原子力安全・保安院の記者会見テキスト(2011年3月25日14時57分から22分間)

司会:遅くなりましてすみません。55分過ぎですね、2時55分過ぎ、会見を始めさせて頂きます。よろしくお願いいたします。

西山審議官:ではお待たせしました。よろしくお願いいたします。まず使用済み燃料プールに対する注水の行動についてお話いたしたいと思います。2号機につきましては本日3月25日の10時30分から12時19分ということで、10時30分から12時19分、使用済み燃料プールへの、これは何だっけかな、ちょっとお待ちください。使用済み燃料プール冷却系から注水を行いました。まだ量などは確認されておりません。それから3号機のプールに対しましては、川崎市の消防局が東京消防庁の支援を受けて13時28分から消防車による放水を開始しておると聞いております。それから4号機のプールに関しましては、コンクリート注入機、打設車とか言いますけれど、この関係、これによって本日の6時05分から10時20分まで、6時05分から10時20分まで海水が注入されました。今まで申し上げたのはすべて海水の注入でございます。それから一部の外国の報道でこの水の作業の間、1号2号の作業員の方が、1号機2号機で作業しておられる方が退避したという報道が流れていると聞きますけれども、そういうことはございませんで、実際はこの3,4号機、3号機4号機の放水のために作業員の方が退避しているということはあるということですので、1,2号機の方は作業をしておられるということでございます。それから昨日の3号機での放射能浴びた事故の件ですけれども、実際に作業されている方がどこにおられたかというのははっきりいたしません。(図を指しながら)ただこの上の階から、このケーブルをですね、上の階にあるその電源のところからケーブルをこう通して、意図としてはこの復水移送ポンプ、これを動かして淡水を原子炉に注入するためにここに、昨日の夜も少し説明しましたけど、電源を持ってくると、そういう意味でケーブルを接続していたということで、このあたりに全体どういう状況だったかよく判明しませんけれども、水がかなりあって、そこにそれによって汚染されてしまったということでございます。ですからおそらく本人の方々に伺ってもどの場面で一番放射線を浴びたかというようなことはわからないのではないかと思いますが、いずれにしても現在は今申し上げた範囲でしかわかっておりません。それからこのお三方が作業しておられて、二人の方が放医研の方に搬送されることになっていたというふうに申しましたけれども、放医研の方からのご連絡によりますと、残り一名の方も一緒に、これは念のためという性格が強いようですけど、残り一名の方も一緒に放医研に行かれることになったというふうに連絡を受けています。私から今回は異常でございます。あとはご質問にお答えします。

司会:それではですね、20分まで質疑応答させて頂きます。質問の際は、会社名とお名前をお願いします。では2列目の女性の方どうぞ。

記者:フジテレビのタカミと申します。この3号の水はどこから来たのかという理由について、午前中の会見で原子炉のどこかで棄損している可能性があるというふうにおっしゃったんですが、これは西山さんとしては、原子炉って普通考えると圧力容器の話のことだと思いますが、これは3号機の原子炉の圧力容器が破損している可能性があると思っていらっしゃいますでしょうか。

西山審議官:そこはかなり私の申し上げたことで決定的な感じで報じられていますけど、まだ如何せん原因はわかりません。今わかっていることはこの今回出てきた水の内容を見ると、これはやはり原子炉の中での、原子炉の中に源をもつようなものであるという内容であります。使用済み燃料ということも可能性がなくはありませんけれども、可能性としては原子炉の中という、中のものである可能性が高いということが一つあります。それからじゃあそれがどういうふうに出てきたのか、これはまだはっきりいたしません。現在のところまでに原子炉自体が棄損というふうに、何かひびが入っているとか、割れているとかですね、そういうことを示す証拠は何もありません。むしろ圧力がある程度ありますから、そういうことではない可能性は高いですけれども、ただ水を入れる、海水を入れるオペレーションをやっており、その中で色々弁を作用したりしてうまく圧力を加減しながら水を入れていくというようなことをやっていく中で、何らかのリーク、漏れがどこかから起こってこういう事態になっているという可能性は高いというふうに思われます。ただそれについてはまだはっきりとしたことはわかっておりませんので、そういうこともあり得るというふうに考えながら次の手を考えていかなきゃいけないというふうに考えております。

司会:では1列目の男性の方。

15:03:52

8秒間記録なし

15:04:00

記者:…原子炉の中から起因している可能性が高いということですね。

西山審議官:可能性としてはそちらの方が高いと思います。

記者:それと今2号機が格納容器破損している可能性があると、他は健全性がもたれていると思われていると思うんですが、現在じゃあ1,2,3号機で格納容器と圧力容器それぞれの健全性についての現時点での認識をお願いします。

