原子力安全・保安院の記者会見テキスト(2011年3月23日14時48分から26分間)

西山審議官:ではお待たせしました。よろしくお願いします。それでは手短にその後の状況の報告をさせて頂きたいと思います。

まず、放水の関係ですけれども、3号機、福島第一原子力発電所3号機につきましては、横浜市消防局が東京消防庁の支援を受けて放水をしてくださることになっております。今の予定では、本日の3月23日16時30分から大体2時間程度を予定しておるというふうに聞いております。4号機につきましては、3月23日本日10時頃からコンクリートポンプ車による放水を開始いたしまして、13時02分に終了したと聞いております。連続放水で約150トンを注入したということでございます。今後、今まで東京消防庁のことについて言及することが多ございましたけれども、今回、今日やって頂けるのは横浜市消防局でありまして、その後川崎市の消防局などについても応援頂けるということでございまして、他の市の方々もご予定をしてくださっているということであります。それについてはまた時期が近くなりましたらご紹介したいと思います。

次に、今日行ったこととして、3号機の使用済み燃料プールに対しまして、この放水、外から注入するのとは別に使用済み燃料プールの冷却系から海水を注入するというのをいたしました。11時03分から13時20分まで、11時03分から13時20分までで、35トンの海水を注入してあります。この種のことは外側から多くの水を入れると同時に、中からもポンプに、まだ海水をポンプによって注入をすることによって複数のルートで使用済み燃料の冷却を確実にするというものでございます。それで朝申し上げたかもしれませんけれども、本日3号機、それから明日4号機、1号機について25日の目標に順次作業を進めていく予定であります。

それから午前中の会見の最後にちょっと混乱をさせて申し訳なかったですけれども、2号機の関係です。線量の高かった件ですけれども、これについて経緯をまずご紹介しますと、3月の18日の日に2号機のタービン建屋の復水移送ポンプという圧力抑制室の水を抜いたり入れたりする、抜いて点検したり、点検終わったら入れたりとそういうことをする復水移送ポンプというのがありますが、その復水移送ポンプのモーターの交換の作業のため、現場に行かれていたということで、この、(図を指しながら)ここにある補給水系、ここにあるポンプ、見えないかな、こちらの方でいくと、ここにある補給水系のポンプからこの元々タービンから戻ってくるルートに何とか繋いでそれでこの原子炉に入れていこうということですけど、こういう作業をやろうとしていたところ、東京電力の社員の方と関連会社の社員の方がそれぞれ、お一人は東電の社員が50ミリシーベルト、協力企業の社員の方が60ミリシーベルトを約5分程度の滞在で浴びたということでありまして、これからして500ミリシーベルト程度、時間にすると500ミリシーベルト程度の線量があるというふうに推測し、その後のこの部分についての作業を中断しているということでございます。現在に至るもこの線量ですと、なかなか計りに行くことも難しいということで、この部分については作業はしていないということであります。ただ、少し私の方から申し上げたのと違がって感じるかもしれませんが、電源復旧の全体作業が中断しているわけではなくて、この復水移送ポンプの関連するところが、その線量が高いために中断しておりますけれども、それ以外の作業の部分は、電源につきましても行っているということであります。

それから昨日申し上げました使用済み燃料プールに水を新たに、海水を新たに注入するということについても行ったということがありますので、2号機に関してその部分以外のところは他のところもチェックしながら作業を続けているということでございます。あとは1号機の原子炉圧力と温度の関係でございます。今朝ほどご紹介、報告いたしましたように、1号機につきましては、原子炉の温度が高いということがありまして、そのためにこれまでの海水を入れている、消防車によってポンプで入れているルートからもう1系統海水を注入するルートを作って炉心の冷却を進めているということを報告しました。それで、その後若干やっぱり圧力が高まったりしておりますけれども、私どもの見方は、これはどうしてもそういう過程を経ながら温度と圧力を調整して段々と冷却の過程にいかなくてはいけないので。これまでは水の量が不十分だったという感じがあるものですから、もう1ライン加えて水の量を足し、そして圧力は1回は高まるけれども、段々と抑えていくという方向で今考えております。それで現時点で一番最新の温度だけ申しますと、本日の10時現在で、給水ノズルの温度は371度、圧力容器の下部の温度が376度ということで、400度程度あったものからすると、ある程度低くなってきているという現状が見られます。あとは圧力についてもこれからしっかり監視していかなければいけないと思っております。

