原子力安全・保安院の記者会見テキスト(2011年3月25日10時24分から41分間)

司会:それではただいまより会見の方はじめさせて頂きます。よろしくお願いいたします。

西山審議官:おはようございます。よろしくお願いします。では私の方からまず各号機の状況について、最新の状況を説明させて頂きたいと思います。

まず福島第一原子力発電所の1号機ですけれども、1号機については前から申し上げておりますように、給水系から、元々消火系というのを使っていましたけど、これを給水系の方に切り替えて、それで炉心への、今のところ海水の注入を行っております。これについて、温度が上がったり、あるいは圧力が上がったりするということで、コントロールが難しい面がありましたけれども、微妙にそこを調整していくことによって、現時点では原子炉圧力容器の温度が低下しておりますし、格納容器の圧力も一時上昇傾向にありましたけれども、その後低下しております。そういう意味で、今は比較的安定した状況かと思っています。また引き続きよく監視していかなければいけないと考えています。

それからこの1号機それから2号機なども含めてですね、今海水を注入している部分については、昨日申し上げたように海水は塩分があったり、当然塩分があるわけですけど、それから不純物もあるということで、やがて機器の詰まったり、あるいはその腐食したりということの可能性が高いものですから、なるべく早く淡水、真水に切り替えたいと思っております。そういう意味で可能な段階であれば、今消防車を繋いで海水を入れてますけれども、これをまた別の消防車を用意して、淡水を、淡水の貯めてあるところから炉心の方に淡水を入れるというラインに切り替えるという準備を今しておりまして、準備が出来ましたらなるべく早くそちらの方に移行したいと考えております。

次に使用済み燃料の1号機の使用済み燃料プールにつきましては、ここは元々発熱が非常に少ない使用済み燃料の量でありますので、比較的問題が少ないですけれども、引き続き、これはおそらく明日以降になると思いますが、使用済み燃料プールの冷却系から海水を注入するという予定にしております。この海水についても、使用済み燃料プールの海水についても可能であれば淡水の方に切り替えたいと思っております。あと、電源の関係につきましては、1号機では冷却系の機器について健全性を確認してなるべく早く電気を通していくということを引き続き努力して参ります。

次に2号機でありますが、2号機については、炉心のパラメーターは比較的安定しております。ここにも今現在は海水を引き込んでおりますので、炉心に海水を入れておりますので、これをなるべく早く淡水に切り替えるということに、を準備をしたいと思っております。それから使用済み燃料プールにつきましては、これまで何回か海水を注入してきております。またこれも蒸発量に応じまして引き続き注水を継続していくということになります。この場合も可能であれば淡水に切り替えることも考えていく方針であります。電源につきましては、本日出来れば中央操作室、中央制御室の照明を点灯したいと考えております。それからあと、計測電源用の、色々データを測る、計測電源用のケーブルの復旧にも努めたいと思っています。それから他のプラントと、号機と同じですけれども、冷却系の機器の健全性を確認して一刻も早く外部の電源によって通常の冷却系が回るような形にもっていきたいと思っております。

3号機でありますが、3号機についてはやはりここも現在消化系から海水の炉心への注入を行っております。ここについて昨日、復水移送ポンプを使って淡水を注ぎこむことを計画しておりましたところ、その作業にあたってケーブルを敷設作業しておられた方が被曝されるという事故が起こってしまったわけです。そのことについては後ほどまた触れますけど、これについては、この基についてもなるべく早く淡水を入れる行動をとりたいと思って考えておりまして、今の線量が高くなっているところはそのままは使いにくいと思いますが、その問題にある水なども処理したうえで、処理しながら他のルートもですね、考えて何とか炉心に淡水を注ぎ込むルートを早急に確立したいというふうに考えているところです。使用済み燃料プール、3号機の使用済み燃料プールにつきましては、最近23日、24日と2回に渡って海水を注入いたしました。今後は一つは、これは現地の条件が整えばということですけれども、一応午後に川崎市の消防局、東京消防庁のご支援を得た川崎市の消防局による放水をして頂くことを予定しております。当然のことながら、昨日の事故に関しますタービン建屋絡みの作業につきましては、放射線量についてよくサーベイを行って作業環境を確認しながら実施することになります。あと3月23日の16時20分頃に発生した黒煙がありましたけれども、これについては現在収まっているということが確認されております。電源の関係につきましては、計装あるいは冷却系の機器などの健全性の確認を継続して実施して参ります。

