に触れた水が格納容器の外に出てしまっているということは、圧力容器から壊れて漏れているというふうに考えるのが自然なように思われるのですが、その点についていかがでしょうか。

枝野官房長官:まさにその原子炉の構造の専門的な知識を基にですね、ご説明をいただいた方が正確ではないかというふうに思っています。もちろん当然燃料棒は圧力容器の中にあるわけですから、そこに触れた水が外に出ているということで、何らかのかたちで水の移動があるということはわかる話でありますけれども、それがどういう理由、事象によるものなのかというのは原子炉の構造と関連するものでございますので、専門的な立場からご説明いただいた方が正確だと思います。

記者:それとですね、ちょっと話題変わるのですが、ベントの話なんですが、午前中も話題になったのですが、午前中の会見で長官ベントを開始したのが9時4分だとおっしゃったと思うのですけど、原子力委員会が出している資料でですねそれぞれ時間に開きがというか違いがありまして、改めてなんですけどベント開始した時間は何分なのかということ、資料に時間の違いがあるのはなぜなのでしょうか。

枝官房長官:わたくしが報告を受けておりますのは1号機のベントは12日土曜日の9時4分にベントの作業を開始をした。14時30分にベント実施による圧力効果を確認した。こういう報告になっておりますので、そういった意味ではベントがいつ始まったかということについては、作業が開始した時点と、空気が抜け始めたのを確認した時間ということで二つ時間があるのかなとは思いますけど、

記者:毎日新聞のカゲヤマです。世界各国でこの事故を受けた原発の見直しの動きが広まっております。政府が昨年の6月に閣議決定したエネルギー基本計画でまず2020年までに9基の原発の新増設を行うというのと、2030年までに少なくとも14基以上の原発の新増設を行うこと明記しております。これ原発事故を受けてもこの増設計画を進めていくお考えに変わりはないのでしょうか。

枝野官房長官:まずはですね、この福島第一原子力発電所の事故を収束をさせるということに、特に原子力の問題に一定の知見のある政府の関係者も総力を挙げている状況でございます。そうした意味では、これを収束させたうえでですね、今のような大きな政策的な判断についてもしっかりとした検討と検証を行わなければいけないなと、いうふうに思っています。

記者:関連でですね同じ福島第一原発なんですが、7号機8号機についても2014年から2015年に運転を開始する予定になっていると思います。ただこれ事故が起きる前の時点で既に運転開始時期は10回以上延期されています。これもし7号機8号機も現状予定通り運転開始ができる状況にあると思われますか。

枝野官房長官:繰り返しになりますけれども、まずは事故を収束させるということに全力を挙げて、政府あるいは関係機関の原子力に関わる力を総結集してこれに対処をいたしております。その後全体としての原子力政策をどうしていくのかということは、その事故についての収束を得られた時点で、この事故に関する検証を踏まえてですね進めていくということになると思います。

記者:東京新聞のジョウジマですけど、長官午前中の会見で地震が発生した3月11日の22時に原子力安全保安委員が2号機について今後炉心が露出して燃料が溶けるという予測を作って、その44分後には官邸の危機管理センターでもそういう情報を共有しているとおっしゃったんですけど、そういう状況下で首相があえて現地視察をするという判断をした理由については。

枝野官房長官:これ地震発生の夜、当日でございますが、原子力発電所の冷却機能が上手くいかなくなったまさにこういう事故になった、いう情報が入って以降ですね、東京電力からも或いは原子力安全保安院を通じて情報は入ってはまいりましたが、なかなかその現地の状況がしっかりと入ってこない、現地の状況が把握をできない。あるいは今朝ほど申しました通りベント等についてもですね、この22時過ぎ以降ですね、いつどうやってベントを始めるのか等についてですね、早く進めるべきではないかということを申し伝えてもなかなか答えが返ってこないという状況の中にありまして、まさにそうした現場の状況が東京で十分に把握ができないという状況の中でですね、現地の状況をしっかりと認識をし、特に現地の対応に当たっている現場の責任者、担当者の皆さんとしっかりと直接コミュニケーションができるような状況を作らなければならないと、こういった問題意識があったというふうに、もちろん決められたの総理でございますが、わたくしはそういう認識で総理は行かれたのだというふうに認識しております。

記者:現地の状況が入ってこなく、ベントを開くように言ってもどうするかという答えが無い中で、予測としては炉心溶融、炉心が露出するという極めて危険な状況が予測されている中で、官邸で管理を進めるという判断もあったと思うのですけど、それを踏まえて現地でこう状況を見た方がいいという判断なのでしょうか。