最後にお配りしてありますが、避難あるいは屋内退避区域外にお住いの皆様へのQ&Aということで、原子力安全委員会から頂いたこの避難されたり屋内退避区域の外にお住いの皆様へのよくあるご質問に対するお答えを用意して、これを周知することにしております。周知しております。私からは以上です。

司会:それでは前から2番目の女性の方。所属とお名前をお願いします。

記者:フジテレビのタカミです。さっきのその500ミリの話なんですが、これ約5分程度となりますと、5分で計算すると500ミリではなく、もっと600か700くらいになるかと思いますが、この辺は、あとこれ時間は何時頃で計測されたんでしょうか。

西山審議官:時間ははっきりとわかりません。計算については今のような短い時間でということなので、そこからの、なんて言いますか、推計値になりますから、そういう意味では幅のある数値と考えて頂いたらいいと思います。

記者:すみません、1号機の圧力。

西山審議官:すみません、時間のあるデータがありましたので、8月、違う、3月18日の10時30分頃ということでした。

記者:午前ですね。

西山審議官:午前ですね。

記者:あとすみません、1号機の圧力が上がっているという話なんですが、今圧力はどれくらいなんでしょうか。

西山審議官:今はですね、今ある絶対圧というので、大気圧も含めて考えてる絶対圧ということでいくと、お配りしてあるものの2ページにありま すけれども、0.457とか0.420とかそういう数字になっております。これは元々は0.3くらいの都きもあったということかな、と思いますから、それが0.3くらいの時もあったのが0.45とかそれくらいになっているということです。

記者:それがその元々の基準ってどれくらいなんですか。設計基準と言いますか。

西山審議官:それは確認します。ちょっと。

(青木審査官と相談)

青木審査官:元々原子炉の運転圧力には耐えられるようになっていますので。

西山審議官:元々の何か基準になる圧力はないのかということ。これは現状でしょ。

青木審査官:これは現状です。

西山審議官:だから基準になる何か物差しはないのかということ。

青木審査官:今だいぶ下がっていましたけど、揺らぎがあるので、何を基準と言われてもあれですけど、ちょっと上がり傾向ということなんで、それも今さちっていますので。これの前の状態から見れば多少上がっています。

(相談終了)

西山審議官:これまでの傾向値からすると、それからは上がっているということですね。特に何かこの値という、設計値と比べてもたぶんあまり意味はないので、これまでずっと現状このプラントが運転していた時はこの位の値で、それから少し上がっているとそういうふうに見たらいいんじゃないかと思います。

記者:あと、この3号機の温度が304℃となっているのですが、これは1号機と同じ設計の基準値って302度ということであれば、これも何か手立てを考えなければいけないのでしょうか。

西山審議官:3号機につきましては…

(青木審査官と相談)

西山審議官:復水移送ポンプだよね。

青木審査官:はい。304。

西山審議官:これをやるということね。

青木審査官:だから給水をして、崩壊熱で熱があるわけですけど、注水をして冷やしていますから、それでどこかでバランスを。

西山審議官:この新しい手を打つわけでしょ。

青木審査官:はい。

(相談終了)

西山審議官:3号機につきましては、復水移送ポンプ、2号機では線量ちょっと高くなっていますけれども、今朝報告申し上げたようにこの復水移送ポンプの復帰に向けた準備をしておりまして、明日にはこのポンプを復帰させて淡水の注入に切り替えていって、今のその温度のことについても対応したいと思っております。

記者:同じ302度というのは、同じという意味でいいんですよね。設計値が同じ1号と。

西山審議官:大体同じだと思いますけど、確認します。

司会:1番目の女性の方。

記者:時事通信のタニガワと言いますが、まず3号機のプール、冷却系から海水というのはこれは消防ポンプでいいんですよね。ということと、あと復水移送ポンプをですね、明日復帰させる見通しということですけど、これは炉心もプールも冷却するということでしょうか。

西山審議官:まず後者の方から先お答えいたしますと、いずれもターゲットは炉心で、この3号機の今申し上げていることは。それで炉心に注入するのに、これまで外の海水を注入する消火系という火が出たときに消すラインを使ってポンプ車で水を送り込んでおりました。その1系統だけで冷やしてきたわけですけれども、今度今プラントの中が段々明らかになる状況になってきたので、今度は復水移送ポンプという圧力抑制室の水の出し入れをする、本来の機能はそこにあったわけですけど、その機能を使って、その機能をもったポンプを別の用途、炉心にやっぱり入れていくという、原子炉の中に入れていくという用途に使えないかということで検討しておりまして、そちらで、しかも淡水を入れて、今まで海水を入れているものを淡水を入れて、淡水の方が正常な姿なので、そこに切り替えていくことをしようというのが後者のご質問に対する答えです。それからもう一つ、前者の方何でしたっけ。3号機の。

