原子力安全保安院の記者会見テキスト(2011年3月22日15時07分から23分間)

司会:それでは会見の方始めさせて頂きます。よろしくお願いいたします。

西山審議官:ではお待たせしました。前回のブリーフィングから進展したところにつきまして、あるいは変化のあったところにつきましてお話申し上げます。まず本日の使用済み燃料プールへの注水作業の予定でございます。すでにもう動いているところもありますが、まず、3号、3号機の方ですけれども、本日消防庁、東京消防庁による1時間の注水が予定されておりますけれども、先ほど私が来る前に、ここに来る前に、14時25分に正門のところを通過したという情報があった後、まだ実行されているかはっきりいたしておりません。今まさに始まらんとする頃ではないかと思いますが、そういう予定で1時間注水をして頂くことになっています。それから4号機の方の使用済み燃料プールにつきましては、本日はコンクリート打設車による注水について、行うということにしておりまして、一応15時から、もうそろそろ始まってるはずなんですけど、3時間連続注水を行うと。15時から3時間の連続注水を行う予定としております。外部電源の作業状況につきましては、

これ以外の電源から発電所に電気を取り入れるということにつきましては、あった進展は本日の10時35分、4号機の建屋内のパワーセンターへの受電が完了いたしました。10時35分の4号機の建屋内のパワーセンターへの受電が完了いたしました。そのほかの作業につきましては、私が午前中申し上げたものが今現在継続中ということでございます。ただ放水のオペレーションが始まりますと、またその間は退避して水がかからないようにするということになると思います。

それから2号機及び3号機の発煙現象につきましてですけれども、13時45分時点の状況は次の通りであります。これは事務本館近くのカメラから確認したということでございます。2号機については少し、少しだけ白い湯気が確認されたということです。3号機につきましては、煙は確認されておりません。

次に、午前中に最初の部分についてご紹介しました福島第一原子力発電所付近の海水からの放射性物質の検出でございます。東京電力から第2報ということで、第一発電所の放水口付近での2回目のサンプルによる調査結果、それから第二発電所の放水口付近、それからそこにある河口付近、これは3か所だと思いますが、3か所でのサンプルによる調査結果が発表されておりますので、皆様のところにもお配りしております。これについてはデータは朝ご紹介申し上げたものに比べると排出量は少なくなっておりまして、私どもの考え方も前回と同じでございます。つまり測定結果によりますと、一部において濃度の基準を超えておりますけど、現在この20キロ圏内におきましては、避難の措置をとって頂いているところでありますので、あるいは今のこの海の状況というのは、今利用できないような状況になっておりますから、直ちに人体の健康への問題にはならないというふうに考えております。ただこの調査結果につきましては、現在原子力安全委員会の評価を求めているところであります。原子力安全委員会というのは、原子力保安院を監督する立場にある機関でございます。それから文部科学省も海洋モニタリング調査を開始するという発表をされております。東京電力も引き続き調査を実施するということになります。

