原子力安全・保安院の記者会見テキスト(2011年3月24日21時46分から24分間)

西山審議官:ではお待たせしました。よろしくお願いします。まず今日これまでの変化について報告を申し上げます。

1号機につきましてが、福島第一原子力発電所1号機につきましては、炉内の温度と圧力に注意が必要だということを申し上げて参りました。前回お話申し上げたときから今回までの間は原子炉の温度で申しますと、圧力容器のですね、温度で、この給水ノズルの方の温度は少し上がっております。前回が172度だったものが217.9度に上がっております。圧力、他方圧力容器の下部温度の方は、前回が179度だったものが172度になっているということで、少し下がっているということであります。まだここについてはよく注意していかなければいけないと考えております。

2号機については特に今コメントはございません。

3号機ですけれども、3号機につきましては、一つはまず使用済み燃料の冷却系というものを使いまして、本日の5時35分から使用済み燃料プールに対して海水を注入しておりました。これにつきましては、16時5分に120トン入ったところで一度中止にしております。これは被曝のことがあったりした結果でございまして、また明日以降様子を見ながらこの方法でいくのか、あるいは消防にお願いして外からの注水にするのかそこは考えながら対応していくということになります。それから3号機の原子炉の関係では、3号機への、3号機の原子炉への淡水の注水のための復水移送ポンプの復帰に向けたケーブルの作業を行っておられた作業員の方が被曝されたということを申し上げました。それで現在のこの方々は、特にお二人の足に放射性物質による汚染があった方につきましては、県立の病院に運ばれているところでございます。それで私どもの聞いているところでは、今晩のうちに、今福島県立付属医科大学病院に搬送されておりまして、今夜中に千葉県にある放射線医学総合研究所に移動されるというふうに伺っております。4日間程度様子を見るということだと聞いております。

次に4号機につきましては、本日14時35分ごろにコンクリートポンプ車による注水が、使用済み燃料プールに対する注水が始まりまして、本日の17時30分頃、これが終了しております。

次に5号機に関しましては、昨日3月23日の17時24分に自動停止いたしました5号機の仮設の残留熱除去系、残留熱除去系の海水ポンプがあったわけですが、これを交換いたしまして3月24日本日の16時35分頃、3月24日16時35分頃、再び原子炉の冷却を開始いたしました。今回は外部の電源による冷却ということです。6号機についての同様の仮設の海水ポンプについて、電源を外部の電源に切り替える作業は25日、明日実施する予定でございます。そのほかに使用済み燃料の共用プール、それぞれの号機に設置されている付属されている使用済み燃料プールの中で相当程度冷やされたものを集めた共用のプールというものがあることは前からご紹介してましたけど、ここの共用プールの冷却ポンプを起動いたしまして、この冷却を3月24日本日の18時05分に開始しております。これによって、空気中に熱を逃がすことによって安全な冷却を続けていくということでございます。

それから今回被曝された作業員の方が出たりして、タービン建屋を中心に線量は高くなる傾向が見受けられます。特に水のある部分についてそういうことが見受けられることがあります。そういう意味でこれから先の作業をするにあたりましては、この水に注意しながら、場合によっては水をどかしてから作業するとか、放射線を浴びないようにうまく防げる手があれば、それをするとかして注意しながら明日以降の作業に取り組むということになります。

それから前回いくつか真水のこと、真水と海水の関係についてご質問があったのでいまわかっている範囲をご説明したいと思います。まず一つは温度で、真水の温度と海水の温度とで何か意味がある違いがあるかというか、それを活用しようとしているのかということについては、これは特にそういう意図はないということあります。実際にも海水温と現在の戸外の温度、それが水の温度に反映すると思いますけれども、それほどの違いはないということで、温度による差というわけではございません。むしろ前から申し上げましたように、真水を使用するメリットはやはり塩分とか不純物が少ないということでありまして、短期的には冷却するに十分な水の確保という意味で海水を活用しておりますけれども、やはり出来れば真水に変えていくことによって、塩分とかあるいはその不純物によって、系統が根詰まりを起こしたり、あるいは錆びやすくなったりということを防ぎたいということがございます。そういう意味で非常手段としては量的に確保できる海水を使うことをやむを得なかったわけですけれども、もし変えられる部分があればなるべく真水に変えていく方がいいという判断でございます。それからこれすでに情報を持っておられるかもしれませんけれども、作業員の方々は、今回負傷された作業員の方々はタイベックスーツというタイベックスーツというポリエチレン繊維から作られた不織布で作られたつなぎ的なものを着ておられたし、全面マスクといって、こうガスを防げるような感じの全面に顔のところに当てて、かつ息をするところが両方にあるようなああいう完全なマスクをしておられたということです。ただその足元においては靴の上の方から水が入ってくるぶしまで浸かっていたということでございます。今回私の方からは以上の報告にさせて頂いて後はご質問にお答えしたいと思います。