記者:今11時からやったのは消防ポンプでいいんですよね。

西山審議官:そうですね。

記者:プールを電気で冷却するという見通しというのは、これも明日ですか。それともこれはまだまだ時間が。

西山審議官:プールについては、そうですね、まだ電気での本来の冷却の姿に戻すにはもう少し時間がかかるんじゃないかと思いますが、いずれにしても急いでいることは間違いないんです。

司会:そちらの女性の方。

記者:毎日新聞のアダチです。2号機の先ほどの線量が高い件なんですけれども、東電の社員の方1人と協力、関係会社の方1人の計2人、それぞれ一人ずつでいいのかということと、あとそれから、これはタービン建屋でこれだけ高い線量が計測されるのはどういう原因が考えられるのかということと、あと先ほど直後に東電さんの方はこれを否定していましたけれども、もう一度確認の上、こういうことがあったということでよろしいんでしょうか。

西山審議官:まず最初のご質問は、お一人お一人ですね。東電の社員の方は1人、それから協力企業の方はお一人です。それから二つ目のあれは何でしたっけ。

記者:線量が高い理由。

西山審議官:高い理由か。高い理由はですね、これはわからないんですね。さっき午前中にも申し上げたように、タービンの方までこの沸騰水型の原子炉というのは放射性物質が多少入った水が回っていくわけですけれども、その中でしかしそれほど高い値がどうして出たのかということははっきりわかりません。それから東京電力が必ずしも否定したかどうかは私は、否定してたというふうには自分は認識してないんですけれども、ちょっとあの時は私どもの方がむしろ今日のことかというふうに私が勘違いしてお話申し上げたけれども、今申し上げたように3月18のことであったということがわかったので、特にそこの点は齟齬はないと思いますけれども。

司会:一番奥の白い。

記者:中日新聞のホソイと申します。放射性物質の拡散をシミュレーションするSPEEDIの話でちょっとお伺いしたいんですけれども、そのデータについて文科相は公開することについては出来ないというようなことを言っているようなんですけれども、経産省としてはですね、そのデータの開示についてはどう考えられていますでしょうか。

西山審議官:これは当局としての文科相がご判断になることなので、私が申し上げるのは一般論みたいなことになると思いますけれども、SPEEDIはそれなりに意味のあるソフトウェアというか、そういうシステムだと思いますけれど、その結果を発表することによって国民の皆様に正しい認識を持って頂けるような結果であればいいんですけれど、何か誤解を与えるようなことだとか、あまり信頼に足らないようなことであれば、混乱をきたすだけですので、その辺をよく見極めた上でいずれにしても文部科学省が判断されるんじゃないかと思います。

記者:あれは共同開発のもので、経産省も、それとも開発に携わっていてですね、経産省のものではないんですか。

西山審議官:経産省もある程度関与していることは間違いないんですが、ちょっとそこの、なんて言うか、所管関係はもう一度確認しますが。

司会:次最後とさせて頂きたいと思います。前から3列目の男性の方お願いします。

記者:AERA編集部のオオシカと言います。そもそも論で恐縮なんですが、平成18年に耐震設計審査指針の見直しがなされていると思うんですけれども、その時に津波の影響はどのように考えられておられたのかというのが一点と、5メートル程度としか想定していなかったという話を聞くんですけれども、なぜ日本の原発、海岸線に立地するケースが多いのにも関わらずですね、揺れの強度については非常に見直しが進んで、津波の高さについてのですね、想定が結果的に疎かになってしまったのか、その点を一点お伺いしたいのと。まずその一点をお願いします。