次に午前中にご質問がありました使用済み燃料のですね、挙動のことで、これまでにわかったことをご紹介しておきたいと思います。使用済み燃料が通常の冷却機能がストップして、段々と水が使用済み燃料プールの水がなくなった時にどういうふうになるかということにつきましては、過去に地震のときなどに、使用済み燃料プールも揺れたりして、少し水が出たりする、そういう経験もあったもんですから、一度そういう理論的なシミュレーションをですね、したことがございます。実際に起こしてみたことはないわけですが、理論的なシミュレーションをやったことがあります。その時の結果に基づいて申しますと、まず冷却機能がうまくいかないと、段々と水が沸騰して使用済み燃料も使用済みではあるけれども、まだ極微量の熱を出し続けていて、それが溜まり溜まると、大きな熱になってしまうわけですね。これによって水が沸騰し、減少、蒸発して減少してくると。それで、ある時点まで来ると燃料の頭が水から出てしまうという状態になります。それからしばらくの間は蒸気で頭が出ても、蒸気がふわーっと出ますから、これによって蒸気による冷却機能が行われるわけですけれども、ただ燃料がこの全体4メートルくらいある内の3分の1くらい水が下がって露出してしまいますと、急激に温度が上昇し、800度くらいになりますと、この使用済み燃料も燃料棒でありますから、ジルコニウム合金というもので、燃料のペレットという、ウランやプルトニウムの入っている燃料の周りにジルコニウム合金があるわけですけれども、その合金が破損されて、今度水と、まだ残っている水とそのジルコニウムの破損されたものとの間で反応が起こり、水素が発生すると、こういったことが起こります。それでジルコニウム合金自体は段々と強度が弱くなってくるという現象になります。今回福島で、福島第一発電所で経験したのも、おそらくはそういうところまでいった上で今度は水をかける行動にこちらが出ましたので、現在はほぼ水を被っているか、これまだ未確認ですけれども、それ以上に事態が進んだようには見えないという段階に今あるわけですね。これから先もし仮にと言いますか、今回のようなオペレーションを何もせずに放置したという場合にどうなるかと言いますと、被覆管、ジルコニウム合金の管が段々と壊れ方がひどくなって、それで燃料の温度も上がっていって、それによって場合によってはそのまま本当に水がカラカラになったような事態になりますと、その使用済み燃料を入れてあるプール自体が、その水槽自体がですね、カラカラになってしまって今度燃料、あるいはジルコニウム合金とが、プール自体に破損を及ぼしてしまうということになっていってしまうわけですが、究極的にはそういうふうになりますけど、なってしまう、何も手当をしなければですね、そうなってしまいますが、今回の場合には、是非わかって頂きたいのはそういうことを防ぐために若干その使用済み燃料よりも、使用済み燃料が水よりも頭を出していた時期があります。それによって燃料が破損してた可能性はありますけれども、その時点で注水のオペレーションを今やってるわけでして、それによって今は事態は今のような進展を見せずに、今申し上げた悪い方の進展は見せずに落ち着いた状況にあるというふうに考えております。どのくらいの時間かけて動くのかというご質問もありましたけれども、これはどうもその、もし仮にそういう冷やすことが、途中の努力をせずに放置したといたしますと、時間としてはあてにならないというか、急速な進展によって何日間は大丈夫というようなことは言えない状況になるということですね。ですからあまり何日間猶予があるとか、そういうことは言えない状況なので、一刻も早くそういう事態にならないように、手当をする必要があるということで、まさにそういうことを防ぐために今の自衛隊や警察それから消防のご尽力で今のような大量の水をかけて、そういうことが絶対に起こらないような体制に今持ち込んでるということでございます、もう一つ用意している資料があるんですけど、以上で私の今の説明をとりあえず終えさせて頂いて、もう一つ追加で説明をする可能性はありますけれども、とりあえず質問を受けたいと思います。

司会:それではすみません、冒頭ご案内させて頂きましたが、30分までということで残り15分程度、質疑応答とさせて頂こうと思います。それでは質疑応答の方挙手を。

保安院:その前に資料を1枚配らせていただきます。現地の対策本部の活動状況をまとめた資料であります。

西山審議官:それ回しながら今の私が申し上げたことについての質問を受け付けますので。

司会:真ん中の列一番後ろの男性の方。

記者:朝日新聞のコボリと申します。今西山審議官がおっしゃった理論的シミュレーションなんですけれども、これはいつ誰がやったのか。その理論的シミュレーションっていうのは、今やっていましたけれど、今回その4号機のプールで燃料が少し出て、水素が出て爆発したんじゃないかって言われてますけれども、それは予想することはこのシミュレーションをもとに出来なかったんでしょうか。

西山審議官:まずこれ時期はいつかな。時期などについてはちょっと確認いたしますけれども。(担当者が耳打ち)今の私がご説明したもとになった理論的な解析は平成21年3月に原子力安全基盤機構という独立行政法人原子力安全基盤機構ですね、ジェイネス、JNESと書きますけれども、略しますけれども、そこがやったものであります。それから当然使用済み燃料プールについて何も手当しなければ、一定のこういうその事態が起こるということは予測されるわけですけれども、それについての予測されるということと、今回のような事態が防げたということはまた別のことだというふうに考えてまして、今回はそういう予測の中で最大限我々としては努力したということだと考えてますけど。

