官房長官の記者会見テキスト(2011年3月31日10時58分から18分間)

http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg4609.html

司会:お願いします。

枝野官房長官:今日はわたくしの方からの発表はございません。

記者:日本テレビのヒラモトですけれども。昨日IAEAがこれまで飯館村の方に放射性物質の濃度の調査に入って、IAEAの基準だと避難をすべき値を越えていて、避難勧告を出すよう日本政府に伝えたということなんですけれども、この勧告をどう受けとめてどう対応されるおつもりですか。

枝野官房長官:IAEAの土壌の調査の中に、IAEAの基準の一つを超過するものがあったという報告と、その状況を踏まえてですね、この状況を慎重に把握するよう助言があったと、いうことでございます。当該周辺含めてですね、この間大気中の放射線量についての継続的なモニタリングも行ってきておりますので、今回の土壌についてのIAEAのモニタリングの結果も踏まえながらですね、更に精緻なモニタリングを行っていかねばならないと、いうふうに考えております。なお、この土壌の放射線量が基準値を超えているということについてはですね、長期間、そうした土壌の地域にいらっしゃると、その蓄積で健康被害の可能性が生じるというもの、性質のものでございますので、大気中の放射線量は周辺地域で継続してモニタリングを行っておりますので、今の時点でですね健康被害の可能性というよりも、こうした状況が継続する、長期に渡ると、いう場合の可能性についてしっかりと把握をして対処していかなければならないと、そういう性質のものだと認識しています。

記者:ではその勧告を受けて現時点で避難地域を拡大するというお考えは現時点ではないということでしょうか。

枝野官房長官:直ちにそういったことではない性質のものだと思っておりますが、当然土壌の放射線値が高いということは長期的には影響を与える、蓄積をしていけばですね、可能性はありますのでさらにしっかりとモニタリングを行って、必要があれば対応して参りたいと思っております。

記者:長官、土壌調査に関しまして、農林水産省の方で周辺のですね土壌調査をこれから行うと発表がありました。一方でですね海水ですけど影響調査についても考えていらっしゃるでしょうか。

枝野官房長官:これについてもですね、放水口のところで高い数値が出ているわけでありますから、海水で拡散されると薄まるということは想定されるにしてもですね、万が一にも影響が出るようなことがあってはいけないと思いますので、しっかりとより広い地域でのモニタリングを強化してまいりたいということで、これは既に指示をしているとこであります。

記者:読売新聞のクリバヤシです。先ほどの土壌のですね放射能汚染について長期的にそこに住まわれると影響があると、それに対して何らかの除染というかですねそのような対応で今後不測的な、人間が行うわけですから除染のような措置で対応できるということになりましょうか。長期的な話で。

枝野官房長官:まずはですね、それが人体に影響を及ぼすような可能性のある長期間になればですね、或いはなりそうであれば退避等のことを検討しなければならないと、いうことだというふうに思っておりまして、それについては大気中の放射線量のモニタリングも含めてですね、万全を期してそういった必要が生じたときにタイミングが遅れるということが無いようにこれは万全を期してまいりたい、これが現状であります。

記者:テレビ朝日のコバヤシです。この飯館村は40キロ程度離れている場所なんですけど、土壌で長期間ずっと健康被害が起きそうな場所っていうのはどの程度あるのでしょうか。

枝野官房長官:繰り返しになりますが、現状ではそういった状況ではないということであります。それから例えば土壌の放射線量が多くてもですね、半減期の短い放射性ヨウ素などの場合と、長いもので当分土壌の放射線量が変わらないというものの場合とでは違ってまいります。こうしたことは原子力安全委員会はじめとしてですね、専門家の皆さんに分析をしていただいて、健康被害の可能性があればですね、必要な措置を取らなければならないということで、慎重に分析をしていただいているという状況であります。これについてはですねできるだけ今広範な地域で一番量的にできるのが大気中の放射線量のモニタリングでこれについては周辺地域も、それから逆に20キロ圏内地域も、両面においてできるだけ広範に詳細におこなっているところであります。さらに長期的な影響ということで土壌の調査ということもですね、これもできるだけ場所を増やしてですね、しっかりと把握をしてまいりたということはこの間鋭意進めていることであります。