西山審議官:現時点ではこれまで海水の注入を行いながら、時々1号機や、最近の1号機についてご紹介したように温度や圧力が非常に上下すると。そういう中でウェットベント言われる水を通すベントを行うというようなことでやって参りまして、そういう意味で本来の閉じ込め機能に比べるとそこまでの間でもある程度この閉じ込め機能が緩んだ形になっていますね。その限度を超えてはたしてどういうふうになっているのかということについては、確たる証拠を示すデータは今のところありません。ただそういう中で今回のようにそこに源があると思われる水が出てくるとか、あるいはそこで発生したセシウムとかヨウ素と、そこで発生したと考えられるセシウムとかヨウ素とかが出てくるという事態を考えると、何がしかその閉じ込め機能の中でこれまでの、なんて言いますかね、少し損なわれている可能性があるのではないかというふうに思われますけれども、ちょっとそれ以上のことははっきりわかりません。

司会:じゃあ一列目の。

記者:共同通信のヤマモトです。3号機でですね、水、タービン建屋で水あって、放射性物質の濃度が高かったということですけれども、同じような事象がですね、他のタービン建屋であるのか、確認されているのかどうなのかということを教えてください。

西山審議官:ちょっとお待ちください。

西山審議官:まだ今回の3号機ほどはっきりとはいたしませんけれど、こういうふうにある程度の量の水が出たということではありませんけれども、前にご紹介した2号機についても500ミリシーベルトでしたか、そういう線量が観測されたこともありましたし、1号機でも線量の高い部分はありますから、そういう意味では同じようなことが、規模の大小はあれ、ある可能性はあると思います。

記者:可能性じゃなくて、今回3号機で見つかったような濃度の高いですね、水が他のタービン建屋で見つかったことは今のところは保安院としては確認してないということですか。

西山審議官:それは確認はしておりません。

記者:あとですね、3号機で水が見つかって作業が中断してますけれども、水をどうにか避けてやるのか、他のルートでやるのかみたいなことをおっしゃっていたと思うんですが、その後の作業をどうやるかという方針が決まったかどうかはいかがでしょうか。

西山審議官:まだ少なくとも私は聞いておりません。

司会:じゃあ4列目の。

15:07:54

5秒間記録なし

15:07:59

記者:朝日新聞のコボリです。西山さん一点お伺いしたいんですが、今原子炉の中から出てきたものである可能性が高いんじゃないかって最初におっしゃいましたけれども、その根拠となる理由がもしあれば教えてください。核種が色々出ていますけれども、例えばセリウムの量が多いとか何かその放射性物質の何か量とか割合とかで判断されたんでしょうか。

西山審議官:まだ詳細な分析は出来てませんけれども、こういう、ここに並んでいるような核種が出てくるということは、原子力発電所の中では原子炉の中か、あるいは使用済み燃料か、要するに燃料系のどちらかでしか出て来ないだろうと思っています。

記者:燃料系ですから、使用済み燃料のプールの中からっていうことも考えられると思うんですけど、それでもその原子炉の中って最初におっしゃった理由っていうのは何なんでしょうか。

西山審議官:今のところその使用済み燃料について、こういうことを出すほどの、そこはちょっとはっきりとわからないんですけれどもね。使用済み燃料についてどの程度の損害、棄損の状態があるのか、つまり使用済み燃料が一時的にせよ、水に被ってない時期があって、それで少し壊れているのかどうかとかその辺ははっきりわからない状態なので。そういう意味では、最終的な答えはどちらかとははっきり言えませんけれども、これまでの動きからすると、使用済み燃料の方にそれほどのことをする、それだけのものを出す、なんて言いますか、原因があるというよりは原子炉の方が可能性は高いのかなというふうには思いますけど、我々の知らないことが起こっているかもしれませんから、今は確定的なことは言えません。

司会:3列目の男性の方どうぞ。

記者:今言及なさった原子炉の関係なんですけれど、水漏れがですね、確認された前日はほとんどその水溜りはなかったっていうお話が東電から出ていますが、その前日に当たる23日は保安院の資料によると、圧力容器の圧が下降傾向にあるというのがしばらく続いているんですが、それと水漏れとの相関というのは現時点で考えられることはありますか。

西山審議官:今考えられません。わかりません。

15:10:43

6秒間記録なし

15:10:49

記者:…非常に基本的なところ、今話してる水の源が原子炉かもしれないっていうのは全部3号機の話でいいわけですよね。

西山審議官:そうです。

記者:一部は海外からの報道なので放射性の量が非常に高いのは、それは格納容器が損傷している可能性が、を示しているみたいな報道ぶりなんですけれども、結局放射性物質がベントとかから出ているというのと、それから格納容器なり圧力容器が損傷しちゃっているかもしれない、そこから出ているかもしれないというのはかなり違うと思うんですけれども、可能性としてはどうなんでしょうか。基本的にはそのベントとか、先ほどのお話ですと、ベントとかそういう色んな作業をやっている中で出てしまった、そういうのが漏れてしまったというような印象であって、そのものが棄損しているという可能性は今のところは低いと受け止めてはいるんですけど、ちょっと私の理解が正しいか間違っているか教えて頂きたいんですが。