記者:すみません、あとその一点だけなんですが、今のシミュレーションというのが、例えばどこの想定意識だったのか。あと燃料プールが容積がどのくらいで、どのくらい使用済み燃料が置いてあるとそういうふうになると思われるそのシミュレーションした時の条件がわかれば教えて頂きたいんですけれども。

西山審議官:これはですね、比較的大きな発電所で炉心の数が872本、872体ある発電所でもってその全炉心の燃料の390%分、12年分が保管されているということを前提に試算いたしました。ですからその炉心の過程には、1年前から3年前に取り出した炉心のグループ、それから、炉心燃料のグループ、それから4年から6年前に取り出したもの、あるいは7年から9年前に取り出したものとか、そういういつ取り出したかのグループも想定したうえで、なるべく現実に近い過程をおいて計算をしております。

記者:すみません、最後一点だけなんですが、じゃあ今回の4号機っていうのは、去年からのシュラウド交換のために炉心にある燃料すべて使用済み燃料というか、使っている途中の燃料もすべてプールに移していましたけれども、そういう意味で発電量が大きかったのでシミュレーション以上にどんどん事態が進行したというふうに考えられるんでしょうか。

西山審議官:そこはちょっと私もその比較はわかりません。

司会:次ご質問の方。では一番前列女性の方。

記者:日本テレビのヒロセです。今2号機で起きていることについて、確認をしたいのですけれども、白い蒸気が少し確認できていると。で、2号機は1号機、3号機とは違ってまだ水素爆発はしていないわけですけれども、これはその炉心内で燃料棒が半分以上は出ているだろうということも予想されるわけですから、その建屋の中に水素が非常に溜まっていてというそれからの水蒸気ということなのか、それとも今審議官がご説明になりましたけれども、燃料プールの水が蒸発をしていて、それがかなりの深度と言いますか、ということでの水蒸気という方が考えられるのか、その点についてはどうなんでしょうか。

西山審議官:今の中では後者の方のですね。炉心の方は今、前者の炉心の方は海水によって、海水を注入して冷やしているわけですから、原因はまだはっきりいたしませんけれども、あるとすれば、可能性の高いのはやっぱり使用済み燃料プールの方からのそこの温度が高くなったことによる蒸気でないかと考えています。したがって、数日前にそこに対して水の注入をしたわけです。

記者:そうしますと、シミュレーションした時と比べまして、水の上昇と蒸発の状況、これが先ほど何日間大丈夫ということは言えないという前提がありましたけれども、現状どのように今の分析をされているのかもう少し詳しく教えてください。

西山審議官:ちょっと私も詳細な計算を存じませんけれども、そこに入っている燃料の量からして、それとそのプールに、元々は地震の時までは水がしっかり張ってあったわけですから、その関連からして大体どのくらい時間が経つと、なんて言いますか、水が蒸発していく、危険な状況になっていくかということをある程度考え、しかしそれも確定、あんまり正確な試算はいずれにせよできませんから、ある程度時間が経ち、白い湯気が、蒸気が出てくるところになれば安全のために水を入れていくということでございます。