次に4号機であります。4号機については原子炉の方は燃料がありませんので問題なく、使用済み燃料プールの冷却が最大の課題でありまして、ここにつきましては、使用済み燃料プールの冷却系から消防ポンプ車によって海水を注入していくということを今日の、本日25日の6時05分から続けております。本日のこの4号機に関する予定といたしましては、残留熱除去系、海水ポンプ用の仮設の電源を準備する。これは本来の海水によって海水を循環させて熱をとっていく、原子炉の熱をとっていくやり方について仮設の電源を用意して復活させるということであります。それからそのほかの冷却系の機器についても健全性を確認して電気を通じていくということをいたします。

次に5号6号ですけれども、5号については、昨日外部電源による、切り替える途中でポンプが残留熱除去系の海水ポンプが自動停止してしまった件については、ポンプを取り換えまして、外部電源による冷却系の準備が整っております。それから6号機については、本日この外部電源からの、外部電源に切り替えることによって残留熱除去系の海水ポンプを働かせたいと。その外部電源による駆動にもっていきたいというふうに考えています。あと、共用のプールがありますけれども、これは共用の使用済み燃料プール、これにつきましては本日の予定として計測制御電源、計測器を制御する電源を入れたり、あるいは照明の電源を復旧させるということを計画しております。次に、今回の3号機のタービン建屋での被曝の関係でいくつか申し上げたいと思います。まず、この今回の水の、けがをされた方に影響を与えたその水の測定による、放射能濃度の測定の結果ですけれども、これについては通常運転中の原子炉の水の放射能濃度と比較いたしますと、約1万倍の濃度があるということでございます。通常の運転中の原子炉水というのは、原子炉失礼いたしました。今申し上げていたのは、通常の運転中の原子炉水の約1万倍の濃度があるということです。それで通常の原子炉水というのは、これは原子炉の中で炉心にも触る形で水が沸騰して、それがタービンの方に送られてくるということですから、ある程度放射能を帯びているわけですけれども、しかし通常はやはり被覆管があり、そこで放射性物質はその中に一応閉じ込められるということになっていますから、その原子炉水自体は放射能を帯びているけれども、それ自身ものすごく高い放射能であるということはないわけですね。そこを前提にして考えて、その約1万倍の濃度ということです。しかし1万倍の濃度というこれは高い濃度であることは間違いないということでありまして、現在この3号機の原子炉についても燃料がある程度棄損されているということが、当然可能性が高いわけですから、そういう意味でそういうところから来るものである可能性は高いと思っています。今回この放射線の管理に関しましていくつか問題があると考えておりますので、我々としては、経済産業省の原子力安全保安院では保安院付きの森山審議官から本日の午前1時30分に東京電力の保全担当の責任者の方に対しまして、再発防止の観点から直ちに放射線管理を見直して改善するように口頭で指示をしております。具体的な問題点といたしましては、作業にあたりまして当日事前のサーベイが、事前の調査が適切に行われていなかったと、前日水がなかったということによるもののようですけど、それだけではなかなかそういうことで調査を怠ってはいけないと考えております。それから事前のサーベイ、調査に基づいていれば作業員の装備をもっと適切にすべきであったと、特に靴の中にお水が、水が入ってしまったというようなことを考えますと、そういう装備の適切さに問題があったのではないかと考えています。それから個人の方が持っていた線量計のアラームが鳴っていたけれども、長期にわたって、若干の勘違いもあったようなことですけれども、長期にわたって作業を継続していたという点にも問題があるのではないかと思っています。あると思っています。そういう意味でまず口頭の指示をしたところであります。これから今回の場所に限らず高い線量がこれまでいくつか発見された、特にタービン建屋のところを中心に高い線量が発見されたところがあるわけですけど、今回のこともありますから、こういったところに限らずしっかり事前にサーベイという調査を行って作業環境を把握して、それに適した装備をもって行って頂くようにお願いしたいと思っています。そういうふうに指導したいと思っております。私の方からは説明は以上にしまして、あとはご質問にお答えしたいと思います。