司会:それでは質疑応答とさせて頂きたいと思います。では一番前女性の方。

記者:毎日新聞のアダチです。作業員の方の被曝に関連でお尋ねしたいんですが、水がかなり高濃度の溜まっていた水ということですが、これは、この水はどこから来た水というふうに考えられるんでしょうか。放水とか注水とかしているようなものが出てきたのか、あるいは別のところから出てきたのかということを教えてください。それからあと、前日はあんまり水がそんなに溜まっていなくて今日は30センチくらい溜まっていたようですけれども、長靴をお一人の方は履いていて、あとは短い靴だったようですけれども、その辺作業のやり方について、事業者の方のやり方について妥当だったかどうかということと、それからこれの作業の被曝によって3号機とかあるいは他の作業がどれくらい影響が出るかというその見通しを教えてください。

西山審議官:まずこの水がどこから来たかについてはまだ解明されていませんけれども、可能性としては一つは津波自身によって水没しているところがありますから、津波によるものという可能性があるでしょうし、もう一つはたくさんの注水をして頂いておりますので、そこに淵源をもつ水ということも考えられると思います。そのほかにもあるのかもしれませんけれども、可能性のあるものとしてはその二つが一番大きいのではないかと思います。まだしかしどちらかという、どちらかか、あるいは他に原因があるのかという特定はされておりません。それから作業のやり方については確かにそういう負傷をされたということは十分ではなかったという結果的にはそういうことになるかと思います。今回のことで特に水に注意する必要があるということがはっきりいたしましたので、これから先の作業については水についてはよく注意をし、水をどかすなり処理したうえでいくとか、あるいは水に触れないように考えるとかですね、そこをしっかりやってもらいたいと思っております。それからこの被曝によって当然そこの部分については、今回の場合だと淡水を送り込むためのポンプのところの作業でしたから、その部分について多少の遅れが出ていることは否めないわけですけれども、今の我々の東京電力と話しているところでは、当然のことながら今非常に肝心な段階に差し掛かっておりますから、遅れは最小限に留めるように、しかし働いている方の身の安全を守りながら、ぎりぎりのところを狙っていくということになると思います。

司会:では次ご質問の方。一番前列男性の方どうぞ。

記者:共同通信のヤマモトですけれども、被爆した3人の作業員の今、その後の容態の変化があるかということと、今夜中に放医研に移動するということですけれども、放医研に行く人はこの内の2人ということになるんでしょうか。

西山審議官:まず容態の変化については今のところ特に情報はございません。それからお二人の方です。

記者:確認ですけれども、今回170とか180とかかなり線量浴びてますけども、この人たち4日間、4日程度様子をみてですね、その後作業に復帰するということはないと考えてよろしいんでしょうか。

西山審議官:いずれにしても、健康はもちろん尊重しなきゃいけないし、線量についてのルールは250あるわけですので、それはきちんと守った形で行われることになります。

司会:それでは次、ご質問の方。真ん中前から3列目の男性の方。

記者:読売新聞社のタカダです。配って頂いた図面でちょっと説明を頂きたいんですけれど、この当該の部分にあるケーブル接続場所というところのまずこのアルファベットですね、TBMCC3D-2というのは一体何かというのと、ケーブルが階段へいって、これ上へ上がっていくんでしょうか。3人がどういうふうにいたかというのも、もしわかるなら教えてほしいんですが。

西山審議官:これは、ちょっと説明してもらって。

保安院:今お配りしております図面でございますけれども、こちら3号機のタービン建屋の地下1階面の図面でございまして、すみません、ちょっと白黒で見づらくて申し訳ございませんけれども、上が海になっておりまして、この下のところが原子炉建屋、それからこのタービン建屋の図面のところの右側のところの上の方にですね、小さい丸が横に並んでいると思いますけれども、そのちょっと下のところに階段がございまして、そこから上の1階面のところにケーブルを持って来まして、そこからの階段を通して下の方へ持ってくると。下のところの方にで手書きで囲ってございますけれども、そちらにケーブルを接続する作業をしていたということでございまして、こちらのケーブル接続場所というところにケーブルを接続したというものでございます。接続作業にある程度時間はかかると思いますが、どの辺りでその水が入ったかというところはまだちょっと明らかにはなっておりませんけれども、この接続作業に、ところにおそらく3名の方がいらしたんではないかと思っております。

記者:ケーブルを何に接続しているんですか、これは。

担当者:こちらの下のケーブル接続場所というところの下の方にT/BのタービンビルディングのMCCとありますが、これがモーターコントロールセンター、3Dの2とありますけれども、これが分電盤になっておりまして、そこの盤のところに接続するという作業でございます。そのちょっと左上の方にですね、復水、純水移送ポンプと復水移送ポンプBというのがございますけれども、これがこの電源がモーターのところに来ているという関係になっております。

(図面を映す)