記者:水を入れているにも関わらず、蒸気が出ている理由ということを確認したいんですが。

西山審議官:それはやっぱり温度が高くなればいくら水を入れても、やかんに水を入れてまた沸騰すれば湯気が出てくるのと同じ原理であります。

記者:そうしますと、今度は100度以上だと思いますが、どのくらいの温度ということが今燃料プールの温度というのは想定できるものなんでしょうか。

西山審議官:基本的には100度だと思います。お湯が沸きたっている状況。

司会:次ご質問の方。一番前列男性の方。

記者:NHKのシゲタです。それに付随してお伺いしたいんですけれども。2号機の水っていう、プールへの水っていうのは20日の40トンのみになるんでしょうか。

西山審議官:私の認識ではそうです。

記者:その後1日くらい経って白煙が発生したということですよね。

西山審議官:そうですね。

記者:で、今後入れていく予定もないですか。

西山審議官:ですから、2号機に一番急いで電源を取り入れてそれによる冷却を考えたいとしているところです。

記者:これは、繰り返しになって申し訳ないんですけど、20日に40トン入れてから1日後に白煙が出るというのはどういうことが考えられるんですかね。

西山審議官:やはり温度が高くなったということではないかと思います。

記者:で、今減少しているというのはどういうことが考えられるんですかね。

西山審議官:減少って。

記者:白煙が減少しているということ。

西山審議官:それはちょっとそこは全部を整合的に説明できないです。

記者:水がなくなっているとかそういうことは考えられないんですか。

西山審議官:それは考えにくいと思います。考えにくいと思うというのは、もし水がなくなっていると、今度はモニタリングの方に影響してくるはずなので、それから水について、元々その20日に入れた水もそこはある程度の量を考えていれてますので、そういう点ではまだこれからも水を入れるタイミングを図りながら電源の方をなるべく早く回復して、その冷却系統を何とか作り上げるということをやっていくということです。

記者:最後に一つなんですけれども、確認なんですが、1号機のプールの方はどうなったんでしたっけ。

西山審議官:1号機のプールはですね、まだ特に手当はしていないんですが、1号機のプールは非常に発熱量の低いことがわかっているので、余裕があるとは言いませんけれども、他のものよりは優先度は低いということです。ただそれはいつまでも放置では出来ないので、そこを回復しなきゃいけないな。それで一つ今最後にお配りしたものはですね、現地対策本部に行っております松下経済産業副大臣からの報告ということでありまして、現地対策本部の本部長を今松下副大臣が務めておりますけれども、現地でのそれぞれの班がどういった活動をしているかということについての報告でございます。災害の情報収集とか連絡、それから、それでここに原子力安全保安検査官ですね、私どもの検査官につきましても、前2号、失礼、第二発電所の方にいる者が第一も見ると申しておりましたけれども、現在の状況を踏まえて第一発電所の方に今日から原子力安全保安検査官が2名駐在することにしております。もう現地に到着しております。それから二番目は屋内退避されている方などに対する、をご支援申し上げる活動でございます。それから三番目は県とも協力したモニタリング活動でございます。この対策本部は経済産業省、あるいは原子力安全保安院だけではございませんで、色んな機関の方がお集まりのところです。四番目は放射性物質を浴びた方に対するスクリーニングについて、一定の基準を作ってやっておるということでございます。最後は情報伝達ということが報告がございますので、皆様ともシェアさせて頂きたいと思います。それじゃああと少し質問を受けたいと思います。

司会:次最後と…

15:28:00

28秒間記録なし

15:28:28

記者:…考え方をまとめて水蒸気は一体何なのかということをちょっともう一度ご説明、後でも結構なんで、された方がいいんじゃないのかなと思いまして。

西山審議官:そこははっきりしませんけれども、完全にはっきりはしないんですが、まず一つはデータの面での制約があるかもしれないということがまず一つありますね。温度の数値が正しいのかということが一つありますし、それからお50度でどの程度の白煙が上がるのかわかりませんけれども、必ずしも100度ちょうどでなくてもそういう周りの気候とかとの関係で白煙が上がるということはあり得ると思います。というくらいです今わかることは。何かまた別のことがわかれば報告します。

記者:じゃあ必ずしも沸騰しているわけではないということですね。先ほど沸騰している可能性があるというふうに言ったんですけれども、その可能性というのはあんまり大きく考えない方がいいわけですね。もちろんそういう可能性はあるにしても。

西山審議官:そうですね。まだはっきりは見えないわけですので。

司会:申し訳ございません。予定の時間となりましたので、今回の会見の方はこれで終了とさせて頂きたいと思います。それではどうもありがとうございました。

西山審議官:ありがとうございました。