司会:では、一番前列男性の方。

記者:共同通信のヤマモトですが、3号機のタービン建屋の水溜りの件ですけれども、炉水、通常の炉水よりも1万倍濃度が高かったということですけれども、燃料の棄損の可能性があってそういうところから来る可能性があると、高いというふうにおっしゃったんですが、3号機の原子炉建屋の場合、原子炉内とあと使用済み燃料プールでも燃料の破損の可能性があると思うんですけど、今回そのどちらから来たというふうに保安院としてはみているんでしょうか。

西山審議官:今の点については両方ともあり得るというふうに思っています。

記者:両方ともあり得る場合ですね、それぞれこのタービン建屋にこの水が来るルートというのはどのようなルートが考えられるんでしょうか。

西山審議官:ちょっとまあどういうルートというのは、ここで描写するのはなかなか今すぐには出来ませんけれども、いずれにしても水が流れ込むことは十分可能な、色々仕切りがあったりするでしょうけれども、水として動いてくることはあり得ると思いますので、ルートはまたこれから解明しなければいけませんけれども、それはあり得ると思います。

記者:動いてくることは可能というのは、何か配管とか弁とかですね、そういったものに破損があって原子炉の建屋の方から水が来るというそういうルートが考えられるということでしょうか。

西山審議官:今のところ、今私が申し上げた以上のことはわかりませんけれども、そういう破損してそれによってくるということもあるでしょうし、またはその場所で漏れていて、ある場所で漏れていてそれが移行してくるということもあるのかもしれないと思いますが、今はそれ以上はわかりません。

司会:では次、ご質問の方。壁際の男性の方。

記者:今の3号機の件なんですが、放射性物質をですね、その原子炉の中に閉じ込めておく機能が著しく低下していると、今容認しているとか思うんですが、その点に関する見解をお願いします。

西山審議官:これが原子炉のことなのか、あるいは使用済み燃料プールに線源があるものなのか、そこは先ほど申し上げたように、その二つのどちらかなという感じはいたしますけど、はっきりはいたしません。それで原子炉の方については、今のところ我々のデータを見る限り、一定の閉じ込め機能はあると思ってますけれども、しかしある程度遠くまで放射性物質が今出ているような状況ですから、そこについてはよく検証しなきゃいけないと。原子炉についてどこかでやはり棄損している可能性も十分あるというふうには考えています。

司会;では次ご質問の方。一番前列男性の方どうぞ。

記者:NHKのクツカケと申します。炉心への水の注入なんですが、海水から淡水に切り替えるタイミングなんですけど、これ1号機から3号機それぞれ本日中とか明日とかスケジュール的なものがあったら教えて頂きたいというのと。これ3号機、別のルートを探すということですので、1号機2号機、優先してされるのかという点を教えてください。

西山審議官:私の理解では、確かに3号機は一番今まで当てにしていたルートが線量によって難しくなっているわけですから、新しいルートを探さなくちゃいけないということで、そういう意味ではうまく水源が確保出来れば、1,2号機の方が早いように思いますが、3号機もしかし急がなきゃいけないことは間違いありませんから、準備の出来たところからやっていくということになるんだろうと思います。

記者:1号機はなるべく早くということをおっしゃいましたけれども、それは例えば今日とか明日というような見通しは出来ているんでしょうか。

西山審議官:可能であれば今日もと思っていますが、明日以降になる可能性も十分あります。

司会:では次、ご質問の方。真ん中の列一番後ろの男性の方どうぞ。

記者:朝日新聞のコボリです。セシウムなどが色んなところで今、各地で検出されていますけれども、今回の水の中にもセシウムがありましたが、それは同じルートではないというふうに考えた方がいいんでしょうか。つまり蒸気などで今外に放出されていますから、そういうものが拡散して降ってきたものが各地で検出されているのか。今回のプールの水っていうのはそれと同じルートで建屋の中に出ているのか。

西山審議官:そこは今はっきりわかりませんけれど、ちょっと予測するのは難しいですね。

記者:その放射線管理の方に問題があったとおっしゃいましたけれども、放射線管理委員ですね、計測をする人が今回同行していなかったということなんですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