司会:では次ご質問の方。真ん中一番後ろの男性の方どうぞ。

記者:朝日新聞のコボリです。先ほども水がどこから来ているか質問がありましたが、その関連でタービン建屋なので、線量の高い水っていうことで、何らかそのBWRなんてタービンの配管とかを通ってですね、何か放射性物質がタービン建屋の方に来ているということは考えられるんでしょうか。

西山審議官:そういう可能性もあると思います。

記者:それとこの配って頂いた福島第一発電所のこっちの図なんですけれども、これについて、交流可搬式発電機の燃料補給というのがあるんですが、この発電機というのは何に使う発電機なんでしょうか。

西山審議官:これは昨日まで電気がない間に発電する、発電というか電気をもたらすための発電機です。ディーゼル発電機です。

記者:計器に繋いで計器を動かしたり、そういうもの。

西山審議官:そうです。

司会:では次ご質問の方。壁際後ろの男性の方どうぞ。

記者:ダウジョーンズのオオベです。二つ確認だけなんですが、3号機で今日にも復水移送ポンプを使って炉心に淡水を注入ということだったんですが、そうすると今度目途はいつ頃になるんでしょうか。

西山審議官:なるべく早くと思っておりますけれども、明日以降またその作業の方法を考えながらやります。それで今回やろうとしてダメだったというか、この線量が高くて負傷されたその場所をまた追求するのか、それともまた別のルートを使うのか、そこも含めて今検討して明日以降やるということになります。

記者:もう一点、確か朝1,4号機から煙が、白煙がまだ出ているというとこだったと思うんですが、今の状況はどんな感じでしょうか。

西山審議官:それは確認いたします。

司会:では次ご質問の方。一番前列男性の方どうぞ。

記者:時事通信のセキジマと言います。被曝の件なんですけれども、先ほどの会見で被曝時間が今日の12時09分とおっしゃっていたと思うんですけれども、東電の方の会見では1時まで作業をしてですね。1時半に作業終了後に被曝にわかったという話だったと思うんですけれども、どのような経緯で被曝時間特定出来たんでしょうか。

西山審議官:ちょっと私もある資料を見てお答えしたので、確認いたします。

司会:次、ご質問の方いらっしゃいますか。一番後ろ男性の方どうぞ。

記者:細かいんですが、さっきの質問のまた関連なんですが、タービン建屋の中ではその線量を計っているけれども、核種を分析されたりとか試料をとって何か分析をされているってことはないんでしょうか。その作業員の方の服についていたりしたとかですね、ものから何か核種っていうのがわかったりはしないんでしょうか。

西山審議官:それはないようです。線量の大きさだけで、特に核種は計っていないようです。

記者:ガンマ線だけっていう、そういうこと。

西山審議官:そういうことでございます。

司会:ではそろそろ残り3名とさせて頂きたいんですが。では最後前列男性の方どうぞ。

記者:共同通信のヤマモトですけれども、今回の3人の被曝みたいに100ミリシーベルトを超える作業員がですね、東電の関係で14人いるという話があるんですけれども、それぞれ14人がですね、今のところ累積で何ミリシーベルト被曝しているということを保安院としては把握されているんでしょうか。

西山審議官:我々も14人というところまでは伺っていて、一部の方については何ミリシーベルトというところも、少なくともある事象が起こった時には伺ったと思いますけれども、全体像を聞いているかどうかは確認させてください。

記者:これまでも会見でですね、250ミリを超えないようにという西山さんの話で色々ありましたけれども、被曝の管理を東電だけに任せていいのか、それとも保安院としてもきちんとしとくべきじゃないかなと思うんですけれども、保安院としてはそれは逐一データとしては把握しているけれども、西山さんはご存じないということなんですか。

西山審議官:まず制度としてはこれは最終的に報告が、自動的に報告が出てくることになるので、そこにもし仮に大きい値があれば、それはそれで対応しなきゃいけなくなるんですね。ただそのそれではあとの祭りになってしまうことを考えれば、こういう厳しい作業の時には我々も並行してこういう規制官庁としては把握していても、いくべきかなとは思います。それがルールかどうかということはありますけれども、実行上はこういう時期ですからよくそういうことは注意していかなきゃいけないと思います。今の14名の方について、うちの保安院のものがそれを報告受けているのかはちょっとはっきりいたしません。今聞いているところでは、250ミリにいっていないということについては確認しているということです、聞いているということです。個別の何ミリというところを全部把握しているかどうかはちょっと確認できませんが、250ミリにいっていないというところは確認しているということです。

記者:事故が発生して2週間経ってですね、さらに作業員の方の被曝量が段々増えていっていると思うんですけれども、出来れば線量がどのくらいかということをですね、こういった場でですね、公表して頂ければと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

西山審議官:考えてみます。

司会:それでは一旦会見の方は終了させて頂いて、確認中のものは確認取れ次第お知らせするということにさせて頂ければと思います。

西山審議官:どうもありがとうございました。