西山審議官:耐震設計指針は何回かそう頻繁ではありませんけれども、最新の知見に基づいて見直されてきております。ごく最近も見直されて今それに基づいて新しい発電所、新しく作られる発電所はそれに従って作られるし、古い発電所と言いますか、以前に作られた発電所もバックチェックといって、その新しい指針で大丈夫かどうかということを確認しているわけですね。まだバックチェックの途中であったわけです。そういう前提の上に立って、特に津波の部分についてはその指針自体に何か詳しく何メートルとかっていうふうに書かれているわけでは確かなかったように思ったんですが、色々歴史上の経験などを踏まえて、起こり得る津波を、最大の津波を想定して、それに対して対策を練る、とっておくというような確か趣旨だったんじゃないかと思います。ちょっと私も今全部定かに記憶しているわけじゃないんですけれども。そういう中でどこのプラントもどこの発電所もそういう範囲では歴史上の色々な文書を紐解いたりして過去このくらいの高さまで最大きたことがあるというのは全部調べた上で、今の発電所を作っているんですね。ただ今回はそれをはるかに超える高さの津波が来てしまったんで、こういう結果になってしまったという非常に残念なことだったわけです。そういう中で、ですからこれまでの判断はそれはそれで経験値、経験上このくらいだということの最大をとっていたわけですから、それを一つの判断であったと思いますけれども、しかし結果的にこういうことになったわけですので、今後のことについてはまたよく考えなければいけないと思っています。

記者:指針になくて、どこに津波のことが決まっているんでしょうか。指針には盛り込まれてなくて、それ以外の何か施行規則か何かそういうものに盛り込まれてたんですか。

西山審議官:規則とか、確か土木学会の調査報告書とかなんかその種のものの中にあったと思うんです。その時点、その時点で、最新の知見が出るたびにそれを基準にしてやってきたということだと思います。

記者:それともう一点。官邸、菅総理はですね、早い段階で海水注入しかないんじゃないかという判断をされていたらしいんですが、東電が経産省経由でですね、官邸に海水注入じゃなくて出来るというような報告をですね、たぶん12日くらいの段階に入れていたという話を耳にしたんですが、当初東電は自分たちで出来るという意識が強かったんでしょうか。そういう情報が経産省経由で官邸に入っているようなことを耳にするものですから。

西山審議官:私はそこの経緯については詳細を存じ上げません。ただ当初から我々の姿勢としてその時考えられた我々の務めとしては、ベストな方法を総理にもお話申し上げると、判断の材料としてですね、お話申し上げるという姿勢でずっとやってきていますので、それ以上のことはないです。

記者:すみません、今さっきの関連して、事実関係として確認したいんですけど、今先ほど津波の件でですね、過去このくらいの高さまできたことがある調べて発電所を作っているということだったんですが、これ最初の立地の時にそうやって作った発電所ってあるんですか。あるのはあるんでしょうけど、福島はそうだったんでしょうか。

西山審議官:福島については津波についての最後のバックチェックですね、一番最新の耐震基準に基づくバックチェックはまだ終わってなかったんじゃないかと思うんです。

記者:いや、最初の時点でですね、津波がこのくらい来るからこのくらいの高さの津波が想定されるからこのくらいの高さの敷地であれば大丈夫という評価をした、してるんでしょうか。その立地の時点で。

西山審議官:立地の時点かどうかはわかりませんけれども、立地の時点と言っても確かに立地より耐震指針ができた方が新しいですよね。ですから、ただその時に古いプラントは何もしないというんじゃなくて、その指針が出来るごとにそれよりも以前にあったプラントも大丈夫なのかという検査は必ずやっております。

記者:評価しているんであって、別に嵩上げしたわけではないんですね。

西山審議官:ちょっとそこはわかりません。それによって何か対応したかもしれないし、そこは今知見を持ち合わせておりません。

記者:最初の立地の時に、繰り返しますけれども、立地の時に何メートル評価して作ったものなのかどうかというのを明確にそろそろして頂きたいなと思うんですが、これは回答頂けますか。

西山審議官:それは事実関係ですので、調べてみたいと思います。

司会:それでは以上をもちまして記者会見を終了させて頂きたいと思います。

記者:すみません、確認だけ。500ミリ相当というのは今まで現場付近で一番高い値という理解でいいんでしょうか。

西山審議官:そこもちょっと確認いたします。

記者:あと中断しているのはタービン建屋での作業。タービン建屋の中の一切すべての作業は中断していて、他のところではやっている。

西山審議官:私が聞いているのは、タービン建屋の中の復水移送ポンプのモーターというか、復水移送ポンプのところの作業というふうに今聞いておりますので、タービン建屋の中でも他の作業も行われているかもしれませんが、ちょっとそこの、厳密にはわかりません。では以上で終わります。どうもありがとうございました。