西山審議官:私もそうだと思います。基本的には何か、例えば亀裂が入っているとか割れているとか、そういうことではなくて、まず塩水というか海水を入れて、それで圧力とか温度を加減し、そしてその場合によってはソフトベントと言われる水を通したベントをするという過程の中で、そういうベントによって出ていくものもあるでしょうし、それから中に入れた水で一部どこかから色々配管とかもありますから、そういうところから出ているとか色々なその弁から漏れるとかですね、そういう色々なケースがあり得ると思うので、それでもこういうことは起こり得るというか、そういうふうな可能性の方が高いというふうに思っています。何かその非常に、まさに割れたりとかそういうことは想定されるデータは今のところありません。

司会:一番奥の男性の方どうぞ。

15:12:57

6秒間記録なし

15:13:03

記者:…格納容器等の損傷はあまり考えにくいとありましたが、配管ないし格納容器のですね、損傷の可能性もあるということであれば、それに対するですね、修理等予めですね、迅速に行えるように準備しておくべきだと考えるんですが、そのようなことは現場ではなされているんでしょうか。ということが一点と。先ほどの会見でご質問した情報のですね、現場から来ているデータのことですけれども、データ自体というよりはですね、保安院さんの方で受信されているデータのですね、項目の一覧のようなものをですね、提示して頂くことは可能でしょうか。その二点お願いします。

西山審議官:まず格納容器などの損傷という言葉のもつ意味については、今何回も申し上げたようなことだと考えています。それでまずは今は冷やす、安定的に冷やすところが重要で、そのためにこれまで海水を使ってまいりましたけれども、それがやがて行き詰るといけないので、今は淡水に代えていくという行動を今とっているところです。その上で、今度それが落ち着いた時にどういう手を打つかというのは、また今考えているところです。それからデータについては、我々が受け取っているデータというのは、色んな場面で色々なものがありますから、どういうふうにお示しすることがいいのか、ちょっと考えてみたいと思います。

記者:項目のですね、現在わかっている部分だけでも、こういう項目それぞれの箇所でですね、受信していると。現在頂いているパラメーター一覧より、おそらくたくさんの項目を受け取られて、それを整理したうえで提示して頂いていると思うんですが、その整理前のですね、原子データの項目だけでもですね、まずは提示して頂ければですね、こういうことがあるのかと、各種外部の専門家の方でもこういったところを見れると安心だなというようなこともありますので、出来るだけ早くそうして頂けると有難いのですが。よろしくお願いします。

西山審議官:そこは考えてみます。

司会:すみません。質問の際は。

15:15:44

10秒間記録なし

15:15:54

記者:…ちょっと話変わるんですが、安全委員会は20キロから30キロ圏内に対して自主的に避難するように望ましいという見解を示したんですけれども、その見解に対しての保安院としての現在の考え、例えば保安院としてもそういうふうに望ましいという考えなのかという点と。それから以前30キロ、要するに避難の設定範囲について最悪の場合を想定しているので変更はないというお考えでしたが、それは今も変わらないのかという点をお聞かせください。

西山審議官:私の理解では安全委員会がそういうお話をされたことに関しては我々も、我々としても検討に一緒に参加し、サポートする立場でありますので、保安院としても特に異論はありません。それから避難の設定範囲ですけれども、まさにおっしゃったように、ここで何回かお話しした最悪の事態を考えますと、それを考えての設定ですので、今避難範囲を変える必要があるとは思っておりません。

記者:そうしますと、異論はないというのは、つまり設定範囲を変える予定はないけれども、やはり20キロから30キロ屋内退避の圏内にいる方は避難した方が望ましいというお考えという理解でよろしいでしょうか。

西山審議官:それはそういうことですね。色々な生活上のご不便のこととか色々考えてということだったと思いますので。

記者:つまり健康上以外にもという理由でということですか。1.1ミリシーベルト以上の被ばく線量が出ていますけど、健康面だけを配慮した結果ではなくて、生活面も配慮してということなんでしょうか。

西山審議官:安全委員会の文章に書いてある通りだと思いますけど。

記者:わかりました。

司会:次の方。では隣の男性の方。

15:18:00

7秒間記録なし

15:18:07

記者:被ばくした三人とも放医研の方に行かれるということでしたが、すでにもう三人とも出発したということでよろしいんでしょうか。

西山審議官:出発されたそうです。

司会:じゃあ時間になりましたので、最後。

15:18:28

7秒間記録なし

15:18:35

記者:汚染水、3号機の作業への支障というのはあくまで今3号機のタービン建屋のみに留まっているという認識でよろしいんでしょうか。

西山審議官:そうですね。タービン建屋で、かつ私の理解では、高い線量の影響の及ぶ範囲ということだと思っております。

記者:そこでの作業は今回の汚染された水が排除されるまで再開は出来ないという考えですか。

西山審議官:たぶんそういうことになると、どうやってその水に関する問題を解決するかということですけれども、おそらくそれはどかさないといけないでしょうから、おっしゃった通りじゃないかと私は思います。

記者:午前中にですね、別のルートからの給水も選択肢としてあり得るというふうにおっしゃいましたけれども、その意味でもやはり排水の作業が終わってからじゃないとスタート出来ないということ。

西山審議官:すみません。そこはちょっとわかりません。

司会:時間になりましたので、すみませんが、会見を終了させて頂きたいと思います。ありがとうございました。