西山審議官:今の点については、基本的には付いていければそれはそれで確実性が高まると思うんですけれども、付いていく方の人数というのに限りがあるでしょうから、その方はずっと放射線のあるところにいくとなると、その方の稼働時間というのは非常に限られたものになってくるので、その実際に作業される方がカウンターで測るだけという場面が生じるのもある程度はやむを得ないかなというふうには思います。

記者:現場にそういう放射線管理をする職員が足りないとすれば、保安院の方で例えば他のところに何か要請をしてですね、人の手当をするとかそういうことは今されているんでしょうか。

西山審議官:今現在はやってないと思いますが、それは一つ検討課題だと思います。

司会:では次ご質問の方。壁際男性の方どうぞ。

記者:読売新聞のアベと申しますけれども、被曝の関係なんですけれども、結局昨日も質問させて頂いたんですけれども、この昨日頂いた図面の中で被曝したポイントっていうのはどの辺りかっていうのは今日の時点でもうわかってませんでしょうか。

西山審議官:今わかるかどうかちょっと確認します。

記者:それでちょっと細かいところなんですけれども、原子炉建屋とこのタービン建屋の地下っていうのはつづいたりしているんでしょうかね。要は水がどう流れてったのかなっていうのがですね、まあこれはまだ原因は特定まではいかないにしても、可能性の話としてどういう構造だったのかというのはちょっと確認したいんですけれども。

西山審議官:繋がってはいるようです。原子炉建屋とタービン建屋は。当然私も行ったことがありますけれども、繋がっているという意味では繋がっていますね。

記者:地下のレベルで繋がっているということですね。同じレベルが繋がっている。

西山審議官:階は確認しますけれども、基本的には繋がった構造になっているはずです。

記者:地下1階でよろしいんですかね。

西山審議官:今わかったことは、地下1階のところでは原子炉建屋とこのタービン建屋の間には仕切りがあって、普通には繋がっていないということですかね。

記者:水は入らないんですかね。

西山審議官:水が全く入らないかどうかは。

記者:とりあえず壁はあるわけですね。

西山審議官:壁はあるということです。

記者:なるほどなるほど。わかりました。それで一応原子炉建屋の方にも地下のつくりはあるわけですね。

西山審議官:地下の階はあります。

記者:わかりました。この地下っていうのは地下何メートルくらいっていうのはわかりますか。もしわかればですけど。

西山審議官:かなり深いと思いますけれども、確認いたします。

記者:わかりました。ありがとうございます。

司会:では次、壁際後ろ側の男性の方どうぞ。

記者:ダウジョーンズのオオベです。二つ確認と一つ質問なんですが、まず4号機の残留熱除去系準備されているということなんですが、これはそうすると今日にも電源でフルの冷却を開始したいということでよろしいのでしょうか。

西山審議官:電源入れてうまく動き出せばそういうことを期待しているということだと思います。どういう障害が現れるかわかりませんけれども、一応そういうふうに考えて頂いていいと思います。

記者:それからあと煙の方なんですが、1,2,4ではまだ白煙が出ていて、3号で黒い煙は止まっているということなんですが、3号から白煙とかは出ていたりするのでしょうか。

西山審議官:3号は出てなかったと思います。

記者:あと最後に一点なんですが、一部報道でこの今回の被害の国際評価尺度をレベル5からレベル6に引き上げなきゃだとか、それから冷温停止まで最低1カ月かかるとかですね、そういう話が出ているんですけれども、その二点についてちょっとコメント頂きたいんですけれども。

西山審議官:まず確認ですけれども、今申し上げたように現在煙の、白煙の、水蒸気のことについてですけれども、25日の本日6時20分現在では現地で目視確認したところ、1,2,4号機において発生しているということで、3号機については発生していないということです。それからINESの評価ですね、これについては先日INESの評価について5に、4から5に引き上げるということを説明申し上げました。それでこれについては、これまでの計算結果は現時点、その時点までに得られた限定的な情報をもとに様々な過程を設定しまして、その上で試算されたものであります。この福島第一の原子力発電所の事故というのは引き続きまだ動きがあるわけでありまして、やはりこれから先の判断は事故がある程度落ち着いたところで様々なデータを多角的に検証して放出された放射性物質を推定して、それで最終的なINESの評価、国際原子力放射線事象評価尺度と言いますけれども、このINESというものの評価を定めていきたいと考えています。それからもう一つなんでしたっけ。