記者:産経新聞のオダですけれども、長期的にはですね影響を与えるということですが、長期的というのはどれくらいのスパンを指すのでしょうか。

枝野官房長官:まさにですね、それぞれの放射線量の数字が出ているわけですけど、そこに含まれている放射性物質の主に半減期の長い短いということあります。それからそれがその後増えているのか新たに土壌に降っている状況なのか、それともかつて降っていたものが例えば放射性ヨウ素であれば半減期短いですから減っている状況なのか、そうしたことによって影響がどの程度の機関及ぶのか、長く及ぶのかそれとも短いものなのか、そういったこと含めてきちっと分析をして、そして万が一にも安全性の観点から必要な措置が遅れることが無いように、専門的な分析と調査を進めていただいているとこういうことです。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。関連なんですけど、長期にわたるということなんですが、既に事故発生から2週間3週間経っていて既にこれまでの間でもずっとそれなりの値が出ているわけで、既にこの間までを長期にわたっているという認識はありませんですか。

枝野官房長官:そのことも含めてですね、この間例えば放射線量のモニタリングがなされている地域、それからこれはどの程度の確からしさがあるかということは別としても、SPEEDIによる分析等に基づき、これ専門家の皆さんにですね長期間そこにいらっしゃることによる放射線の影響の可能性ということについては、分析をし続けてきていただいているところでございます。そういった意味ではここまでの期間ということも当然考慮に入れて、様々な判断を専門家の皆さんに仰いでいるという状況です。

記者:日本テレビのヒラモトです。圧力容器の損傷状況についてお伺いしたいのですけど、専門家の中からですね、周辺に漏れ出した水が高濃度の放射性物質を含んでいることから、圧力容器の底の部分の特に制御棒の差し込み部分が損傷していて、そこから水が漏れているのではないかという指摘などがあるんですけどその現状認識についてどのように考えられているのでしょうか。

枝野官房長官:燃料棒に由来する放射性物質を含んだ高濃度の水がタービン建屋等に出ているということでありますので、何らかのかたちで水が出ているということは間違いないわけでありますけど、その部分がどこであるのかと、いうことについて現時点で特定ができているとか、或いはどの可能性が有力であるというような情報はまだいただいておりません。これは現場においてなかなか困難だとは思いますが、直接間接様々な状況を分析してできるだけ特定をしていただきたいということはお願いをしております。

記者:少なくとも圧力容器の密閉性というのは100%では現状ないという認識は?

枝野官房長官:それはあの当然燃料棒に由来する放射性物質が出ているわけでありますから、残念ながらそれは間違いないと思います。

記者:ブルームバーグのサカマキと申します。IAEAなどから、IAEAの昨日の会見で再臨界の可能性を指摘する声が出たのですが、改めて局部的な再臨界が起こった可能性があるのか政府の認識を聞かせていただきたい。

枝野官房長官:IAEAのそのブリーフでもですね、もちろんこういった状況ですから、あらゆることの可能性を想定して日本政府としてもそういったことは特に良くない事象が起きないということをやっているわけでありますから、あらゆる事象について可能性を否定できない。そういったことは共有をしているわけでありますが、同時にそうした事態が生じているという明確な兆候があるわけではないと、いうこともおっしゃっていただいております。また原子炉が爆発するようなことは無いことは強調したいということもおっしゃっておられまして、そういった意味では認識に大きなずれはないと、いうふうに思っております。

記者:ニコニコ動画のナガオです。よろしくお願いします。昨日の東電会長の会見でも明らかにされなかったのですが、福島原発の収束に向けてのロードマップなくして具体的な日本の復興計画を描くことは難しいという側面はあると思います。政府としまして東電側にロードマップ作成の要請はされているのでしょうか。

枝野官房長官:これは東電に要請すると同時にですね、政府としても早くロードマップをお示したいというふうに思っています。当然周辺住民の皆さん、或いは風評被害も含めたですね様々な影響を受けていらっしゃる皆さん、たくさんおられるわけですからできるだけ早くにロードマップをお示ししたいというふうに思っていますが、しかし同時にですね、これについてはかなりの確率を持ってですねその方向で進めると、進めることができるんだという確証が無い段階でですね、あまり軽々なことを申し上げるべきでないと、それも一つの責任であるというふうに思っております。現時点においてはですね、どういう段取りでどう収束できるかということについて、様々な手段については各国のご協力もいただいてある意味では同時並行的に進めておりますが、それがどれぐらいの時間でどう収束できるのかということを責任を持ってご報告できる段階ではない、できるだけ早くそれができるよう努力をしているところであります。

記者:時事通信のコウケツです。敷地内に出ている放射能を帯びた汚染水なんですけれども、それの処理の施設をですね原発の敷地内に作るという話が出ているようなのですが、その検討状況についてどうなっているでしょうか。