枝野官房長官:これは皆さんご承知の通りですね、原子力発電所の事故はですね、一歩間違えればもちろん現状の事故の状況でも大変大きな広範の皆さんにご迷惑をおかけして大変申し訳ない状況だと思っておりますが、一歩間違えればほんとに大変、さらに大きな影響を及ぼしかねない問題であると、いう問題意識のもとでですね。しっかりとですね最終判断をする総理自身がですね、現地の状況を把握できないという状況の中ではですね責任を持った対応ができないと、いう問題意識があったというふうに理解しております。

記者:ニコニコ動画のナガオです。よろしくお願いします。被災者支援に関してです。以前も同様の質問をさせていただいたのですけど、義援金なんですが通常であれば被災した自治体で構成される義援金配分委員会に全額渡されるということですが、今回はですね分配の根拠となる被災の全容がまだ分からなくて、自治体による委員会がまだ立ち上げられていないとの報道がございます。それだけ被災者の方々に届く時間が遅れるわけですが、この点に関しまして長官のご見解をお聞かせください。

枝野官房長官:これはまさに義援金でございますので政府が直接にああしろこうしろと言うべき種類のものではない、まさに善意の皆さんの思いをですね関係自治体の皆さんとでご相談いただいて適切な使い方を自立的にお決めをいただくという性質だと思っています。ただ今回はご指摘いただいた通り大変広範な被害と、それからそれだけに被害の全体像をしっかりと掌握をした上でいろいろとご協議いただくのはなかなか難しいと、いう状況にあることも間違いないと思っておりますので、できるだけ早くですね、被害の全体像について関係者の皆さんにご相談をする前提を作れるように、この点を努力をすると同時にですね、場合によってはいわゆる義援金を被災者の皆さんにお渡しできるタイミングが遅れるとすればですね、そのかんの間のですね最低限の生活資金について様々な制度のもとでですね政府としてできることがないか、このことはこの間様々な機関でいろいろな手法を検討してできることから進めている、こういう状況であります。

記者:産経新聞のオダですけれども、2号機の水たまりから高濃度の放射性物質が出たという話ですけど、それによってどの程度作業が遅れるとみているのか、またですね高濃度の数値がですね第一原発から続々と最近出ているのですけど、作業が遅れる場合遅らせている余裕があるのかどうか、ということについてお願いします。

枝野官房長官:まず一点目ですけど、これについてわたくしこの間、その種のお尋ねに対しては、予断を持たずに全力を尽くすしかないということを申し上げてきております。確定的なある程度確率の高い見通しが立てられれば、それは申し上げてですね、特に避難をされている皆さんの今後の様々な計画というかですね、生活設計に対してですね、いろいろとご参考になればと思っておりますが、現時点では残念ながらかなりの角度を持ってこうした見通しで時期をという段階ではない、できるだけ早期に収拾させるべく全力挙げているこういう状況でございます。それからその対応を待っている時間があるかということでございますが、少なくともですね原子炉やそれから燃料プールにあります核燃料についてですね、冷却が出来ているという状況、これをどれくらい長期にわたって今のようなやり方でできるのかと、いうことについての議論検討は必要だというふうに思いますが、少なくとも当面はですね今のやり方の中で炉を或いは燃料を冷やし続けるということをキープできるなかでですね、しっかりと次の段階へ進めていかなければならない、当面は冷やし続けることは今の状況では可能であるいうふうにみております。

記者:すみません時事通信のコウケツです。原発周辺の避難地域についてなんですけど、こないだ長官被災者地域にですね警察官を全国から派遣されるとおっしゃったと思うのですけど、原発周辺の20キロ圏内で避難地域が設定されていますけど、そこの治安の維持について現状どういう状況になっているでしょうか。

枝野官房長官:これについてはですね、もちろん避難地域でありますので適切な安全対策をとっていただいたうえでですね、警察と自衛隊の皆さんには避難地域の中においてもですね、一つには残っていらっしゃる方いないかどうか、そういった方を外に出ていただくということと同時にですね、そうした地域での一種の防犯等についても対応していただいているところでございます。具体的にどれぐらいの方が入ってらっしゃるかというのは、むしろ治安の観点から申し上げないほうがいいのかなというふうに思っています。

記者:読売新聞のクリバヤシです。被災者生活再建支援法のですね、適用手続きについてお伺いしたいのですが、昨日のテレビで松本防災大臣がですね壊滅的打撃を受けたところは一括して全壊の認定を出すように、手続きを簡素化することも考えているとおっしゃってたのですが、現実に運用について何らかの決定事項はございますでしょうか。

枝野官房長官:これはまだ最終的な決定というような相談等はまだ来ておりませんが、まさに被害の実態、状況を踏まえた対応で松本防災担当大臣がおっしゃった方向というのは、当然の前提になって進めていくべきだろうと私は思っております。

司会:よろしいですか。

枝野官房長官:はいありがとうございました。