記者:冷温停止までの。

西山審議官:冷温停止までの時間というのは、我々なるべく早く安定させてそういう状態に持ち込みたいと思いますけれども、まだあと何日ということがはっきり申し上げられる状況ではございません。

司会:では次、ご質問の方。前列左側の男性の方。

記者:時事通信のセキジマと申します。3号機の被曝の件で、計測していた人の同行がなかったという点に関連でですね、東京電力の社員が今回同行していなかったという点についてはどのように思いますでしょうか。

西山審議官:これは今みんな全員でですね、それぞれの役割分担で最大限頑張って頂いていると思っていますので、どの会社の方がどこに行かれたってことはあまり考える必要はないんじゃないかと思っています。

記者:今回被害にあわれた方の協力会社なんですが、その会社の社名については東電は明らかにしてないんですけれども、東電との関係性を検証する意味でも公表することに有益性があると思うんですが、この点を保安院の方としてはどのように考えますでしょうか。

西山審議官:その点については、ちょっと考えたいと思います。

記者:公表する予定というか、それも考えるということですか。

西山審議官:今いつ公表するかということは考えておりませんけれども、そういうお話があったということは頭に置いておきたいと思います。

司会:では壁際の真ん中辺りの男性の方。

記者:中日新聞のウメダと言います。ごめんなさい。中日新聞のウメダと言います。作業員の被曝の関係なんですけれども、まず一点目がですね、水はいつ頃から把握されていたのか。つまり前日にはあったかなかったかという部分と、この水はどう処理されるのかという部分。あと三点目がですね、これは被曝のけがの制度なんですけれども、ベータ線熱傷か、もしくはガンマ線熱傷の可能性もあるのか、そこら辺の見解のところを教えて頂けますか。

西山審議官:水がいつ頃からあったかというのは、ちょっと私は存じませんけれども、伺っているところでは前回そのあたりに行ったときには水がなかったので、今回水に対する装備が必ずしも十分でなかったということだったように記憶しております。それからどう処理するかということについては、何らかの方法でその水をやはりどこかへ動かす、それからふき取るとかそういうことをやって、その水についてはどこかに安全に放射性廃棄物として処理して、それであと除染、そこを洗うようにして作業を継続出来るかということじゃないかと思いますけれども。具体的な手法については現場で検討されていると思います。それから症状につきましては、一応とりあえずの懸念としてベータ線熱傷というふうに伺っておりますが、まさに放医研なんかで見て頂いた上での判断じゃないかと思います。今私はそれ以上は存じません。

司会:残り3名の質問とさせてください。

西山審議官:あと一つ、先ほどの原子炉建屋、3号機のですね、原子炉建屋とタービン建屋はどう繋がっているかということについては、繋がっているのは1階だそうでして、この地下の一つ上の階の1階で自由扉で繋がっているということでございます。原子炉の方が負圧ということで、原子炉の方の圧力の、建屋の室内の圧力を低くしてあって、そこから何か仮に何か漏れても外界に出て行かないような仕組みになっていますので、原子炉の方に、ものは原子炉の方に引き寄せられるということになるということですね。はい、じゃあ次お願いします。

司会:じゃあ残り3名ということで。じゃあ一番で、お座りいただいている方二番目で、一番奥の方、三番目ということで。

記者:ブルームンバーグのスズキと申します。昨日3号機で500トンの注水を被曝の関係で一時中止していましたけれども、この状況っていうのはどのような感じになっていますでしょうか。

西山審議官:これはおっしゃる通り、昨日使用済み燃料の、3号機ですけれども、使用済み燃料のプール、使用済み燃料プール冷却系から120トン、元々500トンを意図していて、120トン海水を注入いたしました。それで先ほどの放射性の高い、放射能の高い水溜まりを発見したところで止めてるわけですね。それについては、使用済み燃料プールへの注水の必要性があるわけですので、このあれを継続するか、あるいは川崎市の消防局、東京消防庁にご支援頂く川崎市の消防局による放水でいくのか。そのあたりを検討するということになると思います。