枝野官房長官:いろいろな可能性というか、いろいろな手段を同時並行的に検討し、或いは同時並行的に模索の作業を進めているところでございますが、現時点で、このやり方でとりあえずは何とかなりますという具体的な報告はいただいておりません。あらゆる可能性、あらゆる方法を同時並行的に進めているという状況です。

記者:あとですね、すみません、復興に関して総理が有識者、財界人集めて復興委員会を的なものを立ち上げてですね、今後のビジョンについて検討するという報道がありますけれどもそうした検討はなされているのでしょうか。

枝野官房長官:最終的には総理がご判断をされることだろうというふうに思いますが、それは皆さんというか有識者の皆さん含めてですね、いろいろな方から一つには阪神淡路のときのやり方というのは一つの有力な参考材料であると、いうことは当然認識いたしておりますが、最終的にはまずどういう枠組み、段取りで進めていくのかということについて総理のもとで検討している段階であるということです。まだ具体的にどういうやり方にするか決めたということを決めたというふうには総理から報告は受けておりません。

記者:スケジュール時間的なものについて現時点でどの様に考えていらっしゃるでしょうか。

枝野官房長官:そのことも含めて総理のところで今最終的な検討をしているというふうに認識をしております。

記者:長官、朝日新聞です。原発周辺のですね、30キロ圏内の地域には会社とかですね事業所がたくさんあって●●って営業ができないと、それについてもですね政府としての対応、営業補償とかそのあたりについてはどうお考えでしょうか。

枝野官房長官:当然のことながら、政府の指示に基づいて退避をしていただいているわけですから、それは個人であれ、それはそこでの事業者であれですね、結果的に事業者が被っている損害はそこで働いている方等の損害になるわけですから、これについてはしっかりと補償をしていくと、この姿勢は明確でございます。尚且つ、これ例えば年度末むかえたりいたしますので、特に事業関係ですとですね年度末の決算とかいろんなものあるでしょうから、ここについてはですね関係各省においてですね、事実上の仮払い的な一時繋ぎ融資含めてですね、さまざま柔軟な対応取るようにということは各省対応をいただいているところでございます。

記者:毎日新聞のカゲヤマです。昨日の会見でですね、枝野さん福島第一原発の1から4号機にとどまらずに、5号機6号機も廃炉にするのが自然だというお話しが出てきましたが、福島第二原発の1から4号機についてもお尋ねします。

枝野官房長官:昨日わたくしはそうは申し上げていないと思います。社会的客観的状況は明らかだと思っておりますので、わたくしが何らかの判断を申し上げる必要はないということを申し上げたものでございます。それ以外のことについてもわたくしは社会的、或いは広い意味での科学的な客観状況を踏まえたなかで判断は必然的についてくるものだというふうに思っております。

記者:第二原発についてもそのように思っていらっしゃるということで。

枝野官房長官:それはそれぞれを取り巻くですね、一種の科学的な面或いは社会的な面、それぞれに事情は違っていると思いますが、それぞれそうした社会的或いは科学的、客観的事情が大前提になって、判断は事実上それに必然的についてくるものだという認識を一貫して申し上げております。

記者:その福島第二についても5、6と同じような認識をお持ちでいらっしゃるということですか?確認です。

枝野官房長官:それは社会的な状況や科学的な状況というのはわたくしは今の段階では直接的に申し上げる段階ではないと思います。

記者:産経新聞のオダですけど、震災の復興財源を確保するために来年度予算の執行を一部●●として割り当てるという報道があるのですけれども、それについて事実関係はいかがしょうか。あと明日●●

枝野官房長官:予算案を成立をさせていただきまして、来年度が明日からスタートするわけであります。当然のことながら、予算編成時点では生じていなかった大震災対応ということが、必要が生じているわけでありますので、当然これについては今後補正予算等含めて対応していくわけでありますが、予算の執行に当たってもですね。そのことを一定程度考慮するというのはある意味当然だろうと思っております。その具体的な内容については財務省において検討していただいていると聞いております。

記者:それに関連して、日本経団連が復興財源についてまずマニフェストの見直しと、時限増税などを言っているのですけど、特に時限増税についてお考えどうでしょうか。

枝野官房長官:もちろんですね、これから新しい年度が始まって復旧、復興に向けた本格的な財政措置を進めていくわけでありますから、それについては様々な財源確保の手法というものについては例外なくですね、あらゆる可能性について検討しなければならないというふうに思っておりますが、現段階でどういう財源捻出が有力であるとか、ましてやこういう方向で固まっているとかいうことを申し上げる段階では無いと、いうふうに思っております。

司会:よろしいですか。

枝野官房長官:ありがとうございました。