記者:放水はやられるということは、復水移送ポンプの稼働というのを中断して放水を優先させると、そういうことなんでしょうか。

西山審議官:復水移送ポンプの話というのは、ちょっと待ってください。今の話は使用済み燃料プールの話なんですよね。復水移送ポンプの話は原子炉の方でありますので、先ほどのご質問で使用済み燃料プールの方であれば、今申し上げたようなことでして。

記者:その復水移送ポンプの稼働を優先させるために放水を一時見合わせたと、復水移送ポンプの稼働を行ったあとに放水を行うと。確かそういう説明だと記憶したんですけれども。

西山審議官:確かに放水があると、作業を止めなきゃいけないときもありますから、ちょっとそこは使用済み燃料プールの状況と、それから原子炉の状況とのどちらを優先するかということ、それからそこの作業環境がうまく整えられるかということ。そういったいくつかの要素を考えた上で決めていくことになるかと思いますが、今ちょっとここではどれをどうするというのは、はっきりわかりません。

記者:最後に、被曝した3人の方なんですけれども、その内2名は関電工の社員の方で、これ1名関電工の協力会社というような報道が出ておりますけれども、これも保安院の方から今明らかにして頂くことは可能でしょうか。

西山審議官:現時点では出来ません。

司会:では前にいらっしゃる男性の方。

記者:レスポンスのナカジマです。作業員3人についてなんですけれども、1人は長靴を履いていて2人は短靴だったと。長靴を履いている人はあまり被曝の影響を受けてないわけですけれども、ケーブルの作業をやっていて水の中に入って短靴でっていうようなことは普通考えられないと思うんですけれども、どのような作業をやっていたとお考えなんでしょうか。

西山審議官:それはその細かい作業の、現実の作業の中身まではちょっと私は存じません。ただ水があるところでこのくらいなら大丈夫と思ってやられたのかなとは思いますけれども、それ以上はわかりません。

記者:当然こういう放射能のですね、影響があると、水の中にはあるというようなことは学習をされていると思うんですけれども、そういったような前提はお考えではありませんか。

西山審議官:そういうことは考えておられたと思いますけれど、ちょっとそのおそらくご本人たちの予測に反したことが起こったんだろうと思います。

司会:ではすみません。一番最後に壁際奥の男性の方。

記者:フリーランスのフジイと申します。よろしくお願いいたします。情報の公開についてお尋ねします。保安院さんの方でですね、現場の原子炉の状況について、例えばプラントパラメーターということで提供頂いておりますが、これでまずすべてなのか。それからですね、他にあるとしてですね、それをそれらについて公開することが出来るのか。それとですね、現在得ている原子炉に関する測定数値についてですね、保安院としてですね、現場の状況を把握するうえで、十分であると考えられているのかどうかと。あわせてですね、現在現場から得られている数値のですね、種類と頻度についてお教えください。よろしくお願いします。

西山審議官:まずプラントのパラメーターについては基本的に我々の持っているものは、公開していると思いますけれども、過去の形状、あまり細かいものについては表の、なんて言いますか、わかりやすさとかの関係で出してないものもあるかもしれません。いずれにしても我々隠す必要性全くありませんので、そうしたものは出していきたいと思いますけれども。

記者:細かいものについてもですね、紙という形にとらわれずにですね、望むところがあればデータどういう状態でですね、ご意思はあるかどうかっていうことも。

西山審議官:もちろんあります。それから現在の測定数値はですね、やはり今まで電気が通ってなかった状態で電源を持っていって、その場でこう電気を通して測るというような非常に異常な状態でこれまで測ってきたし、それからそもそも計器自体に信頼性があるかどうかも疑わしいということがありましたから、我々としては満足いってない状態ですね、これまでは。ですから今回電気が通ることによって、多くの計測系が回復して、しっかり正しいデータが把握された上で対策を立てられるような形に是非早くもっていきたいと考えています。それから最後の点は、我々が把握しているものは、みなさんにお知らせして重要と思うものは出しておりますけれども、今その膨大なデータですから、原子炉に関するものというのは。ちょっとそれをここで説明するのはあまり得策でないかと、意味がないかと思いますが。

記者:積極的なですね、情報公開が国民皆さんのですね、不安を取り除く大きな効果をあげると思いますので、是非その辺よろしくお願いします。

西山審議官:はい。それはもうよく身に染みてわかっております。

司会:それではこれで会見の方終了させて頂きます。どうもありがとうございました。